問題だらけで草ァ!! -Toward the sky- <1st Season>   作:白鷺 葵

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【諸注意】
 1.この作品は『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版です。
 2.『ガンダム00』を原作に、アニメ版『地球へ...』、及び『スーパーロボット大戦』や『Gジェネレーション』シリーズ等の要素とクロスオーバーしています。
 3.主人公含め、オリキャラが多数登場します。
 4.キャラ改変や原作崩壊、原作死亡キャラの生存要素があります。
 5.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 6.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 7.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 8.基本はギャグとラブコメ色強めですが、時々シリアスになります。
 9.読了後に如何なる負の感情を抱かれても、書き手にはどうすることもできません。

 10.『◆◆◇』が「虚憶⇒現実」、『◇◇◆』が「現実⇒虚憶」、『◆◆◆』が「虚憶⇒虚憶」、『◇◇◇』が「現実⇒現実」、『◆』が「特殊な意味合いが含まれている」場面転換、及び視点切り替えになります。
 11.『*』は「短時間経過での場面転換・視点はそのまま」、『**』及び『***』が「長時間経過での場面転換・視点はそのまま」を意味しています。
 12.良くも悪くも飯テロ要素があります。注意してください。

上記が大丈夫の方は、本編をお楽しみください。


24.流れる星

 

 女王バジュラを乗っ取った電脳貴族たちは、最初こそ尊大な態度でアルティメット・クロスを見下していた。

 だが、こちらの攻撃を余裕綽々に受け続けてきたツケが回って来たらしく、機体(からだ)のあちこちに損傷が目立ち始める。

 “人の欲望が生み出した醜悪さの権化”――そう呼ばれただけのことはあるようで、奴らはそれを再び振りかざした。

 

 

「この銀河の支配者に歯向かうなど無意味なこと!」

 

「このまま沈めてくれる!」

 

 

 無数の意識で構成された異形から響いたのは、老若男女複数人の声。

 

 奴らは有線を繋ぐことで隷属化させた女王バジュラと旗本艦たるバトル・ギャラクシーの力を使い、マクロス・クォーターに狙いを定めたようだ。奴らが本当の意味で標的にしたのは、ステージで歌う歌姫たち――シェリル・ノームとランカ・リー。

 彼女たちの歌には特殊な事情――バジュラがコミュニケーションで用いる微弱なフォールド波が発生している――があり、それが電脳貴族たちにとって不利益なモノだった。実際、奴らがインプラント制御していたブレラ・スターンはランカの歌によって制御下から脱している。

 

 

「ボビー、緊急回避だ!」

 

「うおおりゃあああああああ!」

 

 

 艦長たるジェフリーの指示を受け、ボビーが舵を切るのが《視えた》。しかし、バトル・ギャラクシーより小型とはいえ、マクロス・クォーターは戦艦の中でも大きい部類に入る。

 躱しきれるか否か、ギリギリの状態だ。思わずと言った調子でアルトが声を上げる。

 

 

「シェリル、ランカ!」

 

「あたしたちは負けない!」

 

「時空を飛び越え、銀河の果てまで……!」

 

「あたしたちの歌を聴けぇぇぇーッ!!」

 

 

 2人の歌声が戦場に響き渡る。それを掻き消さんと言わんばかりに放たれた規格外の砲撃。轟音が響き渡りはしたが、2人の歌は途絶えることはなかった。煙が晴れた先には、未だ健在なマクロス・クォーターと、それを守るようにひしめくバジュラの群れ。

 一部のバジュラはマクロス・クォーター――否、シェリルとランカの無事を確認するかのように視線を向けた。彼らは言語は持たないけれど、フォールド波越しから《聴こえた》《聲》は、シェリルとランカを守るために馳せ参じたことを告げている。

 シェリルとランカの歌は途切れていない。それを確認した一部のバジュラが、安堵の《聲》を残して爆散する。個体の中には“自分では命と引き換えにしないと盾になれない”と自覚していた者がいたようで、他の仲間に後を託していた。

 

 

「あ、あれは――どういうことだ!?」

 

「現れた、バジュラたちが……!」

 

「マクロス・クォーターを、守っている……!?」

 

 

 アスラン、アマルガン、瑠璃が驚きの声を上げる。

 

 女王ごと支配下に置かれていたと思われていたバジュラの中には、奴らのインプラント制御を逃れた部隊がいたらしい。残ったバジュラたちは尚もマクロス・クォーターを守るために立ちはだかる。まるで、“梃子でも動かぬ”と言わんばかりに。

 それに動揺したのは電脳貴族たちだった。女王さえ支配下に置くことが出来れば、ネットワークを通じて群れの1つを丸ごと生物兵器にすることができる。奴らの持っているインプラント技術と併用すれば、いずれはバジュラという種族自体を生物兵器に出来るはずだった。

 

 

「クッ……もう1度だ! 最大出力のマクロスキャノンで、バジュラ諸共消し去ってくれる!」

 

<――!!>

 

 

 “完璧だったはずの目論見に、僅かながらの綻びが生じている”――それをあくまでも“偶然の産物”と断じた電脳貴族は、再びマクロス・クォーターに狙いを定める。

 生き残ったバジュラたちは電脳貴族からの悪意を察知したらしく、自身の防御機構を最大で展開する。“自身の命に代えても、マクロス・クォーターを守る”という決意が《聴こえてきた》。

 自身の不利は重々承知したうえで、自身が満身創痍であることも理解していて、それでも絶対に引こうとはしない。思わずクーゴはバジュラたちの救援に向かおうとし――

 

 

<――!!>

<――!!>

 

 

 《聴こえてきた》《聲》に息を飲む。2発目のマクロスキャノンが放たれる直前、砲撃とバジュラたちの前に、彼らが割り込むようにして飛び込んできたのが《視えた》。

 知っている。あの影は、今まで何度も戦いを繰り広げてきた相手だったから。片方は竜宮島で、もう片方は宇宙で、対話と共存の道を選んでくれた種族だったから。

 

 

「な、何ぃッ!?」

 

「フェストゥムに、“金属生命体”か!」

 

「みんな、助けに来てくれたの!?」

 

 

 再び攻撃を阻まれて驚愕する電脳貴族。さもありなん、次に馳せ参じたのは“金属生命体”とフェストゥムたちだ。奴らがアルティメット・クロスに押し付けるような形で放置していた異種族である。

 

 クーゴとイデアの声を聞いた金属生命体とフェストゥムたちは、意気揚々と<是>や<肯定>の返事を返す。そのうちの一部は、バジュラとマクロス・クォーターの無事を確認した後、安堵の《聲》を遺し崩壊した。

 彼らの《聲》を《聴き取れた》者たちは目を輝かせた。《聴き取れない》面々は困惑しているようだったが、ルカから齎された情報――“他の宙域に“金属生命体”とフェストゥムが出現した”――に息を飲む。

 

 

「それに、これは――」

 

「バジュラが次々とインプラントから解放されている……?」

 

「みんな、私たちに力を貸してくれているの?」

 

 

