GOD EATER:救雷の神鳴   作:ひょうたんふくろう

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74 アンエスケーパブル(ミッションコード:7407NS017)

 

【アンエスケーパブル】

 

◇ミッションコード

 7407NS017

 

◇ミッション目的

 ルフス・カリギュラの討伐。

 

◇ミッション概要

 極東地域の廃棄母艦に現れた紅いカリギュラ──ルフス・カリギュラを討伐せよ。本来は非常に高い戦闘能力を持つ種族だが、当該個体は元グラスゴー支部のケイト・ロウリーの働きにより、大幅に衰弱していることが推測されている。雷もしくは火属性の銃弾・神機で止めを刺せ。

 なお、ルフス・カリギュラの出現は過去に一度しか確認されておらず、当時の戦闘においてグラスゴー支部の部隊長であったケイト・ロウリーが殉職している。非常に危険なアラガミであり、今回の接触にて確実に討伐することが求められるため、当該個体と戦闘経験のある真壁ハルオミ、ギルバート・マクレインの両名を必須参加者として指名する。

 また、当該個体の右肩にはケイト・ロウリーの神機が突き刺さったままであると推測される。回収できるようであればこの回収も実施すること。

 

◇ミッション参加者

 

 真壁ハルオミ(少尉/第四部隊/第四部隊隊長)

 ギルバート・マクレイン(曹長/ブラッド)

 神威ヒロ(上等兵/ブラッド/副隊長)

 桜田チハル(上等兵)

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

『──まもなく、戦闘エリアに入ります。目標との推定距離はおよそ1000m』

 

 上下に規則正しく揺れる視界。びゅうびゅうと景気よく風を切る音。そんな中で、耳元から聞こえてきた音──インカムから伝わってきた情報は、どことなく上の空であったギルの意識を現実に引き戻した。

 

『ここからは、ルーさんのユーバーセンスによる索敵に切り替えます。作戦本部との通信、およびオペレーター(わたし)からの支援は受けられなくなりますが……本当に、良いんですよね?』

 

「ああ。付近に展開中の部隊もいないし、周りにほかのアラガミがいるわけでもない。だから今この瞬間においては、ルーの能力をフルに使えるほうが良い……ひとつ、問題点があるとすれば」

 

 少々狭いその背中の上──大の大人が三人と、少女が一人が同時に乗っているのだから当然だ──で、この臨時部隊の名目上の隊長であるハルオミが、いつも通りのひょうひょうとした様子で応答した。

 

「ヒバリちゃんの可愛い声が聞こえなくなるってところだな」

 

『……もう』

 

 ──ルゥゥァァァ!!

 

 ハルオミの軽口を吹き飛ばすかのようにルーが吠える。それとほぼ同じタイミングで音声通信にノイズが入り、そしてギルとチハルの髪がふわりふわりと静かに広がっていく。

 

 念のため、ギルは再度本部との通信を試みる。当然のようにノイズばかりで何の反応もせず、一方ですぐ後ろにいるヒロのチャンネルには問題なく接続ができた。

 

「あれ……チハル、いまジャミングの合図だした?」

 

「ううん。合図を出そうとしたらルーちゃんが勝手にやっちゃった。……ハルさん、奥さんがいるのにヒバリさんを口説こうとするなんてよくないよ? ルーちゃんだって怒ってるし」

 

「はっはっは、事実を言っただけだろう? こんなの口説いたうちには入らないさ。それに……もし俺が本気で口説いたら、こんなものじゃないぜ?」

 

「……」

 

「それに、ケイトだったら笑って許してくれるさ」

 

 笑いながらブチ切れる、の間違いなんじゃねえかな──とギルはぼんやりと考える。考えてから、ハルオミが自分のことを見て意味ありげにほほ笑んでいることに気づいた。

 

「ギル? ケイトの仇だからって、あんま力むなよ? いつも通り、リラックスしていこうぜ?」

 

「わかってます……」

 

「ハルさんはリラックスしすぎだと思う」

 

 ──ルゥ!

