【疾風迅雷:結果報告書】
本報告書は、2074年10月に発行されたミッション(疾風迅雷/ミッションコード:7410NS064)の結果について報告するものである。
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◆目次◆
【概要】
◇対象ミッション
◇ミッションコード
◇ミッション開始日
◇ミッション参加者
◇ミッション目的
◇ミッション結果
【経緯】
◇ミッション発行
◇作戦行動中
◇神機兵の投入
◇神機兵の暴走
◇応援の到着
◇ティターニアの討伐
◇ミッション完了
【終末捕喰について】
【蒼い雷に関わる一連の現象について】
◇リンク能力
◇蒼い雷
◇神機使い同士のリンク現象
◇コクーンメイデン寄生体のクラッキング
◇神機兵の変質
【蒼い神機兵について】
【黒蛛病の特効薬について】
【ロミオ・レオーニの《血の力》について】
【応援に来た神機使いらの処分について】
【フェンリル極致化技術開発局開発局長らの処分について】
【関連書類・関連ミッション等】
◆本文◆
【概要】
◇対象ミッション
疾風迅雷
◇ミッションコード
7410NS064
◇ミッション開始日
2074年10月21日
◇ミッション参加者
・雨宮ペア(配置:東)
雨宮リンドウ(少尉/クレイドル)
ソーマ・シックザール(少尉/クレイドル)
・藤木ペア(配置:北)
藤木コウタ(少尉/クレイドルおよび第一部隊/第一部隊隊長)
アリサ・イリーニチナ・アミエーラ(少尉/クレイドル)
・真壁ペア:(配置:西北西)
真壁ハルオミ(少尉/第四部隊/第四部隊隊長)
台場カノン(上等兵/第四部隊)
・片桐ペア(配置:南)
片桐キョウヤ(上等兵)
桜田チハル(上等兵)
・シュトラスブルクペア(配置:西南西)
エミール・フォン・シュトラスブルク(上等兵/第一部隊)
エリナ・デア=フォーゲルヴァイデ(上等兵/第一部隊)
・ヴィスコンティペア(配置:西)
ジュリウス・ヴィスコンティ(大尉/ブラッド/隊長)
ロミオ・レオーニ(上等兵/ブラッド)
・神威ペア(配置:北北東)
神威ヒロ(上等兵/ブラッド/副隊長)
シエル・アランソン(上等兵/ブラッド)
・マクレインペア(配置:南南西)
ギルバート・マクレイン(曹長/ブラッド)
香月ナナ(上等兵/ブラッド)
◇ミッション目的
ティターニアの討伐。
◇ミッション結果
成功。ティターニアを討伐。死者、重傷者無し。
【経緯】
◇ミッション発行
2074年の9月にその存在が確認されたコクーンメイデン感応種のティターニア、およびコクーンメイデン集合体であるフラックメイデンについて、彼らが自身を特異点化し、終末捕喰を引き起こす可能性が懸念されていた。極東支部ではティターニアの出現以降、常に終末捕喰の反応の観測を行っていたが、2074年10月20日に終末捕喰反応が危険域を突破。終末捕喰を止めるため、感応種に対抗できる神機使い16名を必須参加者とした指名制の討伐ミッションとして7410NS064が2074年10月21日に発行。8組16名の神機使いがティターニア討伐に派遣された。
ミッション発行時点で、ティターニア出現地点の半径10kmにわたり数千体にも及ぶコクーンメイデン寄生体の反応があることが確認されており、またフラックメイデンからの遠距離砲撃による妨害が推測されていた。多方面からの同時攻撃を行うことでティターニアの情報処理リソースが不足し、砲撃精度、頻度が落ちることが事前調査により判明していたため、8組の神機使いはそれぞれ別方向からティターニアを目指すこととなった。また、後援部隊として約500体の神機兵が、ティターニア出現地点の半径30km地点にほぼ等間隔に配備されることとなった。
なお、戦力不足および本人の強い希望があったため、黒蛛病末期症状が出ている片桐キョウヤ上等兵も特例的に本ミッションへの参加が許可された。
◇作戦行動中
0940頃、派遣された8組16名の神機使いがティターニアより約20km離れたそれぞれの作戦開始ポイントに到着。1000頃、ティターニアへ向かって進行を開始した。当初の想定では、ティターニアからの反撃、すなわちフラックメイデンによる砲撃やコクーンメイデン寄生体による妨害はティターニアの概ね10km圏内から開始されるものだと考えられていたが、実際は15km圏内より発生。神機使いらのアラガミ討伐ペースは当初想定の3.5倍以上であったが、一方で進行ペースは想定の40%程度、携行品の消費も含めた消耗率は60%を超過。作戦開始から50分経過時点で、作戦継続または撤退の判断を迫られる状況となった。
