本文およびあとがきにて、キャラクターの容姿について触れている部分があります。そういったお話が苦手な方はご注意ください。
「あああ、緊張するぅ……!」
さて。
さてさて。
さてさてさて。
私の目の前には、今日もお気にの赤いバンダナでばっちり決めたチハルちゃんがいる……のはいいとして、何やらちょっぴり落ち着かない様子。さっきからしきりにすーはー、すーはーと大きく深呼吸をしたり、意味もなく私に抱き着いてきたり……と、なんだか心ここに非ずと言った感じ。ついでに、そんなチハルちゃんをアリサがとてもとてもオロオロした様子で見つめていたりと、今日も極東は平和ですって感じがひしひし。
「お前が緊張したってどうしようもないだろうよ……むしろ、その緊張が伝わって悪影響なんじゃないか?」
「……あっ!?」
キョウヤの言葉を聞いて、チハルちゃんがぱっと私から体を離す。ママてきにはもっと存分に抱き着いてもらって構わない所存だけれども、子供はこうして親離れをするのだろうか。涙がちょちょぎれるっていう。
「そんな心配することないと思うけどなー。初見の人間にルーがなにかしたことってないだろ?」
「でもコウタさん……! もし、万が一、ブラッドの人がルーちゃんに対して敵意を抱いちゃったら……!」
「うーん……無くはないだろうけど、みんないい奴だったじゃん? 正直俺、ロミオとか初めて会った気がしなかったもん」
冗談はともかくとして。何でもこの後、あのブラッド隊が私に会いに来るらしい。話自体は以前チラッと聞いたけれども、ようやく正式な日取りが決まった……というか、彼らが極東に到着したのだろう。
まぁ、ぶっちゃけると昨日の段階で遠目にチラッとフライア見えたし。思ったよりもはるかにデカくてだいぶビビったっけ。あんなでっけー要塞を動かす動力が何なのか気にならないこともないこともないんだけど、マジで何で動いているんだろうね? ガソリンの類でアレを動かせるほどの量を確保できるとは思えないし、かといって電力ってのも現実的じゃないし……。
あと、何か地味にチハルちゃんから他所の女の匂いがする。嗅いだことのない匂いなんだけど、まさかこれって浮気ってやつか? おん? ウチの娘に手ェ出すだなんていい度胸してんなおい?
──ルゥゥ。
「……今日も甘えん坊だね、ルーちゃんは」
ママの自慢のワガママダイナマイトボディですよう……っと。自慢じゃないけど、このふっかふかの感覚はこのご時世じゃそうは味わえないレベルの一品だ。どれだけ泣き叫ぶ赤子がいようと、私のおなかに埋もれさせれば一発で泣き止ませる自信があるっていう。
「……どう考えても、ナナとシエルは【大丈夫】のタイプだろ」
チハルちゃんと戯れる私を見て、キョウヤがしみじみとそんなことを呟く。あ、今更だけど、これから来るブラッドはナナ、シエル、ロミオ、そして驚くことなかれ、GE2の公式主人公である神威ヒロくんであるらしい。
「どう考えてもこいつの好みのドンピシャで、ヒロとロミオも問題なし。ジュリウスさんとギルはわからんが……まぁ、俺より印象が悪いってことはないはずだ」
「なんとなくわかるけどさー……なんかキョウヤ、ちょっと卑屈過ぎない?」
「いやいや、事実ですから」
「【お姉ちゃんを取られる弟の気分になって考える】ですか……【娘の近くにいても安心できるタイプかどうか】って考えにも通じるところがありますね」
なんだかアナグラの人たちの私に対する認識がすんげえことになっちゃっている気がするけど、まぁあながち間違っていないこともないというのが悲しいところ。正直どんなに頑張ってもグレム局長に媚びを売るつもりにはなれないし、グレム局長よりかはマシだけど九条博士もまた然り。
オオグルマ? 許されるなら頭からぱっくりむしゃむしゃしてやりたいですわァ……!