 

 知らず知らずのうちに強く握りしめていた神機。ふう、とギルは大きく息を吐いて、わざとらしく帽子を被りなおす。

 

 カリギュラとの戦い方は頭に叩き込んできた。戦力は十分すぎるほどに整えているし、万が一にも取り逃すことなんてないだろう。強張っていた体もハルオミの気遣いによって十分にほぐれたし、懸念点があるとすれば……それこそ、わかってはいてもどうすることができない自分の精神状態(メンタル)くらいしかない。

 

「ギル」

 

 後ろから聞こえてきた声。

 

「みんなで帰ろう──ケイトさんの神機も」

 

 顔なんて見なくても、ヒロがどんな表情をしているのかギルにはわかった。

 言葉なんて返さなくても、ヒロが自分の気持ちを汲み取っていることがギルにはわかった。

 

「良いこと言うなあ、副隊長さんは。……いい加減、持って帰ってやらないとな!」

 

 ハルオミがそんな言葉を返したまさにその直後。

 

 視界のはるか先──廃墟同然に崩れ去ったその空母の甲板の上で、何かが紅く煌めいた。

 

「……いよいよだな」

 

 紅い紅い、じっと見ていると引き込まれそうになるほど赤く煌めく異形の体。硬質的というよりかは、もはや機械的と言っていいくらいに生物のそれを逸脱した姿。大地をがっしりと掴む四肢はよく発達しており、その背中には最大の特徴とでも言うべきブースターを背負っている。

 

 そして、この個体に限って言えば。

 

 右半身の損傷(・・)が非常に激しい。どんなものでも切り裂けるのであろう凶悪なブレードは砕け、ひしゃげ、まともに扱えない状態であるのが明確で、そしてその肩口にはギルたちにとってとても見覚えのある神機が突き刺さっている。

 

 ──幽鬼の如き妖しい赤白い光を灯す瞳が、ギルたちを見据えた。

 

「……行くぞ!」

 

「「おう!」」

 

 ──ルァァァ!

 

 ハルオミの叫びとともに、ギルはルーの背中から飛び降りた。あの紅いカリギュラは既に警戒態勢……否、戦闘態勢に入っている。体はしっかりこちらに向けているし、後ろ足で大地をしっかり踏みしめている──つまりは、いつでも飛び掛かれる状態だ。このまま何もしなければ、あのむき出しになったままのブレードをそっくりそのまま叩きつけてくることだろう。

 

 だけれど。

 

 ──ギャアアアア!?

 

 後ろからの援護射撃。ある意味懐かしさすら覚えるそれ。あのカリギュラがひるむほどには強力な銃撃だが、不思議と安心感があって……そして、万が一にもそれが自分に当たることなんてないことを、ギルは経験から理解している。

 

「突っ込めギル! 援護は任せろ!」

 

「……はい!」

 

 ハルオミの射撃の隙間を縫うようにして放たれる、新たなる銃撃。こちらはギルが思っていたよりもずっと近く……すなわち、やや右後方から放たれているものだ。あえて語るまでもなくそれはヒロが放っているものであり、なんとも恐ろしいことに、そのほぼすべてがカリギュラの顔面に命中している。

 

 ──頼もしい限りだよ、本当に。

 

 ギルの意志に反応して、ギルの持つ神機──チャージスピアの穂先が二つに分かれる。どくん、どくんというオラクル活性に伴う心拍の上昇とともに、穂先に隠されていた禍々しい刃がその姿を現した。

 

「ずっと待っていたぜ、今日という日を」

 

 走る。

 

 ただひたすらに、ギルは走る。

 

 その思いを、今の自分を突き動かすものすべてを神機に込めて。

 

 大先輩が、ヤツの隙を作ってくれた。

 頼れる仲間が、ヤツの視界を封じてくれた。

 

 そして──もし自分がヘマをしても、フォローしてくれる奴がいる。

 

 ならば。

 

 ギルは……その全力を、ただ相手にぶつけるだけでいい。

 

 

 

「絶対に逃がさねえからなッ!!」

 

 ──アアアア!?

 

 

 

 衝撃波を伴う、高速の突進突き──チャージグライド。ギルの渾身の一撃が、その紅いカリギュラの左肩に叩き込まれた。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「チハル! お前は援護に徹しろ! ルーから降りるタイミングをミスるなよ!」

 

「あいあい!」

 

「ギル! おまえはちょっと頑張りすぎだ! 一歩引け!」

 

「うっす!」

 

「副隊長さんは……そのまま! 隙を見てデカいのぶっこんでいけ!」

 

「了解です!」

 

 ──ルァァァアアア!!

