GOD EATER:救雷の神鳴   作:ひょうたんふくろう

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137 『飲み物でもいかがかな?』

 

「長ェんだよ……」

 

 【疾風迅雷】──今回の事件をまとめた報告書を呼んで、リンドウは思わずつぶやいた。

 

 どう見ても、普通の報告書と比べても倍以上の文章量になっている。そして悲しいことに、これでもまだだいぶ端折って作成されているというか、あくまでわかりやすく要点だけをまとめたものに過ぎない。もし、通常の報告書と同じ粒度で作成していたのならきっともっと長くなっているだろうし、何なら各項目ごとにこれと同じくらいの長さとなる報告書を作成することになっているだろう。

 

「ははは、読みごたえがあって良いじゃないか」

 

 リンドウの目の前。リンドウにこの報告書を読むように促した張本人──榊が、どこかおかしそうにくすくすと笑っていた。

 

「こうして落ち着いて、ゆったりと文章を読むことができる……人間だけに許された、実に文化的で平和的な行いだと思わないかい?」

 

「思わない」

 

 少しだけならともかく、こんなにも長い文章を──文字の羅列を見ると、リンドウとしては頭が痛くなってくる。こんなことをするくらいなら外で思いっきり体を動かしていたほうが絶対に良い。ついでに言えば、昔に比べて細かい文字が何だか見にくくなっている気さえする。平和的な行いというよりかは、拷問染みた行いと表現してもいいくらいだ。

 

 何より。

 

「なあ、榊博士よう……」

 

 支部長執務室。

 

 自分と榊の、二人だけ。

 

 いつもと違って、ビールもないし夜でもないが──こんなふうに個人的に呼び出されて、いきなり報告書を読めと言われたのだ。これで嫌な予感を覚えずにいられる人間なんて絶対にいるはずがないと、リンドウは自信をもって断言することができた。

 

「なんでわざわざ、俺を呼び出した? なんでわざわざ、こんな長い報告書を読ませた? なんで……全部終わってめでたしめでたしって気分のところで、こんな真似をした?」

 

「……」

 

 自分が気づいてすらいない、何かがある。そして榊は、自分の考えをまとめるために──その考えを客観的に評価するための話し相手として、自分を呼び出した。

 

 つまりはまぁ、いつも通りのことである──そうとしか、リンドウには思えなかった。

 

「まさか、この報告書にも実は裏がある……のか?」

 

「酷いね、キミも……。そんなこと、する意味ないじゃないか」

 

「どうだか。こうしてまた、あんたに呼び出されてんだ。俺とあんたがこの部屋でこうやって対面してるってだけで、何かあるって言ってるようなもんだろ?」

 

「ははは」

 

 そこはせめて、嘘でもいいから否定してくれよ──と、リンドウは心の中だけでため息をついた。

 

「……で? あんたは俺に何を聞きたいんだ? それともアレか、話を聞いてほしいのか?」

 

「まぁまぁ……とりあえず、飲み物でもいかがかな?」

 

「……」

 

 榊が取り出したのは──どうやら、オレンジジュースであるらしい。少なくともパッケージはそうなっているし、自販機でもよく見かける割とメジャーな奴だ。開封された形跡もなく、そして賞味期限の表示におかしなところもない……つまり、つい最近自販機で購入されたものである可能性が非常に高い。

 

 ちょっと気になることと言えば。

 

「……三本?」

 

 榊が取り出した缶は、全部で三本。ビールだったらわからなくはないが、話のお供に飲むにしては少し多い気がしなくもない。普通に考えれば自分と榊の分であると考えるべきだが、それだと一本余ってしまう。

 

「少しばかり長い話になるからね。そうでなくとも、来客(ゲスト)が来てくれたんだから……おもてなしに、飲み物の用意をするのは当然だろう?」

 

「…………普通の飲み物だよな? 実はこの中に一本、例のアレが混ざっていたりとか」

 