◇神機兵の投入
1100頃、状況を重く受け止めた作戦本部は、戦況を打開するために当初予定していなかった神機兵約500体の投入を決定。グレゴリー・ド・グレムスロワ局長の承認の下、九条ソウヘイらの主導による無人神機兵のオペレーションが始まり、神機兵は待機モードから自立制御モードにおける強襲シークエンスへ移行した。
1120頃、神機使いらが戦う最前線へと神機兵が到着。最前線に到着した神機兵は驚異的な速さでアラガミの討伐を遂行しつつティターニアへの進行を開始。フラックメイデンによる砲撃も難なく回避し、神機使いの安全確保として先行展開することとなった。
1150頃、ほとんど損傷が無いまま最初の神機兵がティターニアの10km圏内に到達した。
◇神機兵の暴走
神機兵は順調にティターニアへ接近していたものの、寄生体の減少に伴いティターニアの情報処理リソースが増加した影響で、残存する寄生体がより強力な個体となった。神機兵によるアラガミ討伐ペースおよび進行ペースは目に見えて悪化し始め、ティターニアに近い個体から戦闘継続が不可能になるほど破壊されるものが出始めた。
1210頃、ティターニア優勢の中、片桐ペアはティターニアまで残り9kmの地点に到達。四体のコンゴウ寄生体に行く手を阻まれたほか、戦闘エリア近辺にて急速な赤乱雲が発生が確認された。先行展開していた神機兵は破壊された状態であり、作戦続行が困難な状況に陥ったが、片桐ペアは戦闘の継続を決断。この時、蒼い雷が発生し、それを受けた神機兵の装甲が蒼く変質した。神機兵の欠損していた各部位は急速に再生し、顎や牙などの捕喰器官をも形成。その後、蒼い神機兵は咆哮を上げながら片桐ペアを襲ったコンゴウ寄生体を襲撃し、コンゴウ寄生体を捕喰した。
蒼い神機兵は制御を受け付けない、いわゆる暴走状態となっていたが、神機使いを襲う様子は見せず、またアラガミを捕喰しながらティターニアへ接近する挙動が見られたため、片桐ペアは蒼い神機兵と同行する形で作戦続行を判断した。この神機兵の暴走現象はほぼすべての神機兵に対して同時多発的に発生したほか、この時点で極東エリア一帯の通信状況が悪化し、作戦本部と神機使いらの通信は不可となった。また、極東エリア全域にて蒼い雷が観測されるようになった。
◇応援の到着
1220頃、アナグラに落雷が発生。瞬間的な停電からシステムが復旧した後、アナグラ内訓練室にてアラガミ反応が確認された。アナグラにて待機命令を受けていた榎本ケイイチ、松宮レイナらを護衛とし、ペイラー・榊およびレア・クラウディウスらが訓練室に確認に赴いたところ、休眠状態であったルーの蛹が活性状態になっていることを発見。その後、ペイラー・榊らの目の前でルーが蛹の中から姿を現し、復活を遂げた。復活した直後のルーは中型犬程度の体躯であったが、餌となるオラクル塊を投与したところ驚異的なペースで成長したため、ペイラー・榊の判断により、ルーをティターニア討伐のための増援として作戦エリアに向かわせることになった。
1255頃、ティターニアまで残り7kmの地点にいた片桐ペアとルーが合流。この時点で、ルーの体格は完全に以前の状態へ戻っており、またルーはハッキング能力とリンク能力により寄生体を操ることを可能としていた。ルーおよびルーの支配下にある数十体の寄生体と合流した片桐ペアは、そのままティターニアへの進行を再開した。
ほぼ同じころ、ペイラー・榊の事前の呼びかけに応じた他支部の神機使いらが極東エリアに到着。応援として本作戦へ緊急参加し、各々の判断の下に戦闘活動および支援活動を行った。
この頃から、【蒼い雷を神機使いが念じた任意の場所に落とせる】、【応援に来た神機使いがブラッドアーツを使えるようになる】、【神機使いおよび神機使いに物理的接触をした人間同士で感応現象による距離を無視した情報伝達ができる】、【神機使い同士による神機開放状態、射出オラクル、オラクル活性状態の共有】といったルーの蒼い雷に起因する様々な現象が確認されるようになった。
◇ティターニアの討伐