 ルカの言葉を引き継いだネネと芹が驚きの声を上げる。芹の問いに答えたのは、バジュラを痛みから解放するためにアルティメット・クロスへ合流した操。

 

 

「みんなが、<キミたちを守りたい>と思っているんだ。バジュラも、“金属生命体”も、フェストゥムも……! この宇宙に生きるすべての命が、キミたちの意志を――!」

 

 

 ――胸の奥から溢れたこの感情を、何と例えよう。

 

 アルティメット・クロスは様々な戦いを乗り越えてきた。心を通わせ手を取り合うことが出来た相手もいれば、心を通わせても手が届かなかった相手もいる。中には決裂し、倒すしかなかった者もいた。

 異種族との対話を目指した自分たちに対し、心無い言葉をかけてきた者がいた。「邪魔な連中は皆殺しにすればいい」と言った者や、「すべての命を踏み台にしてのし上がろう」と画策する者もいた。

 異種族と対話しようと試みた結果、命を落としてしまったり、植物状態に陥ってしまった者だっている。そのときの遺恨が燻っていなかったかと問われたら、否とは言い切れないのも事実だ。

 

 けれど、でも、それでも――手を伸ばすことを諦めなかった。

 その果てにつかみ取った未来が、今この瞬間に続いている。

 

 

(――《識っている》)

 

 

 遠い昔、クーゴは今の光景とよく似たものを見たことがあった。

 

 

(幼い頃に《視た》“おはなし”に――虚憶(きょおく)に、同じ光景があった)

 

 

 あの頃のクーゴは、体が弱い子どもだった。周囲からは“長くは生きられないだろう”と目され、憐みの眼差しを向けられていた。将来を諦めていた子どもが《視た》、浪漫と希望に満ちた光景。

 分かり合いたいと願い、手を伸ばし続けた人々の旅路。積み重ねられてきた平和への可能性が、今この瞬間、こんな形で結実する――因果応報とはこのことか。

 

 

「命は、ひとつ……!」

 

 

 サヤが零した感嘆の声を皮切りに、仲間たちが口を開く。今までの旅路を――乗り越えてきた数多の困難を、噛み締めるようにして。

 

 

「間違ってなかったんだ! 僕たちがやろうとしてきたことは!」

 

「そうだ……! 争いをなくすコトは、滅びへの道なんかじゃない!」

 

 

 キラと浩一が。

 

 

「すべての命が、手を取り合って……!」

 

「想いを、重ねて……!」

 

「――こんなにも素晴らしいカタチが、滅びへの道であってたまるものかあッ!」

 

 

 アルトと刹那の言葉を引き継ぎ、アニエスが叫ぶ。それは、嘗てアルティメット・クロスが降した機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)が自分たちに向けた言葉に起因したものだった。

 

 

『それ程までの力がありながら、お前たちは何故、自ら滅びの道へと向かうのか』

 

『想像力を失った種は、生きるコトを許されない。ならば、死こそが想像の糧。死こそが、命の始まり』

 

『その糧を1つ摘み取れば、人類は1つ、滅びへと向かう』

 

 

『人類を滅ぼすのは我々ではない。ここに辿り着いたお前たちこそが、滅びの元凶なのだ』

 

 

 デウスエクスマキナは言った。“人類が勝利を勝ち取り、危機を脱して平和へ近づいていくことが、人類滅亡へ繋がるのだ”――と。それは、アルティメット・クロスが積み重ねてきた旅路の全否定。

 奴の言葉が正しいのなら――“金属生命体”やフェストゥムとの対話を経て和解に至ったことも間違いになる。今この瞬間、クーゴたちの眼前に広がっている、奇跡の積み重ねさえも否定されてしまう。

 倒れる直前、デウスエクスマキナは言った。“人間で在り続けてみせろ”と。――奴が遺した言葉の意味に触れたような気がして、クーゴは操縦桿を握りしめる。

 

 幼い頃の憧れを思い返す。空を目指す前に、夢見ていた道があった。

 『空で待つ』と言った人たちに会うことを選んだ結果、零れ落ちてしまった未来の残骸。

 

 あの日の憧れは、今でも胸の中にあった。――それ故に。

 

 

「――俺はずっと、“みんなと一緒に、この光景を()()()()()”んだ」

 

 

 噛み締めるように呟いて、前を向く。空を目指すことを選んだ理由の中には、“いずれこの光景に辿り着くのだという予感があったから”だった。

 いずれ人類は、宇宙へと飛び立っていくのだろう。『空で待つ』と言ってくれた人々と未来を勝ち取るための戦いに参加する――この光景を実際に見るために、自分はあの道を選んだのだ。

 

 誰かが笑う気配を《感じて》意識を向ければ、嬉しそうに微笑むイデアと楽しそうに笑うグラハムの気配。なんだか気恥ずかしくなり、クーゴはとりあえず咳払いすることにした。閑話休題。

 

 “金属生命体”とフェストゥムが、バジュラに対して《聲》をかける。バジュラも同じように《聲》を返した。彼らはアルティメット・クロスに視線を向けるような動作をし、頷くような動作をして見せる。<後は任せる>ということらしい。彼らは何処かへと姿を消した。

 異種族たちがアルティメット・クロスを守るために馳せ参じた姿を見て困惑する電脳貴族とは対照的に、アルティメット・クロスの面々は闘志を燃やす。自分たちが積み重ねてきた平和への歩みが、分かり合いたいという想いが紡いだ命のカタチを見せられたのだ。やる気が出るのは当然だろう。

 

 

「こ、これは……!?」

 

「まさか、これが歌の力だというのか!?」

 

「どのような抵抗を重ねたところで、有線を繋いでいる限り、この女王バジュラは……!」

 

 

 一部の電脳貴族は驚愕の声を上げ、別の電脳貴族は徹底抗戦の構えを宣言する。奴らが展開したのは、ブレラが乗っている機体と同等のモノだ。――おそらく、パイロットたちは数刻前のブレラと同じような境遇なのだろう。そうでないなら、人工知能か。

 

 “女王バジュラさえ支配下に置くことが出来れば、他のバジュラは改めて捕獲してインプラント制御すればいい”とでも思っているのだろうか。なんて浅はかな連中だろう。

 バジュラを道具のように扱う連中は、バジュラに心があることを理解していない。故に、奴らは女王バジュラが嘆きの声を上げていることなど気づいていないのだ。

 つい数刻前まで、人間のブレラまで操り人形として使い潰さんとしていた連中である。自分たちの野心のために、罪もない命を支配し、弄び、使い潰すことを厭わない。

 

 

「罪もないバジュラを操り、女王を弄ぶ外道どもめ!」

 

「待ってな、バジュラの女王様!」

 

「今、俺たちが解放してやる!」

 

「――全軍、突撃ィィィー!」

 

 

 孫権が電脳貴族を睨みつけ、咲良とエイサップがバジュラの女王に声をかける。

 それを聞いた女王が懇願する《聲》が《聴こえた》のと、曹操が音頭を取ったのはほぼ同時。

 

