「──コクーンメイデン神属の、感応種だ」
コクーンメイデンの感応種。榊のその言葉は、静まり返った支部長執務室に響き渡っていく。
「……最初に話したが、事はかなり複雑で相互的に絡み合っている。これらすべてをなるべく順序立てて説明するには……やはり、コクーンメイデンという
フラックメイデンに、その中に潜む女王個体──コクーンメイデンの感応種。それらの詳しい説明をする前に、榊はコクーンメイデンそのものの説明が必要だと言う。
どう考えても、明らかに遠回りであるのは間違いないはずなのに……しかし、榊のその言葉に反対する者はいない。その事実を以て、榊は続きを語りだした。
「コクーンメイデンという存在は、アラガミとしてみても、生物としてみても──かつての時代の生物としてみても明らかに
「それは……動けないから、か?」
この中では一番榊と話し慣れている──この場の空気に飲み込まれずにいられた、リンドウの言葉。榊は静かにそれを首肯した。
「その通り。……いったいどうして、コクーンメイデンは動けないのだろう? あれでは捕喰活動が出来ないし、敵から身を守ることもできない。もちろん、かつての生物にも動きが遅かったり、ほとんど動けないものもいた。だがしかし……そういった生物は強固な鎧を持っていたり、体に毒を持っていたり、何かしらの身を守る手段を持っているために動く必要がなかったんだ」
例えばカメ。彼らは動きこそ鈍いものの、甲羅という非常に強力な盾を持っているために外敵からの攻撃から身を守ることができる。動きが遅くても、問題にならない。
例えばヒキガエル。彼らも比較的動きが遅いが、その身にはブフォトキシンと呼ばれる強力な毒を宿している。食べたら有害なものをわざわざ食べる生き物はいない──この毒によって身を護っている。
例えばナマケモノ。彼らは非常に動きが遅いが、消費エネルギーを最小限に抑えることで、そもそも捕喰活動をしないで済むようにしている。捕喰活動が少ないということは、それだけ外敵に襲われる機会も少ないということである。
例えばアリジゴク──ウスバカゲロウの幼虫。彼らは巣の中に引きこもっていてほとんど動かないが、代わりに巣そのものが獲物を捕獲するためのトラップとなっている。その場から動かずとも捕喰活動ができるような、そんな生態をしているのだ。
そう──かつての生物の中にも、動けないものや動きの遅いものはいくらでもいた。そしてそんな生物は動けない分、その代わりとなる何かしらの特異な能力を持っていた。
だが、しかし。
コクーンメイデンには、それがない。
「あのアバドンでさえも、アラガミとしては最も貧弱とはいえ……その体躯の半分ほどを占める大きな顎を持ち、そして浮遊して動くことができる。つまり、獲物を捕喰することができるんだ」
「……」
「でも、コクーンメイデンにはそれができない。喰うのがアラガミの本能──アラガミの存在意義であるはずなのに、存在意義を果たせない。そればかりか、それを補う代替手段さえも持ち合わせていない」
ゆえに、コクーンメイデンは歪なのだと榊は語る。
「待てよ……コクーンメイデンだってジェット噴射で動けるだろ? できるかできないかで言えば、移動できるってことじゃないのか?」
リンドウが発した、当然の疑問。
それを榊は、笑って否定した。
「あまりにも極端すぎると思わないかい? 移動手段として、あまりに非効率が過ぎると思わないかい?」
「……」
「生物の世界というのはね、究極的に合理的なのだよ。進化を繰り返し、どこまでも目的のために洗練化していくんだ。生物の生き方に、その姿形に……無駄なモノなんて、ひとつもない」
もし無駄に見えるようなものがあったとすれば、それは私たちがまだ理解できていないだけだ──と、榊は語る。
「ジェット噴射で移動する……なるほど、確かに長距離を高速で移動するにはもってこいだ。だけど、そんな移動をする必要があるのだろうか? 個体が捕喰活動をするうえにおいては、それではあまりにも小回りが利かなさすぎる」
例えば、コクーンメイデンがオラクル砲で獲物を仕留めたとして。今いる場所から仕留めた獲物の所に向かうのに、ジェット噴射で移動なんて出来るわけがない。おそらく移動を始めた瞬間に獲物を通り過ぎてしまうだろうし、細かい微調整も難しい。長距離移動ならそれなりに安定性も確保できるだろうが、短距離の細かい移動に向いているとはとても言い難いのは明白だ。