1415頃、8組の神機使いとルー、および応援に来た一部の神機使いがティターニアの前で合流。この時点でフラックメイデンは暴走した蒼い神機兵およびルーの支配下におかれた数百体以上の寄生体に群がられており、すでにその体表も見えない状態となっていた。その後、体を構成するコクーンメイデンを喰われ続けた影響でフラックメイデンは倒壊。内部からティターニアが姿を現した。出現したティターニアは自力での移動がほぼ不可能な状態であり、反撃手段もほぼ持っていなかったため、寄生体に生きたまま体を貪られることとなった。ティターニアは飛翔して逃げようとするも、ルーがこれを阻止。そのままルーによって捕喰され、ティターニアは完全に消滅した。
◇ミッション完了
ティターニア討伐後、片桐キョウヤの黒蛛病が深刻化。片桐キョウヤは吐血し立ち上がることさえ困難な状況に陥るも、ルーの唾液が黒蛛病の特効薬になることが判明。桜田チハルらの協力による経口摂取、および肌への塗擦を行った結果、黒蛛病の紋様はほぼ消失し、極めて驚異的な速さで病状が寛解した。
また、ティターニアの討伐と同時に終末捕喰の反応がルーに移っていることが確認された。終末捕喰の反応は臨界点を超えており、理論上終末捕喰が発生している状態であったが、ルーの様子に目立った変化は起きていなかったため、榊博士らはルーによるヒトを襲わない制御された終末捕喰が実行されているものと判断した。
1530頃、ティターニアの完全消滅および終末捕喰による人類滅亡のリスクの消失、また付近の顕著なアラガミ反応の消失が確認されたため、これを以てミッション完了と判断。8組16人の神機使いおよび応援の神機使いらは同日の1720頃にアナグラに帰投した。
【終末捕喰について】
ティターニアより観測されていた終末捕喰の反応は、捕喰行為を通してルーに移行していることが確認された。ルーの行動に変化は全く見られないものの、終末捕喰の反応は臨界点を超えているため、理屈上は今現在も終末捕喰が発生している状態とみなすことができる。すなわち、【ルーは終末捕喰をしている最中であるが、アラガミだけを選り好みして食べている】状態であると推測される。これはルーのオラクル細胞の【ヒトを絶対に襲わない】という特異な性質に起因していると思われるが、終末捕喰を発動しているのにも関わらずルーの行動や形態に変化が見られない理由については、ペイラー・榊およびラケル・クラウディウスの両名共に現在のところ不明であるとの見解を示している。
終末捕喰の反応は臨界点を超えているものの非常に安定的な状態であるため、この状態が維持される限りは終末捕喰による被害が発生する可能性は非常に低い。今後も観測を続ける必要はあるものの、事実上の封じ込めに成功したとペイラー・榊およびラケル・クラウディウスの両名は見解を示している。
【蒼い雷に関わる一連の現象について】
本作戦中において発生した一連の不可思議な現象のほとんどすべては、ルーの雷を司る能力およびコクーンメイデンを捕喰することによって獲得したリンク能力によって説明することができると考えられている。詳細については以下の通り。なお、ここに記載した情報はあくまで現時点の調査結果をまとめたものであり、今後の調査結果次第では見解が変わり得ることに注意されたし。
◇リンク能力
もともとはコクーンメイデン神属のアラガミが有している、感応波によってお互いの意思疎通、コミュニケーションを行う能力であるが、ルーの雷を司る能力と組み合わさることで、感応波と電気(電波)の両方の性質を兼ね備えたリンク能力となった。リンク能力の範囲は概ねジャミング領域の展開範囲と合致し、リンク能力の発動範囲内にはルーに起因するオラクル的かつ電気的信号が満ちるほか、蒼い雷が発生することが分かっている。
◇蒼い雷
ルーの雷を司る能力に起因していると想定される蒼い雷。リンク能力によってルーと繋がった神機使いは、リンクを通じてルーの発する蒼い雷を任意の場所に発生させることが可能となる。原理的にはティターニアの砲撃と同じであり、神機使いという中継器が観測した箇所にルーが雷を落とす形となっているが、ティターニアとは異なり、蒼い雷を落とすかどうかの決定権はあくまでルーではなく神機使い側にあると考えられている。その仕組み上、リンク能力の範囲外では発生させることはできない。
◇神機使い同士のリンク現象
