気ままに行くリク(偽)の旅路   作:仙儒

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10話

 ほとぼりが冷めるまでこの世界から離れようとしてたらルビーの実家からルビーが結婚するから出てほしいと招待状を渡された。

 理由を付けて断ろうと思ったんだけどあれよあれよという間に丈を図られて礼服用意するんでと帰られてしまっては今更出ないというわけにはいかないので、急いでデスティニーアイランドに向かいココヤシの実を取ってくる羽目に。

 

 後は、ネットで結婚式のマナーを調べて頭に叩き込む。最低でもNG行動だけは押さえておかないと。

 

 一応、過去で婚礼の際の神父モドキをしたことはあるんだが、流石にあれは簡略化しすぎだし、幾らか場の勢いやノリを交えての無礼講も普通にしてたから、こう言った支配者階級の伝統に則った堅苦しい儀式と言うのは恥をかくし、新郎新婦側の一族へ恥をかかせるかもしれないのでできれば行きたくないのが本音なんだよな。ああ、胃が痛んできた来た気がする。

 

 そんであれよあれよという間に当日に。本番で用意された礼服着て式場に入ったら、今回の主役じゃないのに挨拶の列ができて大変だった。

 

 式も挨拶から何からちょくちょく知らされてないよ! と言う祝辞の言葉や挨拶なんかを頼まれたのでそれっぽい言葉を魔法を使ってそれっぽく演出して誓いの口づけを終わらせたところで古い風習なんだけど……と言って二人にココヤシの実を渡して、これを食べさせ会うと結ばれるのとたがいに心も体も離れ離れになっても必ず巡り合うって迷信(言い伝え)があって婚儀の場で食べさせ会うと非常に縁起がいいと説明したら新郎がかがんでルビーに負担がかからないようにしてルビーから食べさせ、新郎もまたルビーの口にココヤシの実を食べさせた。

 

 ちょっと恰好つけつつ「君たちの道行きを信じよう、さぁ、行きなさい」と氷魔法使いつつ光魔法を使って二人の歩くヴァージンロードはキラキラした幻想的な空間に早変わり。

 

 そのままお色直しに二人して戻っていった。

 

 流石にしゃしゃり出すぎかなと思っていたらルビー父にありがとうございます。と礼を言われたので、こちらこそこの様なめでたい席に及び頂いたこと嬉しく思います。と頭を軽くさげておいた。

 

 後日、謝金が手渡された。なんか高そうな品物も幾つか。

 現金はいいんだけどこういう高そうな品々がなんと言うか、こういう品々の価値がわからないからこれらをどうしようかと頭を悩ませる。

 質屋に入れるわけにもいかないしな。

 

 取り合えずグミシップに入れておくことで落ち着いた。

 

 後、ココヤシの実が欲しいと言われて幾つか渡した。何でも歴史がどうたらこうたら、伝統がなんたらと言っていたがあまりよくわからなかった。

 

 ルビーの所行ったからか私の所にも来てくださいと言うお声掛かりが凄い。何? そんなに結婚式あるん? いや、まぁ、結婚式に限らずパーティーへ来ないかと家の娘どう? 優良物件だと思うんだけどと言う話も多かったけど。

 

 今度こそほとぼりが冷めるまで面かろうと世界から離れて、闇の世界で月眺めながらシーソルトアイス食ってたら久しぶりにハートレスが出て来てバトルに突入。敵に攻撃を見事にパリ―されて思わず手を放してしまったらキーブレード盗まれた。ハートレスってキーブレード奪うん? それ、人の心のキーブレードちゃうで? 闇の世界のキーブレードやで?

 盗んだ奴追おうとしたんだけどいきなりかなりの数湧き出てきて終えなかったんだよね。こんな時に限って何故かソラみたいにキーブレードを呼び戻してもいつものように手元に帰ってこないし。

 しょうがないのでダークファイガ連打して何とか倒し終わったけど、キーブレードは持ち逃げされたまま。

 

 これどうすりゃいいん? そう思ってデスティニーアイランドに取り合えず戻ってみたら浜辺にブレイブハート置いてあったのでプラマイゼロと言うことにしておこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父様、最近忙しそうですが? 何かあったのですか?」

 

「ルビーか。いや、彼のお方から頂いたあの星形の果物……ココヤシの実と言ったか? あれを幾つか賜ったのでね。それを育てよと陛下にもお言葉を賜ってしまって今コネも使って力を尽くしているところだよ」

 

 それと、新婚のルビー達に気を使っているのもある。

 誰に似たのかわからないが言葉にも顔にも態度にも出さない娘が相変わらずわかりにくいが雰囲気がだいぶ柔らかくなった。そういう意味でも義理の息子に感謝している。

 彼のお方との血の繋がりができなかったのは残念だったが、繋がりが途絶えたわけではない。

 

