問題だらけで草ァ!! -Toward the sky- <1st Season>   作:白鷺 葵

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【諸注意】
 1.この作品は『大丈夫だ、問題しかないから』シリーズのリメイク版です。
 2.『ガンダム00』を原作に、アニメ版『地球へ...』、及び『スーパーロボット大戦』や『Gジェネレーション』シリーズ等の要素とクロスオーバーしています。
 3.主人公含め、オリキャラが多数登場します。
 4.キャラ改変や原作崩壊、原作死亡キャラの生存要素があります。
 5.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 6.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 7.刹那が先天性TSしており、グラハムとくっつきます(重要)
 8.基本はギャグとラブコメ色強めですが、時々シリアスになります。
 9.読了後に如何なる負の感情を抱かれても、書き手にはどうすることもできません。

 10.『◆◆◇』が「虚憶⇒現実」、『◇◇◆』が「現実⇒虚憶」、『◆◆◆』が「虚憶⇒虚憶」、『◇◇◇』が「現実⇒現実」、『◆』が「特殊な意味合いが含まれている」場面転換、及び視点切り替えになります。
 11.『*』は「短時間経過での場面転換・視点はそのまま」、『**』及び『***』が「長時間経過での場面転換・視点はそのまま」を意味しています。
 12.良くも悪くも飯テロ要素があります。注意してください。

上記が大丈夫の方は、本編をお楽しみください。



30.人の心の光、機械の悪意

 

 エリア11の日本は穏やかな時間が流れ、穏やかな日々が続いている。

 と言っても、砂上の楼閣に過ぎない。平穏と言う名の水面下には、陰謀や悪意が渦巻いていた。

 

 ただ、この周辺に漂うのは、別の意味を持った陰謀と悪意だ。方向性が色ボケに特化しているが。

 

 

「みなさん、注目! これより特別イベント、“キューピットの日”の開催を宣言しま~す!」

 

 

 アッシュフォード学園の生徒会長兼学長の娘であるミレイ・アッシュフォードが、明るいテンションで宣言した。学園の生徒たちも盛り上がっている。

 会長が会長なら、生徒も生徒だ。日本人はお祭り行事が大好きである。特に、彼女/彼氏がいない独り身の生徒からしてみれば、今日は絶好のチャンスと言えよう。

 対象者は学園の生徒だけではない。学園外からやって来た人間も含まれる。つまり、アッシュフォード学園を見学しに来たZAXISにも当てはまるのだ。

 

 ルールは至って単純。気になる相手のおでこをタッチすれば、この祭りが行われる最中限定での恋人同士が誕生する。しかも、早い者勝ち且つ強制的だそうだ。

 なんてタイミングで訪れてしまったんだろう。文化祭風の催し物が行われるという噂話に胸を躍らせていたが、今は逆に寒気しか感じない。どうしてくれよう。

 

 

(生徒の目が、猛禽類みたいな眼差しをしている……! しかもこれは、肉食系だ!!)

 

 

 表情をひきつらせながら、クーゴは周囲を見回した。ひしめく生徒たちは、獲物に狙いを定めている。

 

 特に、学園の副会長をしているルルーシュという男子生徒の周囲には、女子生徒がひしめいていた。

 その合計、108人。期せずして、その人数は煩悩の数と一致している。どれだけの女子生徒をたぶらかしていたのだろう。

 イデアや他の面々から『残念な人だ』『疲れている人だ』等々の話を聞いていたものの、『女たらし』も追加された。

 

 世の中には性別問わず人間をたぶらかし、とっかえひっかえしてはボロ雑巾のように捨てていた悪女もいる。それに比べれば、まだまだ可愛い方だろう。

 “その人”は今、どこで何をしているのか。どんな権謀術策を張り巡らせているのか。クーゴは思いを馳せたが、意味がないことなのでやめた。

 

 

「……もしかして、私も参加するんですか?」

 

「もっちろんです!」

 

 

 庶民の生活を見に転校してきたナイトオブラウンズの1人が、渋い顔をしてミレイに問いかけた。即座に答えが返ってくる。

 生徒会に属する男子生徒が肩をすくめて首を振った。この学校のルールはミレイ・アッシュフォードの意志そのものだ、と。

 ナイトオブラウンズの騎士はしばし悩んだ後、爽やかな笑みで頷く。彼には気になる女子生徒がいるようで、その子を狙っているらしい。

 

 彼のイメージに映ったのは、紅月カレン。そういえば、彼はカレンに対して、戦闘中にしょっちゅう絡んでいた。

 反射的に親友の姿を連想してしまった。今、クーゴは彼と別の道を歩いている。いつか、あの空へ帰る日を夢見て。

 

 

(あいつがもしここにいたら、真っ先に刹那の元に突っ込んで行くんだろうな。満面の笑みを浮かべて……)

 

 

 クーゴはそんなことを想像しながら、ZEXISの面々に視線を向けた。

 

 仲間たちが楽しそうに談笑している。このお祭りに対して、多少引いている者もいるが、全体的に皆楽しみにしている様子だった。

 

 彼女/彼氏持ちの余裕を見せる者、片思いの相手を取りに行くと決意する者、アタックを宣言した者を応援する者等、様々だ。

 クーゴからしてみれば、そのどれもが眩しい光景である。青春とはこういうことをいうのだろう。

 

 

「ねえ見て、あの人!」

「身長はちょっと低いけど、かっこいいわよね?」

「あの凛とした佇まい、素敵だわ……」

「和服美人って、イケメンにも当てはまるのね!」

 

 

 ざわめく声が聞こえる。

 しかし、次の瞬間、そのざわめきが一瞬で途切れた。

 

 

<あ げ ま せ ん よ … … ?>

 

 

 寒くなってきた。学園内の気温が、数度下がった気がする。

 

 聞き覚えのある女性の《聲》だ。振り返ると、イデアが鋭い眼差しで佇んでいた。クーゴがこちらを向いていることに気づいたイデアは、普段通りのふんわりした笑みを浮かべる。先程感じた寒気も和らいだ。

 クーゴがふっと笑い返したとき、開始のために距離を取れという指示が入った。周囲の反応を探ると、葵を狙う男子生徒、正太郎と“そらを継ぐ者”を狙う女子生徒、アルトを狙う男子生徒と女子生徒の感情が漂っている。

 そうして祭りが始まった。みんな、お目当ての相手目がけて突っ込んで行く。それぞれの場所で、それぞれの悲喜こもごもが展開していた。和やかな祭りの雰囲気が漂ってくる。周囲に出店していた出店もそうだ。

 

 さて、どうしよう。クーゴが考えたとき、不意に、頭上に影がかかった。何事かと空を見上げる。

 青い燐光。ペールグリーンの髪が重力によって揺れていた。悪戯っぽく細められた御空色の瞳。

 

 

「クーゴさん」

 

 

 能力を駆使して転移し、重力とその勢いを利用している――クーゴの頭がそんな判断を下したのと、楽しそうな声が響いたのはほぼ同時。

 

 

「――タッチ!」

 

「――おわっ!?」

 

 

 慌ててイデアを抱き留める。危うく地面に倒れそうになったが、寸でのところで踏みとどまった。視界がやや暗い。クーゴの額に、何かが触れているためだ。

 手だ。イデアの手が、クーゴの額に触れている。確か、この祭りは『額にタッチされたら恋人同士になる』というルールだったか。――おや?

