ブタ野郎に親友を作っただけのお話   作:ノラン

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もう更新しないと思いました? 僕は思いました。(2回目)

もうこれ誰が読んでくれるんだろう。って思いながら投稿します。
アニメが始まって二次創作も盛り上がると嬉しいな。






思春期症候群対策会議本部(仮)

 

 

 

 ——紙の上で淡々と走るシャーペンが、放課後の物理実験室で静かにカリカリと音を立てていた。

 

 

 とても静かな空間だ。開いた窓の外から流れてくる運動部の声以外の音がほぼ響いておらず、小さな息遣いすら大きな音に感じられる。

 その運動部の声すらも薄く、空間全体が静寂という言葉で形成されたと言っても過言ではないほどに、そこは静まり返っていた。

 

 

「ーーーー」

 

「ーーーー」

 

 

 静寂の世界、物理実験室。普通の教室よりも広いその場所に、一組の男女がいる。

 教師が授業中に使用する黒板前に設置された横長の教卓。椅子に座り、その教卓を挟んで対面する男女が。

 

 女の名は双葉 理央。

 教卓に数学Ⅱの教科書と問題集とノートを広げる彼女は、時折「んー」と頭を悩ませながらも問題集の問題をノートに解いている。

 

 男の名は空野 天。

 黒板側に座る理央の対面に座る彼は英語の単語帳を手元で開き、赤シートを片手に単語を頑張って暗記しているところだ。

 

 理央は数学、天は英語。双方、中間テストに向けて勉強中である。

 集中した様子で取り組む姿勢は真面目そのもので、邪魔が入らなければ日が暮れるまで続きそうな予感を漂わせていた。

 

 

「——空野」

 

「どの問題?」

 

 

 遅くも確実に動いていたシャーペンの動きが止まり、それが一分ほど続いた理央が天のことを呼ぶ。

 名前を呼ばれただけで理央の要求を理解した天は単語帳から顔を上げ、問題集を見た。

 

 

「これなんだけど。やり方が分からない」

 

「見せて」

 

 

 問題集を回して天に見せながら、理央は分からない問題をシャーペンの先で指して示す。

 頭の中を英語から数学に切り替える天は、自分のシャーペンを持ちながらその問題を覗き込んだ。

 

 「はいはい、恒等式ね」と呟きながら問題の内容をボソボソと読み上げ、「abcの値を定めればいいから……はいはい」と一人で納得しながら睨めっこすること数秒。

 「おっけ」と頷くと問題集を回し返し、理央に向けて、

 

 

「まず、左辺を展開して整理すんのよ。そのあと、両辺の同じ次数の項の係数を比較してみ。それができたら式が三つ出てくるから、それを解いて答えが出るはず」

 

「分かった。やってみる」

 

 

 シャーペンを使いながら全体的な解き方を簡単に教えると、今の説明で理解してくれた理央がノートにシャーペンを走らせる。

 やり方が分からなかっただけで、数式自体を解くのに壁は無いらしい。言われた通りに左辺を展開すると整理し、流れるように式を三つ作って解を導き出した。

 自分の解答と模範解答を見比べ、「よし」と一言。再び単語帳と格闘する天を見て、

 

 

「解けた」

 

「よかった」

 

「ありがと」

 

「そのためにいるので」

 

 

 無事に解けた理央の感謝を受け止め、天は手首を揺らすように軽く手を振る。

 視線は単語帳に向けたまま満足そうな表情で、自分のやり方が間違っていなかったのだと心の中で安堵した。

 

 そもそも、天がここにいる理由は理央に数学を教えるため。放課後の暇な時間、バイトがない日に時間を合わせ、問題を解く彼女に付き添っていた。

 というのも、去年に一度だけ数学を教えたのがお気に召したらしく。それ以来、テスト前に一、二回はこうして呼ばれるようになった。

 教えると言っても理央自体が学年全体で頭がいい方だから、問題を解くためのアドバイスを軽くする程度ではあるが。

 

 そう考えていたところで、理央が開いていた問題集をパタンと閉じる。

 

 

「おしまい?」

 

「疲れたからね。始めてから一時間近く経ったし、集中力の限界を感じた。それに、やりたかった範囲も終わったから」

 

「そう。じゃぁ、俺もやめよーっと」

 

 

 問題集やノートといった勉強道具を片付ける理央に準ずるように、天も睨めっこしていた単語帳を足元にあるバックの中に放り込む。

 同じく理央も広げていた物をバッグの中にしまうと、組んだ両手を前に伸ばして伸びの姿勢。「んー!」と喉を高く鳴らしながら背筋を伸ばした。

 

 あまり見れない姿。リラックスする理央を前に天は「ふっ」と唇を綻ばせると、

 

 

「勉強お疲れ様」

 

