気ままに行くリク(偽)の旅路   作:仙儒

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プロローグ

 いつの間にか死んで神様転生と言うテンプレをかました。

 

 願いはキーブレードを選んだ。

 

 繋がる心が俺の力だ! と言うのは建前で様々な世界を旅してみたいと言う本音を胸に無事転生を果たしたのはいいんだけど、始まりの世界は東京だった。最初はキングダムハーツ4の舞台の一つであるクァッドラトゥムかと思ったけど普通に道路標識に東京や渋谷とか書かれてたので間違いない。

 

 近場のデパートに入ってトイレの鏡に写った顔は長めの銀色の髪の毛にビビる程の美形の少年。キングダムハーツ2辺りの見た目のリクだった。

 それにしても美形だな。スクエニのFF系列の作品に出てくる奴ら皆方向性が違うだけで美女美少女美形イケオジ系だけども。

 一瞬ソラを探す旅に出たリクかとも思ったけど見た目的にそうではなさそうだし、神様は転生だって言ってたもんな~。

 

 キーブレードを出してみたらウェイトゥザドーン(リクがキンハ2で使ってたキーブレード)出て来ておおっと感動してたが慌ててキーブレードを消してその場を後にする。誰かに見られていたら面倒だし。幸い人の往来が多い場所ではないし、トイレには人が居なかった。

 

 

 デパートから出て少し町中をぶらぶらとしていたところ、何かやばい気配がしたのでその方角へ行ってみると、路地裏にハートレスのシャドウが数匹いたので初戦闘。

 余り広くない場所であることと、戦い慣れしていないこと。あとやたら地面の影に同化するので四苦八苦しながら何とか倒す。力任せでキーブレードを振り回した場合、普通に周りにある物を壊すか斬ってしまう可能性もあったし。

 

 倒し終わった後、ゲームお馴染みの通貨マニーの他になぜか百円玉等の小銭も幾らか出て来た。序にアイテムもゲット。

 なぜか持ってるモバイルポータルでマップを確認しつつ、これまた都合よく入ってるジミニーメモを確認する。

 うん、見事なまでに何にも書いてない。

 

 それで、さっきから気になってたんだが……。頭に耳が生えて尻尾がある人がちらほらといる。最初はコスプレかとも思ったんだが、耳も尻尾も付けてるだけでは決してできない動きをしていた。

 情報を得るために近場のコンビニに入り適当な雑誌に目を通すとやたらレースだのなんだのと書かれた中にウマ娘なるワードが度々出てきていて、ファッション雑誌なんかも耳と尻尾が付いた人たちが一定数を占めていた。

 

 ウマ娘…ウマ娘か。聞いたことがないな。流石にこれだけ堂々と雑誌などに乗ってるならこの世界では普通のことなのだろうと予想が付くため人に馬鹿正直にウマ娘とは何ぞや? と聞くことは憚られる。

 これだけ俺の転生前の世界と技術的異差は余り受けないので探せば漫喫とかで情報を得られるかもしれないけど、さっき財布の中確認してみたらハートレスが落とした小銭合わせて千円弱しかないので漫喫にも入れないだろう。

 まぁ、取り敢えず一にも二にも先ずは情報。後はどの位この世界に留まるかわからないため、ハートレス退治以外でも金稼ぎの手段も持っておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、パパの仕事が終わったら遊びに連れてってくれる約束で。

 

 意気揚々とパパのお仕事に付いていく。

 

 付いた先で、取引先の相手の秘書と名乗る女の人に預けられて。

 

 その女の人から怖いおじさん達に渡されて、ウマ娘の人もいてどうしたらいいか分からなくて。

 

 怖くて、とても心細くて泣いたら怒鳴られて。

 

 どうなっちゃうんだろうって思ってたら黒いコートの人がでっかい鍵のような物で全員倒して連れ出してくれて。

 

 連れ出された先で空飛ぶ機関車に乗って、首が痛くなるくらい見上げないと上まで見えない、すっごく大きい、絵本の中に出てきそうな時計塔の上で夕陽を見ながら甘くて少ししょっぱい、不思議なアイスを食べた。

 

 何だか半分は夢を見ていた気分で。気が付いたら家のベッドの上でパパやママ、おばあ様や親戚のライアン達に囲まれてて。

 それに安堵して大泣きしてしまった。

 