 

 クーゴが目をぱちくりさせたとき、イデアがニコニコ笑っていた。とても幸せそうに笑っていた。

 

 

「あー……」

 

 

 居心地悪くなり、目を逸らす。抱えた重みが、やけに実感を強くさせた。小さく咳払いし、クーゴはイデアを地面に降ろす。

 恋人。恋人とな。頭が全然回らない。こういうとき、恋人だったらどんな判断を下すだろう。どんな会話をするのだろう。

 気の利いた言葉が何一つ出てこなくて、それが申し訳なくて、クーゴは小さく頭を下げた。イデアはゆるりと目を細める。

 

 エスコートなんて、まともにしたことがない。それでも、男にはやらねばならぬときがある。

 イデア・クピディターズは、他の誰でもない、クーゴ・ハガネを選んでくれたのだ。彼女の信頼に応えたい。

 

 喧騒が聞こえる。花より団子なアポロに対してクレープ強奪に走るしかなかったシルヴィアとか、嫉妬の炎を燃やすクランが地獄絵図を展開しようとして止められたりとか、ルナマリアがシンに『恋人同士だからタッチ不要だ』と照れられたりとか、アレルヤと“超兵機関の生き残り”の超兵式キャッキャウフフ(と言う名の超高速移動&パルクール)とか、懐かしき学び舎を見つめる恋人達とか、生徒会副会長のアクロバティックな逃走劇とか、文字通りのお祭り騒ぎだ。

 

 クーゴは手を差し述べた。イデアは微笑み、その手を取る。

 デートプランは何もない。白紙だ。学園内をゆっくり散策するとして、まずはどこに行こう。

 

 

「おい見ろよ、あれ!」

「あの人が着ている服、着物だよな?」

「その割には、どこか洋装に近い感じだ」

「仮面付けてる。変な人だなー」

「作務衣と陣羽織だね。本で見たことある!」

「近寄りがたい空気が……」

「あの人、ずっと誰かを探してるみたいなんだよ」

 

 

 ――あれ?

 

 この場にいるはずのない人間の特徴が聞こえてきた。むしろ、この場にいちゃいけない類の人間の特徴であった。

 確かに、『キューピットの日』という祭りに大喜びで参戦しそうな人間だと思っていた。たった1人の少女を狙って、奴がやって来ると思っていた。

 でも、いるはずがないと思っていた。普通に考えて、その人間はここに来れるはずがない。だって奴は、“独立治安維持部隊”所属の軍人だ。

 

 クーゴは声のする方向に視線を向ける。次の瞬間、そのざわめきが更にヒートアップした。むしろ、悲鳴の類に進化/変化した。

 

 刹那が全力疾走している。その後ろに追随するのは、金髪碧眼で仮面をつけた男だった。濃緑の作務衣に、赤基調の陣羽織を羽織っている。

 もし、その状況に文章を付けるとしたら、『あっ! 野生の “武士道”が 飛び出してきた!!』――この言葉に尽きた。

 

 

「な……」

 

 

 クーゴの喉が引きつる。

 

 

「なんでお前がここにいるんだァァァァァァァァッ!?」

 

<――少女の額にタッチできたら、丸一日恋人になれると聞いて!!>

 

 

 気づいたら、盛大に叫んでいた。

 顔なんて見えていないのに、奴がいい笑顔で返答したような気がした。

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 この面々が集まるのは、随分と久しぶりな気がする。

 

 クーゴとグラハムは、恒例となったイデアと刹那とのオフ会を行っていた。夜鷹とエトワールのコラボ企画と交流会は、まだ続いている。互いが互いに多忙のため、なかなか時間を作るのが大変だった。追う者と、追われる者同士の組織に属するが故の弊害である。 

 オフ会および交流会では、組織の話はご法度だ。暗黙のルールではあるけれど、それよりも別の話がしたいというのが本音である。要するに、情報収集よりも交流にウエイトを置いた状態だと言っていい。己の首を絞める行為だとは重々理解したうえで選んだことだ。

 現在一次会の真っ最中。会場は日本の喫茶店だ。イデア行きつけの店であり、いつぞやの『決戦』の舞台でもある。今回のオフ会は二次会もあり、次の会場はイデアと刹那の拠点であるマンションで料理を作るという約束になっていた。

 

 

「キミは普段、男物の服を着ているのか?」

 

 

 唐突に、グラハムが刹那に問う。刹那はきょとんと眼を瞬かせた。

 

 

「いきなりどうした?」

 

「いや、気になってな。……私個人としては、キミには自然体でいてもらいたいのだが」

 

 

 グラハムの悩ましげな様子に、刹那が「自然体?」と首を傾げる。

 彼女の言葉に、グラハムは仰々しく頷いた。至極真剣な視線を刹那に注ぐ。

 

 

「キミに気を使わせてしまったり、無理をさせてしまうのは本意ではない」

 

「そんな風に見えたか?」

 

「キミは人一倍、頑固で我慢強い性格をしているからな。その上、自分の弱さを覆い隠すのがうまいときている。……だから、もしかしたらと思ったんだ」

 

 

 グラハムの発言は、思っても見ないことだったらしい。ぱちぱち目を瞬かせた刹那が呟く。

 

 

「……あんた、強引で自分勝手に見えて、意外と察しがいいんだな」

 

 

 彼女の発言に、グラハムがむっと眉をひそめた。

 相当心外だったのだろう。

 

 

「どういう意味かな、それは」

 

「褒めたつもりなんだが」

 

「褒められた気がしないぞ、少女」

 

「……最初の頃は、仕方なく着ていたんだ」

 

 

 刹那は、当時の頃と思い出すように、しみじみとした口調で呟いた。やはりか、と、グラハムは深々とため息をつく。そうして、彼は刹那の服装を見つめる。

 今日の服装も、レースがふんだんに使われた白いワンピースだ。普段と同じ、彼女のトレードマーク。アザディスタンで遭遇したときのような男物の民族衣装を想像することはできない。

 「なら、無理に着なくても」とグラハムは言いかけた。「でも、今は違う」と、遮るように刹那が告げる。いきなりのことで面食らったグラハムに対して、彼女は照れくさそうに視線を泳がせた。

 

 蚊の鳴くような声で、ぽつり、と。

 

 

「今は、結構、気に入っている。……いや、むしろ……あんたに会うときは、こういう格好じゃないと、落ち着かなくて」

 

 

 グラハムがぴたりと動きを止めた。ぱちぱちと目を瞬かせる。

 刹那の顔と耳は真っ赤だ。そのまま、彼女は貝のように口をつぐんでしまう。

 

 「そうか」と、グラハムは微笑んだ。どことなく嬉しそう/照れているように見えたのは、長年友人として彼と接していたクーゴだからこそ気づけたのだと思う。

 