「空野もね。教えてくれてありがと」

 

「どーいたしまして。つか、お礼を言われることでもないよ。俺と双葉は友達なんだから。………友達だよね? 俺が勝手に思ってるだけじゃないよね?」

 

「少なくとも、花火を一緒に見れるくらいの仲ではあるんじゃない?」

 

 

 自分で言って不安になる天の疑問の視線を適当に流し、理央は椅子から立ち上がる。

 戸棚からアルコールランプとビーカーとマッチ、それからマグカップを二つほど取り出し、いつも通り教卓に並べた。

 

 打ち上げ花火を一緒に見れるくらいの仲とは、どれくらいの仲だろうか。友達の定義、友達の境界線、人によって大きく異なるそれに悩む天には困る返し方だ。とても理央らしい。

 とりあえず、友達だと思われていると思っておこう。そんな風に都合よく解釈して完結すると、

 

 

「じゃぁ、友達だと解釈するね」

 

「好きなように」

 

「ん。好きなようにする」

 

 

 ビーカーに水を入れる理央のそっけない返答に満足げに笑み、天はふと思い出して足元のバッグを膝の上に置く。開いた口の中に手を突っ込み、ガサゴソと音を立てながら漁り始める。

 理央のそっけない態度は今に始まったことじゃないから、特に気にしない。それ以前に、友達だと面と向かって言われて否定しない様子から察した。

 

 その理央も理央で、なにやら準備中。マッチをつけてアルコールランプに火を灯し、用意した三脚台の真下へスライド。その上に水を汲んだビーカーを置いた。

 言わずもがな、ほっと一息タイムの準備である。学校の実験器具で湯を沸かし、インスタントコーヒーを作るという所業。

 

 科学部の特権を遺憾なく振るう理央。慣れた手つきで準備を完了させた彼女はそこで手を止め、天の様子が気になって前を見る。

 そこには、口の開いたお菓子の袋を教卓に置いている天がいて、

 

 

「コーヒーのおすそわけしてくれるみたいだから、俺もチョコのおすそわけ。勉強して頭ぁ使ったようだし、糖分摂取。食べ過ぎに注意ね」

 

 

 と、チョコを差し出してくる。

 

 理央がさりげなく天の分のマグカップを用意していることを、あくまで『理央のついで』とし。

 天もまた『自分のついで』でチョコを理央に用意するという遠回しな気遣い。

 自分の性格を分かっているのか分かっていないのか、変なところで気を遣われた理央である。

 

 

「空野って、ほんと律儀だね」

 

「優しくされたら優しくする。助けてもらったら助ける。なにかしてもらったらなにかする。ギブアンドテイクってやつ。律儀云々は颯と咲太にもよく言われるけど」

 

「見た目の割に、って?」

 

「そうそう見た目の割に、っておい」

 

 

 一人でノリツッコミする天に僅かに笑みの形に唇を緩ませ、理央は袋の中に手を伸ばす。人差し指と中指で摘むように一つ取り出すと、口の中に入れた。

 その適当な反応を受け、天は「はぁ」とため息。

外観と内観の差がありすぎて、もはやこの扱いが普通なのではと頭の片隅で考え、勝手に納得してチョコを食べた。

 

 

「まぁ別に、そんな理由がなくてもチョコくらい分けるけどさ。双葉がインスタントのコーヒー分けてくれるように」

 

 

 そんな風に、呟きながら。

 

 

「それで? あれからどうなの。梓川は桜島先輩に謝れたの?」

 

 

 二人一緒にチョコの味を堪能していると、理央が口を開く。

 ちゃんと口の中の物が無くなってから開くあたり、颯と咲太とは違うなと天は思った。いや、それが当たり前なのだが。

 

 浮上したくだらない考えを捨てる天。机に肘をついてスマホを弄り始めた理央に、彼は「んーん」と首を横に振り、

 

 

「謝るどころか会えてすらないよ。あれから約二週間、ずっと避けられ続けてるみたい」

 

「空野のせいでね」

 

「それ、お願いだからアイツらには言わないでね。バレたら怒られる。冗談抜きで。ついでに桜島先輩にも怒られるかも」

 

 

 興味なさそうに聞いてくる理央にジト目を向け、天はやや強めに口止めをする。

 多分、彼女ならバラさないとは思うし、ついうっかりなんてこともないとも思う。が、悲観論で備えて楽観論で考えるのが天のやり方なのだ。

 

 哀願するような、懇願するような。緩やかな声の割に熱が込められた天のそれを聞くと、理央は視線をスマホから天に移して「言わないよ」と、

 

 

「言ったら私も巻き込まれそうだし」

 

「俺の話を色々と聞いてる時点で巻き込まれてるようなものだけどね。………なにしてんの?」

 