リンク能力によってつながった神機使い同士は、感応波を通じて距離を無視した意志のやり取りが可能となる。実際にこの現象を体験した神機使いは【頭の中に声が響くような感じ】と表現しており、広義におけるテレパシーとほぼ同じことが可能となる。ラケル・クラウディウスはこの現象を大脳におけるニューロンとシナプスの関係に例えており、リンク能力範囲内に満ちたルーに起因するオラクル的かつ電磁的信号をシナプス、神機使いをニューロンとして意志のやり取りをしていると類推している。
この情報のやり取りは電気的性質も備えているため、感応波の感知ができない非神機使いであっても、感応波による情報を脳で電気信号に変換する変換機かつ増幅器役となる神機使いと物理的接触をすることで、神機使いと同様に意志のやり取りが可能となることが確認されている。
また、リンクを通じて他者の神機開放状態に共鳴してリンク中の全員が神機開放状態になることが可能であるほか、遠隔送電と同じような仕組みでリンク中の神機使い全員がバレット用の射出オラクルを際限なく共有できることもわかっている。
さらに、リンク能力範囲内にブラッドアーツ取得者あるいは《喚起》の能力者がいる場合、リンクを通じてブラッドアーツが使えるようになるケースも確認されている。これによって取得したブラッドアーツは、リンク能力が解除された後も永続的に使用可能であることが確認された。対感応種の戦力確保のため、リンク能力によるブラッドアーツ取得者を増やす方向での調整が進められている。
◇コクーンメイデン寄生体のクラッキング
ティターニアはフラックメイデン(飛翔体)を適当なアラガミに撃ち込むことでコクーンメイデン寄生体を生み出す。コクーンメイデンに寄生されたアラガミはコクーンメイデンの命令によって動く操り人形となる。この寄生体はコクーンメイデンのリンク能力により、コクーンメイデンがアンテナとなってティターニアが操ることとなるが、ルーが新たに獲得したリンク能力と元来有していた感応能力が組み合わさることで生まれたハッキング能力により、この操作権をクラッキングして奪い取れることが確認された。本作戦にて観測された限りでは、クラッキングによってルーに逆支配された寄生体の操作権が奪い返されるようなことは起きず、またクラッキングによって操れる寄生体の数に明確な上限は確認されなかった。これはルーの知能が非常に発達していることに起因していると考えられ、同時操作数が増えれば増えるほど操作精度も落ちることが推測されるが、再現確認を取ることは難しいため、現在のところその上限がどれほどのものであるのかは不明である。
◇神機兵の変質
神機兵が蒼い雷に触れると、体表の装甲が蒼色のオラクル結晶状に変質し、その機能および性能が著しく変化する。この変化は永続的であり、一度蒼く変質した神機兵をもとの状態に戻す手法は今のところ見つかっていない。蒼い神機兵の詳細については後述する。
【蒼い神機兵について】
蒼い雷を受けることで体表の装甲が蒼色のオラクル結晶状に変質し、全身がルー由来のオラクル細胞に浸喰されて半アラガミ化した神機兵。アラガミ化した影響でオラクル細胞の急速増殖が可能となっており、欠損した部位を再生させることが可能となった。また、単純な躯体強度や出力も大幅に上昇し、武器がない徒手空拳の状態であっても従来の神機兵のおよそ十体分以上の戦闘能力を有することが確認されている。ルー由来と思われる蒼い電撃やオラクル砲を扱えるが、その最大の特徴は元の神機兵には存在していなかった顎や牙といった捕喰器官を有することであり、単純なアラガミの殲滅よりも、アラガミを貪り食らうことを優先する挙動を示すことが多い。
こちらからの制御を受け付けないという意味では暴走状態にあるが、あくまで機械的な(強制的な)制御ができないだけで、行動に対するある程度の指向性を与えることは可能。また、直接的な操作はできなくともその状態の監視(モニタリング)は従来の神機兵と同じように可能である。蒼い神機兵は未知のネットワークを構築して神機兵同士でリンクしていることがわかっているため、技術班による解析が進めば、従来の神機兵と同じように制御できる可能性があることが示唆されている。