 そんな感じで、グラハムは刹那と和やかに談笑していた。相変わらず、グラハムの表情はくるくる変わり、刹那は寡黙なままであった。時折、照れくさそうに視線を彷徨わせる。

 2人のやり取りを、クーゴは目を細めて見守っていた。イデアも楽しそうにその様子を見守っている。グラハムと刹那のやり取りを見守りながら、クーゴとイデアがのんびりとした時間を過ごす。それは、オフ会での恒例行事になっていた。

 

 

「平和だなぁ」

 

 

 クーゴが噛みしめるように呟いた。イデアも、のほほんとした表情で頷く。

 

 

「そうですね。まるで、世界の流れから切り離されてしまったような気がします」

 

「箱庭みたいなものか?」

 

「だとしたら、砂上の楼閣みたいなものですけどね。実は今にも崩れてしまいそうな」

 

 

 どこか寂しそうに、イデアは目を伏せた。彼女の気持ちは分からないわけではない。クーゴは何も言えなくて、飲み物を呷る。

 氷がグラスにぶつかる音が高らかに響いた。グラスには結露で発生した水滴がついている。指がついた場所から、滴が伝って流れて落ちた。

 

 世界が混迷している中で、この4人だけは永遠に変わらないのではないか――なんて、馬鹿なことを考える。最初の頃と比べれば、自分たちは変化してきているではないか。

 その方向が、ただ単に、4人にとって『良い方向』だったから、“このままであればいい”と思ってしまっただけだ。破滅のときまで、現状維持。結局のところ、それに尽きる。

 自分は意外と臆病だったらしい。そのことを思い知らされたような心地になり、クーゴはひっそりと自嘲した。おそらくはグラハムも、どこかではそれが引っかかっているに違いない。

 

 最も、それを口に出すこと自体、御法度のような気がするのだが。

 

 この場にいる誰もが同じ痛みを抱えて、来るべき日を見据えながら、それでも絆を切ろうとは思っていない。

 クーゴはイデアに視線を向けた。イデアはそれに気づいたようで、目を瞬かせる。彼女はふっと笑みを浮かべた。

 

 

「立ち止まることは、罪ではないです。前へ進むためには必要なことだから」

 

 

 私も同じです、とイデアは言った。その微笑み方を、自分はどこかで《視た》ことがある。

 

 それを見ていると、うまく言えないけれども、なんだかむず痒い気持ちになるのだ。

 学園。祭り。額にタッチ。限定的な“恋人”。彼女は、幸せそうに笑っていた。

 他にも何かあった気がする。全力疾走する男女――頭が痛くなったので、その光景を振り払った。

 

 

「……そっか」

 

 

 クーゴもまた、目を細める。

 イデアも、肯定するように頷き返した。

 

 心地よい沈黙が広がる。グラハムと刹那の会話が、どこか遠くのことのように思えてきた。時折、店員同士の話し声も紛れ込む。

 クーゴは大きく息を吐いた。オフ会の今でしか話せないことがある。あくまでも、自分たちは「オフ会で顔を合わせる友達」なのだ。

 そこには、ソレスタルビーイングもユニオン軍もない。“多分、時間が開いてしまったら、伝えられなくなってしまう”――漠然と、そんな気がした。

 

 

「『誰よりも強くなければ、世界は変えられない。誰よりも優しくなければ、世界を変える資格がない』」

 

「え?」

 

「戦争根絶を謳う団体を見て、最近思うようになったことだよ」

 

 

 イデアが目を丸くする。クーゴは静かに言葉を続けた。

 

 

「アザディスタンで、ガンダムが無防備な状態で保護した用心を送り届けたというニュースがあっただろう? あれを見て思ったんだ」

 

 

 我ながら、いけしゃあしゃあとした発言である。その光景を間近で見ていたというのに。

 これでは、いつぞやのクワトロ・バジーナとシャア・アズナブルに引けを取らないではないか。

 

 クワトロとシャアは同一人物だ。彼は連邦軍の大尉として所属しているときはクワトロ。ジオン軍、キシリア直属の工作部隊、オルトロス隊の構成員のときはシャアと名乗り、世界のために戦っていた。

 連邦軍およびガンダムに対して蟠りを抱いていたオルトロス隊の面々が、コネクト・フォースの面々に決闘を申し込んだことがある。その最中、ミューカスとバジュラの乱入があり、面々と共闘することを選んだ仮面2人組に対し、シャアは別部隊への援護へ向かった。

 別部隊の援護とは名ばかりであり、実際は、『ジオングをキシリアの元へ返却し、シャアとして決闘に臨む代わりに預けていた百式を返してもらっていた』だけである。ついでに新装備も付けてもらったようで、クワトロ大尉として何食わぬ顔で戻って来て、何食わぬ顔で援護してくれたのだ。

 

 ちなみにこの虚憶(きょおく)は『殴り合い、宇宙(そら)/OE』である。『ガンダムファイト、レディー、ゴー!』および『ブシドーがめんどくさい』アレであった。閑話休題。

 

 

「世界は彼らを犯罪者と言うけれど、その強さと優しさには敬意を持つべきだと思っている」

 

 

 自らの理想を体現するために、愚直なまでに突き進んだ、天使の後ろ姿を思い出す。

 あれは、強くなければできないことだ。優しくなければできないことだ。その眩しさに、クーゴはゆるりと目を細めた。

 

 

「だから俺は、そんな彼らと対峙するに相応しい存在でありたい。……それが、俺が『ソレスタルビーイング』に示せる、精一杯の誠意だと思うから」

 

「……どうして、今、そんな話を?」

 

 

 幾何かの間をおいて、イデアは神妙な顔つきで問いかけてきた。声が堅い。

 

 

「今じゃなきゃ、伝えられないと思ってな」

 

 

 クーゴは苦笑した。この場で言えることはそれだけだし、それを実践するためには戦場で、ということになるだろう。

 イデアはじっとクーゴを見つめていた。クーゴの心に触れようと、思案しているかの様子だった。透き通った水面を覗き込むような表情。

 この場にまた、沈黙が降りる。イデアは、水面の底に何を見たのだろう。それを問う間もなく、彼女は静かに目を閉じた。

 

 何かに納得したかのように、イデアは小さく頷く。

 「わかりました」と微笑んだ女性の声は、凛と透き通った響きを宿していた。

 

 

「ソレスタルビーイングがそれを聞いたら、なんて言うかな」

 

 

 いけしゃあしゃあとした態度のまま、クーゴは独り言ちるように呟いた。イデアはぴくりと眉の端を動かす。

 真剣な顔をして俯いたのち、彼女は顔を上げた。クーゴをまっすぐ見返して、照れたように笑った。

 

 

「『物好きな奴もいるんだな』って笑いながら、嬉しそうにするんじゃないんですかね。……そういう人の存在は、彼らの支えになると思いますよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「え? またあのシミュレーター、人がおかしくなったのか?」

 

「そうだよ。『ズール皇帝こそ正義だ!』って叫び出して、また人が暴れたらしいんだ。しかも、前回より派手に」

 

 