「神崎に、空野が桜島先輩と会ってること教えてる」

 

「ごめんなさい冗談です嘘ですなのでやめてください今すぐにそのアプリを閉じてください」

 

 

 巻き込まれていると言われた途端に目の色を変えた理央の親指がスマホ上で高速移動し、不審に思った天が聞いてみれば突然の裏切り宣言。

 目が本気(マジ)になった理央にひやっとさせられれば、流石の天も呑気な態度を貫いてはいられなかった。

 

 身を引き、身を乗り出してスマホを奪おうとする天を回避。必死な様相で頑張る天を見ると、理央は「ふっ」と嘲笑うように息をこぼし、

 

 

「嘘。教えたら本当に巻き込まれるから言わない。あの二人に詰められるのは本気で無理」

 

「そー言う割には目がマジだったけど……?」

 

「気のせい」

 

「気のせいって……。なら、いいよ」

 

 

 不安視する天がその先の言葉を繋ごうとするも、これ以上刺激すると言われかねないと中断。墓穴を掘る前に口を閉じ、早めに切り上げて流れを断ち切った。

 ここは一つ、理央の言うことを信じよう。実際、颯と咲太にこのことを教えたとして、彼女も巻き込まれるのは事実だし。

 理央はいつから知っていたのかと詰められ、天はなんで教えてくれなかったのかと詰められ、二人揃って共倒れだ。

 

 勿論、それが分かっているから理央も本気で言っているわけではない。けれど、揶揄ったときの天の反応が面白いので、

 

 

「どれだけ探しても見つからない桜島先輩。その人にご執心な梓川が今の話を聞いたら、なんて言うのか興味がないわけじゃないけど」

 

「不安にさせて、安心させて、もっかい不安にさせるのやめてくれない? なんなの? 俺の心を弄んで楽しい?」

 

「なら、初めから私に言わなければいい」

 

「ぐうの音も出ないから言わないで。アイツらと違って双葉は秘密主義だと思ってんだよ。言ってもバラさないと信用してるから話したの」

 

 

 淡々と正論を振り翳してくる理央に表情を歪め、嫌そうな顔をしながら天は頬杖をつく。

 その反応に理央は、なんてことなさそうな顔をしてスマホを弄り、けれど心の中では期待通りのそれに悪戯な笑みを小さく浮かべた。

 

 咲太が桜島麻衣と出会ってから今日までのこと、その経過を全て理央は知っている。

 麻衣が思春期症候群を発症しているかもしれないことも、咲太が麻衣を助けようとしていることも、そのせいで麻衣の逆鱗に触れて避けられていることも。

 全て、全て、目の前の男から逐一教えられているのだ。なにか、聡明な理央なら助けになってくれるのではないかと思われて。

 

 理央からすればいい迷惑。

 だが、勉強面で助けてもらっている天をぞんざいに扱うわけにもいかないので、こうして仕方なく話に付き合ってやってるのである。

 

 

「本当に言わないでよね。フリじゃないからね。言うなよ、絶対に言うなよ。じゃないからね」

 

「そう言う割に、空野自身は桜島先輩と裏で会ってるんでしょ。スキャンダルに発展してゴシップ記事に載せられても知らないよ。それよりも前に、梓川たちとの関係にヒビが入る」

 

「笑えない冗談だよ、それ。俺が一人のときを狙って話しかけてくるんだから仕方ないでしょ。逃げようにも逃げれない、逃がしてくれないんだから」

 

「人によっては羨ましがる絵面だね」

 

 

 飽きたようにスマホを置き、天と同じように頬杖をつく理央が、徐々に泡立ち始めたビーカーを見ながら言った。

 なんとも他人事な言い方に「揶揄わないで」と天は頭を抱えて、

 

 

「二日くらい前だったかな……。藤沢駅周辺の人には完全に見えなくなって、ネットで注文しようにも受け取りができない。って理由で買い物に付き合わされたし」

 

「ご愁傷様」

 

「あの人、藤沢駅で俺を待ち伏せしてやがった。俺が一人なのを確認した上で、ちょっと付き合いなさい、って強引に……」

 

「それでも、ちゃんと付き合うところが空野らしい」

 

「付き合わさせられてんだよ」

 

 

 思春期症候群に理解があり、自分のことを『ただの桜島麻衣』だと本気で思っていることが裏目に出たか。

 この二週間のうちに三回、麻衣から害のない人間として認識されているのか知らないが、天は咲太や颯には絶対内緒という約束で接触されていた。

 

 その一回が今の話。

 どうやら、麻衣の身に起こる思春期症候群の影響は拡大しつつあって、最近では藤沢駅周辺の人に対しては完全に透明人間状態らしく、買い物もまともにできないらしいのだ。

 流石の麻衣も空腹には勝てない。家にあった物で食い繋ぐのにも無理が生じ、最終的に天は買い物に付き合わさせられる羽目に。

 