 アルティメット・クロスは是の返事を返し、電脳貴族に支配されているバジュラの女王を救うために飛び出した。

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 片割れは思いを馳せるように窓の外を見つめている。彼の視線の向こう側には、誰も知らない広大な宇宙が広がっているのだろう。

 天の光は敵か味方か。人類を抹殺しようと襲い来る侵略者、或いは共に生きる道を模索している友と成り得る命が、この宇宙に存在している。

 

 前者だったら確かに大変だろうけれど、後者の可能性があるのなら、浪漫を感じてしまうのは人類共通なのだろう。片割れが宇宙(そら)に思いを馳せる理由が分かった気がして、少女は微笑む。

 

 

「いつか、宇宙からの来訪者とも、仲良くなれたらいいのになぁ」

 

 

 夢を語る少年ではあったが、その表情はどこか暗い。確実に余計な副音声が付いている。

 家族や親戚連中が零す言葉――“少年は体が弱いから、長生きできないだろう”――が原因だ。

 儚く笑う少年の姿を見ていられなくて、少女は彼の手を握りしめる。

 

 

「なれるよ。くーちゃんなら、絶対!」

 

 

 いつものように、当たり前のように、少女は語る。片割れが歩むであろう未来の予想図を。

 

 

「くーちゃんは180超えたイケメン日本男児になるんだから! 和装が似合う格好いい男に!! そんで、美人で可愛いお嫁さん連れて帰って来るの! 天女みたいに素敵な人!!」

 

 

 片割れはきっと――いいや、必ず、素敵で立派な大人になるのだ。物静かで、たおやかで、けれども熱い魂と折れぬ鋼の意志を宿した“■の■■■”に。

 そうして、大切な人たちと出会って、仲良くなって、沢山の絆を結んで――その人たちを連れてここに帰って来る。彼らを迎えた自分は、みんなの話に耳を傾けるのだ。

 

 

 

 

 

 

「新しいシミュレーターの配信、凄かったよな」

「今までのヤツにもストーリー性が追加されたから、俄然やる気が出るよ」

「でも、虫の女王戦は切なすぎんだろ。最期に、女王を乗っ取っていた女性がなぁ……」

「どうしてマネージャーでいられなかったんだろう。でも、最後に戻れてよかったのかもしれないな」

 

「この前、『頭に響くんだよォ! 叫んでばかりでぇ!!』って言ってシミュレーター殴って壊した奴がいたんだ。おかげで、しばらく金属生命体関係は配信停止だってさ」

「以前は違う奴が『ズール皇帝は正義だ!』って喚き出した挙句にボヤ騒ぎ起こしたらしくて、それ関係のやつも配信停止されたんだよな」

 

「心を読む力を持った敵に、どう対応すればいいんだろうな」

「俺、嫁への愛を語ったら倒せたぞ」

「僕は恋人のことを」

「独身喪男でも勝てる方法はないのかーッ!!」

「俺、自分がいかにモテないかを延々と語り続けたら撤退されたぞ。シミュレーター内外含んで、周囲の奴らもいなくなってた」

 

 

 兵士たちの雑談が響く。この場は、シミュレーターの話題で持ち切りだ。その様子を、クーゴは椅子に座って眺めていた。

 つい最近アップデートされたのが原因だろう。これもまた、“多元世界技術解析および実験チーム”の功績だ。

 内容を聞いていると正直反応に困るが、とりあえず、クーゴは曖昧な笑みを浮かべるに留めておく。

 

 ユニオン軍基地には、特に目立った変化はない。AEUも、特に目立った動きはない。モラリア紛争以後、三大国家のうち2つがソレスタルビーイングを静観している。

 唯一公式に徹底抗戦を掲げているのは人類革命連合だ。セイロンでの紛争介入でコテンパンに伸されたことが尾を引いているらしい。

 

 そういえば、親戚が『セイロンへの武力介入の際、基地にロシアの荒熊を着任させたのは、あわよくばガンダムを鹵獲しようとしていたためだ』なんてことを言っていたか。

 

 軍事関係を追いかけているジャーナリストだ、情報の信憑性は高い。他にも、『亡くなった同僚の娘でジャーナリストの後輩が、頼れる仲間たちと一緒にソレスタルビーイングを追いかけている』という話もしてくれた。

 いざというときの情報提供役になってくれと頼まれたが、正直、一介の軍人にすぎないクーゴでは役として力不足ではなかろうか。それに、『友人の恋人(?)がソレスタルビーイングの構成員です』だの『俺の友達がソレスタルビーイングの構成員です』なんて言えるはずがない。

 不意に、ゼクスの妹である少女――リリーナ・ドーリアンの後ろ姿が浮かんだ。養父は外務次官、実の兄は軍人(後に王から秘密組織のMSパイロット)、信頼するパートナーはテロリスト(後に秘密組織のMSパイロット)。こちらもこちらで、気が遠くなる構成であった。

 

 

「どうしたんだ、ぼうっとして」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 

 紙コップを両手に持ったグラハムが、クーゴの表情を覗き込んだ。クーゴは静かに首を振る。

 グラハムから紙コップを受け取った。ブラックコーヒーの水面に自分の顔がぼやけて映る。見事な間抜け面だった。

 

 これではいけない。クーゴは半ば呷るようにしてコーヒーを啜る。

 胃に重たい一撃が入ったような錯覚に見舞われた。

 鋭い苦みに気圧されるようにして、思考回路を切り替える。

 

 それを確認したグラハムが、真剣な眼差しを向けてきた。

 

 

「人革連の様子が不穏なのは知っているか?」

 

 

 グラハムの言葉に、クーゴは頷く。

 

 

「あそこは唯一、ソレスタルビーイングに対して徹底抗戦の構えを示しているからな」

 

「諜報部曰く、近々大規模な作戦が行われるという。……キミは、どう見る?」

 

 

 グラハムの翠緑の瞳がじっとクーゴを見つめる。クーゴはコーヒーを飲み干し、自分の考えを述べてみた。

 

 

「ユニオンで言うガンダム調査隊の人革連版が頂武部隊。その指揮官は、ロシアの荒熊と名高いセルゲイ・スミルノフ中佐。指揮官としてもMSパイロットとしても優秀だ。物量的な面や投じられた予算的な意味合いから見ても、本気の布陣だろうよ。……あわよくば、鹵獲も狙ってるんじゃないか?」

 

「そうか」

 

 

 彼はそれきり言って、ふいっと視線を外した。眼差しの先には、分厚い曇天で阻まれた空が広がっている。

 グラハムは、あの曇天の向う側に広がる空の、そのまた向う側にある宇宙(そら)を見ているのだ。

 その先にはきっと――いいや確実に、白と青基調のガンダムと意中の少女がいるのだろう。

 

 クーゴは、そんな親友の姿に深々と息を吐いた。翠緑の瞳に滲むのは、明らかな嫉妬の色だ。

 イギリスでは“緑は嫉妬深い色”だと言われている。グラハムはアメリカ人であるが、今の彼にはお似合いの言葉だった。

 

 

「“緑の目を持つ者は嫉妬深い(Green eyed monster)”、ねぇ」

 