 クーゴの問いかけに、ビリーは苦笑しながら頷いた。「今回のことで、例のシミュレーターは完全に配信停止が決まったようだ」と、至極残念そうに肩を落とした。

 先日も、金属生命体のシミュレーターをやっていたMSパイロットが『頭に響くんだよォ! 叫んでばかりでぇ!!』と叫んでシミュレーターを破壊したばかりである。

 その後お叱りを受けたそうだが、壊した本人は未だに納得していない様子だった。以来、彼は、金属生命体のシミュレーターには近づかないでいる。

 

 ただ、たまに、他のシミュレーターをやっていると、何か聞こえている様子を見せるそうだ。

 詳しいことは知らないが、周囲の情報曰く、「煩い」としきりに呟いているという。

 

 

「そうか。ところでビリー」

 

「目測しないでくれよ」

 

「了解」

 

 

 下腹部のたるみ具合を目測しようとしたら、それを察したビリーから睨まれた。彼の手には、齧りかけのドーナッツが握られている。

 

 食事も不規則、その上、3食すべてがドーナッツだ。つまみまでドーナッツである。不健康極まりない生活習慣だ。クーゴが差し入れを持っていかなければ、彼の食生活はもっと危険なことになっていただろう。

 不健康と言えば、昔のグラハムも当てはまる。料理のレパートリーが少ないのも相まって、一時は1週間マッシュポテトのみで過ごしたこともあったらしい。マヨネーズと野菜とマカロニを混ぜてポテトサラダにするぐらいの工夫があってもいいはずだ。

 現在のグラハム・エーカーは、以前よりはマシになった。刹那に振る舞う料理の練習を、クーゴやガンダム調査隊の仲間たちと一緒に行っているというのもある。料理教室の余波として、ハワードが以前から気になる子と接近したり、ダリルが姪御さんから褒めちぎられた等の出来事もあった。

 

 ちなみに、ビリーには何のイベントもない。

 意中のリーサ嬢は、多忙でなかなか捕まえられない様子だった。

 

 それでも、料理教室にはきちんと参加し、おいしいものを作って持ち帰っている。

 

 

(誰と食べてるんだろう? 相手、いるのかな?)

 

「……クーゴ?」

 

「ナンデモアリマセン」

 

 

 ビリーが何かを察したようで、ちらりとクーゴを見返した。失礼なことを考えてないだろうね、と、彼の瞳が問いかけてくる。

 クーゴは思考回路を逸らすため、端末へと視線を向けた。情報収集と追及逃れのため、わざとらしく端末を開く。

 

 

「『PMCトラストが、新型MDの開発に成功』……。『各国に、試作機の提供を行う』?」

 

 

 どうやら、ユニオンにも近々新型MDが届くらしい。何やら作為を感じるのは気のせいではなかった。

 以前のアザディスタン内戦に関わったとされるPMCに対して、世間は冷たい眼差しを向け始めている。

 噂によると、その一件がラスードとマリナの会談、およびセキ・レイ・シロエにスッパ抜かれて以来、業績が芳しくなくなったらしい。

 

 特に、停戦調停――名ばかりだが、一応、仕事はした――でアザディスタンに介入したユニオン軍からは、何とも言えない目で見られている。

 今回の新型提供は、“等価交換に『目をつぶれ』”ということだろう。その条件を飲むか否かは、近々行われる性能テストを試金石にしている。

 

 

「ウチにも一応、何台か来るみたいなんだ。確か、機体名はビルゴだったっけ? 他にも既存シリーズの強化系や他の機体があったみたいだけど、担当部署が違うからな……」

 

 

 「後できちんと調べてみる」とビリーは言った。クーゴも、頼み込むようにしてぺこりと頭を下げた。

 

 MDという言葉を聞くと、なんだか嫌な予感しかしない。モラリア戦役で白いガンダムに群がっていた、ヴァイエイトとメリクリウスの姿を思い出す。赤と青、対をなす機体がイデアを追いつめていく姿は“機械統制を受けているにも関わらず、まるで仇敵を抹殺しようと意気込んでいる”かのように思えた。

 もしこの場に――あるいはこの世界のどこかに、トレーズ・クシュリナーダという男がいたならば。MDを開発した民間企業に対し、遺憾の意を述べることは間違いないだろう。ボタン1つで決着がつく戦争を嫌う彼ならば、そうする。どうしてここに彼がいないのか、非常に惜しい。

 不意に、虚憶(きょおく)がフラッシュバックした。小惑星の上で、トールギスがリーブラを見上げている。機体の後ろには、トレーズの部下が駆るリーオーたち。リーブラから放たれた主砲の一撃が、トレーズ派の兵士たちに向かって降り注ぐ――!!

 

 遮るように現れたのは、金色の機体。奴は割り込むように現れ、主砲を簡単に無力化した。

 「お前はお呼びじゃないんだよ、帰れ」という言葉が喉元までせりあがってきた理由は、何だったか。

 

 

「何か、釈然としないな」

 

 

 後ろから、苦い表情でやって来たのはグラハムである。彼はコーヒーの入った紙コップを片手に深々と息を吐いた。

 

 

「私は、MDは好かない」

 

「ああ、なんとなくお前もトレーズ派に近いもんな」

 

 

 ボタン1つで決着のつく時代。人の尊厳を無視した、無慈悲な兵器が存在していた。そのために、多くの人間たちが、虫けらのように殺されていった。

 合理化を推し進めた結果の産物だ。その重みを、いい意味も悪い意味も噛み砕いて理解していたのは、トレーズやミリアルドぐらいのものだったであろう。

 

 窓を見る。PMCトラストのロゴが描かれたコンテナが、ゆっくりと運び込まれていくところだった。

 あの中に、MDたちが収められている。殺戮兵器としての出番を、今か今かと待ちわびているのだ。

 正規利用されることになったら、MDは何人の人間――兵士および民間人含む――を手にかけるのだろう。

 

 

(異常が発生して、そのままお蔵入りになればいいのに)

 

 

 どうにもならぬ嫌悪感を持て余しながら、クーゴはコンテナを眺めていた。

 

 コンテナから機体が下ろされていく。不意に、誰かがじっとこちらを見ているような気がした。視線の主と思しきものは、運ばれていくカーキ色の機体――ビルゴ。

 角度と反射光のタイミングが悪かったのか、「獲物を見つけた」と嬉しそうに笑いつつ狩りの準備に入った獣を思わせる光を放っていた。

 カメラアイの反射とは思えないほど、タイミングが良すぎる。しかし、機械が感情を持つはずがない。あの機体に搭載されたAIには、そんな機能はないからだ。

 

 やはり、偶然だったのだろうか。

 クーゴは深々と息を吐き、端末をいじる。

 

 どこかで、砂上の楼閣が崩れていく音が聞こえた気がした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ひゃ、150mだって!? こんなもの振り回せるはずがない! 重力が少ない宇宙圏ならいざ知らず、地上で振り回したら腕が折れてしまう!」

 

 

 ビリー・カタギリの主張に対し、青年はくるりと踵を返した。

 

 

「それじゃあ、この話はなかったことにするさ。お宅にはもう、技術提供をしない。交渉決裂ってところかな」

 

 

 青年の言葉に、ユニオン軍の技術班が顔色を変えた。顔面蒼白という言葉そのものだ。

 つかつかと音を立てて、青年は足を進める。そんな彼を呼び止めたのは、レイフ・エイフマン教授であった。

 

