【到来】 届くこと。到着。機会、機運や時期が来ること。
「おつかれ、ルーちゃん!」
ウチの娘がいつの間にやら廃人レベルの実力を身に着けていた件について。
なんかいきなりスサノオに飛び込んで行って、なんかヤバくねって思ったりした。いくらなんでも、神機使い殺しと名高いスサノオには敵うはずないんじゃねって内心めっちゃ焦ったりもしていた。
だけどまさか……ふたを開けてみれば、ウチの娘ってば普通にスサノオをおちょくって、しかもあろうことかラストリベンジャーでスサノオを叩きのめしたという……。
「うーん! やっぱりルーちゃんは強いなあ! 私が一体倒す間に、ほかの全部やっつけちゃうんだもん!」
「こいつ、改めて考えると……マジに化け物染みてる強さだよな。あの時不意打ちさえ食らわなければ、それでもう片付いていたんじゃないか……?」
うん、私ってば、スサノオと戦うチハルちゃんを見てめっちゃ焦っていたのよ。でもほかの六体を放っておくわけにもいかないし、チハルちゃんを気にしつつもちょっぱやでサクッと全力でぶっ殺そうと頑張っていたのよ。
私が片づけるまで何とか耐えてちょうだい、あとキョウヤもぽかんとしていないで加勢しろ……ってハラハラしているうちに、チハルちゃんってばスサノオ倒しちゃったんだよね……。というか、微妙にチハルちゃんのほうが討伐タイムが早かったような気がしなくもない。だいぶハンデありだったとはいえ、なんか微妙にショックを受けないこともなかったり。
というかさ。
ラストリベンジャーを実戦で使えるレベルってどういうことよ……!? この私でさえ、その領域に達するのにそれなりの時間を要したんだよ……!? ウロヴォロス道場に何度も通ってようやく覚えて、そのあともウロヴォロス師匠を何度も倒してタイミングをつかんだりとかしてさぁ……!
いやはや、あの時はマジでウロヴォロス師匠にはお世話になったっていう。でも正直、ある程度コツをつかんだらさっさと仮想敵と戦ったほうが練習になるんだよね……。ウロヴォロス師匠の場合、慣れてくると攻撃が単調すぎて練習にならないというか……。
「綺麗にコアだけ抉り取ってやがるな……何気にこいつ、マジでヤバいときはその辺の分別あるんだよな。普段はかなりつまみ食いするのに」
「ルーちゃんは賢いからね!」
でもまあ、冷静に考えるとそこまで不思議な話でもないのか……? ネットとかのやべーやつらはそれくらいできて当然というか、ラストリベンジャーもジャスガも基本技能みたいなところがあったからな……。難易度+99の鬼畜ミッションでパフェ取ってるやつもいたし、そう考えると、リアル(?)でヴァジュラを新人の登竜門扱いしている極東所属の神機使いなら、ラストリベンジャーくらいはできて当然って言えるのか……? むしろ、それくらいできなきゃ極東じゃやっていけないのか……?
「……あと、さ」
「……うん」
ま、シナリオ終盤って考えれば黒BAを使えていておかしくないか。ゲームのプレイヤーはともかく、現実の神機使いの皆さんはよほどの例外を除き別の神機を使うことなんてないし、自然とやりこむ形になるからね。一つの神機だけを文字通り死ぬ気で使いこんでいたなら、黒BAを覚えるのもそこまで難しくはなかったはず……使いこなせるかどうかは別問題だけれども。
──ルゥゥ!
「わ」
きっと、たくさんたくさん練習したんだろうな。さすがは私の自慢の娘っていう。ママはとっても誇らしいわ! もう、食べちゃいたいくらい!
