「トレーナー、今度あの作品の続編が出るのよ。それでイベントがあるんだけど一緒にどう?」
「ああ、いいよ。ちょうど空いてるし。それでどこでやるんだい?」
その人は<私のトレーナーさん>ですよ?貴女はあくまで仮の担当でしょ?なんて大人気ないわね。それにあの娘が男の人と普通に話せてるんだから邪魔するのもヤボというもの…でも…少し距離が近いのでは…?私メジロアルダンは<私の>トレーナーさんと仮の担当である妹分のメジロドーベルが仲良さげに…兄妹のように話しているのを内心の煮えたぎるマグマを抑えながら微笑ましそうに見つめる…まさかドーベルがここまで話せるようになるなんて…嬉しいはずのことなのにその相手が私のトレーナーさんなのが問題…キッカケは一月ほど前…
「よ…宜しくお願い…します…」
それはもうガチガチのドーベルが私の前にいた。無理もない。彼女は見知らぬ人が苦手、それも男の人なら尚更。
「ようこそドーベル。そんなに緊張しないで。私がついてるから」
「そうそう遠慮しないで。しかし災難だったね。トレーナーが風邪…というか肺炎になって入院とは…」
「そうね…でも幸い一月くらいで退院できそうだしその間は私たちがついてるからね。」
「はい…二人とも宜しくお願いします…」
流行り病で入院してしまったドーベルのトレーナー。しかもレース直前ということで私のトレーナーさんがしばらく面倒を見ることになった。最初は案の定ガチガチに緊張していたドーベルだがある日
「おや?ドーベルその漫画…妹が読んでいたシリーズものだね。まだ続いていたんだ。」
「トレーナーこれ知ってるの?そうなの実はね…」
とある漫画がキッカケでドーベルとトレーナーさんは一気に仲良くなった。それだけならまだよかったのに…トレーナーさんは優しい人だから慣れないドーベルのために色々気をつけてくれる。漫画を読んだりして話を合わせてあげてるように
ある日、所用で少し遅れてトレーナー室に行くと声が聞こえてきた。
「トレーナー待って、や…やだぁ…」
「ドーベル…君が誘ったんだろう?今更待ったは無しだよ?」
ドアを開ける手が止まる…どういうこと?少しだけドアを開けて中を覗く…
「そんなつもりじゃ…」
トレーナーさんはドーベルの顎に手を当て少し上を向かせる。
「もう我慢できない…いいよね?」
見てるこちらが我慢できない…なんで…どうして…トレーナーさんは私と永遠を誓ってくれたのに…まさかそのままキスを…?二人の頭が重なって見える…
パリンッとガラスにヒビが入るような音がした気がした…トレーナーさんがドーベルとキスを…なんで?どうして?私は恋愛対象ではなかったということ…?私の勘違いだったの…?私はその場からフラフラと離れていった。結局その日は練習に行けず寮に戻ったみたい…みたいというのはそこまでの記憶が無いから…
翌日の練習前、昨日のことを問いただそうと思ったけれど…
「アルダン、昨日はどうしたんだ?連絡もなくて心配したんだぞ?」
先手をとられてしまった。
「申し訳ありません…少しその…体調が良くなかったものですから…」
「そうか…最近は大分調子が良かったから俺も油断していたよ。疲れが溜まっていたのかもしれないな。今日は軽めのメニューに変更しよう。何かあったらすぐ言うんだよ?」
いつものようにトレーナーさんは言う。昨日は何事も無かったかのように。
「トレーナー!準備手伝って〜」
「今行く〜!先に準備してるからアルダンは慣らしてからおいで」
そう言うとトレーナーさんはドーベルの方に行ってしまった…心なしか二人の距離が近い気がするのは気のせいかしら…その後も問いただすチャンスがなかなか巡ってこないまま過ぎていった…
練習後トレーナーさんはたづなさんに呼ばれたということで片付けは私とドーベルですることになった。昨日のことを聞くなら今がチャンス!