「いーい? ナナちゃんはチューブトップとショートパンツな活発タイプのおへそ出している女の子で、シエルちゃんはフリルのブラウスでスカートで……その、おっきい女の子なの。最初に挨拶してくれるのはこの二人だから、ちゃんと言うことよく聞くんだよ?」
「……改めて振り返ると、すげえ格好だよなあ。やっぱ実力のある神機使いは露出が増える説ってのは間違いでもないのかね?」
「……シエルさんはともかくとして。確かにナナさんは、ちょっと心配になるくらい露出が多いですよね」
「……なんだろ、露出としてはアリサさんの方が少ないのに、健全さで言えばナナの方が圧倒的に上な気がする」
「ちょ、ちょっとキョウヤくん!? それっていったいどういう意味ですか!?」
確かにナナちゃん、あんま話題に挙がらないけど服装すごいよね。足もおなかも全部丸だしだし、上着はぺらぺらですっごく頼りない……首元も脇の所も思いっきり開いているし。
ただ、それなのに健全っぽく見えるのは彼女の雰囲気のおかげか、あるいは私たちプレイヤーがもっとヤバいのに見慣れてしまっているせいか。
「あと今さらながら、ブラッドは制服もすごかったんだよな……」
「だ、だよね……!? ぴっちりしていて、その、おへその形も位置もわかっちゃうくらいで……! スタイルがモロに出ちゃうし、あんなの自分に自信がないと絶対着れないやつ……!」
「……えっ? アレってそんなに変だった? アリサに比べたらあんなの全然普通じゃない? 形が分かるどころか普段から丸出しだぞ?」
「ああ……ダメだ、コウタさんはアリサさんが身近に居過ぎて感覚おかしくなってる……」
ブラッド隊の制服、ジャケットを羽織っているから一瞬割とまともに見えるけど、アレもまたよくよくみると大層ヤバい。インナーとなっている強化スーツがまさかのラバー製で、男も女もみんなぴっちぴち。
男は胸筋、腹筋、おへそのかたちがしっかりわかっちゃうし、女の子は……ちょっとここでは言えないくらいに体のセンがしっかり出ちゃう。ぶっちゃけると、太ももの付け根がどこにあるのかわかっちゃうくらいにはぴちぴちだったりする。
断言してもいいけど、あの制服をデザインした担当者はとんでもねえマニアックな趣味をお持ちだと思う。
「え……ち、チハルちゃん? わ、私の格好ってそんなに変でしょうか……?」
「う……そ、その……」
「アリサさん」
「はい?」
「チハルが同じカッコしてたら、どう思います?」
キョウヤがその質問を投げかけた瞬間。
アリサは、想像したくもないと言わんばかりにまくし立てた。
「とんでもないです! すぐにボタンを全部つけさせます! あんなにおなかを出していたらすぐに体を冷やしてしまうし、スカートだって……! いえ、可愛い格好をしたいのはわかりますが、あんなに短いとやっぱりおなかを冷やしますし、はしたないというわけではないですが、よからぬことを考える人も世の中にはいる以上、必要以上に短くするのは心配で心配でもう……!」
「客観視はできてるんだよなあ」
「自分でやるのと、誰かがやるのはまた別ってことっすかねえ」
しかしまあ、こうしてグダグダと話している間にはチハルちゃんの緊張も解けて普段の調子に戻っているっぽい。元より、この任務に危険なことなんて何もないし、私のお家であるこのエイジスもいまやほぼ安全地帯で気を張る必要はどこにもない。
勝手にご飯がやって来る、わーいやったー……なんて思ってアラガミ食べてたら、最近はもうめっきり寄り付かなくなっちゃったんだよね……。
「そういやァ、全然話は変わりますけど。ラケル博士とレア博士って姉妹なんですよね? 想像していたのと随分違って驚いたというか……」
「だよなー。良くも悪くも二人とも博士っぽく見えないし、姉妹にしては雰囲気も全然違うし」
「ラケル博士については……マグノリア=コンパスという児童養護施設の設立、経営もされている方ですからね。博士というよりも、院長先生という雰囲気に近いような気がします」