「あのカリギュラだって背中のブースターで移動することはあるが、それだけに頼るわけじゃない。四肢を使って大地を踏みしめている時間のほうがはるかに多いだろう。そっちの方がずっと便利だからだ」
そう……アラガミもあくまで生物であるとみなすならば。
脚もなく、翼もなく、動けない──ジェット噴射による移動しかできないコクーンメイデンは、明らかに歪であると言えるのだ。
「個体として大した強さがあるわけでもない。それに加えて、あまりにも極端すぎる移動方法。コクーンメイデンは明らかに一生物としてちぐはぐで、不可解なんだよ」
「……」
「コクーンメイデンは堕天種が多い──灼熱にも極寒にも高電圧にも適応できる。それだけの適応性があるのにもかかわらず、だ」
普通の生物──かつての生物であれば、長い年月をかけて、世代交代を何度も繰り返すことでその環境に適応することができる。言い換えると、そこまでしないと環境に適応できないわけだが、しかしアラガミはそんなことをせずとも、下手をすれば数日その環境下にいるだけで適応することができる。それこそがオラクル細胞の性質なのだから、ほかのアラガミよりもより高い適応性を示すコクーンメイデンが、発生してからずっとその姿形を変えていないのは明らかに不自然であると言えた。
「だけど」
「……うん?」
「だけどこれは、個体として見たときの話だ」
「……」
「もし、もしもだ。これが個体ではなく、
「……あ」
「実に……実に、理に適った生き物であると言わざるを得ない」
個体ではなく、群体。一つの生物ではなく、群れで一つの生物のように振舞う生き物。
すなわち、コクーンメイデン集合体──フラックメイデンである。
「コクーンメイデンは一個体として活動する生物として設計されていない。彼らは生き物ではなく、弾丸なのだ」
「……」
「動けない体なのではない。そもそも個体として動くという想定が間違っている──動く必要が無いんだ。単純に撃ち出すのに最も合理的なフォルムだから、余分な四肢なんて要らないんだよ。体内に潜める針も、身を護る武器ではない。弾丸としての威力を高めるためのオプションさ」
「……確かに、あの針って単体じゃ絶対意味無いよな。ちょっと離れれば当たらないし、接近戦用の武器にしては貧弱すぎる」
「……待ってください、まさかとは思いますが」
銃器に詳しい人間として、気づいてしまったのだろう。信じられないと言わんばかりの顔をしたシエルが、静かに声を上げた。
「コクーンメイデンの針を食らうとジャミング状態に……いいえ、知覚機能障害が引き起こされるのは、遠方からの撃ち合いにおいてそれがあまりにも致命的だからですか……?」
「……あっ!?」
ジャミング状態。一時的にレーダーが使えなくなってしまうという状態異常の一種。ただしこれは工学的なジャミングによる通信障害を引き起こすものではなく、神機使いの知覚機能障害を引き起こすことで、それと連動しているレーダーや測定器の類の不調を引き起こすというものだ。
「そうか……! あのフラックメイデンは明らかに遠距離での撃ち合いを想定したアラガミだ……! そんな中で感知能力が狂っちまったら、まともな射撃なんて出来るわけがない……! 同じロングレンジの撃ち合いなら、ほんのちょっぴりでも狙いがズレてくれるだけで十分だもんな……!」
例えば、5000mの距離の標的を狙撃するとして。狙いがわずか1°ズレただけでも単純計算で87mほど弾は横に逸れてしまう。銃口の1°のズレなんて普通だったら気づけるはずも無いし、なんなら銃撃の時の衝撃で充分に動き得るものだ。つまり、感知機能の乱れはそこまで大きなものを必要としない──自覚症状が要らないレベルのもので充分なのである。
「だから、コクーンメイデンのジャミングは普通に過ごす上なら全く気にならない……強化しまくったレーダーでもないと影響が出ないくらいに貧弱なのか……!」
「そ、それにキョウヤくん……改めて思ったんだけど、既に目の前にいる敵をジャミングにしても意味ないよね……。感知機能を狂わせても、文字通り目の前にいるんだもん……」
「
コクーンメイデンの形状に、あまりにも歪すぎる移動手段。加えて、今までまるで意味が無いと誰からも気にされていなかったジャミング能力。それらすべてが──フラックメイデン、あるいはコクーンメイデンが弾丸として設計された生き物であるという証左にほかならないのだ。
