GOD EATER:救雷の神鳴   作:ひょうたんふくろう

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86 グルメ・ツアー:結果報告書

 

【グルメ・ツアー:結果報告書】

 

 本報告書は、2074年7月に発行されたミッション(グルメ・ツアー/ミッションコード:7407NO028)の結果について報告するものである。

 

※支部長命令により、本報告書の閲覧には制限がかかっています! 閲覧権限の申請は別途申請フォームより行ってください。

 

◆目次◆

 

【概要】

 ◇対象ミッション

 ◇ミッションコード

 ◇ミッション開始日

 ◇ミッション参加者

 ◇ミッション目的

 ◇ミッション結果

【経緯】

 ◇ミッション発行

 ◇作戦行動中

 ◇ミッション完了

【その他】

 ◇香月ナナの《誘引》について

 ◇新種の感応種について

 

◆本文◆

 

【概要】

 

◇対象ミッション

 グルメ・ツアー

 

◇ミッションコード

 7407NO028

 

◇ミッション開始日

 2074年7月29日

 

◇ミッション参加者

 

・神威1番隊

 神威ヒロ(上等兵/ブラッド/副隊長)

 香月ナナ(上等兵/ブラッド)

 台場カノン(上等兵/第四部隊)

 桜田チハル(上等兵)

 

・ヴィスコンティ2番隊

 ジュリウス・ヴィスコンティ(大尉/ブラッド/隊長)

 シエル・アランソン(上等兵/ブラッド)

 ソーマ・シックザール(少尉/クレイドル)

 

・雨宮3番隊

 雨宮リンドウ(少尉/クレイドル)

 アリサ・イリーニチナ・アミエーラ(少尉/クレイドル)

 榎本ケイイチ(新兵)

 松宮レイナ(新兵)

 

・真壁4番隊

 真壁ハルオミ(少尉/第四部隊/第四部隊隊長) 

 ロミオ・レオーニ(上等兵/ブラッド)

 片桐キョウヤ(上等兵)

 

・藤木5番隊

 藤木コウタ(少尉/クレイドルおよび第一部隊/第一部隊隊長)

 ギルバート・マクレイン(曹長/ブラッド)

 エリナ・デア=フォーゲルヴァイデ(新兵/第一部隊)

 エミール・フォン・シュトラスブルク(新兵/第一部隊)

 

◇ミッション目的

 作戦エリア内のアラガミの掃討、巡回および香月ナナの《血の力》の制御。

 

◇ミッション結果

 成功。60体を超える中型以上のアラガミを討伐。香月ナナの《血の力》の安定的な制御を確認。また、新種の感応種アラガミの発見(後述)

 

【経緯】

 

◇ミッション発行

 2074年7月28日、鎮魂の廃寺近辺にてアラガミの殲滅任務に赴いていたブラッド隊が、突如として大量のアラガミに囲まれて孤立するという事件が発生した。また、ほぼ同じタイミングでブラッド隊の香月ナナ上等兵が戦闘中に意識を失い戦闘不能となり、ブラッド隊は撤退を余儀なく求められる事態となった。

 ブラッド隊は無事にアナグラに帰投することができたが、その後の調査により、アラガミは香月ナナ上等兵の不安定に覚醒した《血の力》に引き寄せられていた可能性が高いことが判明。ペイラー・榊およびラケル・クラウディウスの両名より、《血の力》を制御するには《血の力》を開放し、完全に覚醒させる必要であるという見解が示された。

 香月ナナ上等兵の《血の力》を開放すると周囲のアラガミを引き寄せてしまうため、神威ヒロ上等兵、香月ナナ上等兵を両名を必須参加者とした指名制の討伐ミッションとして7407NO028が2074年7月29日に発行。5部隊18名から成る神機使いが現地に派遣された。