「もぉ……! 甘えん坊なんだから!」
「つくづく大物だよな、こいつ。あと──」
さて。
それはそれとして。
「──どう見てもこいつ、神機兵操ってるよな……?」
なんかカリギュラ&ルフス・カリギュラが暴走神機兵(蒼)と戦ってたのよね。で、微妙に苦戦しているっぽい感じがしていたから、例の六体のアラガミと戦いつつ、こっちも神機兵を操って対応していたんだよね。
いやはや、自分自身で戦いつつ、チハルちゃんの戦いにも注意しつつ、かつ神機兵も操作して……ってなかなか大変でしたわよ。たとえるなら、PSPでゲームしながらパソコンで動画を見つつ、スマホでソシャゲのイベントを周回しているみたいな感じ。もちろん、私の意識の999%はチハルちゃんに向けていたから、決して万が一なんて起こりようがなかったけれども。
「ルーちゃんが来てから……神機兵、めっちゃ強くなってたもんね……」
「だな……アレはマジに、感応現象で動きを察知してたんだろ。そうじゃなきゃ、あの化け物みたいな二体を相手にするなんてできねえよ」
ちげえっていう。
アレはマジもんのプレイヤースキルだっていう。
うん、割とマジに冗談抜きに、感覚としてはプレイヤーとして操作している感じに近かった。【神機兵を操作する】……って、GEプレイヤーなら一度はやってみたいと夢見たことだろう。特にGE2発売前は、そういうことができるんじゃねってみんなでワクワクしながら話したものだ。実際は、ある意味予想通り(?)暴走して敵になっちゃったけどさ。
ともかく、私個人としては神機兵を操作できて大変満足。なぜか剣も銃も持っていないワイルドストロングスタイルだったから、ちょっと別ゲーみたいな感じはしたけれども……こういうのは、たとえ武器種が変わったとしても、相手の動きさえ把握していればだいたいなんとかなる。ちょっと慣れてしまえば、新たな武器種で戦っているみたいでなかなか楽しかったといえよう。
たかがカリギュラとルフス・カリギュラの同時討伐くらい、ソロでどうとでもできるのが我々プレイヤーだ。これに比べたら、無印のピルグリムのほうがよっぽどヤバい。たかがコンゴウであったとしても、狭所で袋たたきにされるとマジでどうしようもないからなあ……。
「やっぱこの暴走神機兵、理由はわからんがルーの影響を受けているよな」
「だね。電気を使うのも、アラガミを食い漁るのも……吠えるのも、四足歩行するのも全部ルーちゃんと一緒だもん。……でも、これで」
「──こいつも安全だ。暴走しちゃいるが、俺たちを襲うことはない……はず」
ともあれ、ここいらにいるアラガミはほぼ一掃した。そして蒼い暴走神機兵も、信頼できる戦力であるとチハルちゃんたちが認識することができた。あとよくわからんけど、チハルちゃんがめっちゃ強くなっている。
ここまでくれば──あとはもう、全力でカチコミに行けば”勝ち”なのでは?
「あとさ、ルー……さっきから、微妙にタイミングを逃して聞けなかったんだが」
「うん……私もずっと、気になってたんだけど」
おん? どした? トイレか? 残念だけど、私の足を使っても近くにはトイレはないと思うぞ?
「お前……なんで、寄生体を引き連れているんだ?」
……えっ?
「おいおいおい……なんだよその顔は。まさか、気づいてなかったのか……?」
「ルーちゃん、神機兵も操ってたよね……? それと同じ感じで、アラガミも操ってるってことじゃないの……?」
待って。
ねえ、ちょっと待って。
そんなの初耳ですわよ? どこ情報? 第一、私のビリビリパワーのユーバーセンス(仮)にアラガミ反応なんて引っかかってない。感じるのはせいぜい暴走神機兵みたいなよくわからん気配くらい……あれっ? なんか多くね?
「おい……お前、マジで気づいてなかったのか? ほら、後ろだよ。さっきからずっと、後ろでおとなしくしてる連中がいるけど……あれ、お前がやってんだろ?」
──うっそぉ。
キョウヤに言われて後ろを振り返ってみれば──アラガミじゃねえか! なんかコクーンメイデンがブッ刺さったアラガミがいっぱいいるじゃねえか! ヴァジュラ、クアドリガ、グボロ・グボロ、ウコンバサラ……アラガミのアソートパックができるくらいにいっぱいいるじゃねえか!
しかも!
しかもしかもしかも!
──……。
──……。
「お……なんだ、やっぱお前が操ってるんじゃねえか」
「どーしたんだろ……? 操るにしても、こんなにいっぱい引き連れる必要なんてある……? あっ、もしかして非常食のつもりなのかな?」
操れるじゃん! これ、神機兵と同じノリで操れるじゃん!!