「確かに……優しくて、ちょっとおちゃめな先生って感じですよね。……ホントマジで、優しい人で助かった……」
「……アラガミ大好き解剖おばさんって、本人の目の前で言っちゃったんだっけ?」
「「全力で謝罪しました」」
「ま、向こうも笑って許してくれたって話だし、過ぎたことを言ってもしょうがないけど……これからはそーゆーの、気を付けてくれよー?」
「はぁい……! 反省してますぅ……!」
解剖はともかく、アラガミ大好きなのは割とマジじゃね? むしろそれ、あの人にとっては誉め言葉ですらある可能性があるかもわからんね。だって中身アラガミみたいなもんだし。
「レア博士は……何だろう、別ベクトルのツバキ教官って感じがするんだよな」
「……どうしよ、ちょっとだけわかる」
「……チハルちゃん、わかる?」
「うーん、ちょっとわかんない……」
ヤバいどうしよ、けっこうわかる。
「ま、こいつの好みではあるだろ。ラケル博士はちとわからんが、レア博士は間違いない」
「あー……それはなんとなくわかるかも」
「たしかに……すごく複雑なんですけど、なんか分かっちゃいますね……」
「えっ……俺、逆にそっちはよくわかんないな……」
「自分が五歳のガキだったとして、どっちに惹かれるか……って考えるといいっすよ」
「……ふーん? それってつまり、あーゆーのが好みなんだ? キョウヤくんのえっち!」
「何言ってやがる、男はみんなああいうタイプのおねーさんは大好きなもんなんだよ。嘘だと思うならハルさんやケイイチに聞いてみろ」
あーね、レア先生ってばたしかにせくしーでイケナイことを教えてくれそうな雰囲気がバリバリのおねーさんだもんね。実際、【綿密な話し合い】はたくさんしているし、お色気シーンも無駄にあるし、意味深なようで結局ただのファッションでしかなかった舌ピアスとかもあったし。
でもレア先生は、実態はただのポンコツおねーちゃんなんだよ……そういうギャップもまた愛おしいのだけれども。あと、ゴッドイーターというコンテンツの中で一番スタイルが良いと思う。それだけは間違いない。
──こつん、こつん。
「……あ」
そんな感じでグダグダと喋っていたら。
はっきりとわかるほどに──連絡通路の方から、誰かの足音が聞こえた。
「……来た、な」
「来ちゃった、ね……」
バレないように、ほんの一瞬だけビリビリパワーのユーバーセンス(仮)を使ってみる。神機使いの反応が向こうの方から四つ……間違いなく、ヒロくんたちだろう。こうしている間にもその足音は少しずつ大きくなっているし、変な能力なんて使わなくとも、ヒトの気配が近づいているのがはっきりとわかった。
「ルーちゃん……お願いね?」
──ルゥ!
任せろ、の意味を込めて大きく鳴く。
可愛い可愛いチハルちゃんのために、ここは一肌脱いてやろうじゃないか。まぁ、私ってば既に全裸なんだけどな!
▲▽▲▽▲▽▲▽
──ルゥ!
薄暗い通路のその向こう。ようやく見えてきた明かりになんとなくホッとした瞬間、その大きな鳴き声がナナたちの鼓膜を揺さぶってきた。
「今の……!」
「……うん」
知らず知らずのうちに、ナナの神機を握る手に力が入る。この声の大きさからして、相当に体の大きなアラガミであることは疑いようがない。まだナナは神機使いとしてのキャリアは短いが、しかし反射で体が戦闘準備を整えてしまう程度には、その鳴き声は驚異的と感じざるを得ないものであった。
「でも、人の気配もあるし、戦闘しているわけでもない……」
「あの資料を信じるなら、先行しているみなさんとじゃれて遊んでいるだけ……でしょうか」
たぶん、そう。
きっと、そう。
おそらく、そう。
というか、そうであることを信じるほかない。そうでなければ、そんな明らかに危ないアラガミと真正面から相対したくない。
けれども、そのアラガミに一番好かれやすいだろうとされているのは他でもない
「……な、何かあったらその時はよろしくね」
「や、やめろよそーゆーの! 縁起でもない!」
ええい、ままよと覚悟を決めて。
そしてナナは、その明かりの向こうへと一歩を踏み出した。
──ルゥ!