 

「おっと、お前さんは……あいつが逃げないように、牽制を頼むぜ?」

 

 戦闘は概ね、順調に進んでいるように感じた。

 

 ある程度想定していた通り、この紅いカリギュラは非常に強かった。カリギュラという種族そのものが強力で手強い相手であるのは間違いないのだが、それにしたって動きが素早いのだ。通常のカリギュラとの戦闘経験があるハルオミがそう言っていたのだから、間違いないことだろう。

 

 ただ、決して対処できない素早さではない。速いことには速いが、目で追えないほどじゃない。その攻撃を完全に回避することは難しくても、装甲の展開だったら問題なくこなせる程度には、ギルはそのカリギュラの動きに慣れつつある。

 

「おらぁッ!!」

 

 ──ヴァアアア!!

 

 風穴を穿つつもりで突き出した槍の一撃を、そのカリギュラはブレードで弾く。見た目はボロボロであってもさすがはオラクル細胞というべきか、その頑健さは健在であるらしい。まるで鋼鉄の塊を打ち据えたかのような衝撃がギルの手を痺れさせた。

 

「援護します!」

 

 どう、と大きな音とともに放たれたオラクル弾。ルーに乗って戦場を駆けるチハルが、特大サイズの雷バレットを放ったらしい。眩い紫電が一瞬にしてその紅い体を駆け抜け、見上げるほどの巨体を確かに硬直させる。

 

 当然、そんな隙を見逃すギルじゃない。

 

「くたばれッ!!」

 

 ──アアアアア!!

 

 がら空きの胴体を狙った一撃。されど、チャージスピアの穂先はその体には突き刺さらない──せいぜいが、少しばかりの傷をつけたくらいだろう。ぎゃりり、という非常に不快感のある金属音のほかには、成果らしい成果を挙げることができていない。

 

「ギル!」

 

「おう!」

 

 自分と入れ替わるようにしてヒロがカリギュラに急接近し、そのロングブレードを巨大なブレードに叩きつけた。

 

 ──ガァァァ!!

 

「おっとぉ!」

 

 正直なところ、あまりダメージを与えられていないのだろう。普通のアラガミだったら確実に致命傷になっていたであろう一撃を二回もくらってなお、そのカリギュラは戦意を喪失することなく、怨嗟の雄たけびを上げている。

 

「かってーなコイツ……! これで本当に弱ってんのかね……!?」

 

 牽制の銃撃を叩き込みながら、愚痴るようにハルオミが吐き捨てる。なんだかんだで良いペースで攻撃ができているのに、相手にダメージを与えることができていない。それは単純にこちらの攻撃力が不足している……否、向こうの防御力が高すぎるということなのだろう。あるいは、その驚異的な動体視力と素早さを以て、こちらの攻撃をいなしているということに他ならない。

 

「手負いでこれなら、全力だったらどんだけヤバかったのかねえ……」

 

 手負いで素早さは落ちているはず。そして、右腕のブレードは壊れて本来の機能を果たせない状態にある。

 

 それなのに、これほどの戦闘力がある。姿を消していた三年間の間に適応(・・)したと言われればそれまでだが、少しくらいこちらに都合のいい夢を見せてくれてもいいじゃないか……と、ハルオミはそう思わずにはいられなかった。

 

 ──ルゥ?

 

「……」

 

 どうするんだ──と、まるでそういわんばかりにこちらを一瞥してきたルーを見て。

 

 ハルオミは、少しばかり思案した。

 

(【ベターな選択】は、もうわかりきってるんだよな)

 

 現状、ギルの攻撃もハルオミの攻撃も、そしてヒロの攻撃も明確な有効打にはなっていない。ダメージ自体は与えているのだろうが、よほどの奇跡が起きない限りは長時間戦闘は避けられないだろう。今は何とかなっているものの、時間をかければかけるほど体力も集中力も消費されるわけで……いつか、致命的な失敗をやらかさないとも限らない。

 

 だけど、ルーであれば十分な攻撃力がある。というかぶっちゃけ、アラガミとしての格は間違いなくルーのほうが上だろう。現にあのカリギュラは自分たちというよりも、ルーのほうに警戒心を抱いている節がある。

 

 そう、ルーのほうが速いし攻撃力も高いのだ。もしルーが本気になって電撃を使えば、おそらくあのカリギュラはひとたまりもない。少なくとも……ハルオミには、ルーがあのカリギュラに負ける姿を想像することはできなかった。

 

「……ギル、まだいけるか?」

 

「もちろん!」

 

 当然のように返ってきた答え。ハルオミの期待を全く裏切らないその声音には、ギルの闘志がこもっている。

 

 大事な弟分のこの気持ちを無視するなんて、ハルオミにはとてもできないことであった。

 

「いいか、お前らよく聞け……このままじわじわ削るってのも悪くないが、時間がかかりすぎる。ここはひとつ、作戦を立てようじゃないか」

 