蒼い神機兵もルーのハッキング能力によって操作されるものであり、またルーの嗜好性の影響を受けたためか、人型をしていながらも四足走行を試みる場面が多く確認されている。また、内蔵オラクルバッテリーがアラガミ化の影響で一部変質しており、生物で言うところの胃や腸のような機能、すなわち捕喰したアラガミを動力源とした動力炉の機能も有している可能性が非常に高いことがわかっている。詳細な調査は今後行われる予定だが、もし動力炉化が証明されれば、蒼い神機兵は【アラガミを燃料とした発電およびオラクルエネルギー生成システム】として使用できる可能性が高く、特にサテライトにおけるエネルギー不足問題への解決手段となりうることが示唆されている。
なお、蒼い神機兵は従来の神機兵と明確に区別するため、今後は【
【黒蛛病の特効薬について】
本作戦中に、ルーが片桐キョウヤの体を舐めることで片桐キョウヤの体に浮かび上がっていた黒蛛病の紋様が消失することが確認された。これはルーの唾液に含まれるルー由来のオラクル細胞が、片桐キョウヤの体表に存在していた黒蛛病偏食因子を捕喰したためだと推測される。本来、特定のオラクル細胞だけを狙って捕喰させることは不可能であるが、ルーのオラクル細胞はヒトを傷つけない性質を持っているため、【食べられるものがそれだけしかなかった】という状況であったことで結果として黒蛛病偏食因子だけが捕喰されたものだと思われる。
ルーの唾液を塗擦されることで、片桐キョウヤの病状は極めて驚異的な勢いで寛解した。この時点でルーの唾液が黒蛛病の特効薬であることはほぼ明確であり、片桐キョウヤの容態もほぼ回復していたが、桜田チハルの提案により、体内の黒蛛病偏食因子を確実に根絶すべく唾液の経口摂取も実施することとなった。その後、片桐キョウヤはおよそ100ml程度の唾液を摂取した。
その後の精密検査にて、片桐キョウヤの黒蛛病の完治が確認され、ルーの唾液が黒蛛病の特効薬であることが正式に認められた。また、黒蛛病発症状態の片桐キョウヤと物理的接触、粘膜接触を行った桜田チハルについても、黒蛛病に感染していないことが確認された。
現在想定されている、黒蛛病特効薬としてのルーの唾液の運用方法は以下の通りとなる。
◆原液を直接塗擦
即効性:良
作業性:普
有効性:普
原液を直接塗擦するだけであり、即効性は非常に良い。一方で、黒蛛病患者の体に直接塗擦する際に意図しない二次感染が発生する可能性があり、保護具などの着用は必須となる。また、少なくとも紋様が浮き上がっているところには確実に塗擦する必要があるため、ある程度の作業スペースの確保は必須である。また、この手法では黒蛛病患者の体内の黒蛛病偏食因子までは十分に根絶できない可能性が高く、あくまで応急処置や根本治療までのつなぎとして行う対症療法となる。
◆原液を経口摂取
即効性:普
作業性:良
有効性:良
経口摂取する際に容器が必要となるほか、意識を失った患者に対しては使用しにくいという点で即効性がやや落ちる。一方で、通常想定される治療の範囲では作業性は非常によく、準備、後処理などは通常の内服液剤と同じように扱うことができ、二次感染の可能性も非常に低い。体の内部から黒蛛病偏食因子の根絶を行うため、有効性も非常に高く、対処療法として扱うことができる。
その最大の欠点として可飲性の悪さが挙げられている。獣臭と血臭が混じった唾液特有の匂いと独特な粘り気を有するため、十分な量を摂取するのに非常に時間がかかってしまうケースが多い。嚥下機能が弱い高齢者や幼児の場合は誤嚥を起こす可能性もあり、また単純に不快感で吐き出すことも想定される。現在、可飲性の向上のための検討が最優先で行われており、【煮沸して臭み成分を取り除く】、【濾過を繰り返して少しでも粘り気を取り除いて飲みやすくする】、【香料や甘味料を使用して飲みやすくする】などの検討がされたが、現在のところ有効な方法は見つかっていない。
なお、唾液の経口摂取を実際に行ったのは片桐キョウヤ、桜田チハル、アリサ・イリーニチナ・アミエーラ、神薙ユウ、藤木コウタ、神威ヒロの六名であるが、六名全員が経口摂取に耐えきれず途中で唾液を吐き出しているほか、経口摂取後に悪心を伴う不快感を訴えている。
◆精製成分を注射により摂取
即効性:悪
作業性:悪
有効性:最良
唾液成分を精製し、注射によって摂取させる手法。筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射を使い分けることで緊急時処置としても予防措置としても扱うことができる。有効性は非常に高いが、量を確保するのが難しく、使用には医療従事者としての知識が必要となり対応できる人間は限られるため、即効性、作業性は劣る。基本的には専門施設における根本治療を行う際に選択される手法であり、神機使いの携行品として扱うにはまだいくらかの検討事項が残っている。