 

「……わかった。引き受けよう」

 

「教授! 正気ですか!?」

 

 

 ビリーが驚きに満ちた表情を浮かべた。エイフマンは頷く。

 

 彼の真剣な横顔に、青年は懐かしさを覚える。声をかけたい衝動に駆られたが、ぐっと堪えた。

 青年はくるりと向きを変えて、研究者2人の元へと歩み寄る。口元には、緩やかな微笑。

 

 

「なら、交渉成立だね。新武装の提供をしよう」

 

 

 青年は後ろを向いた。手で合図をすれば、コンテナが運び込まれていく。中身は新武装に必要な材料である。そうして、青年は技術者たちの方へ向き直った。

 タブレットに保存されている図面を転送する。それを改めて確認していた技術班の人間たちは、「あ」と声を上げた。図面の中に、彼らの心配の種を刈り取るものを見つけたからだ。

 青年は、表情を輝かせて語り始める彼らの様子を眺めていた。青年にとって、熱を込めて語り合う人々の様子は、とても身近で愛おしいものであったからだ。思わず表情を緩ませる。

 

 「それと」と青年が付け加える。

 技術者たちは、端末から顔を上げた。

 

 青年が話題を向けるのを待っていたとでもいうかのように、奥の方から1人の女性が歩み寄ってきた。金髪碧眼で、白衣を身に纏った凛々しい女性である。

 

 

「初めまして。悪の組織第3技術班の顧問をやっている、ノーヴル・ディランという者です。我が会社(そしき)との契約更新が決まった場合、我が班がこちらに派遣および常駐が決まっていましたので、ご挨拶に」

 

「彼女が無駄足にならなくて、本当に良かった。以後は僕ではなく、彼女を通じて技術提供、および交渉を行ってくれればいいからさ」

 

 

 青年はひらひらと手を振り、そのまま研究施設を後にした。

 女性――ノーヴル・ディランとすれ違いざまに、そっと声をかける。

 

 

<あとは、お願いします>

 

<ええ。任せておいて>

 

 

 その声は、決して他人に聞こえることはない。“同胞”でもない限り、聞き取ることは不可能だろう。

 

 青年はユニオン基地を後にした。基地の前に留まっていた車に乗り込む。車は窓にカーテンをしいて、ゆっくりと走り出した。

 今なら誰も見えないだろう。青年は、自分の頭に手をかけた。ばさ、という音とともに、髪の毛――ヴィックが膝の上に落ちる。

 夕日を思わせるようなクロームオレンジの髪。ゆるいウェーブがかかっていた毛は、ヴィックの下に押し込められていたせいでぐちゃぐちゃになっていた。

 

 次に手をかけたのは、顔。べり、と嫌な音を立てて、青年は何かをはがした。破けて落ちたのは、人間の肌を模して造られたマスクである。

 露わになったのは端正な顔立ち。次に、青年は目からカラーコンタクトを外す。瞬き一つの後に、本来の色であるマルベリーの瞳が姿を現した。

 

 

「あとは、疑似人格を解除して……はー。やっと解放されました」

 

「お疲れ様」

 

 

 青年は大きく息を吐いた。そんな彼を労わるようにして、車の運転手が声をかけてきた。

 それに応えるように、青年も頷く。

 

 

「疑似人格の使い分けには慣れていますが、今回のようなタイプは、やっぱり違和感しかありませんねー」

 

「正直、かなり前に使った東北弁とか違和感だらけだったなぁ。『おだづな、いい加減さしろ』――『ふざけるな、いい加減にしろ』とか、『はすのはすっこを走って渡っていった』――『橋の端を走って渡っていった』とか。後者は橋、端、(はし)でイントネーションが微妙に違うんだよね」

 

「言っている自分の言葉が宇宙語に聞こえたこともありますよ。一番は沖縄弁ですね。『うかーさい。絶対んかいうかーさい』とか」

 

「あ、『おかしい。絶対におかしい』って奴か」

 

 

 あっはっはっはっ――朗らかに笑う青年2人。

 彼らはしばし談笑にふけっていた。

 

 

「でも、大丈夫なんですか? こんなことして。いくらサブを遠隔操作できるとはいえ、あいつに気づかれるのでは?」

 

「まだ気づいてないし、気づかせるつもりもないよ。手順通り“例のもの”を掌握したら、サブはさっさと始末する予定さ」

 

 

 運転手はへらりと笑った。紫の瞳は悪戯っぽく細められる。こうして見ると、運転手が青年より年上とは思えない。運転手はいつだって若々しさを失わなかった。

 そのせいか、青年と運転手は、出会った頃から友人および悪友関係となっていた。その関係性は現在も変わっていない。おそらくは、これからも。

 青年は目で合図した。運転手は運転席と座席の間にあったカーテンを閉める。それを確認し、青年は慌ただしく着替えを始めた。煌びやかな衣装を身に纏う。

 

 鏡を見ながら身支度を整える。どこからどう見ても、完璧なアイドルだ。青年はぱん、と手を叩く。

 

 

「今回はやけに気合が入ってるね」

 

「教え子が来ますから。無様な格好は晒せません」

 

「そう。じゃあ、頑張って。僕も見てるから」

 

「頑張りますよ。全力でね」

 

 

 車が止まったのを確認し、青年は優雅な動作で降りた。慌ただしい足取りで楽屋へ向かう。

 人々と挨拶を交わした青年は部屋へと入り、最終確認を行う。問題は、ない。そのまま部屋から出た。

 

 ステージに出る。スポットライトと歓声が、惜しみなく青年に向けられた。

 

 音楽が鳴り響く。ざわめく声はヒートアップし、たくさんのペンライトが激しく揺れた。

 そのすべてに答えるため、青年は満面の笑みを浮かべて腕を突き上げたのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ヴァイエイト、メリクリウス。これらは、モラリア戦役で投入されたMDであり、現在コンテナに積まれている機体――ビルゴの原型機だ。

 ビルゴには遠距離攻撃と破壊力に特化したヴァイエイトのキャノン砲と、接近戦および防御に特化したメリクリウスのプラネエイトディフェンサーが搭載されている。

 ちなみに、プラネエイトディフェンサーは、磁気フィールドを作り出すことでビーム関連の攻撃の威力を相殺することのできる防御型兵装の1つである。

 

 新開発されたビルゴはヴァイエイトとメリクリウスの『いいとこ取り』のMDだが、その分、機動力は原型機と比較して劣っている。

 PMCトラスト側曰く、「将来は宇宙圏にも進出できる機体にする」予定なのだという。予算回収がうまくいかないのが玉にキズらしいが。

 

 機体の色はカーキ色と黒の2パターンある。ずんぐりとしたフォルムは、武骨で物々しい。

 

 

「乙女座の名前を冠する機体にしては、センチメンタリズムの欠片も見当たらんな」

 

 

 窓越しに佇むビルゴを睨みながら、グラハムが険しい表情で呟いた。言いたいことはよくわからないが、彼が憤っていることは明らかである。

 クーゴも、グラハムが見ているビルゴへと視線を向けた。センチメンタリズムを感じるどころか、殲滅兵器らしさが上乗せされていているように思えてならない。

 