 このミッションは特例的に複数の作戦エリアを跨いで実施するものとされた。香月ナナ上等兵は《血の力》を開放しながら所定のルートを移動し、各ポイントに待機した神機使いが《血の力》によって引き寄せられたアラガミを背後もしくは側面から攻撃し、殲滅するという流れが想定されていた。

 

◇作戦行動中

 0948頃、神威1番隊は陸路にて作戦エリアに到着。香月ナナ上等兵の《血の力》を開放し、ルートに沿って移動を開始した。《血の力》により周囲のアラガミが神威1番隊に引き寄せられたが、神威1番隊は前方に塞がるアラガミに絞ってこれを撃破。道中にて特に苦戦をすることは無く、アラガミを引き連れながらヴィスコンティ2番隊が待機するポイントへと向かっていた。

 神威1番隊が移動を開始する頃にはほかの部隊も指定のポイントに到着。迎撃準備は着実に進められていた。

 1015頃、神威1番隊はヴィスコンティ2番隊が待機するポイントへ到着。ヴィスコンティ2番隊は神威1番隊に引き寄せられたアラガミへの攻撃を開始。この時点で神威1番隊に引き寄せられたアラガミは小型種を含めて120体ほど確認されていたが、ヴィスコンティ2番隊は着実にアラガミを撃破していった。

 1023頃、神威1番隊は雨宮3番隊が待機するポイントへの移動中にクアトリガ神属の第二種接触禁忌種であるポセイドンと遭遇。この時点で神威1番隊に第二種接触禁忌種との戦闘許可を持つ神機使いはいなかったが、隊長である神威ヒロの判断により、緊急事態における特例措置として戦闘を開始。これを撃破した。

 ほぼ同じころ、所定のポイントにて待機していた真壁4番隊の片桐キョウヤ上等兵が目視にて新種の白いアラガミを確認した。このアラガミはガルム神属と思われる姿をしており、実力が全くの未知数であったことから隊長である真壁ハルオミは潜伏しての静観を選択したが、当該アラガミは数百メートルは離れていた真壁4番隊を察知し移動を開始。真壁4番隊は迎撃を余儀なく選択する事態となった。

 この時、真壁4番隊のロミオ・レオーニ上等兵より、新種の白いアラガミに遭遇した旨が神威1番隊に伝えられていた。

 白いアラガミとの戦闘を開始した真壁4番隊であったが、そのアラガミは感応種であったため、感応種の神機封じの影響を受け、片桐キョウヤ上等兵は神機を使えない状態となった。真壁4番隊はブラッドアーツ習得者で感応種の神機封じを受けない真壁ハルオミ少尉、同じくブラッドであり神機封じを受けないロミオ・レオーニ上等兵が中心となって戦闘を継続。神機が封じられた片桐キョウヤ上等兵はスタングレネード等を用いて戦闘を支援した。

 1040頃、真壁4番隊の異常事態を察知した神威1番隊が真壁4番隊と合流。ブラッドおよびブラッドアーツ習得者らによる共闘にて、感応種である白いアラガミを撃破した。

 感応種を撃破した両部隊であったが、香月ナナ上等兵の《血の力》によって引き寄せられたアラガミは健在であった。また、それとは別に感応種との戦闘音を察知したアラガミが集結しつつあり、もはやその場から離脱することは難しい状況となってしまっていた。

 各ポイントに待機している部隊に救援要請を送った両部隊は、救援が来るまでその場にて戦闘を継続することを決定。アラガミとの戦闘を開始した。

 アラガミとの戦闘中、片桐キョウヤ上等兵が一部のアラガミが明らかに異常な活性化状態にあることを発見。後の調査により、それらのアラガミは感応種による偏食場パルスの影響を受けていることが分かった。

 1118頃、各部隊が神威1番隊、真壁4番隊と合流。アラガミの殲滅を開始した。

 

◇ミッション完了

 1142頃、周囲のオラクル反応の完全な消失が確認されたため、これを以てミッション完了と判断。5部隊18名の神機使いは同日の1256頃にアナグラに帰投した。榎本ケイイチ、エリナ・デア=フォーゲルヴァイデら数名の神機使いが全治一日程度の軽傷を負ったほかに負傷者は無し。