 

「で、どうだった。思春期症候群が本当かどうか、空野のことだから確認したんでしょ」

 

 

 アルコールランプの火を消し、ぶくぶくと音を立てて沸騰したビーカーのお湯をマグカップに移す理央。

 きっかり二人分、量の差なく移すとインスタントコーヒーの粉をひと匙落として完成。

 「はい」とマグカップを渡してくる理央に天は「ありがと」と受け取ると、

 

 

「誰も見えてなかったし、声も聞けてなかった。桜島先輩の思春期症候群は本当だよ」

 

「ふーん」

 

 

 信じられない。とでも言いたげに喉を鳴らし、理央はマグカップを両手で包み込むように持つ。口元に近づけて空気と一緒にコーヒーを飲んだ。

 予想していた反応。思春期症候群に対して否定的な意見、否定的というより全否定の意見を持つ彼女に天は「だってさ」と、

 

 

「俺、スーパーで桜島先輩と話してて周りからすげぇ変な目で見られたんだよ。コイツ、なに一人で話してんだ? みたいな感じの冷ややかな目で。咄嗟にスマホを耳に当てた俺を褒めてほしい」

 

「冷ややかな目で見られる前にするならまだしも、あとにする方がより怪しく見えるけど」

 

「……確かに」

 

 

 的確な指摘に納得。コーヒーで喉を潤す天は「まぁ、それはそれとしてだよ」と話を進めて、

 

 

「他にもね、桜島先輩がレジのおばちゃんの顔の前で手を振ったんだけど、それも見えてなかった。桜島先輩とぶつかりそうになった男の人も、まるでそこに誰もいないようにそのまま直進してたし」

 

 

 いっそ笑った方がいいのかと感じるほど、麻衣は周囲の人間から完全に無視されていた。否、あれは無視なんて言葉で言い表せるものじゃない。

 存在そのものが認識されていない——思いつく限りではその言葉が一番当てはまっている。

 

 咲太から話として聞いてしかいなかった、麻衣の思春期症候群。話だけではにわかに信じがたいそれだが、

 

 

「流石に目の前で見ると信じるしかないよ。桜島先輩は思春期症候群を確かに発症して、その影響は笑えないレベルで日に日に拡大してる。肌で実感した。普通に寒気がした」

 

 

 声色を低くした天が深刻な表情で話すと、理央の目がすっと細まる。それは彼女の瞳に映る天が、己の口にした言葉を本当の本当に怖がっているものだったからだ。

 麻衣と行動を共にした天がなにを見て、なにを感じたのか理央には正確には分からない。ただ、様子と言動から推測することは可能だ。

 

 だから彼女は「はぁ」と面倒そうにため息。途端に仕方なさそうな雰囲気を纏うと、

 

 

「もし、仮に、それが本当に、思春期症候群だとして。私なりに考えてはみたんだけどさ」

 

 

 人差し指の爪先で机をトントンと叩き、理央は天の意識を引きつける。

 考え込みそうなところを寸前で引き上げられ、助けられた天に「うん。聞かせて」と真剣な姿勢で先を促されると、

 

 

「人が見えなくなる現象、見えなくなるというより認識されなくなる現状。あくまで仮説だけど、それは恐らく観測理——」

 

「双葉ぁ、邪魔するぞー」

 

 

 話す寸前で、邪魔が入った。

 

 頑なに思春期症候群を認めようとしない理央が真剣な声で話そうとした瞬間、物理実験室の扉が不意に開かれ、外から第三者の声が飛び込んでくる。

 強制的に話を中断された彼女の顔が音の方向に向くと、その先には眠そうな顔をした男、

 

 

「咲太、ノックくらいしようよ。今、普通にびっくりしたんだけど。中の人への配慮が足りないよ」

 

「邪魔するなら出ていけ」

 

「入って早々、散々な言われようだな」

 

 

 天の最もな文句と、理央の辛辣な挨拶を胸に受け止めながら、しかし容赦なく物理実験室に足を踏み入れるのは咲太。

 扉を閉める彼はジト目と鋭い目の二つを前から後ろに受け流し、有無も言わさず適当な椅子を拝借して天の横に座る。

 それから天と理央を交互に見ると、

 

 

「放課後に二人っきりでいると変な噂が立つから、やめた方がいいぞ。天と双葉が付き合ってて放課後の物理実験室でイチャイチャしてる、とかな」

 

「俺はその、咲太のデリカシーのないところをやめたほうがいいと思うよ」

 

「全くもって同意見。死ね梓川」

 

「二人してひどいな」

 

 