「──正真正銘、先ほどそこの自販機で買ったものだよ。何にしようか迷ったのだが……ひとまず、無難なものを選んでみたんだ。どうせなら、みんなで同じものを飲みたいしね」

 

「……まぁ、貰えるものなら貰っておくが」

 

 一本を手に取り、プルタブをひねって。ぐびりと一口飲んでみれば──リンドウの口の中に、さわやかな甘酸っぱさが広がっていく。そういえばオレンジジュースを飲むのは随分と久しぶりだな……なんて思いと、なんか昔に比べてちょっと味が薄くなってるな……という正直な気持ち。ただ、普通のジュースであるということは間違いない。

 

「どれ、私も」

 

 ちょっと珍しいことに。

 

 榊もまた、リンドウと同じようにその缶を手に取って──景気よく、プルタブをひねっていた。

 

「……久しぶりに飲んだが、悪くないね」

 

「そういやァ、あんたがジュースを飲む姿ってのも見た記憶がねえな」

 

「甘い飲み物は貴重な嗜好品だからね。これくらいなら一般人でも入手しやすいが……できるだけ、若い世代に回してあげたいから」

 

 もしも余ったら、持って帰ってもいいよ……なんて笑って、榊は缶を机の上に置く。残った一本も、邪魔にならないように机の端──こちらの方に置いて。

 

 そして、リンドウの目をまっすぐ見つめてつぶやいた。

 

「──まずは現状の振り返りを行いたい」

 

 現状。つまり、今の状態。言っている言葉の意味はリンドウにだってわかる。

 

 ただ──それの確認に何の意味があるのか、そこがわからない。だって今はもう、ティターニアも討伐もされたし、黒蛛病の治療方法だってほぼ確立しているのだから。少し前までならともかく、今となっては……そう、気にすることなんてないはずなのである。

 

「話したいことは本当にたくさんあるが……逆に、キミのほうから聞きたいことはないのかい?」

 

「……そうだなあ」

 

 たぶん、話したい気分でもあるし、話しかけられたい気分でもあるんだろうな──なんて思いながら、リンドウは何となくつぶやいた。

 

「……黒蛛病は、結局ルーの唾液が特効薬ってことでよかったんだよな?」

 

「うむ。すでに臨床試験も行われていてね。これがまた、恐ろしいほどによく効くことがわかっている。副作用や拒否反応なども全く認められていない。重症者から順に投与を行っているが、この様子なら今後犠牲者が出ることは……永遠に、無いだろうね」

 

「そいつぁよかった。……ルーの唾液の確保は順調なのか?」

 

「幸いなことに、いくらでも採れるしルーくんも協力的だからね……。暇さえあれば採取させてもらっているし、何ならルーくんが寝ている間にも採らせてもらっている」

 

「ああ……あいつ昼寝しているとき、だいたい口周りがべしょべしょになってるもんな……」

 

 今は技術陣が専用の採取器具を設計しているよ──と、榊はにっこりと笑って言う。ちょっとした馬具(ハミ)のような形状をしたもので、普通に咥えているだけで唾液が口の端に接続した貯液ユニットの中に溜まっていくようにするらしい。定期的に貯液ユニットを交換するだけで唾液の採取が簡単にできる優れものである……とのことであった。

 

「ただ、その報告書にも書いてある通り……その、非常に飲みにくいと言う意見が後を絶たないんだ」

 

「最大限に配慮した表現になってるなあ」

 

「…………私も試しに飲んでみたんだがね。良薬は口に苦しとは言うが、そこまで言うほどのものではなかったと思うんだ」

 

「あんたはマジに、一度舌の検査をしたほうがいい」

 

 目の前で胡散臭い笑みを浮かべているこの男の味覚は、どう考えても常人のそれとは異なることをリンドウは知っている。というか、そうであってほしいと願っている。そうでもなければ──あの劇薬をこのアナグラに広めようとしたというその事実を、マジのテロ行為として認めなくてはならなくなってしまう。