 帰投後の調査にて、香月ナナ上等兵より《血の力》の覚醒者に見られる特有の感応波が安定的に観測されたため、これを以て《血の力》の完全な覚醒および制御は成されたと判断。任務中、香月ナナ上等兵はほぼずっと《血の力》を開放していたため、これが力の安定化につながったのだと推測される。このことについて、香月ナナ上等兵は『《血の力》を使っても使わなくてもすんごい乱戦状態だったし、だったら思いっきり使っておいた方がお得だよ! ……ってヒロに言われたの!』と述べている。

 

【その他】

 

◇香月ナナの《誘引》について

 香月ナナ上等兵が覚醒した《血の力》は「固有の偏食場パルスを発生させて敵を引き寄せる疑似フェロモンと化す」というもの。効果としては携行アイテムの挑発フェロモンと同じだが、その影響力、影響範囲は挑発フェロモンよりも大きく、より広い範囲のアラガミの注意を強く引くことができる。戦術的価値が大きい反面、取り扱いを間違えば使用者である香月ナナ自身へのリスクが跳ね上がるため、香月ナナに対する専用の戦術講座の開講が検討されている。なお、この血の力はラケル・クラウディウスにより《誘引》と名付けられた。

 

◇新種の感応種について

 本ミッション中に発見された白い感応種は、採取されたオラクル細胞のサンプルよりガルム神属であると同定された。概ねガルムと同じ体格、骨格をしており、白い体毛と赤い筋繊維状の触手が特徴的である。原種のガルム同様、熱を操る能力が確認されているが、攻撃範囲、威力共に大きく強化されており、単純な戦闘能力だけでも十分な脅威と言える。

 感応種として、【戦場にいるアラガミを呼び寄せる】、【自身の活性化時に、周囲のアラガミをも活性化させる】という二つの能力を持っている可能性が高いということがわかっている。詳細については今後調査予定である。

 

 本アラガミはガルム神属・感応種として【マルドゥーク】と名付けられた。なお、上記情報は現在までの情報を暫定的にまとめたものであり、今後の調査結果次第では見解が変わり得ることに注意されたし。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「おや──珍しいね、キミのほうから私を訪ねてくるだなんて」

 

 支部長執務室。どうせ今日も呼ばれるのだろうと覚悟を決めていたリンドウは、ちょっとした意趣返しも兼ねて自らその場所を訪れた。榊はいつも通りの様子でいつもの椅子に座っており、そしてリンドウが期待した通り、その傍らにはいつもの缶ビールがある。

 

「ちぇっ……一本だけかよ」

 

「……まさかとは思うが、ビールを飲みに来たのかい?」

 

「それ以外に何がある?」

 

 勝手知ったるなんとやら。いつもの場所にどかっと腰を下ろしたリンドウは、まるでそれが当然だと言わんばかりに缶ビールを手に取って、そのプルタブを勢いよく捻った。

 

「ふぅー……」

 

「美味しそうに飲むねえ」

 

「実際、美味いからな……で、だ」

 

 ごくり、ごくりとのどを潤し、タン、と缶を机に置いて。

 

 リンドウは、榊に問いかけた。

 

「あんたのことだ──俺に聞きたいことがあるんだろ?」

 

 今日の任務。【グルメ・ツアー】と名付けられたそれは、ナナの《血の力》の制御を目的としたものだった。実際に《血の力》を使うナナや、ルーに乗って指示するチハルはともかくとして、ただ誘導されたアラガミを殲滅するだけのリンドウにとっては、ちょっと変則的な討伐任務というだけでしかない。

 

 本来であれば、話すことなんて何もないが……そんな任務の最中に、よりにもよってルーとそっくりのアラガミが現れたのだ。この事実にあの榊が興味を持たないはずが無いと、リンドウは確信をもって言うことができる。

 