「どんな意図を持ってそんなことを言うんだ、キミは」

 

 

 グラハムが非難めいた視線を向けてきた。眉間に皺を寄せて、口がへの字に曲がっている。不機嫌そうな表情は、どこか子どもっぽさを醸し出していた。

 その顔のどこが嫉妬じゃないんだよ――クーゴは内心苦笑していた。本当にわかりやすい。我慢弱く感情の起伏が激しめな彼らしかった。

 普段は冷静沈着なのに、どうして戦闘時や恋愛関係のことになると振り切れてしまうのか。ストッパー役も楽ではない。だからといって、辞めるつもりもないが。

 

 グラハムはどこかそわそわした様子で、また曇天へと視線を向ける。

 

 何かを察したような険しい眼差し。その横顔に燻るのは、焦燥。

 なんだ、結局は嫉妬じゃないか。クーゴは生温かく微笑んだ。

 

 

「……キミは何か勘違いしているようだが」

 

 

 クーゴの視線に思うところがあるらしく、グラハムはクーゴを咎めるかのように弁明した。

 

 

「私の天使たち(ガンダムと刹那)が、他の男に口説かれているのを見ていることしかできない……それが歯がゆいだけだ。彼女は私の、愛しの君なのだからな」

 

「…………素直に嫉妬してると認めろよ」

 

「私はそこまで女々しくない!」

 

「はいはい」

 

 

 食って掛かってきたグラハムをいなしつつ、クーゴは端末を確認する。特に誰かからの連絡は入っていない。

 僅かな時間でも端末を確認する癖がついたのは、時折エトワール――イデアからのメッセージがちょくちょく届いていたためだろう。

 ソレスタルビーイングが介入を始めた頃から頻度が減ったものの、夜鷹とエトワールとしてのメッセージ交換はずっと続けていた。

 

 そんなことを考えていたとき、いつの間にか喧騒が止んでいることに気づいて視線を向ける。グラハムが悪い笑みを浮かべてクーゴの方を見ていた。……上手く言えないが、なんかイライラする。

 

 クーゴは無視を決め込み、情報関係の部署へと足を向ける。目的は、度々何者かの介入を受けていたクーゴとグラハムのタブレット端末を引き取りに行くためだ。

 クーゴの行く先に当てを付けたグラハムは何を思ったのか、やれやれと言う代わりに肩を竦めて両手を上げるリアクションをしていた。閑話休題。

 

 

「調べてみましたが、何者かにハッキングされたような形跡はありませんでしたよ」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

 

 いつぞやの出来事――“何者かの介入を受けて施設の一部が乗っ取られ、ガンダムが武力介入を行っている映像の一部が放送された”――を()()()()()()にした情報関係部署に対して思うところが無いわけではない。ただ、今はそれを()()()()()()()()()()のだと《理解(わか)っている》。

 クーゴはアルカイックスマイルを浮かべて煙に巻きつつ、預けていたタブレット端末を受け取った。隣にいたグラハムは、普段通りの様子でタブレット端末を受け取る。外観、内部のアレコレ、双方共に異常なし。今回は情報関係者たちの言葉に異常はないようだ。内心ひっそり安堵しつつ、自分たちの仕事場へ戻った。

 

 今日も今日とてルーチンワーク。訓練をこなし、書類仕事をこなし、ガンダムの出現情報に目を通す。相変わらず、“人革連がガンダムを鹵獲するための大規模作戦を計画中”以外の情報は入ってこない。それに歯がゆさを感じてしまうのは、第3者を介してガンダムの武力介入映像を見ることができたためだろう。

 

 寧ろ、本来は『全てが終わってから』情報が齎されるのが普通なのだ。ほぼリアルタイムで武力介入の映像を見ていたクーゴとグラハムたちの方が間違っているのである。

 デスクワークの最中にタブレット端末へ視線を向けてしまうのは、“第3者が端末をハッキングし、映像を見せてくれる”という異常事態に馴染みつつあるためだろう。

 

 

(異常事態を期待してどうするんだ)

 

 

 クーゴが深々とため息をつき、グラハムが物憂げに窓の外へ視線を向けた――その瞬間。

 

 

<――しょうがないなぁ。任せなさい!>

 

 

 ――りぃん、と、澄み渡った音がした。聞き覚えのある(聞き覚えの無い)――聞き覚えの無い(聞き覚えのある)、誰かの声。

 

 次の瞬間、クーゴのタブレットとグラハムのタブレットが激しく点滅した。その兆候が何を意味しているのか知っていたクーゴとグラハムは目を剥いて、互いの画面を交互に見つめ合う。

 2つのタブレットは異なる画面を映し出す。画面いっぱいに広がるのは何かのレーダーで、左端に映るのはどこかの宇宙域。画面には大量のマーカーが表示されていたが、一部にノイズが走った。

 

 

「これは……どこの宇宙域だ? 膨大な量のレーダー衛星が展開してるけど……」

 

「成程。ガンダムの特殊粒子の特性を利用し、ソレスタルビーイングの居場所を探ったというワケか」

 

「……なあグラハム。この宇宙域って、もしかして――」

 

「この物量や諜報部の話から考えると、十中八九人革連だろうな」

 

 

 映し出された映像を交互に眺めながら、クーゴとグラハムは考察していく。レーダー衛星の様子からして、人革連が求める魚は網にかかっていた。後は指揮官同士の読み合いが運命を分ける。

 頂武の指揮官は――ロシアの荒熊と名高いセルゲイ・スミルノフ。クーゴとグラハムは固唾を飲んで画面を見守っていた。だが、隣から漂う気配につられるような形で、クーゴはちらりと視線を向ける。

 グラハムの横顔は、やはり険しい。自分が口説き落すのだと憚らない相手を、他人がかすめ取るような形で口説いているのだ、我慢弱い男が耐えきれるはずがない。

 

 次の瞬間、全体表示されていたレーダー画面と右側に表示されていた宇宙域の画面位置が入れ替わる。そこには、見たことのないデザインの輸送船が映し出された。

 もしかして、あれがソレスタルビーイングの母艦なのだろうか。たった1隻の輸送船と5機のガンダムで、彼等は世界を変えようとしているのだ。そう考えると、どれ程無謀かがよく分かる。

 

 可変機と重装甲の機体が飛び出していく。何機かが2機のガンダムに追随したが、本体は輸送船の攻撃のために残った。ソレスタルビーイングの指揮官に、セルゲイ・スミルノフが僅差で競り勝ったのだ。

 

 

「成程な。あの2機は陽動用か」

 

「形勢逆転。これで、裏をかかれたソレスタルビーイングが不利だな」

 

 

 護り手のいなくなった空母は、ほぼ無防備状態だった。白と青基調のガンダムと、白と緑基調のガンダムと、純白のガンダムが迎撃に回る。

 その一方で、白とオレンジ基調のガンダムと白と紫基調のガンダムはじりじりと追い詰められていく。ついに、人革連の手が2機のガンダムに伸びた。

 

 あとはそのまま、2機の天使を連れ去るのみだ。

 ついに天使が地に落ちたのか――と、クーゴが思ったときだった。

 