 息の合った連携に苦笑。

 乾いた笑いを溢す天と、殺意すら込めてそうな顔で睨みつけてくる双葉。冷たい態度をとる二人の言葉を咲太はその苦笑で適当に流す。

 それで登場による感情の波打ちは収まった。言っても無駄だと諦めた天の視線が、咲太が入ってきた扉を警戒するように向けられると、

 

 

「颯は?」

 

「先に帰った。バイトの前にすることがあるんだと」

 

「咲太もバイトだったよね?」

 

「どれだけ麻衣さんを追いかけても面白いくらい会えないから、今日の放課後はちょっと気分を変えようと思ってな。バイト前に寄った」

 

 

 「ふざけるな」と、理央が隠すことなく苛立ちの声を咲太に突き刺す。天は「そっか」と呟くだけで他に反応を示さない。

 二人の反応を咲太は気にすることなどない様子で、机に置かれてあるお菓子の袋の中からチョコを拝借して口に運んだ。

 

 

「そのお菓子、俺のか双葉のか分かってて食べてるんだよね?」

 

「天のだろ?」

 

「そうだけど……。まぁいいや」

 

 

 当たり前のように言って、口の中でもぐもぐする咲太になにか言いたそうな天だが、そこから先の言葉は口にしなかった。

 したところで無駄だと諦めたか、口にするのも面倒だと思ったか。

 どちらにせよ、天もまた自分のように咲太の素行には困らされているようだと、今のやりとりで理解した理央。マグカップを両手で包む彼女は天に哀れみの目を送っておく。

 

 

「それで? 二人してなにしてたんだ? イチャイチャは冗談として、また勉強会か?」

 

 

 勝手にお菓子を食べられて言葉もない天。彼を哀れみの目で見る理央。そんな二人のことを交互に見る咲太は、机に頬杖をつきながら聞く。

 おおよその見当をつけた問いかけに、天は「そうだよ」と頷いて、

 

 

「中間テストも近いし、双葉に数学を教えてた。今は一段楽して、まったりしてたところ」

 

「それでお菓子の袋とコーヒーか」

 

「コーヒーは双葉が淹れてくれた。教えてくれたお礼って感じで」

 

「なら、僕にも淹れてくれ。天に淹れたついでって感じで」

 

「物理実験室にずけずけと入ってきた梓川に淹れてやるコーヒーなんてない。そもそもここは喫茶店でもない。いいからさっさと出ていけ」

 

 

 天の簡単な説明に、手首を揺らすように手をひらひら振ってくる咲太を睨みつけ、両手で包み込んだマグカップを持ち上げる双葉は辛辣だ。

 目つきも鋭く、声色は低い。佑真や天とは対応が大違い。

 といっても初めからこんな感じで接せられているので、咲太は特に気にすることもない。これが自分と彼女の距離感なのだと認識している彼は、その言葉を無視して、

 

 

「最近どうだ? なんか面白いことはあったか?」

 

「そういうのは空野とかに聞けば? 敢えて梓川に報告するようなことはないよ」

 

「天とは普段からしてるから、たまには別の人の面白い話を聞きたいんだ。ほら、ずっと同じものを食べてると飽きるだろ? それと同じだよ。まぁ、コイツに限ってはそうも言えないけど」

 

「じゃあいいじゃない。私を暇を持て余した高校生のような話に巻き込むな」

 

 

 「空野と話せば」とマグカップを口に近づけ、ずずっと小さな音を立ててコーヒーを飲む理央が、目で天のことを指す。目を向けられた天は適当に「あはは」と苦笑い。

 咲太との会話には付き合ってられないと言わんばかりのシャットアウト、相変わらず塩対応である。

 

 

「梓川の方こそ、最近どうなの。空野から聞いたけど、随分とあの桜島麻衣にご執心らしいじゃない」

 

「双葉に教えたのか?」

 

「別にいいでしょ? 双葉は口が堅いから、誰かに漏らすわけでもないし」

 

「漏らす相手がいない、の方が正しいと思うぞ」

 

「黙れ」

 

 

 光の速度で飛んできた理央の暴言を前から後ろに受け流し、咲太はからからと笑う。

 息をするように失礼な発言をする咲太に天は「ははは」と苦笑し、

 

 

「咲太が桜島先輩をブチギレさせてから早二週間、あれから姿すら見つけられてないんだもんね。ここまでくると避けられてるなんてもんじゃないよ、咲太」

 

「芸能活動の中で身につけた、取材カメラ回避テクニックってやつか。麻衣さん手強すぎてどうしようもないんだよ。完全にお手上げ状態だ」

 

「特大の地雷踏んだらしいね。まぁ、梓川なら踏んでも仕方ないと思うけど」

 

 

