書き始めたときはまだ、琴乃は姉妹は持ってなかったので、本当に淡々としたものになってしまいました。
茜「逆にTwitterで暴れとるウチは、ここからの逆輸入なんやよな」
葵「私はあっちだと、随分変わっちゃったね。おつまみ担当になってるし」
茜「そんでオッチャン(マスター)がお酒飲めんなったから、笑えるわな」
葵「お姉ちゃん! 全然笑えないよ!」
茜「まぁ、もうすぐ飲めるようになるから、笑ってええやろ」
葵「もぅ、それでは、本文をどうぞ」
「葵〜? 今日は昼ぐらいから雨が降るらしいで。傘を忘れんようにな」
お姉ちゃんが朝ごはんのサンドイッチを切りながら、私に教えてくれる。
今は梅雨だし、雨が多いのは当然だ。
「また雨か〜、本当に嫌になっちゃうね」
「しゃあないわ。気象庁にクレーム入れても止むもんやないしな」
喋りながらも、お姉ちゃんはテキパキとサンドイッチをお皿に盛り付けて、サラダとコーヒーを用意する。
「さ、はよ食べて歯ぁ磨いて、学校行こか。戴きますや」
「戴きます」
何時もながら、お姉ちゃんのサンドイッチは美味しい。
色々と挟まってて、味付けも絶妙。
今日のサンドイッチは玉子ハムサンドと苺ジャムマーガリンサンド。
コーヒーはブラックだけど、その苦味が舌をリフレッシュしてくれて、サンドイッチを、口に入れるたびに新鮮な味になってる。
毎日、お姉ちゃんの料理を食べられる私は、本当に幸せだ。
いつまでお姉ちゃんの料理を食べられるのかな?
いずれはお姉ちゃんにも素敵な彼氏が出来て、その彼氏に手料理を振る舞ったりして、私に構ってくれなくなるんだろうな…
何でだろう? 美味しい物を食べてるはずなのに、悲しい気分になってくる。
「葵? 元気ないで? 風邪でも引いたんか?」
「ううん。大丈夫だよ。ちょっと嫌な夢を思い出しただけ」
「どんな夢や? お姉ちゃんが聞いたるで、って言いたいけど時間がないわ。ほれ、食べたらシャワー浴びぃ。ウチはお弁当を用意しとるわ」
お姉ちゃんはすぐに食べ終わって、お弁当を詰めに入る。
お姉ちゃんが言うには、ご飯の蒸気を抜くのがポイントらしい。
お姉ちゃんのお弁当、本当に美味しいんだよな…
私はお風呂に向かいながら、お姉ちゃんのお弁当について考える。
私の悩みなんて、お姉ちゃんには言えないな…
私達の学校は、家から商店街を抜けてその先にある。
私達は益体もない話をしながら、商店街を抜けて学校に向かう。
でも、お姉ちゃんの笑顔を見てると、朝に思った事が浮かんでしまう。
お姉ちゃんとは、いつまで一緒に暮らそう居られるのかな…?
お姉ちゃんのウイットに笑いながら、それでも考える。
どうしても生返事になりながら会話してると、やがて学校に着いてしまった。
「それじゃ葵、またお昼なぁ〜」
玄関で上履きに履き替えて、お姉ちゃんと別れる。
双子で琴乃葉が二人いると面倒なのだろう。
私とお姉ちゃんは小学校以来、同じクラスになったことはない。
寂しいな…
でも、お昼にはお姉ちゃんと一緒にご飯を食べられる。
そう思って授業を受ける。
もちろん、授業は半分上の空。先生がなにか言ってるくらいにしか思えない。
そして、待望のお昼。
クラスのドアから、お姉ちゃんが顔だけを出す。
何で入ってこないの?
「済まん! 葵!」
お姉ちゃんは目を瞑って、両手を勢い良く合わせる。
「相談されたんや! 前に言うたろ? ウチが取り持ったカップルや!」
そう言えば、何か言ってたっけ。
古い言い方をすれば、お姉ちゃんが愛のキューピッドしたんだっけ?