──おっきい、なあ……。
大きな、大きなアラガミだった。事前に聞いていた通り、白いガルムのような──なんとも恐ろしい凶悪な風貌をしたアラガミだった。
仮面の下から覗く眼はおっかないし、立派な牙はどんなものでも噛み千切ることが出来てしまいそう。大きな鋭い爪は岩でも綺麗にすっぱり切断できそうなほどで、なんかこう、ナナの中にある生物的な本能がすぐにこの場から離れろと警鐘を鳴らしまくっている。
──ルゥゥ……。
しなやかな足取り。これだけの巨体であるにもかかわらず、足取りは軽やかで足音の一つもしない。まるで陰から獲物を追い詰めるかのような雰囲気で、そのアラガミは明らかにナナを見つめて近づいてきている。
──確か、腕を開いて匂いを嗅がせるんだっけ。
鋼の如き精神力を以って……というか、それ以外を考えないようにして、ナナは両手で構えていた神機を片手に持ち直し、ゆっくりと腕を開いた。
「うわわ、わわ……!」
──ルゥ?
大きな顔が、すぐ目の前にある。
自分の事なんて丸かじりに出来そうな口が、すぐ目の前にある。
「お、おいしくないよー……?」
──……。
そのアラガミが、自分の体に鼻面を当てている。ちょんちょん、ついついと何度も何度も、確かめるように。
正直気が気でないし、次の瞬間にはそのまま噛みつかれてしまうのではないかという考えが何度も頭をよぎるのだが、しかし体は動かない。
まるで足が地面に縫い付けられたかのような、あるいは足が石になってしまったかのような。残念ながら、ナナの語彙力ではその状態を適切に表現するのは難しかった。
──ルゥ。
──これ、大丈夫だよね……?
もはやナナは……自分の意志でその場にとどまっているのか、それとも自分の体が言うことを聞かないだけなのか、それすらわからなかった。恐怖と使命がごちゃ混ぜになって半ばパニックになっていたと言ってもいい。もし片手に神機を持つことさえ許されなかったのなら、とっくに叫び出して……いいや、恐怖感と緊張で頭がいっぱいになって気絶していたことだろう。
──ロミオ先輩のばかぁ……! 先輩なら先陣切ってよぉ……!
いい加減、マジに泣きそうになってきたところで。
──ルゥ!
「わっ!?」
突然、ナナの体が何か温かいものに包まれた。
「わ、わ……ちょ、くすぐったい……っ!」
あったかくて、ふっかふかで。なんだかちょっぴり、お日様の匂いもして。
今までに感じたことがないくらいに柔らかく、心地よい感覚が全身を包んでいる。
「あはは! やっぱりナナちゃんも、ルーちゃんに気に入られたみたいだね!」
「……チハルちゃん!」
頭の上から降ってきた声。先ほどは全然気づかなかったが、その白いアラガミの背には他でもない桜田チハルが乗っている。真っ白のふかふかに全身を包まれてしまったナナを見て、なんだかとてもおかしそうに笑っていた。
「え、え……なにこれ? 私いま、どうなってるの……!?」
「今はねえ、ルーちゃんの尻尾の中に包まれてるんだよ。……どう? 気持ちいい?」
「すっごく気持ちいいよぉ……!」
フライアのベッドよりも、アナグラのベッドよりも、マグノリア=コンパスのベッドよりも柔らかく、ふかふかしている何か。そんな何かに全身を包まれて気持ちよくないわけがない。まるで大好きな人にぎゅっと抱きしめてもらえるかのような安心感まであり、うっかりしていたらこのまま寝入ってしまいそうになるのは疑いようがない。
──ルゥゥ!