 今思い返すととても恥ずかしい。

 

 その誘拐事件のせいで、どこへ行くにもメジロ家のボディーガードが2人以上付くようになったけど、そもそも外が少し怖くて引きこもり気味。

 特に親戚以外の男の人がダメで、爺やや主治医なんかも距離を置いてしまうありさま。

 

 

 不意に思い出す黒いコートのお兄さん。今考えるととっても怪しいのだけれど、当時のアタシは彼のことを疑ったり警戒したりしていなかったように思う。いや、正確には最初は警戒していたのかも知れないけど。

 

『―――』

 

 何て言って、何て言われたかなんてもう覚えてなくて、でもとても大切な約束をしたような気がする。被っていたフードの下の顔は凄く格好良くて、少女漫画から出て来た王子様みたいってだなって思って。

 夕陽に照らされて少し光ってるように見えた、とても綺麗な少し長めの蒼みがかった銀髪だった。

 

 名前は確か……リクって言ってたけ?

 

 本当にあれは夢だったのだろうかと思ってたらリクさんに貰った青い水晶と、一緒に食べたアイスの当たり棒が入った小さな袋がポケットの中に入っていたとお手伝いさんに渡された。

 

 夢じゃなかったんだ……。

 

 そう思うと少し顔がにやけてしまった。

 

 アタシが絵を描くようになったのはそれがきっかけだったと思う。

 

 一番古いスケッチブックを手に取る。

 

 色々な場所や人が描かれている、とってもへったくそな絵の数々。一番初めには空飛ぶ機関車と時計塔とアイスを食べる自分と黒いコートのリクさんと思われる人物。

 

 恥ずかしい気持ちと胸を締め付けられるような懐かしい気持ち。

 

 あと数日すればアタシは中央のトレセン学園に入学。

 

 あれから数年。結局アタシは彼との再会敵わず没交渉。せめてあのアイスだけはと思ったけどそのアイスは見つからない始末。

 

 思わずにこぼれ出てしまう溜息。

 

 そりゃぁ、アタシなんかが少女漫画見たいな展開になれるはずが無いけど……もうちょっと、こう、さ。

 

 そう落ち込みながら、少し悩んだ末にこのスケッチブックだけは持っていこうと荷物の中に入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界、何かマーリン様やイェン・シッド様いないみたい。いや、まぁ、留守なだけかもしんないけどさ。世界そのものは存在するけど、本人たちに会ってないんだよね。

 

 トワイライトタウンなんかも普通に暮らしてる人達はいるけどサイファー達やハイネ、ピンツ、オレットのトリオが居ないし。

 あ、因みに幽霊屋敷の地下の施設はちゃんと機能していて、データの世界の方のトワイライトタウンのPCはキチンと壊れてた。

 

 レオン達に会いに行ったら居なかったし、プーの絵本もない。

 ディズニーキャッスルももぬけの殻。

 

 ん~、お助けキャラが0か。闇の世界も一応行ったけどハートレスすら居なかったし。

 

 はて、どうしたもんかね。飯や寝床はグミシップで事足りるし。……グミシップに付いてる電子レンジみたいな見た目の機械にあるメニューの番号押すとその料理が出て来る仕組みってどうなってるんだろうな。

 魔法の力ってスゲー。メニューの内容? ジャンクフード店的なメニューばっかだよ。後は欧米とかヨーロッパ風の物しかない。

 

 まぁ、タダで幾らでも食えるんだから文句はないけどさ。でも、元日本人としては和食食いたいよな~。グミシップ改造したらメニューに追加されないかな。

 

 

 何てうだうだ考えてたら、グミシップが自動運転になって日本に降ろされた。

 

 適当に進んだ先に意味深に存在する建設途中の建物に入って行くと、案の定子供を囲んだ怖いお兄さん達にこの世界で知ったウマ娘とやらが数人。

 ブリザガ撃って動けなくなったところをキーブレードで殴って気絶させると言う容赦ない事をして最後の一人になったところで、キンハお決まりの闇に飲まれて暴走しだすヤーさんを容赦なくボコって倒したら結構なマニーとお金が手に入った。

 ……これ、カツアゲに入らないよね?