 

「ま、黒蛛病の治療の目途が立ったってんなら、細かいことはもう医療班たちに任せちまえよ」

 

「そうだね。そのあたりは彼らが専門だし、唾液についても技術陣が量産工程を構築してくれることだろう。私や神機使い(キミたち)が頭を悩ませるフェーズは過ぎ去ったと言えよう」

 

「だな……んじゃあ、次は……」

 

 黒蛛病の治療方法については、もう確認すべきことは無い。

 

 となれば、次に気になるのは。

 

「応援に来た神機使いは……一応、無罪放免ってことになったんだよな?」

 

 【疾風迅雷】において、はるか遠くから救援に駆け付けてくれた神機使いたち。聞けば、その大半が正式な指令もなく、個人の判断で──より正確に言えば、榊からの個人的な「お願い」に応えてやってきてくれたのだという。当然、そのほとんどが事実上の命令無視であるわけで、どういう形であれ何かしらの処罰の対象となってしまうのだ。

 

「アネットやフェデリコも、結構無理して駆けつけてくれたって話だからな……。さすがにあいつらが処罰されるのはしのびねえや」

 

「そこはもちろん、フォローはばっちりさ。もとより、彼らは自分の身も顧みずに駆けつけてくれたわけだが……今回は、グレム局長もフォローのために協力してくれてね」

 

「……」

 

「さすがというべきか、この類の動きは手慣れたものだったよ。万が一にも、彼らが処罰されることは無いだろうね」

 

「……裏じゃいろいろあるんだろうが、それを聞いて安心したぜ。昔馴染みも結構いたし、本当に懐かしい顔ぶればかりだったからな。……できることなら、もっとゆっくり話したかったもんだぜ。何も、あんなに急いで帰ることもなかったのに」

 

「彼らも無理を押してきてくれたわけだし、そこはしょうがないさ。……自分で呼び掛けておいてなんだが、思った以上に多くの仲間が駆けつけてくれて私自身も驚いているよ。許されるのなら……同窓会でも開きたかったね」

 

「……同窓会?」

 

「あー……かつて同じ場所で学び高めあった者たちが、再び集まって旧交を温めるパーティーのことさ。かつての時代では、割とメジャーなイベントだったんだよ。たしか、五年周期くらいで開かれるのが一般的だったような……」

 

「なるほど、そりゃ楽しそうだ」

 

 五年も連絡を取っていなくても、呼びかけたら人が集められた時代だったんだな──なんて、リンドウはぼんやりと考える。今の時代は今日話していた人間と明日もまた会えるとは限らないし、五年も連絡が取れていなければ、まず間違いなくその後も会える可能性は無いだろう。そうでなくとも、神機使いであれば……五年後も生きていられるのは、全体の何割かわかったものじゃない。

 

「……そうだ、思い出した」

 

「どうしたのかね?」

 

「あの日、口頭でも話したが……その、俺とソーマを助けに来てくれた神機使いは」

 

「…………エリックくんとしか思えない神機使い、のことだね」

 

 あの日。窮地に陥ったリンドウとソーマの援護をしてくれたのは──紛れもなく、死んだはずのエリックであったとリンドウは思っている。エリックが殉職したのはもう三年も前の話になるが、あの声や口調を忘れられるはずがない。普通に考えれば他人の空似としか思えないが──しかし、あの時リンドウたちを助けた「エリック」は、『妹のことを頼みます』……と、たしかにリンドウに呼び掛けたのだ。これでエリックでないと言われても、信じられるはずがない。

 

 もし、それを見聞きしたのが自分一人であるならば、リンドウも何かの間違いだったかもしれない……と、自分を無理やり納得させることができただろう。しかし、あの場には自分以外にソーマもいて、そしてソーマも同じようにエリックの声を聴いている。つまり、リンドウの気のせいや幻覚といった可能性はほぼ無くなるのだ。

 