「わ、わ……!?」
「今度はおなか! 尻尾と同じくらいにあったかくてふかふかなところ!」
尻尾を器用に動かして、そのアラガミはナナを守るかのようにして体を丸める。尻尾がぐるんとおなかの方に押し付けられる形になって……そしてナナは、当然の成り行きとしてそのおなかに全身を委ねることになった。
「お、おお……!」
ここがアラガミ防壁の外であるというのにもかかわらず。
ナナは、何もかもがどうでもよくなってしまった。
「なにこれすごい……! もしかしてここが、人類の理想郷……?」
「そうかもね!」
もうこの時点で、ナナはこの白いふわふわのことをアラガミだと思えなくなってしまった。より正確に言えば、自分が今、何をしているのかということを一切忘れてしまった。余計なことを考えられなくなってしまうほどに、そのあったかいふかふかは気持ちが良すぎたのだ。
「これは、危険すぎるよ……戻れなくなっちゃう……!」
「──きゃっ!?」
すぐ近くから聞こえてきた声。
気づけば、すぐ目の前に──シエルの顔があった。
「あれえ、シエルちゃん?」
「な、なんか……体の匂いを嗅がれたと思ったら、尻尾で包まれて……」
「二人まとめて、捕まっちゃったね」
「ふふ……でも、悪くない気分です……!」
脱力。全身の力を抜いて、ナナは白いアラガミに体を預けている。どうやらそれはシエルも同じようで、今までに見たことがないほど表情を緩ませて、心地よさそうに深呼吸をしながらその白いふかふかにほおずりをしていた。
「だ、大丈夫なんだよなキョウヤ!? なんか二人とも、取り込まれちゃったんだけど!」
「だいじょぶだいじょぶ、むしろめちゃくちゃ好感度高い反応だぜ? ……おいルー、ちょっと尻尾どかしてくれよ!」
──ルゥゥ。
あったかいのが体から離れて。
ナナもシエルも、無意識的にルーの体にしがみついた。
「うわ……なんだこの……これ……?」
「あ、アラガミをベッドにしてる……? というか今、普通に人の命令を聞いたのか……?」
「な? 俺の言葉でも普通に言うこと聞いてくれるし、特に女に対する扱いは見ての通りだ。警戒するだけ馬鹿らしいぞ」
近くで誰かが何かを話している。そんなのどうでもいいから、早くあのあったかいのを元に戻してほしい──と、ナナは白いふかふかを全身で楽しみながらぼんやりと思った。
「うぉ……めっちゃふわふわ……なぁ、ヒロも触ってみろよコレ、クセになる柔らかさだぞ……!」
「ほ、本当だ……というか俺たち、匂い嗅がれてないけど警戒されてない……もしかして、バンダナのおかげか?」
「……おう、チハル?」
「い、良いじゃん別に……! だ、誰も困ってないもん……!」
ヒロもロミオも、おっかなびっくりと白いアラガミ──ルーに触れてその感触を確かめている。見た目以上にふかふかでふわふわなその毛皮に驚き、そして体から確かに感じる脈動……生きている生物からしか感じられないはずのその感触に、驚愕を隠せないでいた。
「お前、本当にこっちの言葉が通じてるんだよな……?」
──ルゥ?
「こ、これ反応してるってことでいいんだよな……? 俺も抱き着いたりしていいか……?」
「そのくらいならいちいち反応伺わなくても大丈夫だぞー? 俺も割とルーの背中の上で昼寝とかするし」
「ちなみに俺は、三割くらいの確率で抱き着こうとすると尻尾であしらわれる。たまにこいつの方から近寄って来たと思うと、片腕を思いっきりしゃぶられてヨダレでデロデロにされる」
──ルゥゥ。
「……こんなふうに、な」
「う、嘘だろオイ……!? 腕喰われてるのに平然としてやがる……!?」
「人を襲わないとは聞いてたけど……まさかここまで慣れてるとは……」
もはや諦めの境地に至った顔をしているキョウヤ。しかしそれは、アラガミに腕を喰われているから……ではなく、お気に入りの上着を汚されたことに起因するものなのだろう。腕を食い千切られるとは欠片も思っていないことは明白で、それは何よりも、この白いアラガミが安全であるということを証明していた。
▲▽▲▽▲▽▲▽
──次は俺! 俺が乗りたい!
