憑依in実験体のアビドス生徒   作:改名

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触発されました。
書けるだけ書きます。


プロローグ
1.目覚め


 

 

 

 目が覚めたら、血に染まった風呂の中だった。

 そんな異常な状況で、口から零れ落ちた一言がこれだ。

 

 

「風呂の意味ねぇじゃん」

 

 

 いやいや、そうじゃない。何言ってんだこいつ。というか俺。

 まず行うのは概念を問うことじゃないだろ。驚いたり、慌てたりするのが先だろうが。

 それが普通だ。分かってはいるのだが……。

 

 

「……つってもなぁ、なんも感じない。感情の起伏がなかったのか?」

 

 

 多分、この身体に精神が引き摺られているんだ。状況をさらに把握するため、ちゃぷん、と身体を浴槽に沈め周囲を見渡す。

 風呂だけでなく、壁も床も天井も、全てが赤で染まっていた。

 足で浴槽の湯をかき混ぜ、細かな肉片等がないことを確認する。つまりこの血は、正真正銘……。

 

 

「こいつ自身のものってわけね……となると自殺か。首切って」

 

 

 昔、バラエティ番組で人が首を切られた場合、心臓の動きに合わせて血液が上下するとFBI捜査官が話したのを見たことがあった。

 壁につく血がそれに似た形状をしている。

 

 

「なのに無傷……。いよいよ人間なのか怪しくなってきたなぁ」

 

 

 首をさするが傷口のような痕跡は見当たらない。

 多分、塞がったんだ。夥しい量の出血にも関わらず、失血死してないのも奇妙な話だ。

 外出た瞬間、人間から包囲されているといったシチュエーションは勘弁してほしい。

 

 

 へぶしゅっ!!!

 

 

 

「……随分、人間らしい化け物のようで」

 

 

 だが寒さは感じるようだ。子供らしいくしゃみに苦笑し、俺は温かいシャワーを浴びる。

 その際、鏡を少し手で磨いて自分の顔を見てみた。真面目そうな童顔の少年がそこにいる。その顔立ちは良いと思った。

 

 

「目が曇ってるのが残念だ」

 

 

 一体、この身体の持ち主に何があったのか。それを知るため、俺は浴室を出ることにした。

 

 

 

 

 

「斑目ユウ。アビドス高等学校……2年か」

 

 それが名前。玄関付近で見つけた生徒手帳には、笑顔を浮かべている彼の顔写真が載っていた。

 リビングの机に置いてある、緑がかった薄い水色のロングヘアーをした女子生徒と背丈の小さい桃色のショートカットの女子生徒との写真では、2人に挟まれているからか、顔を少し赤らめていた。

 

 

「それがどうしてこうなった」

 

 

 感情豊かな斑目の写真を見ると、そのギャップに驚かされる。

 今の曇った瞳が嘘のようだ。

 

 

「それと、こいつらも何だ。天使か? なのに片方は、不釣り合いな装備をしてやがるな……」

 

 

 あまりのギャップに見落としそうになった違和感に、俺は眉を顰めた。斑目を除いた2人の頭上には、天使のような輪がある。

 さらに背丈の小さい方は、防弾チョッキのようなものに銃器まで身に付けていた。

 学生が銃を携帯するなんて、物騒すぎるだろうこの世界。

 

 

「斑目だけただの人間みたいだな。それを苦に自殺を? ……いや、そうじゃないよなぁ。この写真を見る限り」

 

 

 ここがどんな世界なのかは分からないが、それでも青春を謳歌している感じがする。

 そんな中、自殺なんてするかね?

 絶対他に理由がある。 

 

 

「悪いな斑目。勝手に自室、漁らせてもらうぞ」

 

 

 自殺の原因を探るべく、俺は彼の部屋に入る。青を基調とした、学生らしいシンプルな内装だった。

 

 本棚には勉強で使うのであろう参考書の他に、格闘技や筋トレの技術本やオカルト系の本が並んでいる。彼の趣味なのだろう。

 

 

「これは関係なさそうだ」

 

 

 本を棚に入れて振り返ると、勉強机の上にポツンと置かれたノートが目に留まった。俺は引き寄せられるように、それを手に取った。

 

 

「日記?」

 

 

 ぺら、とページを捲ってみる。

 

 

 

 ユメ先輩は優しい先輩だ。いつも笑顔で、体力がない僕を気にかけてくれる。

 小鳥遊さんも優しい。ちょっと顔が怖いけど、さり気なく気遣ってくれてることが分かる。いつも物を持つ時、僕より小さい身体で優先して重い物を持ってくれてるし、戦闘に巻き込まれそうになれば、文句を言いながらも助けてくれる。

 ……僕も、少しは役に立ちたいなぁ。戦闘面でも、金銭面でも。

 

 

 

 どうやら緑がかった薄い水色が、『ユメ先輩』。背丈の小さい桃色が『小鳥遊』らしい。

 この後は彼女達との日常が綴られている。筋力トレーニングに挑戦し、その体力の無さと非力さに小鳥遊に呆れられたり。

 アビドスに人を戻す客寄せパンダに自分がなると言い、自分を見世物にしようとするなと、2人に凄く怒られたとも書かれている。

 

 

「斑目みたいな人間は珍しいのか? まさかここ、男がいないとかじゃないよな?」

 

 

 疑問を抱きながらも、日記を読み進めていく。斑目達が所属するアビドス高等学校が莫大な借金を抱えていることは分かったが、彼等は前を向いて楽しそうな生活を送っていたからだ。

 どこかで起こる筈だ。決定的な出来事が。青春に紛れた異物が。

 

 

 

 帰り道、黒服の男に出会った。そいつは言った。条件を呑めば、アビドスの借金を減らしてくれると。

 

 

 

 ここだな。

 

 

 俺は目を細め、先を読み始めるのだった。

 

 

 

 




1話で原作キャラクターを出して、いい感じで纏められる手腕がほしい!
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