「相談が長引きそうで、ご飯食べながらの相談になったんや! 済まん!」
わがまま言っても仕方ないもんね。
私は笑顔で返す。
「良いよ。お姉ちゃん、コミュニケーションモンスターだもんね。みんな頼っちゃうのは仕方ないよ」
「誰がモンスターや! 葵、埋め合わせは必ずするからな!」
もう一回、お姉ちゃんは拝むように手を合わせて行ってしまう。
行っちゃった…
私はカバンからお弁当を出して広げる。
ブチトマトの赤とブロッコリーの緑が良い彩りになってるけど、食欲が湧かない。
何でだろう、今日は気分が沈んていっちゃうな。
私は一人で黙々と食べる。
周りでは、席をくっつけたり椅子を動かしたりして、一緒に食べてる子達ばかりなのに…
「あ、雨、降ってきたね」
誰かが言ってるので窓の外を見ると、雨粒が窓ガラスを濡らしていくところだった。
窓で遮られてるのに、私の心も濡れていきそう…
結局、午後の授業も何をやったかなんて覚えていない。
ただ、授業を受けたって事だけ覚えてる。
ボンヤリとお姉ちゃんの事を考えていると授業が終わってたので、私は教科書とかを纏める。
カバンに荷物を入れてると、中に折り畳み傘があった。
そう言えば朝、お姉ちゃんに持っていけと言われたっけ。
「葵〜? 迎えに来たで〜」
お昼みたいに、ドアからひょっこりとお姉ちゃんが顔を出す。
「お姉ちゃん」
お姉ちゃんの顔を見ただけで、少し気持ちが上向いた。
「外は雨やで、傘ぁ持っとるよな?」
「あっ…」
とっさに私は、カバンから傘を出して机に入れてた。
「忘れたみたい」
「しゃあないなぁ。ほれ、帰るで」
「えっ? でも、傘…」
「ウチが持っとる。ほれ、葵」
教室に入ってきて、お姉ちゃんは私の手を掴んで立たせてくる。
荷物は纏まってるので、私は逆らわずにそのままお姉ちゃんに着いていく。
帰り道。
お姉ちゃんと一つの傘に入って私達はくっついて歩いている。
「お姉ちゃん、歩きにくくない?」
「アホやなぁ葵、くっつかんと濡れるやんか」
すぐ近くで、お姉ちゃんの笑顔がこっちを向く。私には出来ない満面の笑顔、見てるだけでこっちの顔まで綻んでしまう。
近すぎてくっついてる肩が、熱い。
肉親に、姉妹なのに、こんな気持になっちゃう私はやはり、どこかおかしいのかな…?
またそんな事が頭をよぎって、お姉ちゃんと一緒になのにまた気持ちが沈み込もうとする。
「なぁ、葵? 今日は何か変やないか?」
やっぱり、お姉ちゃんから見ても変だったんだ。
「そうかな…? 私は元気だよ?」
「嘘はいかんで。元気がないのは判っとるんや。話してみぃ」
そう言ってお姉ちゃんは親しい友人にするように、私の肩を抱いて覗き込んでくる。
ちょっと澄ました、真面目な顔だ。
何を、どう言い出せば良いんだろう…
私が切り出せないでいると、お姉ちゃんは待ってくれてる。
その間に、かなり歩いてしまった。
「あのね…」
「うんうん、少しずつで良いんや、思うように話ぃ」
「お姉ちゃんと、いつまで一緒にいられるのかな?」
「う〜ん、難しい話やなぁ」
私を覗き込んでいたお姉ちゃんは、上を向いて悩んだ顔。
お姉ちゃんは残酷だった。
「無理やで。いつか、葵にも好きな人が出来るんや」
お姉ちゃんが私を抱く手が強くなる。
「でもな、葵… いつか、一緒に暮らせん日が来る」
嫌! 私は逃げたい!
どこに!?
だけど、お姉ちゃんは私を逃げさてくれない。
「なぁ、葵? 素晴らしいと思わんか? ウチはこんな妹がいて幸せや」
私は思わず欲しく咳払いをしてしまう。
「突然、何?」
そう言い返すのが精一杯だった。
「葵が誰を好きになっても、誰と結婚しても、ウチの妹だってゆうのは変わらへん。
これはな、ウチも葵も死んでも変わらんのや。ウチと葵は姉妹。これだけは永遠や。嫌か?」
「嫌じゃないよ!」
聞いてくるお姉ちゃんに、私は思わず声を大きくして返してしまう。
私は堪らず、お姉ちゃんの肩に顔をうずめてしまう。
「お姉ちゃん、ゴメンね、ゴメンね」
「ええよええよ、誰だって調子の悪い時はあるわ。気にせんとき」
そうお姉ちゃんは優しい声で、私の頭を撫でてくれる。
その手の動きは、お姉ちゃんの声と一緒で優しい動きだった。
「ほれ葵、そのままでエエから、帰るで」
「うん…」
私がお姉ちゃんに顔をうずめてるので、二人でゆっくりと歩いて家に帰った。
「葵、冷えとるようだから、先にお風呂入りぃや。ウチは何か温かいものを作っとくで」
「ありがと、そうさせてもらうね」
本当に冷えたのか、少し咳が出る。クシャミも出た。
お風呂で温まったのは良いけど、何だかぼうっとしてきた。
お風呂から上がると、お姉ちゃんの顔色が変わった。
「葵!? 真っ赤やんか! 風邪引いたんちゃうんか!?」
「ううん、大丈…」
最後まで言う前に、咳が出る。
「完全に風邪やん。朝から調子悪かったのは、そのせいやないか?」
「そうかな? そうかも」
「判ったから、葵は寝ておきぃ。ご飯が出来たら持ってくわ。スープ作ったけど風邪に効くもんにするかぁ」
何の事はない。
朝から調子が悪かったのは、風邪のせいだったんだ。
とにかく眠って、明日はいつもの私に戻ろう…
(終わり)
ただお題を貰っただけで、内容までは指定が無かったので年齢指定無しになりました。
まぁ、琴乃葉姉妹でR-18を書けと言われても、難しそうですが。
リクエストなどがありましたら、Twitterで黄十字を探してください。
あるいはTwitterで「#ずんきりお喋り」を探すと、毎日数回、SSっぽいのが読めます。