「……従来まで、コクーンメイデンの知覚機能障害がほんの少しでもデメリットとなる生物は我々人類しかいなかった。そうであるにも関わらず、彼らがそれを武器として選び、使い続けたのは……それが自分たちにとって、最も脅威的なことであったからなのだろうね」
自分たちにとって最も脅威的なことを武器に選択するのは、生物としては至極当然で自然な判断と言えるよ──と、榊は言葉を締めくくった。
「さて……ここからは、彼らがどうしてあれだけの高精度射撃ができたのか、ひいては彼らの生態の概要について語っていこうと思うのだが……小休止の時間を取ったほうが良いかな?」
「いや、気にせず続きを話してくれ。喉が渇いたってんなら、適当な飲み物でも買ってくるが」
「そうかい? じゃあ、遠慮なく」
トイレ休憩や水分補給のための退室は自由にしてもらって構わない──と声掛けをして、榊は再び語りだした。
「コクーンメイデンは生物として歪だと話したが、今まで私はそのことをそこまで気に留めていなかった。それは……コクーンメイデンに多くの堕天種が存在し、そして蛹の形をしていたからだ」
「……どう考えても、これから羽化するなり進化するなりして新しい成長した姿がでるって雰囲気だもんな。正直俺も、今日この日まであいつらが昔のままの姿でいたことが不思議なくらいだ」
「うむ。何かの講義でも話したが、コクーンメイデンにはさらなる進化の可能性があると思っていた。彼らはまだ不完全な状態というだけで、やがては進化して生物としてある程度完成した状態になると思っていた。今回の場合は……そんな進化が、最悪の条件とタイミングで起きてしまったのだと私は考える」
「……」
「……密集し、結果として表情と体色を変えた彼らを見て。私の中にある一つの考えが浮かんだ」
「──相変異、ですね」
榊の言葉を引き継いだのは、ラケルであった。
「感応種、相変異、そして群体として設計されたフラックメイデン……アラガミという生物においてこれ以上の
どうやら、ラケルは既に榊のその考えを見抜いたらしい。あるいは、そのキーワードだけで同じ答えにたどり着けたというべきか。
「加えて、今回は──
「うむ……その可能性が高いと私は思っている」
リンドウにじろりと睨みつけられたのに気付いたのか。あるいはジュリウスがどこか不安そうにラケルを見つめたのに気付いたのか。ともかく二人の博士は互いに一瞬だけ顔を見合わせ、そして榊は誰かに口を挟まれる前に語りだした。
「──今回は、コクーンメイデンに複数の変化が同時多発的に発生しているんだ」
「あん? そりゃ……赤い雨とか感応種とか、そういう話以外にもあるってことか?」
「うむ。その一つが、ルーくんによる影響だ」
「……」
「──アラガミは短期間で個体数が異常減少すると、急速に進化する場合がある」
「「あ゛っ……」」
いろんな人物が、それぞれの理由で声を漏らした。
「ルーのやつ……あいつ、コクーンメイデンばっか狙って喰ってやがった……!」
「巡回ルートを普通に回るだけじゃ見つからなくなるくらいに減ってた……! どこにでもいるはずのコクーンメイデンなのに!」
「ま、待ってよ……! 私、アラガミの事なんてよくわからないけれど……たかが個人がちょっと狩りすぎたくらいで進化なんてするのかしら……? こういうのって、大規模な環境変化が起きるくらいまでやらないと影響なんて出ないんじゃないの……?」
「あー……それについては、マジなんだよな」
レアの質問に、独り言をつぶやくかのように答えたのはリンドウだった。
「ちょっとばかり詳細は伏せさせてもらうが、三年前に
「え……」
「たしか二、三か月で三十体はいかないくらいだったと思うが。幸い、現れたのはその一体だけだったが……体色も違ったし、個体差の範疇の違いでないことは確かだ。アレは間違いなく進化した異常個体だよ」
「一応、件のハンニバルについては非公式扱いになっているけどね。……ルーくんはこの数か月で数千体以上のコクーンメイデンを捕喰している。コクーンメイデンの元々の数が多いとはいえ、その出現数にキミたちが違和感を覚えるほどだ。異常進化の条件は整っていたと判断するのが妥当だろう」
「俺らが知らないところでも喰ってるだろうし、数が異常減少したのは間違いないってか……」
「そのうえで──コクーンメイデンたちは、その大きな脅威から身を護るために群れるという選択を取った」