 両手を軽く上げて降参のポーズをする咲太に嫌味をぶつける理央は、そう言ってチラリと天を見る。ちょうどその時、天もまた理央を見ていて、二人の視線が交わった。

 天は麻衣と会っている——秘密を話した天は理央に「言わないでよ?」と目で訴えていて、だから理央は面倒そうに目で「分かってる」と頷く。

 

 目で会話し、意思疎通した二人。それに気づくことなく咲太は「どうしたもんかな」と教卓に突っ伏し、

 

 

「これじゃ麻衣さんの思春期症候群も解決できないままだし、どうにかして会わないとな。……天のことだから双葉も聞かされてるんだろ? 麻衣さんの身に起きてる現象について」

 

 

 ふっと話題を変えた咲太の目が、理央のことを捉える。ストレートに投げかけられたそれに、理央はすぐに答えなかった。

 数秒の沈黙。答え方を探すように表情をやや曇らせたのち、彼女は「まぁ」と口を開き、

 

 

「色々と聞かされてる。桜島先輩が周りの人間から見えなくなってる、って。姿だけじゃなくて声も聞けない透明人間状態だ、って」

 

「なら話は早い。麻衣さんに起こってる現像について、なにか思い当たる節はないか? 双葉ならなんかこう、いい感じに分かるだろ。手詰まりなんだ、助けてくれ」

 

 

 突っ伏した体をぐいっと起こし、咲太は素直に助けを求める。こういうとき、遠回しな言い方で言わずにド直球で『助けて』を言えるのが彼の美点だ。

 助けてほしいとき、「助けて」と言える人間は意外にも少ない。

 

 だからこそ、天と颯は彼に助けを求められたら一つ返事で助ける。

 だからこそ、天は心底面倒そうな顔色をする理央に「あのさ」と真剣な眼差しで、

 

 

「そういや、さっき双葉、俺になんか言いかけたよね。あくまで仮説が——とかなんとか言ってて、でも途中で咲太が入ってきたから中断されたやつ」

 

「そうなのか?」

 

「うん。だから、咲太は本当の本当に邪魔したんだよ」

 

「それは悪かった」

 

 

 軽い調子で謝る咲太に、天は「いや、別にいいよ」と一言。そうして会話が閉じられると、二人の視線が理央に向けられる。

 無言の圧力。目は口ほどに物を言うとは、よく言ったものだ。二人して理央が立てた仮説を聞きたいと目が雄弁に語っている。

 

 もとより話すつもりだったのだが、咲太に話せと言われて話すのもなんだか癪だなと思う理央。「はぁ」とため息をつく彼女はチョコを口に含み、咀嚼して飲み込む。

 それから、あくまで天に話すつもりで自分の中にある仮説を話し始めた。

 

 

「観測理論というものがある」

 

「かんそくりろん?」

 

「なにそれ」

 

 

 聞いたこともない言葉だと咲太が反芻する。天も同じなようで、眉間に小さな皺を寄せて小首を傾げる彼は「なにそれ、おいしいの?」とでも言い出しそうな雰囲気。

 多分、物理の話だろう。馬鹿っぽい反応をしつつも予想を立てた天が物理学のスイッチを頭の中で入れる中、理央は咳払いして、

 

 

「極端に言えば、この世界に存在するものは誰かが観測して初めて存在が確定する……という、普通に聞くととんでもない理論」

 

 

 真剣な表情で淡々と語る理央だが、その淡々さに反して言葉の内容はぶっ飛んでいる。

 背筋を伸ばして聞く天も、頬杖をついて聞く咲太も、ぱっと理解することはできていない。

 

 だから理央はもう一つの話を持ち出す。

 

 

「観測理論を分かりやすく説明するには、箱の中の猫の話がちょうどいい。聞いたことくらいあるでしょ」

 

「あー、俺それ知ってるよ。なんだっけ、あれだよ、ほら、えーっと、あのー」

 

「なに?」

 

「ああそう! シュレッダーの猫!」

 

「シュレディンガーの猫。切り刻んでどうする」

 

 

 呆れている理央の訂正に「そうそれ!」と、天がすっきりした表情で手をポンと叩く。そんな反応を見ていると、この男は頭が良いのか悪いのか、分からなくなる。

 天の誤答に息を吹き出した咲太も、名前くらいは知っている。逆にそれ以外はなにも知らない。名前を間違えた天は言わずもがな。

 

 スプラッターな猫が登場したところで、理央は机の下から空っぽの段ボール箱を引っ張り出すと、二人の前に置く。

 

 

「この中に猫と」

 

 

 言いながら招き猫の貯金箱を段ボールに入れ、

 

 

「一時間に一度の確率で放射線を発する放射線原子と、その放射線を感知して蓋が開く毒ガス入りの容器を一緒に入れておく。蓋が開けば毒ガスが漏れ、猫は確実に死ぬと思って」

 

 