ええ……なにこれ怖っ……。
……ごめん、やっぱ嘘。アラガミ操れるとかちょう楽しい。実際にやりはしないけれど、サリエルでレーザーを撃つのも、ガルムで火球を飛ばすのも問題なくできる……って、感覚でわかる。うまく言葉で言えないけれど……何かこう、こいつらも神機兵と同じように繋がっているってのが本能でわかる。
……なにこれ? これも感応現象なの? というかこいつら、本当にアラガミか? アラガミにしては随分とおとなしいというか、そもそもどうして私の支配下にあるんだ? そんなシステムあったっけ? 私が知らないだけで、ソシャゲとかモバイルのやつではそういうことができたりしたの……?
「……なんか、マジで困惑してない?」
「……してるかも」
うん、それ正解。
さすが私も、これには予想外。アラガミを操るアラガミなんて……アッ、よく考えればそこまで不思議はないのか? イェン・ツィーはチョウ・ワンを操っているし、マルドゥークもそれっぽいことしていた気がする。となれば、原理はともかく不可能ではない……ってことだよね?
「ねえ、ルーちゃん」
はいはい、なんでしょう?
「出来たらでいいの。もしルーちゃんがアラガミを操れるなら」
ふむん?
「……そのアラガミも、新たな戦力としてみんなの応援に──」
『──
「「はいィッ!!」」
突如として、通信機から聞こえてきた声。
チハルちゃんとキョウヤの背筋が、一瞬にしてピンと伸びた。
──せっかくなので、私の背筋もピンと伸ばしておいた。
『俺の命は長くない……だとか』
キョウヤがめっちゃ冷や汗かいている。
『最期まで一緒が良い……だとか』
チハルちゃんの目がめっちゃ泳いでいる。
『──随分と情けない
間違いない。この通信相手──めちゃくちゃにブチ切れている。
『……私の聞き間違いだよな? 通信不良のせい……だよな?』
「「はいィッ!!」」
通信機越しでもわかる、すっげー威圧感。チハルちゃんもキョウヤも、無意識で姿勢を正すほどの圧倒的な存在感。
そして、この何とも言えないお姉さまっぽい声は。
もしかして……いいや、もしかしなくとも。
「ツバキ先生……!?」
「も、戻ってらしたんですか……!?」
フェンリルが誇る鬼教官。とても先生っぽい恰好をしているとは思えない先生ランキングの不動のNo1。とても色っぽくてスタイル抜群なおねーさま──あるいは、リンドウさんの姉上であるその人は。
紛れもなく、雨宮ツバキさん。我々プレイヤーにとっても先生となる、ある意味じゃ一番お世話になったと言えないこともないお方だ。
『ふふ……教え子が不甲斐ない姿を晒しているとあってはな。教官として、再指導しないわけにもいくまい?』
「「ひッ……!?」」
おっかねーんだ、この人。あとけっこースパルタな感じもするんだ、この人。だからチハルちゃんたちがこんな反応をするのも頷ける……けど、その裏にはちゃんと優しさもあって良い人なんだよ。
けど……GE2には登場しなかったような? いや、DLCでオペレータとして使えるようになってたはず。でも、それ以外にはマジで登場してなくて、データベースとかでちょいちょい名前を見るくらいだった気がする。
でも、たしか。
この時期のツバキさんって……?
『一番最初に教えたよな? つまらないことで死にたくなければ、私の命令には──』
「「──全てYESで答えろ!」」
『──その通り。そうしている限り──絶対に、死なせはしない。そして私は、あんな戯言を言えなんて言う命令はしていない……わかるな?』
「し、しっかり聞いてんじゃねえか……!」
「う、うう……な、なんか恥ずかしい……!」
『──さて』
チハルちゃんたちの言葉を遮って、ツバキさんは淡々と告げた。
『気づいているかわからないが、通信はある程度復旧している。こちらもまだ詳細は把握していないが……ともあれ、なんとか
「へ? 間に合ったって、何が……」
『──【疾風迅雷】に参加している8組16人の神機使い。および、およそ500体の蒼い神機兵。そして──』
『
いろんなブラッドアーツがあって、どれも違った楽しみがあるしお気に入りとかも当然ありましたけれども。
ヴィーナス狩りに墓石担いでIE速射をした神機使いが一番多かったと思います。