 

「――え」

 

 

 次の瞬間、モニター画面に青い光が爆ぜる。

 

 一拍おいて、人革軍の反応を示すマークがごっそり消えた。ガンダムを鹵獲しようとしていた戦艦も、MSも、綺麗さっぱり反応がなくなってしまう。神隠しの類にもよく似ていたが、実際はそれより恐ろしい事態である。

 戦艦とMSがコンマ一瞬で殲滅されたのだ。クーゴとグラハムは目を剥いた。一体全体、この宇宙領域で何が起きているのだろう。しかし、更に、端末画面には信じられないものが映し出された。

 

 

「白い、鯨……? いや、違う。戦艦か!?」

 

「なんだあのデカさ!? 最早移動要塞レベルじゃないか!」

 

 

 クーゴとグラハムは戦慄した。画面に映った白い戦艦は、人革連の戦艦やソレスタルビーイングの母艦よりはるかに大きい。この世界における戦艦の大きさは大体数百~数千m程度が基本だ。

 虚憶(きょおく)では明らかに数千メートル程度じゃすまないレベルの戦艦――いや、最早移動要塞と呼ぶべき規模だった――もあり、白鯨はそれとほぼ同等の大きさと言えよう。

 勿論、大きさという点では、人革軍のMSや戦艦、ソレスタルビーイングの母艦など歯牙にもかけていない。白い鯨は我が物顔で、宇宙という海をゆったりと泳いでいた。

 

 鯨の尾っぽには、何かの紋章が描かれていた。金色の双翼が宝玉を抱き、それらに寄り添うような形で桃色の花が咲いている。釣り鐘状の花だった。

 白い鯨は悠々と宇宙を泳ぐ。ソレスタルビーイングや人革軍など、鰯の群れにしか見えないのだろう。気にすらしていなかった。

 

 その混乱に乗じるようにして、ソレスタルビーイングとガンダムの反応が消失した。入れ替わるようにして、白い鯨は宇宙に溶けるようにして消え去る。

 

 獲物を失ってしまった人革軍は撤退する以外にない。彼らの反応は疎らになり、ついに撤退を終えた様子だった。宇宙領域から、全ての反応が消え去る。

 クーゴは端末を切る。入れ替わるようにして、今度はグラハムが深々と息を吐いた。どこか複雑な感情が揺らめいているように思う。

 

 

「お前さ」

 

「何だ?」

 

「喜びたいのかガッカリしたいのか、どっちなの?」

 

「どうかな」

 

 

 グラハムはくつくつ笑った後、再び窓の空へと視線を向ける。曇天の切れ目から、優しい陽光が降り注いでいた。

 

 

「……また会うときまで、誰の手にも落ちるなよ。我が愛しの君」

 

 

 天使(刹那とガンダム)を落とすのは他ならぬ自分なのだ――そう信じて疑わない、澄み渡った翠緑。

 狂気的なまでに綺麗な宝玉に、クーゴは面食らう。

 

 

「公私ともに落とすつもりか」

 

「落としてみせるさ、必ずな」

 

(こう)では落とされそうになったところを見逃してもらい、()では真っ先に撃墜されたじゃないか」

 

「キミは的確に地雷を踏みぬいてくれるよ」

 

 

 グラハムはムッとした表情でクーゴを睨んだ。クーゴはさっと視線を逸らす。

 

 暫くしたら、イデアにメッセージでも送ってみよう。

 現実逃避がてら、クーゴはそんなことを考えた。

 

 

 

*

 

 

 

 尚、タブレットは再び情報関係部署にとんぼ返りすることとなった。

 

 

「調べてみましたが、何者かにハッキングされたような形跡はありませんでしたよ」

 

「…………ソウデスカ。アリガトウゴザイマス」

 

 

 結果は、つい先日と一文字一句同じ内容だったことを記載しておく。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

<ねえ、アメリアス>

 

<何?>

 

<少しの間だけ、ハホヤーをお願いできる?>

 

<――分かった。私でも、なんとかしてみる>

 

 

 

 

 

 

 例えるならそれは、流星のようだった。

 

 青く透き通った光が縦横無尽に駆け巡る。その軌跡に触れたMSが、反応をする前に爆発してしまった。

 いや、MSだけではない。その光は戦艦すらぶち抜き、ときには派手な爆発を引き起こさせて消し飛ばしていく。

 爆発。爆発、爆発。爆発、爆発、爆発――爆発。パイロットたちの、断末魔の悲鳴が聞こえてきそうだ。

 

 鹵獲用の罠も、あっという間に宇宙の藻屑に変わった。

 残されたのは、怖いくらいの静寂。

 

 

「一体、あれは……」

 

 

 今、目の前で繰り広げられた光景は、わずか数十秒の出来事である。追い込まれていたヴァーチェとキュリオスは、鹵獲寸前の危機から脱したのであった。

 流星は光を放ちながら、宇宙の底へと消えていく。それを、ティエリアとアレルヤは見送ることしかできなかった。

 

 

「やっと通信が繋がった……! 2人とも、大丈夫!?」

 

 

 戦術予報士であるスメラギの、焦ったような声がした。無事を返答すれば、安堵のため息が聞こえる。

 帰投の意を伝えようとしたとき、ティエリアとアレルヤは思わず息を飲んだ。

 自分は今夢を見ているのではないか――そう錯覚してしまいそうな光景が、眼前に広がったのである。

 

 例えるならそれは、白い鯨だった。

 

 ガンダムを大きさを比較すると、鯨と鰯並みの差がある。

 プトレマイオスと比較すると、鯨とシャチ並みの差がある。

 

 

「なんだあれ……!?」

 

「こんな艦、ヴェーダにはない……!」

 

 

 鯨は2人の驚きもなんのその、ゆったりと宇宙を泳いでいた。自分たちが何をやっても、あの艦にとっては虫刺されにもなりはしないだろう。

 自分たちの生殺与奪を握っているのは、あの艦だ。ティエリアとアレルヤはそう直感し、ごくりと生唾を飲む。鯨は、そんなガンダムマイスターの心境など無関心だった。

 ゆっくり、ゆったり、悠々自適に、鯨は宇宙の闇の中へと消えていく。その姿が完全に消えた後で、ティエリアとアレルヤは脱力した。

 

 そこへ、暗号回線を使った通信が入る。

 

 画面には『貴方たちは今、死ぬべき人間じゃない。命を粗末にするな。次やったら、どんな手段を使ってでもぶっ生き返す』という文字が点滅していた。

 2人の口元は盛大にひきつったが、他の面々からの通信が入ってくる。

 

 

「ぶっ生き返すって、どういうことだよ……」

 

「ぶっ殺すの反対なんじゃないかな」

 

「意味が分からない」

 

 

 ロックオンが深々と息を吐き、アレルヤは苦笑した。ティエリアはそれを切り捨てる。

 

 

「あの艦、いったい何なの……?」

 

「兎にも角にもラッキーですね。あの艦が現れなかったら、現状はもっと悪化していたはずだし」

 

