黒上とあやめの太刀がぶつかり、黒上が吹っ飛ばされる。
黒(単純な出力なら私より上だな、対して私の身体はさっきの連戦で満身創痍。あぁ、中々どうして…、)
「面倒だなァ!」
楽しそうに笑う黒上に向かってあやめは両手の太刀を振り下ろす。
「鬼炎旋廻・炫扇魈(キエンセンカイ・ゲンセンショウ)」
扇状に広がる炎が黒上を包む。
あ(一目見た時からなんか異質なものを感じる。今の手応えもなんか変だ。得体が知れないな!)
炎を切り裂いた黒上は居合の構えをとる。
黒(まずは、味見と言ったところか、)
「狐太刀『空断狐矛(くうだんごぼう)』」
真っ直ぐに放たれた黒い斬撃をあやめは左手の太刀で弾き、右の太刀を黒上に向けて構える。
「『灰(クワイ)』『灰(クワイ)』『灰(クワイ)』」
黒(何だ…?)
「魁忌(カイキ)」
あやめの両脇に人魂が生成される。
黒(面白いな…!さっきより呪力の回復速度が上がった!一見地味だが便利そうだな。)
「いいな、それ私も欲しい。」
「いいだろ!」
ドヤ顔になるあやめを見て、黒上は気さくに話しかける。
「お前強いな、そのレベルだと「アレ」も使えるか?」
「あぁ私の予想が合ってるのなら使えるぞ!」
二人は笑顔のまま掌印を結ぶ。
「「領域展開!」」
「『五芒阿紫隠(ごぼうあしがくし)』」
「『鬼譸獨煉獄(きちゅうどくれんこく)』」
あ(感覚が…いつもと違う…!?)
白上フブキの領域「五芒阿紫隠」の必中効果省略はあくまでフブキのテクニックであり、領域自体の性質では無い。そのため本来フブキの領域にも必中効果はあり、黒上の領域にももちろんある。その中で黒上の領域は白上とは違い必中効果を省略せずに展開する。
あ(何だこいつの領域…?外郭が、分からない!?)
が、黒上の領域にもテクニックが施されている。それは、領域を結界で区切らない、いわゆる宿儺の領域。あやめが感じた違和感はこの性質によるものである。
黒(押し切れると思ったんだが互角か、術式の精度はこちらが上のはずなんだが出力との足し引きで互角になったか。)
「やれやれ、私もまだまだだな」
やりきれないといった様子で黒上は溜め息をつきつつあやめを見る。
互角の領域の押し合いにおいてどちらかが大きなダメージを受けた瞬間領域の押し合いに負ける。
黒(こうなったらすることは一つだな。)
あ(ただひたすらに相手を直接叩く!)
二人が再び太刀を取ると同時に居合の構えをとる。
「……!!」
「面白そうだからな!余も同じ土俵で戦ってやる!」
先に動いたのは黒上でそのコンマ1秒空いてあやめが刀を抜く。
黒(わざとだな、何を考えているのか分からないがこの一太刀を外す私じゃねぇ!)
「『"突”狐月』」
黒上の太刀があやめの腕を斬る寸前、あやめの腕に呪力が集中する。
黒(読まれていた!?)
咄嗟のあやめの山が当たり、浅い傷がついたあやめの腕はすぐに再生し、抜かれた太刀を振るう。
「䰠羅(シンラ)!」