弱い生物が、強い生物から身を護るために群れをつくるというのは自然な話だ。群れであれば一人でするよりもより広い範囲を常に警戒することができるし、仮に襲われたとしても自分が標的にされる可能性は相対的に低くなる。数が多いというだけで外敵に対する威嚇になるし、協力することでより効率的な狩りだってできるようになる。
そう、自然界の生存戦略として、弱者が群れるというのは理に適った行動だ。コクーンメイデンも生物の一種である以上、そういった行動をとるのに不思議はない。
「……この、群れるという行為が我々にとってよろしくない事態を引き起こした。それが、コクーンメイデンに起きた二つ目の変化だ」
「どういうことだ? 群れたところでコクーンメイデンはコクーンメイデンだ。そりゃ、数が多いのは厄介だが一体一体は大したことないだろ」
「それが、そういうわけでもないんだ──それこそが、《相変異》と呼ばれる現象でね」
「……」
「具体的には、個体群密度によって姿形、習性が変化するという現象だ。かつての生物で言えば、昆虫……バッタでのそれが有名だったかな。通常時と言っていい《孤独相》に対し、個体群密度の上昇によって変化する《群生相》は……」
「──その全身が黒く変色し、非常に凶暴化します。
「なっ……!?」
群生相のバッタによる被害──すなわち、蝗害。手のひら以下の大きさであるはずのその虫が空いっぱいに広がり、ギチギチと不快な音を立てる霧として襲来するという天災。植物性のものであればなんでも──作物も、家も、服も、何もかもを喰い漁り、大量の卵を産み付けてさらに増えていくという文字通りの悪夢。
「少し歴史のお勉強をすれば、その被害がどれほどのものであったのかはすぐにわかると思います……。黙示録にもその描写があるくらいですし、人類は遥か昔からこれに悩まされていたと言ってもいいでしょう」
「おいおいおい……そんなヤバいのが昔にもいたってのも驚きだが……! ありとあらゆるものを喰い尽くす災害ってのは……!」
「まさしく、アラガミの習性そのものとも言えるね。そういう意味では、コクーンメイデンに起きたこの変化は必然だったのかもしれない」
アラガミでも何でもない、かつての生物でさえ相変異が起きればすべてを喰らい尽くす化け物に変貌したのだ。元々そういう生き物であるアラガミが相変異しない理由なんてあるはずもなく、そして相変異が起きてしまえば、より凄惨で悲惨な状況になるのは疑いようがない。
「コクーンメイデンは群れることで相変異を起こし、群生相となった。群生相となったコクーンメイデンはさらに凶暴化し、異常なまでの攻撃力を身に着けた。表情や体色が変わっていることから、相変異が起きたというのはほぼ間違いないだろう──かつてないほどの射程を誇る、超高威力の砲撃は……この相変異によって引き起こされたものだ」
これが、コクーンメイデンに起きた二つ目の変化。
次に続くのは。
「……これに、黒蛛病と赤い雨が関わってくる」
黒蛛病と赤い雨。昨今になってこの極東地域でも観測されるようになった未知の現象。赤い雨に触れることで発生する黒蛛病は、発症したが最後死亡率100%の恐ろしい病気だ。今の所治療方法は確立されておらず、風邪によく似た諸症状から始まり、病気が進行するにつれて黒い蜘蛛によく似た痣が全身に広がっていくという特徴がある。
「おそらくだが、コクーンメイデンは元々女王を頂点とした群れをつくるアラガミなのだと思われる。繭を作る生物……アリやハチは、まさしくそういう生き物だったから。また、これらは社会性昆虫と言うのだが、個の意識が極端に薄く、群れが一つの生物のように振る舞うという特性も持っていた。これもまた広義での群体と言えよう……つまり、フラックメイデンとほとんど同じ生態をしているわけだ」
生物としての習性で群体を作る。
そのうえで、アラガミというのは元々が群体だ。
つまり、群体という生存戦略は、アラガミとしての特性と非常に合致している──アラガミの特徴そのものと表現することさえできる。群体で作られた個が、個を元にした群体としてさらに大きな個を作るという……いわば群体を作ったうえでさらに群体を作るという、本来の在り方を繰り返しているだけとも言えるのだ。
「そして、群体として生きる生物に必要不可欠なのがその司令塔となる存在だ。かつての生物で言えば女王ハチや女王アリ、アラガミで言えばそのコアで……今回のフラックメイデンという群体で言えば、コクーンメイデン感応種がそれにあたる」