「不思議っすよね。流れ星の次は白鯨みたいな艦か。ファンタジー小説を読んでいる気分だなぁ」

 

 

 スメラギが考え込み、クリスティナがほっと安堵の息を吐いた。リヒテンダールは余韻覚めあらぬと言いたげに声を震わせている。

 後ろの方では、イアンが勝手に盛り上がっている声が聞こえた。彼の研究者魂に、あの艦は火をつけて油とグリセリンを撒いたらしい。

 近くにいた乗組員とその場を転がっていたハロたちが、彼の説明の巻き添えを喰らってゲッソリしていた。

 

 ソレスタルビーイングのメンバーたちは、どうにか危機を乗り越えたらしい。

 

 

「エクシア、これより帰還する」

 

「ハホヤー、今から帰ります」

 

 

 刹那とイデアの声を皮切りに、ガンダムマイスターはプトレマイオスへと帰投したのであった。

 

 

 

 

 

 

「あれ? イデア、焦げ臭くない?」

 

 

 クリスティナの指摘に、イデアはびくんと肩をすくめた。

 

 

「……き、気のせいじゃないかな」

 

「そうかなー。とりあえず、シャワー浴びてきた方がいいよ。イデア、汗まみれじゃない」

 

 

 クリスティナはそう言って、イデアの肩を叩いて去っていく。それを見送った後、イデアはそそくさとシャワールームに直行した。

 もう一度匂いを嗅いでみる。やはり、うっすらとだが焦げ臭い。ちょっと無理しただけだったのに、と、イデアはがっくり肩を落とした。

 パイロットスーツも新調しなくてはならない。悪の組織に専用の生地を融通してもらわなくては。摩擦熱とイデアの能力に耐えうるくらいの。

 

 よく確認すれば、煤けている部分があった。

 原因はもちろん、摩擦熱とイデアの能力である。

 

 

「そう考えると、“同胞”が着ている制服の凄さがよくわかるなー。宇宙圏を飛び回っても、摩擦熱で燃え尽きたりしないもの」

 

 イデアは小声で呟きながら、シャワーの蛇口をひねった。

 

 大量のお湯が流れていく。頭からお湯を被った後、イデアはシャンプーを泡立てて頭を洗った。泡を流し、もう一度シャンプーで頭を洗い、お湯で流す。次にトリートメントで髪の毛を整え、10分ほど待ってから洗い流した。〆はリンスである。全てが終わったとき、甘い蜂蜜の香りがふわっと漂った。

 髪を洗い終えた次は、体だ。頭をタオルで包み、ボディーソープを泡立てる。爽やかな柑橘系の香りが鼻を満たした。イデアはそれを楽しみながら、体を清める。シャワーで泡を流してしまえば、摩擦熱で焦げた臭いなど残らなかった。これでもう大丈夫だろう。体を拭いて、普段着の1つである青いワンピースを身に纏った。

 風呂上りは本当に気持ちがいい。イデアが鼻歌混じりで踏み出したとき、イデアの端末が鳴り響いた。開いてみると、メッセージの送り主はクーゴである。『キミは白い鯨を見たことがあるか? 宇宙を泳ぐ鯨だ。今しがた、俺はそれを目撃したよ。とても綺麗だった』――イデアはゆるりと目を細めた。それが何を意味しているか知っていて、尚。

 

 次のメッセージには、『グラハムは本気で、公私ともに刹那を落とすつもりだ。彼女に(いろんな意味で)気を付けるようにと言ってほしい』とある。

 もう遅い。イデアは直感した。廊下をしばらく歩くと、件の刹那が壁に背を預けてへたり込んでいる。口元を手で覆っているが、耳や頬は真っ赤だった。

 

 

「あんたは、本当に、もう……」

 

 

 ゆっくりと、刹那の口元から手が離れた。口元には、少し震えた微笑。ちょっとだけ泣き笑いに近い横顔だった。

 イデアは悟る。どうやら、グラハムが何か言ったらしい。真摯な想いが、刹那の心に少しづつ光を見せてくれている。

 

 とても喜ばしいことだ。この調子で、刹那が『自分の手でも何かを守ったり、作り出したり、幸せにすることができる』と認められるようになってくれたらいい。

 

 

「せーつなっ!」

 

「!!!?」

 

 

 驚かすようにして声をかければ、刹那はびくっと肩をすくめてイデアを見上げる。威嚇する猫みたいに体中の毛を逆立たせた刹那の様子に、イデアはゆるやかに目を細めた。瞬間、刹那の顔が一気に顔面蒼白になった。

 <自分が獲物(ターゲット)として狙いを定められた>、<逃げられない>――絶望に満ちた感情に触れる。これは根掘り葉掘りしすぎたか、と、イデアは苦笑した。今回は大人しく引き下がるとしよう。

 イデアが追及してこないことを察した途端、刹那は露骨に安堵の表情を浮かべた。それはそれでちょっと寂しい。ついでに悔しいので、鎌をかけてみることにした。

 

 

「グラハムさん関係で、何かいいことあったの?」

 

「…………何もない」

 

「本当に?」

 

「何もない!」

 

 

 刹那は顔を真っ赤にして、端末を片手に駆け出してしまった。お守りについた鈴の音色が聞こえる。その音は、刹那の背中と共に遠くなっていった。

 イデアはニマニマと笑みを浮かべた。恋と愛は本当にいいものだ、と、心の中で唱える。尊敬するグラン・マがよく言っていたことであった。

 

 そうして、イデアはゆっくりと首を動かした。振り返った先には、デバガメよろしくな男3人組――ロックオン、アレルヤ、ティエリアが、廊下の角からこちらを覗き込んでいたところだった。

 イデアの視線を待っ正面から受け止めた3人がぎょっと肩をすくめる。「気配はきちんと消していたはずなのに」と言わんばかりの表情だ。イデアがゆるりと笑みを浮かべれば、今度は彼らが絶望に満ちた表情を浮かべる。

 真っ先に戦線離脱を図ったティエリアの手を、ロックオンとハレルヤが掴んだ。後者はいつの間に人格を交代(チェンジ)していたのだろう。2人とも、どこか悪い笑みを浮かべている。逃げるな、逃がさない――スナイパーと反射代表の目がぎらついた。

 

 『ハレルヤ、ティエリアだけでも逃がしてあげて! ロックオンもやめたげてよぉ!!』と叫ぶアレルヤの悲鳴が聞こえる。しかし、その悲鳴はすぐに途切れた。

 

 死を覚悟したような、どこか虚ろな瞳を向ける3人組。ついに、ティエリアとアレルヤも観念したらしい。

 イデアは更に笑みを深くした後、男3人組へと歩み寄った。彼らのことも、しっかり根掘り葉掘りするために。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「こんにちわ、エイミー。久しぶりですね」

 

 

 病院の207号室。久々に手にした休暇で、テオはその部屋を訪れた。

 