 

 ちょっとびくびくしながら現場から立ち去ろうとしたら、小さな子供がすごい勢いで抱きついてきた。

 

 一瞬、意識が飛びそうになりながらも何とか持ちこたえ、これまた凄い勢いで締め付けられながらギャン泣きされる。

 力強っ! ちょ、ま。締まる通り越して二つになっちゃう! 鯖折にされる!

 

 割かし強めに叩きつつ「ギブギブ」とアピールするけど聞き入れてもらえず、力ずくで引っぺがそうにも子供とは思えない力で抱きついているため、たぶん俺の体が折れるのが先だろう。

 

 マジでどうしようと思いながら、さっきのハートレスになったヤーさん倒した際にドロップしたポーションを口にする。

 何か、それ程強くはなかったけど、やたらとアイテムドロップが豪華だった。エリクサー1個にポーション5個だよ。

 幸運を使い切ったのか、それとも、今後の敵がそれ程やばいのかと戦々恐々。

 

 どうしよう。

 

 何か気が引ける物が無いかと思考を加速させる。現実逃避しようとしてたけどこれじゃあ先にポーション類が尽きて俺が終わる。物理的に。

 

 必死に思考を巡らせていると、そう言えばキンハ3にはアトラクション要素が結構あったなと思い出して、子供受けしそうなアトラクションに服装からして女の子っぽい(帽子被ってて表情がわからない)し安直にメリーゴーランドにするかと、屋内から建物の屋上? に移動する。

 因みに、移動してる途中も引っ付いてはなれなかった。

 

 屋上……開けた場所でメリーゴーランド出して乗って何周かしたら漸く気が付いて締め付けるのはやめてくれた。でも、左手だけは繋いで離してくれない。

 

 「お父さん、お母さんの所に帰ろう?」と言ったのだけど、そもそもここがどこだかこの幼女自体が知らないみたいなんだよね。

 しょうがないので交番にでも迷子として届ければ良いかと建物から去ろうとしたら今度はハートレスのシャドウの群れが急に現れた。

 建物を囲むように、大量に現れたそれらは此方に一斉に襲い掛かってくる。噓だろ、こっちは幼女連れてるんだぞ。

 マジで安全地帯が存在しない場所で幼女連れて戦うのは無理なので、マウンテンコースター出して空中に逃げ出す。ゲームと違い、使いたいときに使いたい物を出せるのはありがたい。

 

 取り敢えず安全かと思ったら、デビルズウェーブ状態になって空飛んで追いかけてきやがった。

 

 後先考えずに空を飛び回りながら攻撃の花火があちこちに上がり少しずつシャドウの数を削っていく。真昼間じゃなければもっと綺麗だろうなと思っているのは、案外余裕があるからなのか、それとも現実逃避をしてるだけなのか。

 怖がっていないかと幼女の様子を見ると案外キャッキャと楽しそうにしている。多分、敵と戦っている状況だと言うのが理解できてないんだと思う。

 まぁ、泣きわめかれるよりはずっといいかと、幼女が落ちないかに注意しつつ攻撃を続ける。

 

 

 何とか敵を倒すことに成功したけれど、あれだけ派手に暴れまわれば目立つわけで。下を見れば凄い人だかりが出来ていた。

 人の目を気にしてる余裕がなかったとは言え、流石にこれは不味いと思う。降りられないし、どうしようと人目に付く。こういった際の人々の野次馬根性は非常に厄介だ。

 グミシップ呼んでずらかろうかとも考えたけど、そんなことしたらUFOと勘違いされて余計悪目立ちするよね。現在進行形で汽車のアトラクションで空飛んどいて何なんだけどさ。

 

 現実逃避に夕日眺めながらアイス食いたいなーと考えたら目の前に闇の回廊が開いて飲み込まれる。

 

 十三機関の連中かと身構えたけどそれらしい人物は出てこないし気配もしない。

 

 取り敢えず、マウンテンコースターから降りて幼女を肩車して歩き出すと出口が急に出現して、出た先はロクサスたちが夕日を眺めながらアイス食べてたトワイライトタウンの駅の時計塔だった。