「……理屈はわかったけどよ。赤い雨と黒蛛病の話はどうなった? 俺の頭じゃ、群れのボスがいるってことを繰り返したようにしか聞こえなかったんだが」
「……理屈は通っているのに、どうして今までフラックメイデンは現れなかったのだろう?」
「……」
「コクーンメイデンは元々そういう生き物だ。群れとして生きることで初めてその生物的スペックを十全に活かせるような体の仕組みをしている。であれば、当然その本能に従い群れるように動くはず。単独で生きる意味がない。なのに今日まで、フラックメイデンは確認されなかった」
コクーンメイデンはアラガミが発生した当初から存在するアラガミだ。つまり、二十年以上も前からその存在が確認されているのに、今までに一度たりともその本来の姿になることが出来ていない。それはあまりに不自然と言うべきだろう。
「アラガミはオラクル細胞、すなわち単細胞生物の集まりで群体だ。アラガミという生物はそのすべてが群体で、それ自体が数万、数十万の生物の集まりだ。であれば、アラガミとして存在している以上、コクーンメイデンもまた群体になることはできるはず。それができなかったのは……」
「司令塔となるボスがいなかったから、か? でも二十年も現れなかったってのは考えにくいが……」
「司令塔と成り得る進化をした個体はいたのだろう。単純に、能力が足りなかった──制御しきれなかっただけだと思う」
元々が大して強くも無いアラガミだ。ちょっと群れたところでほかのアラガミに喰い荒らされる可能性は高く、そもそも群れをつくるところまでたどり着けない可能性すらある。また、仮にほかのアラガミにとって十分に脅威と成り得るほどの規模の群れを作れたとしても……司令塔自身の影響力が弱ければ、群れは瓦解してしまう。
「あー……まぁ、所詮はどこまで行ってもコクーンメイデンだもんなあ。下手に目立つ分、狙われやすくもなるだろうし……わからなくはない、か」
「ですが……フラックメイデンは群れとして成立している。ほかのコクーンメイデンにない何かがあるということでしょうか?」
「ここで関わってくるのが、感応種だ──おっと、赤い雨と黒蛛病の話はもう少し後で出てくるからね」
「……」
「知っての通り、感応種は特異な偏食場パルスを展開することで、周囲のアラガミをその支配下に置くことができる。感応波をもってアラガミを制御できると言い換えても良い。コクーンメイデンは感応種として強力な感応波の制御ができるようになったことで、ようやくフラックメイデンという群れを統率することが可能となり、本来の姿を取り戻せたのだろう。実際、かなりノイズが激しくて不明瞭ではあるのだが……」
「うん?」
「あのフラックメイデンの中心部に、感応種特有の非常に強力な偏食場パルスが確認された。そして……」
「そして?」
「──その偏食場パルスは、ジュリウスくんの《統制》に非常によく似た波形パターンとなっていた」
・「コクーンメイデンにはさらなる進化の可能性がある」って榊博士がどこかで言ってた気がするんですけど、元ネタがみつからない……。
・リンドウさんが狩ったハンニバルの数&その期間は独自解釈です。月の緑化(シオちゃんとの別れ)からGEBシナリオが始まるまでの期間なので、まぁそれくらいかなって……。
Q.コクーンメイデンはなんで全体的にあんなにわけのわからない生態をしているんですか? ジャミングとか明らかに意味が無いのでは?
A.個体ではなく、群体で生きる生物であるからです。
この物語の序盤からしばしば「コクーンメイデンのジャミングは意味がない」、「アンチジャミング剤なんて誰も使わない」……などなど、まるでコクーンメイデンをディスっているかのような表現が頻出していましたが、すべてはこの時のための布石でした。一応弁明させていただきますが、こうしてラスボスとして活躍させたくなる程度には私はコクーンメイデンが大好きです。
GE未プレイの方には申し訳ありませんが、コクーンメイデンに対する公式設定と独自解釈(創作)がかなり入り乱れています。基本的にコクーンメイデンの公式設定は以下のみとなりますので、それ以外で矛盾があったらそっと見逃してください……!
・サナギのような形状をしている。
・原則的に動けない。ただし、ジェット噴射で水中を移動していると推測される。
・遠距離攻撃としてオラクル弾を撃ってくる。
・近距離攻撃として針で刺してくる。針の攻撃を食らうとジャミング状態になる。