 

「むしろ、苛烈さと攻撃性に満ち溢れているように思う」

 

「キミもそう思うか」

 

 

 クーゴは小さく頷いた。

 ビルゴ以外のMDは、あと2種類ある。

 

 黒と白のカラーリングと、ひし形に近いフォルムを特徴にしたトーラス。可変機体であり、こちらもビルゴと同じ宇宙運用を目指しているという。機体名の由来は牡牛座のギリシャ語読みからきていた。攻撃力と耐久力は、ビルゴに勝るとも劣らない。

 春を思わせるようなピンク色を基調とした、可愛らしい外観のファルシア。本来は有人機体として開発されたものらしいが、AIを使った遠隔操作に特化した機体に開発し直したため、花を思わせるような台座がつけられていた。純粋な攻撃力は2機に劣るが、機動力ならこちらが上だ。

 本当はもう1機が「遠隔操作の中継点用」についてくる予定だったが、開発中に少々トラブルがあったようで難航しているらしい。その機体は、有人機体とMD用機体、どちらにも流用可能のものだという。民間軍事会社と侮るなかれ、というところだろうか。

 

 

「――シグナル、荒ぶる青(タイプ・ブルー)半覚醒個体と判明。数、2体。目標視認」

 

荒ぶる青(タイプ・ブルー)半覚醒個体の能力値計測。優先順位を決定。パーソナルデータの照合開始」

 

 

 どこからだろう。無機質な合成音声が聞こえる。冷淡でありながら、まるで仇敵を見つけたかのような声色に思えてならない。

 クーゴは思わずMDたちを見上げた。機体はコンテナに入ったまま、全く動く様子を見せなかった。まだ起動していないのだから、当然と言える。

 

 

(……なんだろう、この違和感)

 

「クーゴ。例の新武装のテスト、決まったよ」

 

 

 クーゴの思考回路は、廊下の向うから駆けてきたビリーの言葉に遮られた。

 彼は慌ただしくタブレットを示して見せる。そこには、新武装の図面が描かれていた。

 ざっとそれを見て――クーゴは凍り付いた。自分の目がおかしいのかと思い、何度も目をこすったり、瞬きを繰り返した。

 

 視力、両目とも2.0。クーゴの目は、ある数字をしっかり映し出している。

 

 それは、3桁の数字だった。その後ろには、メートルという単位を表す「m」が表記されている。

 もう一度、クーゴは祈るような気持ちで数字を確認した。

 

 全長、150m。音にして、『ぜんちょう、ひゃくごじゅうめーとる』。

 

 何度見直しても、同じだった。

 

 

「無茶言うな! こんなもの振り回したら、敵どころか味方までぶった切りそうな勢いなんだが!?」

 

 

 クーゴの突っ込みに、ビリーはこちらを諌めるように弁明する。

 

 

「大丈夫だよ。普段は15mの長さのまま鞘に収めていられるし、長さの調整だってできるし、地上で振るっても腕が折れないようにチューンナップできるし!」

 

「長さ調節って、高枝切り鋏じゃあるまいし。刀として、それはちょっとまずいんじゃ」

 

「この武装のテスト次第で、新しい武装に関するデータが追加される可能性があるんだ。……いや、『やってくれないと契約が切られてしまう』と言った方が正しいかな?」

 

 

 ビリーがしょんぼりしたように肩を落とした。技術班の面々も、なんとかしようと努力したのだろう。でも、結局、最近ここに来た悪の組織の技術者に圧されてしまった様子だった。

 対ガンダム用の新機体を開発するにあたって、ガンダムの武装と機体性能を参照にしたチューンナップは急務である。技術班は、そのための図面作成や技術開発に追われているという。

 

 クーゴは図面に視線を落とす。武装名は、『150ガーベラ』。『150mの刀身を持つガーベラストレート』という意味からつけられた名前だった。

 

 よくもまあ、そんな武装を思いつくものだ。クーゴは素直に、悪の組織の技術者たちに感嘆する。この図面を再現できる技術力にも、それを思い至る頭脳にも。

 振り回すこと前提で話が進んでいたが、そもそも、クーゴがこれを振り回せるかという問題がある。そのための武装テストなのだろうが、前提を忘れていたのではないかと思えてならない。

 グラハムも図面をじっと眺める。その目はきらきら光っていた。150mの刀は、彼の浪漫をくすぐって止まないようだ。グラハムは日本文化が好きだからなぁ、と、クーゴは心の中で呟き苦笑した。

 

 

「……技術班の進退が懸っているんだ。やらないわけにはいかんだろう」

 

 

 図面から目を離し、クーゴは窓の外に視線を向けた。先程まで晴れていた空に、雲がかかり始めている。

 なんとなく気になって端末を起動させ、天気予報を確認した。晴れ間は今日限り、あとはしばらく曇りが続くらしい。

 

 

「ところで、武装のテストはいつだ? カタギリ」

 

「この日だね」

 

「ふむ、曇りか」

 

 

 グラハムとビリーが話している内容を聞きながら、クーゴは薄ら寒さを堪えるように身をすくめる。振り返れば、その先にはMDの群れ。

 MDは機械人形だ。機械人形が意志を持つとは思えない。意志がないことは、心も感情もないということに他ならない――……はずだ。

 モラリア戦役で感じた『機械の殺意』も、普通に考えたらあり得ない現象である。一体何がどうなっているのだろう?

 

 また、声がする。無機質な、機械の合成音声。

 

 

「パーソナルデータ、一致」

 

「――優先■■対象、クーゴ・ハガネ」

 

 

「――!?」

 

 

 名前を呼ばれた。機械の合成音声に。

 クーゴは慌てて振り返る。そこには、静かに佇むMDの姿だけがあった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 テスト当日。

 

 天気予報の通り、空は曇天。むしろ、雨が降って雷が鳴り出してしまいそうなレベルの分厚い雲に覆われている。風が唸るように吹き抜けたのは、きっと気のせいではない。

 それでも、テストを行うのには支障がないという。技術者たちも上層部もGoサインを出した。クーゴ自身の体調も良好だった、というのもあるだろう。但し、『演習場に入る前の体調』が良好だったという補足がつくが。

 

 

「……寒いな」

 

 

 パイロットスーツに着替えたクーゴは、小さく零しながら腕をさすった。テスト開始の時間とクーゴが演習場に近づくほど、その寒気がますます酷くなっていくように思う。

 メディカルチェックの結果は良好だ。何度やっても同じだった。気味が悪くなるくらい同じだった。背中を撫でる寒気を持て余しながら、クーゴは歩みを進める。

 廊下の突当りで、グラハムやビリーたちが誰かと何かを話しているのが見えた。金髪碧眼の、凛とした佇まいの女性。どこかで《視た》ことのある女性だ。

 

 

『時間ピッタリのご到着ですね、グラハム少佐。乙女座の男性は几帳面だったかしら?』

 

 

 そう言って、カリフォルニアの基地にやって来た自分たちを迎えた女性は、誰だったか。

 