「まあ、俺が到着したときにはほとんど何も残ってなかったんだけどな。一応、ハルオミやキョウヤからヒアリング自体はしているぜ」

 

「さすがだね……ただ、今夜はあまり多くは語れそうにないんだ」

 

「……あん?」

 

 おや、とリンドウは心の中で首をひねる。この好奇心旺盛で何を考えているのかわからない榊であれば、【ルーとそっくりなアラガミが現れた】という事実から多くのことを推定し、そして自分が考えすらしないであろう衝撃的な事実を導き出すと思ったのに……どうも、今日はそういうわけではないらしい。

 

「ビールが一本しかないのは、そういうわけだからだよ」

 

「おいおいおい……じゃあなんだ、あんたは俺が今晩やってくるかもしれないから、念のためにビールを用意してたってことか?」

 

「まぁ、そうなるね……でも、安心してほしい。ビール一本分くらいの情報は聞かせてもらおうと思っている」

 

 それは果たして、本当に安心できるのか。

 

 なんだかいつもと違う類の不安感に襲われながら、リンドウは視線で続きを促した。

 

「改めて確認させてほしい……あの白いガルムは、感応種だったんだよね?」

 

「おう。キョウヤの神機が途中で使えなくなったって言ってたから、まず間違いない」

 

「……」

 

「ガルムよりかは数段強いが、ルーには全然及ばない。扱えるのは電気じゃなくて炎だったって話だし……まぁ、ガルムが順当に進化して生まれた感応種だろ」

 

 ガルムにそっくりな見た目で、ガルムと同じく炎を操る。キョウヤの神機が使えなくなったことから感応種であることは間違いなく、そしてルーほど知能が高いわけでも、ましてや人間と分かり合えるわけでもない。

 

「リンドウくん、キミは……そのアラガミが、二体目の人造アラガミだと疑わなかったかい?」

 

 人造アラガミ。リンドウと榊が確信に近い疑惑を抱いている、ルーの正体。件のアラガミがルーとそっくりな見た目をしているということは、そのアラガミも人造アラガミであると捉えるのは思考の流れとしてそう不思議なものではない。

 

「無いな、絶対に」

 

 そんな推定を、リンドウはばっさりと切り捨てた。

 

「そりゃ、連絡を聞いたときはチラッと思ったけどよ。話を聞く限りじゃマジにただのアラガミだ。ルーほどの知性もなかったって話だから、やっぱりガルムが進化して生まれた感応種だろ」

 

「……ルーくんは、通信が入った直後に命令を無視してロミオくんの元に駆けたそうじゃないか。例えばだが──二体目の存在が我々に露呈する前に、処理(・・)をしたかったということは無いだろうか?」

 

「単純に、強力でヤバそうなアラガミに気づいたからってだけかもしれないぜ? あの感応種、周囲のアラガミを活性化させる能力があったらしくてな。近くにいたアラガミ全てが不自然に活性化していたんだと」

 

「……」

 

「だいたい……二体目なんて造れるのかよ? あんた言ってただろ、人造アラガミを造るにはとんでもないリソースが必要だって。仮に造れたとして、一度ルーを脱走させているラケル博士が同じミスをするとは思えないし、二体目を確保しているなら……予備のスペアがあるってんなら、危険を冒してまでルーを回収しに来る理由もない……と、思う」

 

 これまで榊と話してきた内緒話を総合すると、そういうことになる。そしてもし本当に二体目だったとして、ハルオミはともかく身内であるはずのブラッド隊のロミオまで襲われるというのはどうにも不自然だ。ラケルの性格的に家族を傷つけるような真似は絶対に許さないはずだし、件の感応種には人造アラガミとしての特徴がどこにもない。

 

「神機使いのカンで言わせてもらえば、アレは普通にただのアラガミだ。ルーとは別物だって実際に戦ったハルオミたちも言っているし、ルーだって同類を喰らおうとまでは思わないだろ」

 

「……」

 