 エイミーは相変わらず眠り続けている。ベットサイド脇の花瓶には、純白のユリの花と釣り鐘状に咲いたピンクの花が活けてあった。

 後者はこの近隣で見かけないものだ。そういえば、友人の妹分が「近々、恋人の家族に挨拶しに行く」と言って、ピンクの花束を手にしていたことを思い出す。

 テオには、それが花瓶に活けられた花だとすぐに見当がついた。どちらの花も瑞々しく、前者は花屋で購入、後者は社内の花壇から採ってきたばかりだろう。

 

 

「その様子だと、お兄さんたちが来たんですね?」

 

 

 意識不明の少女が答えられるはずがない。けれどテオは、エイミーの発言を待っているかのように黙っていた。

 幾何かの時間が過ぎて、テオは表情を緩める。そして、ぱあっと表情を輝かせた。

 

 

「未来のお義姉さんたちを紹介してもらったんですか! 2人とも、美人だったんですね」

 

 

 しかし、テオの表情はすぐに曇った。

 

 何とも言い難そうに視線を彷徨わせる。誰かの感情をなぞる様に、テオは花瓶の花へと視線を向けた。

 花瓶の色もまた、ユリと同じ純白である。アクセントとして、くびれた部分に銀色のラインが引かれていた。

 まるで、花嫁が持つブーケを思わせるような花瓶である。しばらくテオはそれを眺めていたが、エイミーへ視線を戻した。

 

 

「……いつか、貴女もなれますよ。綺麗な花嫁さんに」

 

 

 どこか悲しそうに、テオは微笑む。

 ややあって、また彼は口を開いた。

 

 

「お兄さんたちも、おんなじことを? ……でしょうねぇ。お2人とも、エイミーのことが大切ですからねー」

 

 

 次の瞬間、テオの表情が引きつった。こめかみに青筋が走り、かすかに肩が震える。

 少し悩むように視線を右往左往させて、テオは大きくため息をついた。

 知り合いたちが今のテオを見たら、「哀愁漂う表情」だの「ゲッソリしてる」だのと言いそうだ。

 

 テオはしばし黙り続けた。

 そうして、弁明するかのように口を開く。

 

 

「僕の場合は、相手待ちなんです。あくまでも相手待ちなんです。……そもそも相手がいない? 知ってます。知ってますから。――……やめてください、それ以上僕の傷をえぐらないで!!」

 

 

 「お願いだから、婚活婚活連呼しないでくださいよ!」と、テオは悲痛な声を上げた。琥珀色の瞳に涙が浮かんでいるように見えるのは、きっと気のせいではない。

 

 しかし、テオの発言が止まった。

 ややあって、テオは再び口を開いた。

 

 

「……だと、いいんですけどねぇ」

 

 

 涙を拭い、テオはようやく本題に入ることにした。持ってきていたタブレットを引っ張り出して、図面をエイミーに示す。

 もちろん意識不明の患者が反応するはずがない。テオは気にする様子もなく、彼女に説明を始めた。

 説明し続けた後、テオはじっと返答を待つように口を閉じた。白い部屋には静寂が訪れる。

 

 時計の針が動く音がした。それと同時に、テオはふっと表情を緩める。

 「満足して頂けたようで何よりです」と言って、端末を鞄にしまう。

 

 

「心配して頂けるのは嬉しいです、エイミー。でも、僕は大丈夫なので。他にも、やるべきことは山積みですからね」

 

 

 「それにしても」と、テオは言葉を続ける。

 

 

「『ホワイトベースを建造してくれ』と頼まれたときは、正直びっくりしましたよ。動力源は4連装熱核ハイブリッド・エンジン・システム2機とミノフスキー・クラフト・システムの代用品として、GN粒子とS.Dから引っ張り出した技術で専用ドライヴを1から作らなきゃいけないし、武装の再現および供給目途も立たないし、死ぬかと思っちゃいました。突貫工事でしたが、間に合いそうです」

 

 

 テオは苦笑した。そうして、時計を見て立ち上がる。

 そろそろ戻らないと面倒なことになる。ぺこりと頭を下げた。

 

 

「それじゃあ、また来ます」

 

 

 テオは207号室から出て、病院の階段を駆け下りる。少しだけ慌ただしく、病院を後にした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「さて」

 

 

 ノブレスは、どこまでも悪い笑みを浮かべながら図面を見ていた。

 リボンズも、悪戯を企てる子どものような微笑を浮かべている。

 

 

「これが、アルヴァアロンとアルヴァトーレの図面か」

 

「そうだね。開発は着々と進んでるよ」

 

 

 ぷーくすくす。

 

 2人の笑い方に擬音を付けるとするなら、そんな笑い方がよく似合っていた。

 

 2人は図面を拡大させた。実は、この図面には所々欠陥があるのだが、アレハンドロ本人は全く気付いていない様子だった。

 嘗てユニオン軍のパイロットとしてリアルドを駆っていたアレハンドロ・コーナーであるが、凄腕という訳ではなかった。

 そのくせ、ソレスタルビーイングの最年少パイロットを目の敵にし、自分こそがガンダムに乗るのに相応しい思っている。

 

 機体の外観は、本人の強すぎる希望のおかげで金ぴかになった。放出されるGN粒子やビームの色まで金ぴかに統一されている。黄金趣味に気が遠くなった。

 おかげで、もうしばらく金色は見たくない。見るだけで、ちょっと吐き気を催すようになった。リボンズに至っては飽き飽きしてしまったという。

 

 

(()()()この図面を描いたときは、“こんな方向に魔改造された挙句、金ぴかにされる”なんて思わなかったなぁ)

 

 

 ノブレスは深々と息を吐く。その図面を()()()描いたときのことを思い返しながら。

 

 

(……“あの子”と一緒に語り合ったのが、懐かしいな)

 

「――で、どうするんだい?」

 

 

 リボンズはゆるりと目を細めた。

 ノブレスも、にやっと笑う。

 

 

「まずは、『モニター画面を叩いたら爆発する』仕掛けでも作ろうか」

 

「それはいいね!」

 

 

 そこにいたのは、どこからどう見てもクソガキ2人組。

 

 ノブレスとリボンズは楽しそうに笑いながら、くだらない嫌がらせを機体に施していくのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『“未来の鐘を鳴らす者”……。きっとこの子は、誰も考えられないような偉業を成すでしょう』

 

 

 その日のことは、よく覚えている。

 多くの“同胞”――或いは両親に望まれて、自分は生まれてきた。

 

 

<はじめまして、■■■■■■■。僕はトォニィ。名前が長いから、キミのことはベルって呼ぶよ>

 

 

 自分よりも数か月早く生まれた彼――トォニィ・アスカの弾んだ《聲》を、自分は今でも覚えている。

 

 

『……ジョミー、みんなを頼む』

 

 

 尊敬するグラン・パを見出した初代指導者(ソルジャー)が、彼に託した遺言を覚えている。

 

 

『グラン・パがやらないなら、僕がやる』

 

 

 人類側に所属する“機械の申し子”に対し、殺意を剥き出しにしたトォニィの声を覚えている。

 

 

『――俯くな、仲間たち』

 

 

 惑星破壊兵器に特攻し、命を散らした初代指導者(ソルジャー)の想いを受け継いだグラン・パの演説で、開口一番に飛び出した言葉を覚えている。

 