 クーゴが思考回路をそちらに向けて回転させ始めたとき、不意に、脇から何かが飛び出してきた。どん、と、強い衝撃がかかる。流石に倒れこむことはなかったが、驚いたのは事実だ。クーゴが振り返ると、そこにいたのは4人の少年少女であった。

 茶髪に鳶色の目を持つ少年、紫の髪に青い瞳を持つ少年、黒い髪に赤みのかかった紫の瞳を持つ少女、金髪に青みのかかった紫の瞳を持つ少女。彼らが身に纏う制服の胸元には、悪の組織のロゴが刺繍されている。とても若いが、彼らも悪の組織に所属する技術者なのだろう。

 

 ざり、と、頭の奥底でノイズが響いた気がした。

 知っている。クーゴは、彼らとどこかで《会った》ことがある。

 脳裏に浮かんだのは、別の方向を向いた4人の若者たちの後ろ姿だった。

 

 

(いのちのこたえ)

 

 

 2つの側面から補完され、示された答えがあった。

 その答えを示すために、命を賭けて戦った男女がいた。

 

 可愛い後輩。片方は同じ部隊に所属する仲間として、片方は自分たちに立ちはだかる敵として、2つに分かれて戦っていた。

 

 クーゴとグラハムの関係性とよく似ていた彼らを見て、ずっと心配していた。同時に、どこかで恐れていた。

 何か一つでも歯車がずれていたら、クーゴとグラハムが辿っていたかもしれない可能性のように思えてならなかったから。

 

 

(キミたちは――)

 

 

 クーゴの脳裏に浮かびかけた《何か》が形になる前に、少年が謝罪する方が早かった。

 

 

「ごめんなさい、ハガネ()()!」

 

 

 茶髪の少年が慌てて頭を下げる。大丈夫だと応えようとして、ふとした違和感に気づいた。

 クーゴの階級は中尉。それに対し、少年はクーゴを見て()()と呼んだ。

 途端に、少年少女の顔が「しまった!」と叫びそうな表情を浮かべる。

 

 紫の髪の少年が、茶髪の青年の頭を小突いた。「馬鹿!」「ごめん! ()()ハガネ中尉だった!」――少年2人が会話を繰り広げる。

 茶髪の少年と紫の髪の少年の会話には、大きな違和感がある。その違和感を掴もうと思案したとき、こちらに気づいたグラハムがクーゴを呼んだ。

 

 クーゴは彼らの元へと足を向けた。グラハム、ビリー、エイフマン、女性の輪に加わる。

 

 

「お待たせしました、ノーヴル博士」

 

「いいえ。開始10分前です、クーゴ中尉」

 

 

 女性に一礼する。彼女――ノーヴル・クルーガーはふわりと微笑み、会釈を返した。

 グラハムがちらりと後ろにいるアニエスたちに視線を向ける。クーゴも同じようにして、少年少女たちに視線を向けた。

 

 

「そちらの少年たちは?」

 

「娘と、()()()()()たちです」

 

 

 ――あれ?

 

 危うく「そうなんですか」と言ってしまいそうになったが、クーゴは自分の思考回路にブレーキをかけた。

 他の面々も違和感に気づいたらしい。「え?」だの「あれ?」だのと首を傾げる。ノーヴルも首を傾げたが、自分の発言が私的なものだったことに気づいたようだ。

 

 彼女は頬を赤らめながら、視線を逸らした。

 

 

「……ええと、この子たちも、私と同じ悪の組織の技術者なの。まだまだ若いけれど、実力は確かよ。――サヤ、アユル、アニエス、ジン。自己紹介を」

 

 

 ノーヴルに促された4人が、自己紹介を始める。どことなく緊張した面持ちだった。

 

 

「アニエス・ベルジュです」

 

「ジン・スペンサーです」

 

「サヤ・クルーガーです」

 

「アユル・クルーガーです」

 

 

 よろしくお願いします! と、少し幼い声が綺麗に重なった。見ていて微笑ましい光景である。

 だが、クーゴは、気づいたら“そう”口走っていた。

 

 

「あれ? ノーヴル博士とアユルのファミリーネーム、ディランじゃなかったんですか?」

 

 

 それを聞いたノーヴルは目を瞬かせる。彼女は表情を緩め、是と頷いた。

 

 

「確かに、私の旧姓はディランよ。でも、どうしてわかったの?」

 

 

 ノーヴルに問われ、クーゴは言葉に詰まってしまう。何故、自分はそこに思い至ったのだろうか――答えはすぐに出た。虚憶(きょおく)である。

 そのことを包み隠さず話せば、彼女は面白そうにくすくす笑った。現実的かつ堅実な山羊座の人間が、虚憶(きょおく)の話をするとは思わなかったのだろう。

 最も、星座占いには限界があった。星座の行動原理とは全く違うタイプの人間もいる。山羊座でありながら異性に対して軽い人間だっているくらいだ。どこまで正確なのやら。

 

 ひとしきり雑談に興じた後、ノーヴルはアニエスたちに目配せした。彼らも小さく頷き、集まって話を始めた。

 耳を立ててみる。若いながらも優秀な技術者――ノーヴルの言葉通り、面々は端末と睨めっこしながら討論を行っていた。

 

 懐にしまっていた時計を確認する。丁度、テスト開始時刻だ。

 

 

「それじゃあ、お願いします」

 

「こちらこそ、よろしく」

 

 

 クーゴとノーヴルは互いに頭を下げた。その様子を見ていたグラハムたちが、力強い笑みを浮かべてこちらを見返す。

 頑張ってこい――言葉でなくとも、彼らの思いが伝わってきた。それに応えるため、クーゴも微笑み返して頷いた。

 

 格納庫を見上げれば、『150ガーベラ』を装備したクーゴのフラッグが佇んでいる。カメラアイ付近の頭部に、光が反射して輝いたような気がした。

 

 どうやら、クーゴの愛機(あいぼう)もやる気らしい。一緒に頑張ろう、と、クーゴは小さく呟いて頷いた。そのまま、フラッグに乗り込む準備に移る。

 図面を見ていたアニエスたちが、期待に満ちた眼差しを向けてきた。頑張ってください! と、少し幼い声が4つ、綺麗に重なった。本当に微笑ましい光景である。

 彼らに背を向け、フラッグに乗り込もうとしたときだった。アニエスたちのひそひそ話が聞こえてくる。

 

 

「あの、グラハム・エーカー少佐とクーゴ・ハガネ少佐が、僕たちの目の前にいるんだ……!」

「アーニーの馬鹿! 不用意にあの2人を()()って呼んじゃいけないって言われてるだろ? 今は2人とも中尉なんだから、気を付けろよ」

「でも、グラハム中尉は、近いうちに上級大尉になりますよね?」

「アユル!」

「ご、ごめんなさい……」

 

 

 面々の様子を視界の端に入れながら、クーゴはフラッグに乗り込んだ。

 

 フラッグが起動する。コックピットのモニターに、演習場の全体が映し出された。

 隣に仕切られた区画では、PMCトラストから提供されたMD3種――ビルゴ、トーラス、ファルシアの性能テストが行われている。

 

 

(なんか、嫌だな)

 

 