【ロミオ・レオーニの《血の力》について】
本作戦時に、ロミオ・レオーニより発せられていたブラッドアーツに覚醒した神機使い特有の感応波が瞬間的に増大する場面があった。本人に明確な自覚はなかったものの、何らかのオラクル的な作用が働いた可能性が非常に高く、ペイラー・榊とラケル・クラウディウスの両名が解明のための調査を行っている。前述のリンク能力の影響でロミオ・レオーニはすでにブラッドアーツを使える状態となっているため、彼の《血の力》の正体が判明するのは時間の問題であると思われる。
【応援に来た神機使いらの処分について】
本作戦において、他支部の神機使いが命令および承認なしで極東エリアで展開中の作戦に緊急参加する場面があった。緊急参加した神機使いの人数は定かになっておらず、またその所属も明かされていないケースがほとんどであり、その実態を今後の調査で明らかにするのは現実的ではないというのがアナグラ、フライア双方の見解である。
本件は明確な軍規違反となるが、緊急事における現場判断の尊重および倫理的、人道的観点から、グレゴリー・ド・グレムスロワ局長およびペイラー・榊支部長両名の連名により、応援に来た神機使いの処分に関する嘆願書が全支部宛に送付されている。
【フェンリル極致化技術開発局開発局長らの処分について】
本作戦行動中における軍規違反のため、以下のものを懲戒処分とする。
◆グレゴリー・ド・グレムスロワ
処分:減俸
理由:部下に対する有形力の行使のため。
◆九条ソウヘイ
処分:譴責
理由:報告義務違反のため。
◆レア・クラウディウス
処分:戒告
理由:部下に対する管理監督者責任の懈怠のため。
◆ラケル・クラウディウス
処分:戒告
理由:部下に対する管理監督者責任の懈怠のため。
【関連書類・関連ミッション等】
◇関連書類
・コクーンメイデン討伐ミッション:結果報告書
・ティターニア調査状況について:簡易報告書
・コクーンメイデン討伐ミッション:赤い雨の被液事故に関する報告書
◇関連ミッション
・コクーンメイデン討伐ミッション(ミッションコード:7409FS089)
・コクーンメイデン討伐ミッション(ミッションコード:7409FS090)
・コクーンメイデン討伐ミッション(ミッションコード:7410FS121)
☆おまけ☆
・ティターニアやフラックメイデンはいろんなヤバい蜂をモチーフにしていますが、メインとなっているのは【ホシガタハラボソコマユバチ】です。この蜂も寄生蜂で、「100匹を超える幼虫(繭)が協働して一つの巨大な集合繭を作る」という特徴があります。
Q.超威力超精度の超遠距離攻撃が可能な、近づこうにも寄生強化した数千体以上もの極東やばやばアラガミを連携させてけしかけてくる超やばやばアラガミ(感応種)がいます。こちらの戦力は16人です。どうすればいいでしょうか?
A.
・神薙ユウさんの戦闘データを学習させた神機兵を投入する
・神機兵を暴走させて超強化(体力無限、超高速再生可能、身体能力超強化)する
・ほかの支部から増援を呼ぶ(極東上がりの人間を含む)
・作戦参加者全員が常にLv3バーストし、オラクルや強化状態を共有できるようにする
・作戦参加者全員がリンクで通信できるようにする
・作戦参加者全員がブラッドアーツを使えるようにする
・作戦参加者全員が任意の場所に超威力の蒼い雷を落とせるようにする
・相手の寄生体を逆に支配してこちらの手駒にする
・作戦参加者の一人にGE廃人のプレイヤースキル&知識をインストールする
・神薙ユウさん本人を作戦に参加させる
Q.どうすればティターニアは天敵であるルーに勝てたのでしょうか?
A.寄生体を使わず、すべてのリソースを砲撃に割けば勝てた。ユーバーセンスで索敵しても意味がない(避けられない)くらいの超威力弾幕を常に絶え間なく撃ち続ければ勝てる可能性は高かった。【砲撃リソースは実質無限】、【昼夜関係なく、疲れ知らずで砲撃できる】、【オラクル弾、ミサイル、ホーミング弾で弾のバリエーションも豊か】、【周囲の異常強化コクーンメイデンにも砲撃してもらう】……と、最初からルーだけを狙っていれば近づかれる前に倒せたと思われます。ダメージが通ることは実証済みですし……。