 

『本命へのプロポーズとして最ッッ低なんだけど!? 全然参考にならない! ――もういい、自分で考える!!』

 

 

 青い星(テラ)を目指す旅路――人類との決戦前に茶化した幼馴染・アルテラと交わした“最期の”会話を覚えている。

 

 

『トオニィ、ベル、イニー。……お前たちは強い子だ、僕の自慢の……。……だから、みんなを頼む』

 

 

 未来のために戦ったグラン・パが、自分たちに残した遺言を覚えている。

 

 

 

***

 

 

 爆ぜる。

 

 蒼が爆ぜる。

 

 すべてを破壊する勢いで、星が流れていく。

 

 戦艦が吹き飛んだ。

 戦闘機が吹き飛んだ。

 戦艦と戦闘機が吹き飛んだ。

 藻屑だけが、宇宙に残った。

 

 爆ぜる。

 

 蒼が爆ぜる。

 

 すべてを破壊する勢いで、星が流れていく。

 

 戦艦が吹き飛んだ。

 戦闘機が吹き飛んだ。

 戦艦と戦闘機が吹き飛んだ。

 藻屑だけが、宇宙に残った。

 

 そうやって、何度“牙”として戦ってきただろう。

 女性は今までの軌跡を思い出して、大きく息を吐いた。

 

 

「もうすぐ、青い星(テラ)につく」

 

 

 女性は、宇宙(そら)を見上げていた。宇宙(そら)に散った命を想い、そこまで自分たちを導いた指導者(ソルジャー)を想う。

 長かった。ここまでたどり着くために、沢山の命が宇宙(そら)に散った。父も、母も、友も。“同胞”たちの多くが命を落としたのだ。

 

 

「そうしたら、きっと、グラン・パも笑ってくれる」

 

 

 祈るような気持ちで、女性は手を組んだ。

 

 青い星(テラ)へ向かう旅路に疲れ果てた“同胞”たちは、逃れの星にたどり着いた。その星は、人類が植民惑星化に失敗して、打ち捨てられた星だった。

 “同胞”たちはその星にナスカと名付け、開拓を進めた。ナスカの大地でトマトが育ち、花が咲き、穏やかに暮らしてきた。そこで、女性や友人たちも生を受けた。

 開拓が進む度に、グラン・パは嬉しそうに笑っていた。みんなが喜んでくれると嬉しいのだと、彼は笑っていたのだ。女性は彼の、太陽のような笑顔が大好きだった。

 

 その笑顔が消えてしまったのは、ナスカが消滅した直後だった。

 名実ともに、彼が指導者(ソルジャー)となった瞬間からだった。

 

 笑ってくれなかった。いくら話しかけても、敵を倒しても、グラン・パは笑ってくれなかった。

 

 

「昔みたいに、笑ってくれる。……そのために、頑張ってきたんだから」

 

 

 女性は宇宙(そら)を見上げていた。宇宙(そら)に散った命を想い、そこまで自分たちを導いた指導者(ソルジャー)を想う。

 ナスカが滅んだあと、青い星(テラ)を目指して自分たちは突き進んできた。グラン・パも、わき目も振らず突き進んでいた。

 戦闘員をしている“同胞”も、ナスカで生まれた子どもたち――女性の幼馴染3人組――アルテラ、タージオン、コブも、犠牲になった。

 

 閃光系の爆弾に飲み込まれたタージオン、機関銃でぶち抜かれたコブ、奇襲に失敗して逆に返り討ちにされたアルテラ。

 思い出すだけで、胸が苦しくなる。もうこれ以上、誰かが死んでしまうのは嫌だ。女性は手を強く握りしめる。

 

 

「もう誰も、死なないで」

 

 

 女性は祈る。ただただ、祈り続ける。

 

 旅の終わりはもうすぐだ。もうすぐ、青い星(テラ)へとたどり着く。

 “同胞”たちが楽園と信じ、返りたいと願った惑星(ばしょ)

 

 どうか、何事もなく青い星(テラ)に辿り着けるように。

 どうか、その先にみんなの笑顔があるように。

 どうか、その笑顔が欠けることのないように。

 

 

 

***

 

 

 

 その祈りは、散々打ち砕かれるのだ。

 知っていて、でも、祈らずにはいられない。

 たとえそれが、愚かなことであろうとも。

 

 

「最っっっ悪」

 

 

 いつの間にか、ふて寝してしまったらしい。手鏡で顔を確認すれば、顔面にはきっちりと手の跡が残っていた。

 せめてもの抵抗に、と、肌を引っ張ってみたが、気休めにもなりはしなかった。本当に酷い顔である。

 

 

「畜生。こんな醜態を晒す羽目になったのは、すべてアレハンドロ・コーナーのせいだッ!」

 

 

 女性は醜悪な顔で吐き捨てて、拳を平手に打ち付けた。

 

 現在、女性はアザディスタンにいる。先日の技術提供の件で、マリナ・イスマイールと話し合うためだった。

 しかし、先約として入っていたアレハンドロ・コーナーとの会談が長引いてしまっているため、ずっと放置されているような状態である。

 民間会社の代表取締役と、国連大使。どっちが優先されるかなんて明らかだ。頭では分かっている。だから、自分はずっと待っていた。

 

 応接室で放置されること、3時間。時計の針は進み続ける。

 もしかしたら4時間目に突入するかもしれない。

 

 

「ああもう。今日は昔の夢を見ちゃうし、アレハンドロのせいで3時間放置プレイだし、マリナ様には会えないし! とんだ厄日じゃない」

 

 

 女性は深々と息を吐いた。アザディスタンを救うために強い力を持ち得るのは、民間企業よりも国連大使であることも明らかだ。だから、慣れないながらも必死になって外交をするマリナの気持ちはよくわかる。

 だが、女性は知っていた。アレハンドロ・コーナーには、その気など一切ないことを。奴の底から漂う悪意は、本当に反吐が出る。今すぐバーストして吹き飛ばしてしまいたいほどだった。

 その気持ちが漏れてしまったせいか、自分の脇に置かれていたコップが派手な音を立てて破裂する。昔から、よくこういうことを起こしては、グラン・パや両親を心配させていたか。懐かしい。

 

 落ち着け、と、女性は己に言い聞かせた。

 ここでことを荒立てたら、マリナに会えなくなる。

 

 彼女の笑顔を思い浮かべた。それだけで、何時間でも待ちぼうけていられる。

 

 たとえ数世紀放置されることになっても、マリナ・イスマイールの笑顔を見られるなら安いものだ。それこそ、“牙”時代よろしく戦艦を殲滅したり、人間を消し飛ばすことだってやってみせよう。

 しかしながら、それを本気でやってしまったが最後、彼女は二度と女性に会ってくれなくなるだろう。それも嫌だ。女性はぶんぶん首を振る。今は、静かに待ち続けるほかない。女性はマリナの横顔を思い浮かべながら、待ちぼうけを続けたのだった。

 

 

 

 

 クーゴ・ハガネの災難は続く。

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