 後は孫と言う楽しみもある。

 

 未だ出会った時との時の流れを余り感じさせないあのお方なら、孫娘でもできれば嫁がせるのも可能性がないわけではないだろう。

 

 息子の方も熱を上げてる女優のマンハッタンカフェとくっついてくれれば言うことは無いんだが……。囲ってるメジロ家の妨害が強くて上手く行っていない。

 キーブレード使いを2人も血筋から輩出してるのだから一人くらい此方に回してくれてもいいだろうに。

 

 最初こそ此方や周りの顔を立てていたメジロ家だが、最近は顔すら立ててもらえない。

 

 メジロ家がこうまで頑なになったのには何かしらの圧力があったとみるべきだ。爵位が上で且つ陛下からの申し出すら考える素振りすら見せずに断って見せたのだ。

 一番初めに彼のお方と繋ぎを得ていたメジロ家。そして、周りの名家を敵に回しても構わぬと言った立ち振る舞いを見るに、恐らく彼のお方の弟子である始祖様との接触があったのだろう。

 と言うか、それ以外でメジロ家の態度が説明できない。

 

 はぁ。とため息がもれる。してやられた。

 

 これではメジロ家を敵に回すことは、神を敵に回すことと同義になってしまっている。これならばまだ世界を敵に回した方がマシだ。

 不幸中の幸いなのは、メジロ家に独立の野心が無いことだ。少なくとも今は。

 

 自分の立ち位置のあれこれや、急激に力を増すメジロ家。

 

 陛下よりメジロ家の機嫌取りしつつ、ルビーと彼お方との縁を使って付け上がらないように手綱を握れと無茶な命令を賜っている状態なのも頭痛の種である。

 

 孫と言う未来の癒しに逃げたくなる私を誰が攻められようか。

 

 そう自己弁護しつつも、流石に彼のお方にメジロ家が調子乗ってるから叱ってくれ等と言えるはずもなく思考の海に沈んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、三女神像の目の前に三女神の神聖さとは真逆の禍々しい雰囲気を纏った剣のような大きな鍵が出現したことが学園内で話題になっていた。

 学園理事長やその秘書がそれに手をかけたが、うんともすんともと言った感じで引っこ抜けなかったという。

 

「……何をやってんだよ、あいつは」

 

「いやに不機嫌じゃないか、シリウス」

 

「はっ! てめぇには関係ねーことだよ皇帝サマ」

 

 そう拗ねるな、シリウスと苦笑いをしながらどうどうと落ち着かせようとしてくるこいつにイライラしつつ、件の人物の考えを図りかねている。

 下手しなくても価値の付けようのない。ともすればそれを手に入れるためだけに戦争がおっぱじまるような代物を白昼堂々、多くの衆目の目に留まる場所に突き刺して放置とは何事か、と。

 

「……私には引き抜けこそしたが、使えなかったよ。おそらく彼の後継者足りえなかったのだろう」

 

 参ったものだよ。そう肩をすくめるルドルフの気丈な振る舞いが更に私の神経を逆なでる。

 

 それくらい素直になれよ。ショックだって。上等な理想を掲げているがこいつが一番純粋な子供なのをシリウスはこの学園の誰よりも理解していた。

 だからこそ、大人なふりして。斜に構えた態度をとり強がっているルドルフが気に食わない。こんな時ぐらい素直に悔しいと言える度胸すら無くしちまったのかよと。昔のお前ならもっと素直で輝いていたぞと。

 

 いろいろな意味で割り切れたふりをし続ける目の前の人物の痛々しさに腹が立つし、それを見て流石はシンボリの次期当主となる者だと囃し立てる親族も、マスコミも、大衆も気に食わない。叶うのならば全員ぶん殴って回りたいくらいだ。

 

 ここに居てもルドルフにイライラさせられるだけなので、件の三女神像の前に移動する。

 

 辿り着いた三女神像の前では、親善大使として来たお姫サマが一生懸命引き抜こうとしていた。

 

「う~ん、抜けない。そんなに深く刺さってるわけではないと思うんだけど……。私には資格が無いのかな?」

 

 そう言って落ち込んでるのをエアグルーヴとエアシャカールが宥めているのが見える。

 

 それを、遠目に見ていると、ふと薄気味悪い禍々しいそれの柄の所についている目玉のようなものと目が合ったような気がした。

 そう思ってしまったからか、ずっとそれに見られてるような気がしてしまう。

 

 馬鹿か私は。ガキじゃあるまいし。幼年期に見慣れているとはいえ、散々それにビビッてた黒歴史が頭に蘇るのを頭を振って否定する。

 

 頭を振るった時に片手を額に当てていたのが薄っすらと光ったような気がして例の鍵を見つめると淡く輝いていた。

 

「……おい、お姫サマとその付き人ども。そこをどけ」

 