 MDに対する嫌悪と嫌な予感を持て余しつつ、クーゴは操縦桿を動かした。フラッグは、腰に装備されたガーベラストレートを引き抜く。

 現時点では刀身15m弱。これが10倍の刀身になるのだ。一歩間違えれば、武器に振り回されてしまう危険性だってあり得る。

 小回りが利かなくなるのは確実だ。それを、担い手であるクーゴがどこまでカバーできるか。新型武装と己自身を相手にした戦いだ。

 

 もう一度、この武装のメリットとデメリットを思い返す。

 

 メリットは2つある。1つめは、広範囲に攻撃をすることが可能であること。2つめは、戦艦から放たれる砲撃を(計算、および理論上)戦艦ごと真っ二つにできる攻撃力を有していることだ。

 デメリットは3つある。1つめは、タイガー・ピアスを用いた二刀流の戦術スタイルを使えないということ。2つめは、刀身の長さが凄まじいことになるため、小回りが利かなくなってしまうこと。3つめは、1度振り回すだけでもかなりの負荷がかかるらしいこと。

 

 

「『パワーグローブやOSの改造等で補強されていても、多少の影響が出る』……だったか」

 

 

 カスタムフラッグの12Gも相当アレ(今は、多少キツさが残るものの、もう慣れた)だったが、150ガーベラについては未知数だ。一歩間違えれば、『ゼクスの前にトールギスに乗った人間』と同じ末路を辿る危険性だってあり得る。

 その恐怖と対峙しながら、機体改良のためのテストパイロットをしていた人間がいる。フラッグの育ての親こそ、クーゴの親友にして相棒、グラハム・エーカーその人なのだ。開発者にしてもう1人の育ての親とその後継者――レイフ・エイフマンとビリー・カタギリも、このテストを見守っている。

 

 

(……フラッグの育ての親が目の前にいるんだ。無様な真似は晒せないぞ)

 

 

 まあ、晒す気もないのだが。ぴりぴりとした緊張感を感じながら、クーゴは不敵に微笑んだ。

 

 150ガーベラを構える。まずは、長さを少しづつ変更し、徐々に長くしていく。長さの変化で起きる現象を、しっかり確認するためだ。

 最初から150メートル全開にすると言うのは、かなりの危険が伴う。まずは5m増の20mから挑戦していく。

 

 刀身を水平に構えて柄を撫でれば、ガーベラストレートの刀身は20mに変化した。今のところ、フラッグの体制が崩れる等の異常は発生していない。

 試しに、的へ向かって刀を振るう。普段よりも長くなっているため、ほんの少し軸がずれそうになった。そのズレが、戦場では致命的な隙/タイムラグに繋がる。

 練習なしの一発勝負には危険な武装だ。OSに搭載された誤差修正機能があっても、それを過信しすぎるのは問題だ。クーゴは大きく息を吐く。

 

 

<OSにも改良の余地あり、か。リアルタイムで、できるだけやってみよう>

<剣道のコンバットパターン、もう少し多く集めなきゃダメだな>

<でも、ハガネ少……中尉の動きは、演劇などで使われる殺陣も取り入れているみたいですよ?>

<そっちは役者の動きを取り込むしかなさそうですね。日本の時代劇を分析する必要があります>

 

 

 不意に、アニエス、ジン、アユル、サヤたちの《聲》が《聴こえてきた》。

 彼らは真剣に、改善策の検討をしている。

 

 

<とりあえず、現時点で改良できる範囲はここまでかな?>

 

 

「――ハガネ中尉。現時点で改良したデータを送ります」

 

 

 どこか遠くで響いていたアニエスの声が、急に鮮明に響きだした。

 

 

「もうできたのか!?」

 

「急ごしらえの突貫工事ですけどね」

 

 

 通信の向うから、アニエスの照れたような声が聞こえた。アニエスたち4人組は、その場でOSの改良を行ったという。ノーヴルの言うとおり、若いが優秀な宇宙技師たちだ。

 試しにもう一度、20mの刀身を振るってみる。今度は、体勢はふらつきにくくなった。先程と比べれば、かなり楽に振るうことができる。しばらく振るい続ければ、いずれ慣れるだろう。

 

 しばらく刀を振るっていたら、またOSが改良および更新されていた。

 

 あまりの速さに、ビリーやエイフマンが感嘆の声を漏らしていた。通信機越しから伝わってくる。若き技術者たちは、年上の同業者から褒められたことが嬉しいらしい。

 そんな彼らに対して、ノーヴルは厳しい様子で苦言を呈している。彼女の指摘に、若者たちは緩んでいた表情を引き締め、再びOSの更新のためデータを打ち込んでいく。

 彼らの様子に火がついたのだろう。ビリーやエイフマンも、一緒になってOSの改良を行い始めた。酷く真剣な面持ちで端末と睨めっこする技術者たちの姿が《視えた》気がして、クーゴは知らず知らずのうちに操縦桿を握り締めていた。

 

 

(これだけのバックアップがあるんだ。ますます、無様な真似は晒せないぞ……!)

 

<しっかりやれよ、クーゴ>

 

 

 不意に、グラハムの《聲》が《聴こえてきた》。見れば、端末と睨めっこしている面々とは違い、グラハムは観客席からじっとクーゴを見上げている。

 彼の口元には不敵な笑み。「キミができないはずがない」と、翠緑の瞳が挑戦的に細められていた。クーゴもつられて微笑み返す。

 

 砲撃の照準がクーゴとフラッグを捉える。それへ向かって、クーゴはガーベラストレートを振るったのだった。

 

 

 

*

 

 

 

 

「――よし、今日はこれくらいにしよう。帰投してくれ」

 

「了解」

 

 

 ビリーの終了宣言に、クーゴは大きく息を吐いた。今日は最長の150mに挑戦することはできなかったが、最大長さは50mまで扱えるようになった。

 OSの適宜改良もそうだが、クーゴの慣れもある。あまり欲張っても、一朝一夕で結果が出せるわけではないのだ。

 

 分厚い雲の間から、ぽつぽつと雫が落ちてくる。雨脚はすぐに強くなり、遠くからは雷鳴が聞こえてきた。

 

 

(MDの機動実験は、まだやってるみたいだな)

 

 

 隣に仕切られた区画では、PMCトラストから提供されたMD3種――ビルゴ、トーラス、ファルシアの性能テストが行われている。

 こちらは、まだまだ時間がかかるらしい。それを一瞥し、クーゴはフラッグの操縦桿を動かす。格納庫へ帰還しようとした矢先だった。

 視界の端に、ビルゴが映った。黒い雲の間に、雷の光が瞬く。白い閃光は、ビルゴのカメラアイ付近に反射してぎらりと揺らいだ。

 

 

「――クーゴ・ハガネ」

 

 

 声がした。機械の合成音声だった。

 

 

「これより、対象の殲滅を開始する」

 

 

 物々しい単語に、クーゴは振り返った。己の感情を投影されたフラッグも、MDたちをテストしている区画の方を向いた。

 空中戦のテストをしていた機体が目に入る。――次の瞬間、その機体たちからの攻撃/砲撃の雨あられが降り注いだ!

 

 

 

 

 

 

 

 クーゴ・ハガネの災難は続く。

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