「もちろん、死人が蘇るなんて思っちゃいないさ。俺もソーマも、エリックのことはちゃんと見送っている……ソーマに至っては、その最期を見届けているんだから」

 

「……」

 

「だけどよ……それを抜きにして考えても。どうみても、アレはエリックだった……エリックであるようにしか、思えない」

 

 だから、リンドウは知りたいのだ。自分が見聞きしたものがどういう存在であれ……自分の納得に足り得る理由が欲しいのだ。

 

「教えてくれよ、榊博士。俺が……俺たちが見たのは、なんだったんだ?」

 

「……あくまで、私の推測となるが」

 

 推測であっても、構わない。

 

 リンドウは目だけでそれを語り──そして、榊もそのことにすぐ気づいたのだろう。あるいは、確認するまでもないと思っていたのかもしれないが、ともかく榊はリンドウのことをまっすぐ見据えて、ゆっくりとつぶやいた。

 

 

 

「あれは、エリックくんであり……そして、エリックくんではないものだよ」

 

 

 

 どういうことなんだ……とリンドウが口を開く前に、榊は続きとなる言葉を紡いだ。

 

「まず、エリックくんが殉職しているのは間違いない。……そして、一度死んだ人間が蘇ることなんてありえない。そればっかりはもう……どうしようもない、摂理だ」

 

「……」

 

「そして、私が呼び掛けた神機使いにも……彼らに誘われて一緒に駆け付けてきてくれた神機使いにも。少なくとも私が把握できる範囲において、エリックくんとよく似た容姿の神機使いは存在しない」

 

「じゃあ、あれは……」

 

「──その一方で」

 

 リンドウの言葉を遮って。一度ジュースで唇を湿らせてから、榊ははっきりと断言した。

 

 

 

「──ちょっと、数が合わないんだ」

 

 

 

 あの日。駆けつけてきてくれた神機使いの大半が、命令無視による個人的な行動であったため、その身元を明かしていない。しかし、フェンリルが本気で探ろうと思えば、腕輪の反応からその行動は確実に追跡できてしまう。もちろん、かつてリンドウが【デート】をしていた時のように行動記録を偽装することは不可能ではないが……それでも、全く何の痕跡を残さないというのは不可能だ。

 

 それゆえに、不可解なことがあった。

 

「あの時、極東エリアにて確認できた神機使いの反応の数と……任務の後、アナグラに帰投した神機使いの数が合わないんだ」

 

「は……?」

 

「これが近場ならともかく、他支部からの応援となれば……どういう形であれ、アナグラで補給活動をする必要がある。神機の整備に偏食因子の投与……あと単純に、疲労を癒すため。実際、ほとんどとんぼ返りだった人間はいても、直行直帰の人間はいなかったはずだろう?」

 

 彼らが乗ってきた飛行機も、彼らを戦場に降ろしてから極東支部に着陸している。だから、参加した神機使いの人数も非公式ながらある程度は把握できている。それに、ティターニアを討伐した後は……リンドウたちは、残党狩りをしている神機使いたちと合流して、戦場に取り残された人間がいないことを確認してから、みんなでアナグラに戻ったのだ。

 

 だから……そう、少なくとも。

 

 たとえ身元の判別ができていなかったとしても、あの作戦の時に確認できた神機使いの反応と、実際に戻ってきた神機使いの人数は合致していないとおかしいのだ。

 

「私の呼びかけよりも多くの人数が集まってくれたのは、理解ができる。けれども、戦っていた人数と戻ってきた人数が合わないのはおかしい。……何の理由もなく、神機使いが戦場に置いてけぼりにされるなんてことはありえないだろう?」

 

「そんなことがあったら、確実に何人かのクビが飛ぶな……」

 

「そして……実は、エリックくん以外にも同様の事例が報告されている」

 

「……は?」

 

「──グラスゴー支部所属のケイト・ロウリー……ハルオミくんの奥さんに、極東支部所属の香月ヨシノ……ナナくんの御母堂さ」

 