 続け様に二つの物体が段ボールの中に入れられる。放射線原子に見立てたビーカーと、毒ガス入りの容器に見立てた二酸化マンガンのプラスチックボトル。

 

 猫の貯金箱(猫)。

 ビーカー(放射線原子)。

 プラスチックボトル(毒ガス容器)。

 

 これら三つを入れた段ボールの蓋を閉じて、

 

 

「蓋をして三十分間放置。——さて、空野に簡単な問題。三十分後、箱の中の猫はどうなってる」

 

「五分五分」

 

「なにが?」

 

「猫ちゃんの生死」

 

「正解」

 

「天って猫のことちゃん付けするんだな」

 

「うるさい。なんでもいいだろ」

 

 

 脇腹を突くように入れてくる咲太の茶々を蹴り飛ばし、即答した天は「んぅー」と喉を低く鳴らして考え込むように腕を組む。今の話を受け、なにか引っ掛かるものがあったらしい。

 難問に挑む顔つきになった天を横目に、理央は「じゃあ、梓川に問題」と、

 

 

「では、猫ちゃんの生死は?」

 

「双葉まで揶揄うなよ。泣くぞ」

 

 

 澄ました顔でからかってくる理央にがくりと首を曲げ、「これがいじられキャラの宿命……」と天は絶望したように俯く。

 無感情の裏でうっすらと楽しげな笑みを浮かべる理央に咲太は「そうだな」と考えて、

 

 

「天の言った通り五分五分だろ? 知りたいなら箱を揺するなり、蓋を開けるなりすればいい」

 

「箱は鋼鉄製で動かないように固定されてて、蓋は施錠されている」

 

「それを先に言え。じゃあ、猫が生きていることを信じるよ」

 

 

 あまり天をいじると怒られそうだから、これ以上はいじらない咲太が答えを出す。切り替えの早さに定評のある天も、今のやり取りの最中に絶望状態から復帰した。

 チョコをつまむ咲太の回答に理央は「そう」と肯定も否定もせず、言われたことを受け止め、

 

 

「この場合、梓川がどちらの回答を出してもいいんだけどね。生きてても、死んでても」

 

「ならなんで聞いたんだよ」

 

「今の猫の状態を『確定』するには、施錠を外して中を見るしかないから」

 

「………あ、なるほど。観測理論ってそーゆーことね。今のでなんとなく分かった。点と点が線で繋がったよ」

 

 

 不意に、理央の言葉を聞いた天が指をパチンと鳴らす。深く考え込んでいた表情がぱっと晴れ、全てを理解したように口角を釣り上げて笑った。

 頭を物理学に切り替えていたおかげで、初めに理央が話した事とシュレディンガーの猫の話が繋がったのだ。

 しかし咲太としてはイマイチ理解できず、頭の上に疑問符を浮かべたまま。

 

 地頭の違いが現れている二人を正面に、理央は段ボール箱の蓋を開け、

 

 

「箱の蓋を開けた瞬間、猫の生死は確定する。つまり、誰かが箱の中を確認するまでは、猫は半分生きてて半分死んでる状態になる。あくまで、量子力学の世界ではね」

 

「だから一番最初に、この世界に存在するものは誰かが観測して初めて存在が確定する……観測理論の話をしたんだね。猫ちゃ……猫も同じように誰かに観測されることで生死が確定するから」

 

 

 物理学ではあるが、正確には物理学の話ではなかったことに小さな驚きを得つつも納得する天に、理央は「そうだよ」と当然のように頷く。

 咲太も今ので理解した。理解はしたが、納得はしない。

 

 

「ぶっ飛びすぎだろ、その理屈。じゃあなんだ、例えば蓋をして十分後に死んでたとするだろ? なら、残りの時間を待って蓋を開けるまでもなく、猫は死んでるんじゃないのか」

 

「だから、とんでもない理論だ、って言ったでしょ。私としては、量子力学的な解釈はともかく、考え方自体は人間の真理を突いていると思うけど」

 

「人は物事を見たいようにしか見ない、都合のいい捉え方しかしない、ってこと?」

 

「無意識にね。梓川の噂がいい例だよ。真実よりも噂が優先される。梓川は箱の中の猫で、それ以外の生徒を観測者であるとすれば、分かりやすいんじゃない?」

 

 

 天の解釈から開げた理央の意見に、咲太は重苦しく「んー」と喉を唸らせて考える。

 

 真実を箱の中の猫、噂を外側にいる観測者だとすると。今の話はつまり、箱の中で起こっている事よりも、それを見た人間の主観が優先されるということだろう。

 猫の生死は、外にいる人間次第。咲太が生きていると思ったら生きているし、死んでいると思ったら死んでいる。猫の事実は関係なし。

 