「ドーベル、ちょっといいかしら?」
「なんですか?アルダンさん…?」
今の私はどんな顔をしてるのかしら。ドーベルが一歩引いたように見えた。
「単刀直入に聞くわ…昨日トレーナーさんと何をしてたの?」
私は一歩詰めながら尋ねる。まだ正気を保っている…はず。
「昨日…?トレーニングをしてただけですけど?」
「本当にそれだけ?」
「え…?あとは…そうだ今度作品のイベントに行く打ち合わせを」
「ふざけないで!!」
思わず大声を出してしまった。
「アルダンさん…?どうしたんですか…?」
ドーベルも驚いている。私がこんな声を出すなんていつ以来かしら?それだけ今の答えに怒っているといえる…
「もう一度聞くわ…昨日トレーニングの前に…トレーナーさんと何をしていたのか答えて…」
「トレーニングの前…ええと…あ、アレのことかな?もしかしてアルダンさん…聞いてたんですか…?」
「その様子だと心当たりがあるのね?そうよ…見たわ…」
「ええっ!見られてたの!?そんなあ…」
ガックリと肩を落とすドーベル。自白したようなものね…
「私がトレーナーさんとどういう関係か、知らないわけないわよね?それなのに…それなのに横から入ってきてどういうつもりなのドーベル…」
私はズイともう一歩踏み出す。場合によっては平手の一発くらいは…
「待ってください?横からって?見てたんですよね?」
この期に及んでとぼけるつもり?舐められたものね…
「ドーベル…ここまできてとぼけるつもり?いくら妹分とはいえ許さないわよ!」
その時だ。
「アルダン!どうしたんだ!?」
「トレーナーさん!」
トレーナーさんが戻ってきた!私のトレーナーさん…誰にも渡さない永遠に一緒よ…でもその前に悪いことをしたらお仕置きが必要よね…
「トレーナーさん…昨日ドーベルと何をしてたんですか?私という愛バがいながらどうしてなんですか!!」
「昨日…?ドーベルと?トレーニングをしたくらいだが?」
「トレーナー。そうじゃなくて…トレーニング前のアレよ…アルダンさん見てたみたいなの…」
泥棒猫が余計なことを!私とトレーナーさんの間に入るだけでは飽き足らないでまだ邪魔するつもりなの?
「アレを見たのか?そうかそれでか…すまないアルダン…」
どうして謝るんですか…?本当に…本当に…私じゃなくてドーベルを選んだの?どうして…?足元でガラスが砕けた音がしたような気がした…
「嘘…そんな…どうしてなんですかトレーナーさん…」
「それは…強く頼まれたから…」
頼まれたからって…そんな…
「アレは…アレは嘘だったんですか?それとも私の勘違いなんですか?私と永遠を刻むって言ってくださったのは…」
「アルダン?それは本当だぞ。俺はアルダンしか見てない。本当だ!」
「じゃあどうしてドーベルとキスなんてしてるんですか!!あなたもよドーベル!!私とトレーナーさんの間を引き裂いてどういうつもりなの!!」
私はもう泣きながら怒鳴る。こんな醜態メジロの名折れかもしれないけれどそんなことはどうでもよかった。こうなったらトレーナーさんを殺して私も死のうそうしてトレーナーさんとの永遠を刻みつけて…
「アルダン聞いてくれ…ドーベルとキスはしていない。」
「いいんですトレーナーさん…嘘なんてつかないでください…私と永遠を刻みましょう?大丈夫です痛いのは一瞬です。すぐに私も後を追いますから…フフ…ウフフ…」
「アルダンさん本当にキスはしてないの。アレは漫画作りのためのお芝居なんです!」
「そうだよアルダン。キスの寸前までで止めているんだ。アルダン以外とキスなんてできない!」
「……え?」
そう言うとトレーナーさんは…私を抱きしめてキスを…
「アルダン落ち着いてくれ」
「ふぇ…トレーナーさん…?」
「俺を信じてくれ…こんなこと君にしかできない。アルダン、君を愛してるよ。」
頬を優しく撫でながら囁くトレーナーさん…
「トレーナーさん…もっと…もっとしてください…」
「ああ…もちろんだよアルダン…」
「おお…これはすごいわ…私のトレーナーもこのくらい積極的にしてくれればいいのに…」
「それじゃあ…全部勘違いだったんですね…」
顔から火が出るほど恥ずかしい…なんだか変なことを口走っていた気がする。
「いや申し訳ない。勘違いさせてしまったな。でもそれだけあの演技にリアリティがあったってことかな?」
「今の本物に比べたら…やっぱり迫力が違うわ…私もトレーナーと…フフ…」
ドーベルは自分のトレーナーさんとのキスの想像で心ここにあらずのようね…
「トレーナーさん…その…こんな私ですけど…改めてよろしくお願いいたします。」
「もちろんだよアルダン。君を離したりしないよ…」
そう言ってもう一度キスをしてくれるトレーナーさん…愛しています。
実はアルダンさんとアルトレさんの永遠絶対刻む組好きなんですよね。これは極秘情報なんですけどこの二人の出会いのキッカケは腹痛って本当ですか?どうして腹痛からこのダイヤモンドのようなガラスの物語ができるんですかねたまげたなあ…
今回は4割位書いて煮詰まってたんですけどグツグツ煮込んだおかげでちょっと病んでるアルダンさんが書けたので今度はもっと病んでるアルダンさん達を書きたいですね。