──えーっ!? まだ私乗ったばっかりだよ!
──そ、それを言ったら私だってもう少しだけ……!
「……ふふ」
目の前で白いアラガミと楽しそうに戯れるブラッド隊の面々を見て。ついでに言えば、そこに混じってきゃあきゃあと楽しそうに笑う後輩の姿を見て。アリサは自分でも、微笑みがこぼれるのを止めることが出来なかった。
──この子、ウチの子にしようよぉ……!
──そ、それはダメ―っ!
──じ、神機兵と交換だったら……!? なんかアレ、すっごい高いらしいし……!
──まだ開発段階でろくに動かないって話じゃなかったか、それ?
「問題ないだろうとは思っていましたが……ふふ、この様子だとブラッドの人たちとも仲良くやれそうですね」
「……アリサ、まだやっぱりちょっと
「はて、なんのことやら? 後輩を見守るのは先輩の役割でしょう?」
「そう見えないから、聞いたんだけどな……」
特にトラブルが起きることも無く、ブラッドとルーの接触は成功した。そして予想通り……いや、予想以上に彼らとルーの相性は良かったらしく、まるで旧来の友人であるかのようにじゃれあって遊んでいる。ルーが人に慣れてきたというのはもちろんあるだろうが、それにしたっていきなりここまでのコミュニケーションが出来るとは、良い意味でアナグラの人間でも予想できなかったことだ。
「おっと、いけない」
「どした?」
「すっかり忘れているようなので、代わりに連絡を入れておこうかな……と」
「……うん、そうだね」
なぜだか変に口ごもったコウタをいぶかしみながらも、アリサは通信機のスイッチを入れた。
「──アリサです。ブラッドに代わって私から連絡します」
『……アリサさん!? いったいどうして、ヒロたちに何かあったんですか……!?』
すぐに返ってきた応答。真っ先に部隊の仲間を心配する言葉を口にしたその態度に好ましいものを感じて、アリサは小さく笑った。
「ええ、まあ──シエルさんもナナさんも、ルーとあそ……んん、親交を深めている真っ最中でして。せっかくいい感じなのに、このまま引き離すのはちょっとかわいそうかな、と」
『それは、つまり……』
「ルーは、あなたたちが相手でもいつも通り非常に友好的な態度を示しています。こちらに来てもらっても、全く問題ないと判断しますよ」
ブラッド隊の制服には【制式制服】と【特装服】の二種類がありますが、ぴちぴちスーツのほうが制式制服、割と普通のやつが特装服ですね。ぴちぴちスーツの方が特装服だと今までずっと勘違いしてました。
だってアレが制式制服とは思えないじゃん……! GE2として一番最初に公開されたリアル路線のモデルだと、マジでぴちぴちテカテカしてたんですよ……!? 結果的には正当進化と言えるキャラデザ(モデル)となりましたが、あの時はGEがここまで路線変更したのかって、あらゆる意味でショックが大きかったですとも。
なお、チハルちゃんがシエルの容姿について説明していますが、公式設定資料集に掲載されているシエル決定稿に「大きめで!」とはっきりとコメントが書かれているので、主観ではなく公式見解となります。
ちなみに、【41 極東☆ファッション】でもチハルちゃんはカノンちゃんの容姿について触れていますが、やっぱり公式設定資料集に掲載されているカノンちゃんの決定稿に「大きい」とコメントが書かれているので、こちらも主観ではなく公式見解です。
同様に、サクヤさんは「大きめです」、サツキは「大きめで!」、レアせんせーは「一番大きいです」、ザイゴートは「揺れます」、アマテラスは「大きな方はゆれるように」……というのが公式見解となります。ビジュアルアートワークスも含めて調べてみましたが、明確に記載されているのはこれくらいでした。