「そもそも、感応種を造るってこと自体が無理だろ。ラケル博士が造ったものだと無理矢理こじつけたとしても……失敗作とかそういうやつじゃないか? 少なくとも、ルーとは全然違う何かだよ」

 

 つまり、結論としては。

 

「あの感応種は普通のアラガミで、やっぱりルーは普通のアラガミじゃない……特別な存在、すなわちラケル博士が造った人造アラガミだ。……その事実が浮き彫りになったってことじゃ、ないのか?」

 

 感応種という、ガルムが進化したアラガミが出現したからこそより際立ったルーの特異性。そしてそれは、ルーの本当の意味での特異性を理解している自分たちの考えが正しかったという根拠の一つになる。

 

 今回の感応種の出現を、リンドウはそういう風に捉えていた。

 

「……やはり(・・・)キミもそういう風に考えているのか」

 

「……うん?」

 

「……私も(・・)、そう思えてならないんだ。つまりその感応種は、ガルムが順当に進化したアラガミであると……理性はもちろん、経験や感性といった定性的な感覚においてもそう判断している」

 

「……じゃあ、何が問題なんだよ」

 

 榊のその言い方。そして、わかり切っているはずの事実をあえてこうして言葉にして、自分という名の第三者に投げかけることで再解釈しようとするその行動。

 

 リンドウは知っている。こういう時の榊は、何か自分ではとても想像も及ばないような事実に気づいているのだと。

 

「──だから(・・・)問題なんだよ……」

 

「……はあ?」

 

「もしかすると──私は、何か大きな勘違いをしているのかもしれない」

 

 今までに無いほど不可解な榊の言葉。言葉は通じているのに、リンドウには榊が何を言っているのかさっぱりわからない。

 

「ただ頭の中で思考を重ねているだけの私と、実際に現場を見聞きしているキミで意見が一致した。であれば、それはきっと事実である可能性が高い……と、判断せざるを得ない」

 

「……それの何が問題なんだ? 俺とあんたの考えが同じで、何か困ることでもあるのか? だいたい、二体目の人造アラガミだなんて非現実的すぎるし、あんたもそう思っているなら……それで終わりの話だろ」

 

 リンドウは、ビールで喉を湿らせる。

 

 そして……榊の目を見据えて、はっきりと言った。

 

「前々から言ってるけどよ……あんたの話は、わかりづらいんだ。俺の頭でもわかるように、はっきりと結論を言ってくれ」

 

 それに対する、榊の答えは。

 

 少しばかり、リンドウの予想を裏切るものだった。

 

 

 

 

 

「……言いたく、ない」

 

 

 

 

 

「……理由は?」

 

 少しばかりの苛立ちを静かに押し殺して、リンドウは続きを促した。

 

「自分でも信じられないし、可能性としてあまりにも低すぎる。荒唐無稽が過ぎるし、科学者として……いいや、私自身の価値観として、こんなにも不確定で無茶苦茶な話をしたくはない」

 

「アレか? 辻褄だけは合う一つの可能性の話ってか? 観測者としてただ事実を純粋に受け入れたときに見えてくる云々ってやつか?」

 

「まあ、そうなるね」

 

「そんなの今更の話じゃねえか……なんで今日に限って渋るんだよ……」

 

 がっくりと肩を落としたリンドウに対し、榊はどこか申し訳なさそうに、悪戯が見つかった子供のようにおそるおそる問いかけた。

 

「……怒らないかね?」

 

「内容による」

 

 普段からその殊勝さがあればどれだけ良いことか──と思いながら、リンドウはビールをぐいっと呷って続きを促した。

 

「もし、もしもだよ? 私の推測が本当に正しければ……」

 

「……」

 

「我々は、滑稽に踊り狂う愚者であるか……」

 

「……」

 

 

 

 

 

「あるいは、ラケル博士がアラガミと同じ──いいや、アラガミを超えた才覚(センス)をもつ大天才である、ということになるね」

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