「作戦? ……具体的には?」

 

「攻撃が通るとしたら、傷を負っている右半身だ。だけど当然、あいつもそんなことわかり切ってる。普通にやったんじゃ、まともな一撃は与えられないだろう」

 

 負傷しているところを狙うのは当然の話で、そしてアラガミだって本能的にそれは理解できている。だからこそ、ギルたちは未だにダメージらしいダメージをあのカリギュラに与えることができていないのだ。

 

「だから、俺と副隊長さんでカリギュラの右側……ああいや、俺たちから見たら右側ってだけで、つまりはカリギュラの左半身だ。そっちに注意をひきつける。チハルとルーは俺たちの援護。で、ギルは良い感じのタイミングでデカい一撃をあいつの右半身に叩き込め」

 

 お前の神機なら、都合のいい必殺技が使えるんだろう──と、ハルオミは半ば冗談めかして言った。

 

「いいか、なんだかんだ言ってもカリギュラのあの状態が不自然だってことに違いはない。さっきから見ていて確信したが、あいつはできるだけ左半身で攻撃しようとするし、右半身を使おうとすると反応が少し遅れる。完全に不意を突くことができれば──お前のチャージスピアなら、できるだろう?」

 

 通常なら、カリギュラはその巨大で鋭利なブレードを体内にしまい込むことができる。しかし、この紅いカリギュラのブレードは破損しているため、常に露出している状態だ。無事な左のブレードに比べるといくらか動きはぎこちなく、それこそが好機と成り得るのである。

 

「やれるな、ギル?」

 

「やれます……いいえ、やって見せます」

 

「良い返事だ……行くぞッ!!」

 

 ──ルァァァ!!

 

 雄たけびとともに放たれる雷の雨。どどん、どどんと地鳴りすら聞こえてくるほどの勢いで、そんなものに当たっては堪らないとばかりにカリギュラは逃げようとする──も、逃げられるはずがない。閃光と共に放たれた雷撃に体を硬直させ、そしておまけとばかりに叩き込まれた雷のバレットで上体をわずかに仰け反らせた。

 

「おいおい、よそ見すんなよ……な!」

 

 カリギュラが見せたわずかな隙。ハルオミとヒロは全力で突っ込み、各々の神機を剣形態へと変形させる。

 

 ──ガァァァ!!

 

「ちょーっと単純すぎやしないか?」

 

 鋭いブレードによる強力な一撃。うろちょろと近づいてきた羽虫を振り払うはずだったそれは、空を切り裂く音だけを残して空振りする。

 

 ハルオミはしゃがみ。

 ヒロは跳んで。

 

 がら空きの胴体。予期せず到来したそのチャンスを見逃すほど、二人は甘くない。

 

「おらぁ!」

 

「せぇい!」

 

 ──アアアア!?

 

 これまたやっぱり、耳障りな金属音。神機とカリギュラの体が擦れあい、火花を散らす。さすがに無防備なところに二人からの攻撃を叩き込まれたのは堪えたのだろう。先ほどまでとは明らかに反応が違う──すぐに飛んでくるはずの反撃がやってこない。

 

 そして。

 

「あああああッッ!!」

 

 二人よりワンテンポ遅れて走り出していたギルは、既にカリギュラの右半身を攻撃できる位置にいる。

 

 ──アアアア!!

 

「遅ぇよ!!」

 

 手ごたえあり。

 

 渾身の一撃。ギルの神機の穂先は確かにカリギュラのその右腕に突き刺さり……物理法則の当然の帰結として、そのひしゃげたブレードにヒビが入っていく。

 

 瞬きを一回する頃には、そのギラギラと輝いていたはずの刃は完全に砕け散った。

 

「やった……!」

 

 

 

 

「ギルさん逃げてぇ!!」

 

 

 

 

 なんだ、と声を上げる暇もなく。

 

 

「──ッッ!?」

 

 

 ギルは何か太く強靭なものを叩きつけられ、すさまじい勢いで吹っ飛ばされた。




リビナハレバレ(・∀・)パッソーニワ♪
リビナハレバレ(・∀・)パッソーニワ♪
トドゥライラ(・∀・)トドゥライラ
タラミーノ(・∀・)タラミーノ♪
リビノハレハレ(・∀・)リビノハレハレ♪

 ↑一度これ見るともう頭から離れられなくなるっていう。発祥がどこかはわからないのですが、因縁の空(ルフス・カリギュラ戦専用BGM)=リビナハレバレになっちゃいましたね。
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