 当事者の咲太の意見などどうでもよくて、それを見る側の意見で咲太という人間が悪いように認識されたように。

 

 

「それが、麻衣さんの思春期症候群に関わってるって双葉は言いたいのか?」

 

「あくまで仮説だけどね。まぁ、桜島先輩が見える人と見えない人の条件が曖昧な上に、そもそもの話として、概念すら曖昧な都市伝説を量子力学的に解き明かすのも難しいから」

 

「当てにはするなと」

 

「参考程度にして」

 

「分かった。教えてくれてありがとな」

 

 

 余計に頭の中がこんがらがった気がしなくもないが、面白い話を聞けたから咲太は礼を言った。

 理央の話は終始、それを見る側の話で語られていたから、これは麻衣の意識が変わった程度で解決できる問題かと不安の種が一つ増えたが、聞いて損はなかった。

 

 と、

 

 

『二年二組の国見君。バスケ部顧問の佐野先生がお呼びです。職員室まで来てください』

 

 

 聞き慣れたチャイムの音がした直後、校内放送で佑真を呼ぶ声が物理実験室に響き渡る。

 まるで話の区切りをつけるようなタイミング。緊張の糸が切れたように「ほぅ」と、一息つく天がコーヒーで喉を潤すと、

 

 

「部活関連かな?」

 

「なんかやらかしたんだろ」

 

「梓川じゃないんだし、空野の言った通りじゃない? 部活関連でしょ」

 

 

 二対一、数の有利で押し切られた咲太。自然と音の方向、スピーカーに目を向けた彼の目はその横にある時計に目をやると、短針が『3』を過ぎようとしているのが見えた。

 バイトの時間まであと少し。今から行けば余裕をもって到着する時間帯。

 

 ちょうどいい時間だ。

 

 

「うし。そろそろバイトだから帰るな」

 

「勝手に帰れ」

 

 

 背中に刺さる理央の辛辣な声を無視し、咲太は足元に置いたバッグを持って立ち上がる。座っていた椅子を元の場所に戻し、扉に向かって歩き出した。

 咲太が帰るなら自分も帰ろう。そんな風に便乗して天も立ち上がり、

 

 

「俺もそろそろ帰ろうかな。勉強会は終わったし、俺も帰って勉強しないと」

 

「空野は残れ。実験の手伝い」

 

「えぇ……まじ?」

 

「一人じゃできない実験をする」

 

 

 立ち上がろうと足に力を込めたところで、理央に呼び止められる。

 見れば、彼女は見慣れない実験器具を教卓の上にどんと置いて、本格的な実験の用意をしていた。その視線はこちらに注がれていて、逃がしてくれそうにない。

 

 実は、こうして実験の手伝いをお願いされるのは初めてではなかったりする。

 高校一年の頃、物理実験室に顔を出した際にたまたま実験をしていた彼女の手伝いをした以降、お気に召したのか、こうして誘われることがあるのだ。

 

 もちろん、断ることもできる。実際に中間テストの勉強をしなければならないし、単純に頭を使って疲れた。

 だが、せっかく誘ってくれた理央の気持ちを無碍にすることができる天ではない。

 

 

「去年みたく、学校中を停電させるのはナシだよ?」

 

「あれは必要なことだった」

 

「どこが必要じゃ。二人揃って科学部の顧問にこっぴどく叱られたでしょうが。加えて、俺は部員でもないのに器具を触るなって、怒られたんだからな。危うくここを出禁になるところだったよ」

 

「それは……、ごめん」

 

「いや、そこは図々しくあれ。学校中を停電させたんだからいっそ開き直れ。それも必要なことだった、くらいのことは言え。……って、なんで俺が一人でノリツッコミしてんだよ」

 

 

 自分で言っててバカらしく思ったのか、一人で勝手にはしゃいだ天が教卓についた手で体重を支え、「なに言ってんだ俺は」とその場を取り繕うように笑う。

 狙ったのか、狙っていないのか。急に塩らしさを見せ、表情を暗くした理央がその様子に「ふっ」と吹き出すように微笑を音にした。

 思わず溢れたように感じるそれを見届けると、咲太もまた伝わってきた笑みの波紋に「ふっ」と静かに笑う。

 

 

「じゃ、また明日な。二人とも」

 

 

 その余韻に浸りながら、咲太は物理実験室を去っていった。

 理央に佑真の話題を振ろうと思ったものの、今の雰囲気を壊すわけにもいかないと口を閉ざして。

 

 流石に、それくらいの空気は読む咲太だった。

 

 






前回の最終投稿日からお気に入りが50人を超え、評価者が10人に達していたことに驚愕しました。いつ投稿するかも分からないこの小説を読んでくださる方々に、本当に感謝します。

最近になってやっと原作も読み終わり、アニメが待ち遠しいです。

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