 何と言うご都合主義! と思いながらも、もしかして俺ってレプリカのリク。略してレプリクなのだろうか? と考える。それならばキーブレード使えるし、何よりも闇の回廊が使えるのも納得である。でも神様は転生だと言っていたしなー。もしかして消滅するはずだったレプリクをリサイクル的な何かをしてできたのが俺なのだろうか? えぇ……アンセムを名乗る不審者のゼアノートに乗っ取られて操られたりしないよね? 嫌だよ急に「闇に沈め!」キリッとか「俺が一番強かった時の俺だ」ドヤァとか「俺が、俺が本物だ!」とか言い出したら。

 まぁ、この辺は幾ら考えたところで答えなんて出ないし、神様を信じるしかないよな。そんなことより他の十三機関の連中の能力や魔法なんかも使えるようになってないかな? 個人的にはルクソードのマジックとか好きなんだよね。麻婆豆腐食って愉悦してそうなイケボなところも気に入ってる。こっちは裏切らないし苦労人ポジションで最後までソラにロクサスを重ねてたりしたロクサスの保護者に近い立ち位置だけど。ソラと敵対こそしてるもののソラに助言やなんかはしてたし。クッソわかりにくいけど。総合的に見て俺の付けたイケオジランキングの上位である。

 

 そんな馬鹿な考えは置いといて、此処に来たらアイス食わないわけにはいかないよな。時計塔を降りて広場に行き、おばちゃんのやってる店に行ってシーソルトアイス二つを買った(どうでもいいが、このおばちゃんの店の客第一号が何気にロクサスだったりする)。

 「まぁ~、仲のいい兄妹だね~。おばちゃん嬉しくなっちゃったよ。これ持ってきな」そう言って駄菓子を幾つかおまけしてもらった。「すいません、ありがとうございます」と軽く会釈すると「いいのいいの、お兄ちゃん頑張ってね」と背中を軽く叩かれる。別に兄妹ではないんだが、わざわざめんどくさくする必要はないだろう。それにしても、黒いコートのこと突っ込まれなかったな。その方が楽でいいんだけどさ。

 幼女は肩車状態でキョロキョロと見まわしてる。一気に周りの景色が変わったもんな。

 

 時計塔に戻り、幼女にアイスを渡す。二人で夕日を眺めながらアイスを食べる。

 

「名前……名前まだ聞いてない。わたしの名前はメジロドーベル」

 

 少し思い返してそう言えば互いの名前すらまだ知らなかったなと思い出す。

 

「名乗ってなかったなリクって言うんだ。よろしくな、メジロド「ドーベルでいい」わかった。ドーベル」

 

 少し夕日を眺めていたらポケットに巾着袋が入っていて、中身は青い水晶だった。

 

「ドーベル。これを夕日にかざすとキラキラして綺麗だぞ」

 

「本当! やってみる!」

 

 子供らしいやり取りに取りあえずは大丈夫そうだなと安堵する。一応人質にされていたのだろうからもっと色々と大変かと身構えていた俺は少し肩の力を抜く。

 

「ドーベル。人にはいろんな人がいる。強い人、弱い人、歌が上手い人、手先が器用な人、楽器演奏がうまい人、頑張れる人がいて頑張れない人もいる。たくさんだ。それらの強さ弱さは目に見えるものじゃない。だから、接していて楽しいと感じた心を大事にしてほしい。今はまだわからないかもしれないけどきっとわかる時が来る。だから、ドーベルはドーベルを大切にしてくれる人を大切にするんだ。……約束できるか?」

 

 れーげん先生とたいがー先生が言っていたような事を並べて言う。俺も二人のような大人でありたいけど、現実はそうはいかないのが厳しいところ。後は彼女が引きこもりにならないことを祈ろう。

 そう思いながら小指をドーベルの方に差し出す。

 

「うん、よくわかんないけどわかった」

 

 そう言って俺の小指に小さな小指が重なり軽く絡める。「約束っ!」とどこか嬉しそうに言うドーベルに「ああ、約束だ」と再度言う。

 

 

 アイスを食べ終わり、ドーベルが船をこぎ始めたのでおんぶして少しゆったり歩いてたらドーベルの寝息が聞こえてきたので東京に戻って交番にドーベル渡して、序にグミシップ回収して違う世界に行こう。

 

 交番にドーベルを届けたらその経緯を知りたいと拘束されそうだったので闇の回廊使ってグミシップの場所まで行って乗り込む。途中、水晶の入った巾着袋返してもらうの忘れてたのをおもいだしたがまぁ良いかと気にしないことにした。

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