「おい、いきなり出てきてそれはないだろう貴様」

 

 女帝サマが言い返してきたが気にせずに刺さっている鍵に触れようと手を伸ばす。

 

 あとちょっとでそれに手が触れそうになった時――、

 

「まて」

 

「……やっぱり出て来たな。三女神サマよぉ。私みたいなガラの悪いのは気に食わねぇってか?」

 

「いや、その程度の跳ねっ返りならばかわいいものだ。それよりもそれを引き抜けば後には引けなくなる。甘く考えてるならばやめておけ」

 

 いつの間にか騒がしかった周りから音が消え、まるで時が止まってしまったかのような現象が起こってる。ただ2人私と姫サマを除いて。

 姫サマの方は言葉を発さないのか、発せないのか初めこそキョロキョロしていたが、今は静かに事の成り行きを見守っている。

 

「なめるな。周りからチヤホヤされたいとか花畑な頭じゃねぇ」

 

「ほう、では聞いてやろう。その花畑じゃない理由とやらを」

 

 後ろからの問いかけに背を向けたまま答える。

 

「はっ、ご立派な理由なんざねぇさ。――私はただ、あいつがこぼしちまった物を拾ってればそれで十分なんだよ。だから!」

 

 そうだ。ルドルフですら大層な願いを掲げて邁進してるが、取りこぼす者が多いのだ。あいつの願いや信念なんて知らない。でも、単純にルドルフなんかとは文字通り次元が違う。ルドルフですら取りこぼしてしまうものが少なくないのにあいつのこぼしてしまうそれは計り知れない。

 

 だから、ルドルフにしていたのと同じことをあいつにもする。

 

「それが、平穏な日々を享受する自由を破棄してもか?」

 

「ああ、それでも私はこの選択を張り続ける」

 

 刺さってるキーブレードに手をかけ、それを一気に引き抜く。

 

 それと同時に周りに騒がしさが戻る。

 

 天へと大きく掲げられたキーブレードとその姿はその場に居る全てのウマ娘の脳裏へと銀髪の人物が同じ物を天へと掲げる姿を幻視させ重ねさせる。

 

 それは、ウマ娘と言う種族に遺伝子レベルで刻まれ、脈々と受け継がれてきた思いであり、始まりの光景であった。

 

 掲げられたキーブレードからは見た目の禍々しさとは対極の優しい光が灯りキラキラと昼間の陽光の下でもはっきりと視認でき、そこだけ物語の中の光景のような印象を与えさせる。

 シリウスはそれを一瞥すると、一度キーブレードを振り鼻を鳴らす。

 

 その勢いのままくるりと振り返る。

 

 手に持っていたキーブレードは光となって消え、持っていた手の感触を確かめるように手を握ったり開いたりを2,3回繰り返し黒いコートの人物へと向き直る。

 

 目の前の幻想的な光景に目を奪われていたファインモーション以外のウマ娘は黒いコートの不審人物にこの時初めて気が付いた。

 黒いコートの人物は目深に被っていたフードを取ってその顔を露にする。

 

 片目に大きな傷。頭にかぶった軍帽。凛々しい顔立ち。

 

 三女神像の一柱と同じ顔の人物がシリウスをジッと見据えている。

 

「はっ、まさか規律を司るバイアリータークさまがおいでなさるとはな。私に灸でも据えに来たのかよ」

 

「……随分と生意気な妹弟子ができたものだ。最も、その威勢が最後まで続けばいいがな」

 

 そう言って肩をすくめる女神を相手にシリウスは眉をピクリと動かす。口を開いて何かを言おうとしたシリウスにバイアリータークが何かを投げ、それを反射的にキャッチするシリウス。

 

「まぁ、いいさ。それを持って居ろ。マスターの故郷では神聖なものでお前と私たちを繋ぐ絆の象徴であり道標でもある。門弟の証だ。……無くすなよ?」

 

 それだけ言うと目の前から消えてしまうバイアリーターク。

 

 周りは何ががなんだか、状況が飲み込めず狐に化かされた気分になりつつ興味を失って離れていく。そんな中、投げ渡されたものを改めて見つめるシリウス。

 

(絆の証に道標、ね。確かガキの頃あいつから聞いたことあったけか? 確かサラサ貝って貝殻で作ったお守りだって聞いた覚えがあるんだが)

 

 そう思いながら星形になっている立派なアクセサリーをスカートポケットへとしまうのであった。

 

 ただ、その場に小さく「なんで、なんで私じゃないの……」と言う小さな蚊の鳴くような言葉を漏らした人物とその独り言を聞き届けた者は一人もいなかった。




ハートレス「盗んだキーブレードこの辺に置いても……バレへんか」

三女神「ぶっちゃけ私(俺)達の誰かがマスターのキーブレード(ウェイトゥザドーン)貰えると思ってた。少しじぇらすぃ」
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