「おい……! それって……!」

 

「うむ……どちらも、すでに殉職した神機使いだ」

 

 ケイト・ロウリーは三年前にグラスゴーで殉職している。そして香月ヨシノは七年前にこの極東で殉職している。あいにくリンドウはそのどちらとも面識はなかったが、そういう人間がいたということは……ケイトについてはギルとハルオミから、そしてヨシノについては子を持つ神機使いの前例として、すなわちゴッドイーターチルドレンであるレンを授かった際に、(サクヤ)と一緒にほかでもない榊からその存在を聞き及んでいる。

 

「【ケイト・ロウリー】と出会ったのはナナくんだ。……ナナくんはケイト・ロウリーの存在は知っていても、その容姿までは知らない。たまたま、ハルオミくんたちと雑談していて……ハルオミくんが着けているロケットが、自分が出会った神機使いが着けていたロケットと同じであることに気づいた」

 

「……」

 

「話せば話すほど、ケイト・ロウリー本人であるようにしか思えず……そして、ハルオミくんが着けていたロケットの中の写真を見て、自分が出会った神機使いがその写真の人であると断言したんだよ」

 

「嘘や冗談、勘違いでそんなことが起きるわけが、ない……」

 

「その話の流れで、ギルくんが出会った神機使いの話になったらしくてね。その人物は、遠目とはいえギルくんが見間違えるほどナナくんによく似た顔立ちをしていて……別れ際に、ナナくんへの伝言を頼んできたらしい」

 

「それって……」

 

「【体冷やすから、あんまりおなかを出さないように】……だ、そうだ」

 

 なんだかどこかで聞いたことがあるようなフレーズ。そうでなくとも、そんな発言をするのは子を持つ親くらいしかいないだろう。少なくとも、戦場で戦う味方に投げかける言葉としてはあまりふさわしくないというか、浮いている感じがするのは間違いない。

 

「まさかと思って、NORNのデータベースから【香月ヨシノ】の顔写真を確認してみたところ……」

 

「ギルが出会った人物と同じ顔だった、ってか……」

 

 あの日、あの戦場で。すでに殉職したはずの神機使いにそっくりな存在が、わかっているだけで三人も確認されている。それも、確認された場所はそれぞれ異なる場所で、確認した人間も異なるとなれば……それは個人の勘違いや偶然などではなく、【何か】が起きていたのは確定的だろう。

 

「どういうことだ……? 一体何がどうなってやがる……? ここまで状況証拠が出ていて、他人の空似ってことはありえないだろ……? だが、死者が蘇るなんてことはありえない……」

 

「……これらの故人と出会ったのは、キミ、ソーマくん、ギルくん、そしてナナくんだ」

 

「……つまり?」

 

「──感応能力が高まっている人間。もっと言えば、ブラッドアーツを習得している者たちだ」

 

「……あっ!?」

 

 あの作戦に参加している人間たちは、みんなブラッドアーツを習得している。だってそれこそが、ほかでもない作戦の参加資格だったのだから。

 

 ただ、本当に大事なのはブラッドアーツという存在……というよりも、その原理、仕組みのほうであった。

 

「ブラッドアーツってのは……意志の力が増幅された結果できるようになるものだ……! 高まった感応能力による、オラクルの顕在化現象だ……!」

 

 いつだったか読んだ、チハルが初めてブラッドアーツに目覚めた時の会話ログ。そして、そんな会話ログをもとに、この部屋で榊とした会話。あの日確かにリンドウは、自分自身でそのことを確認して……自分が発動したブラッドアーツが、本当に意志の力で発動したものなのかを、榊に質問している。

 

 そう──故人と出会った人間はみんな、意志の力でオラクルの顕在化現象を行える。

 

 つまり。

 

 

 

「俺たちが見たエリックは──感応能力によって顕在化した思い出(意志)だったってのか……!?」

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