電子廻戦   作:メイマロン

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今回ちょっとだけ長くなりました。


荒川区編⑤

百炎鬼灯術「䰠羅(シンラ)」。風間いろはとの戦闘で敗北したあやめが作り出した対居合技。先手を譲ることで生まれる隙に全力のカウンターを繰り出す。居合という一種の「溜め」の動作により放たれる斬撃の瞬間火力は彼女の術式内で最も高い。

 

「ぐっ!」

黒上が斬撃をモロに喰らい吹っ飛ぶ。

あ(まだ、もう一発!)

「返黒(ズリュック)」

黒上の声が響くと同時にあやめの体に斬撃が走る。

「ッ……!?」

あ(何が起きた!?)

あやめが膝をつき、領域が崩れる。

「私に「コレ」を使わせるとは、誇ってもいいぞ?」

あ(その言い方だと何か別の術式を使ったのか…?)

あやめの前に立った黒上の体に傷は無い。

「それじゃあなお前のことは多分今後忘れることはないだろう。」

黒上があやめに振り下ろした刀はあやめに当たるとそこで止まる。

黒(刀が動かない?)

あやめは黒上の腕を掴むと黒上を切り下ろした。

「鬼炎万焦(キエンバンショウ)!」

「はぁ?」

黒上が素っ頓狂な声を挙げ斬撃を喰らい黒上の領域が解除される。

黒(何でコイツ術式が使えやがる!?)

 

百鬼あやめは鬼人でありその力は死滅廻游以前から存在していて、死滅廻游であやめが使用している「百炎鬼灯術」は彼女にそもそもあった鬼の力に呪力を混ぜることで術式として成り立たせていた。そのため領域展開したことにより術式が焼き切れた状態でも彼女に残っている本来の鬼の力により技を使用することができる。

 

「これでお揃いだな…!」

「ハハッ!やってくれたな!」

頭突き合うと、反動でお互いが吹っ飛び着地する。

あ(あ〜頭痛てぇ…。思いっきり頭突いたからなぁ、ぐわんぐわんする…。)

黒(頭突くんじゃなかった…。角が刺さってすげぇ痛かった。)

二人共が頭を抱えたまま固まっている。と、黒上はへらりと笑った。

「んで?どうする?」

あ(さっきから軽いなぁ…。なんか全力って感じじゃないし、まーだ何か隠してそうなんだよなぁ)

黒(こっちが万全でないとはいえ、私とここまでやり合って領域展開までしたってのにまだ呪力の底が見えない。)

「全く、嫌になるぜ…。」

「そっちが言うかぁ?色々出し惜しみされてこっちはあまり気分が良くないんだが?」

「そうかい?悪いね、こっちにも色々制約があるんでね。」

「ふん、気にするな全て終われば何も無くなる」

「それもそうか。」

黒上が納得した様に頷くとあやめは吹っ切れた様に笑い右手の刀を自分の首に当て頸動脈を切った。

黒(自害…なわけねぇか。だがまぁ対策はしてるに越したことはねぇ)

「黒陣『影羅針』」

黒上の周囲に黒い玉が現れ、それが地面に落ちると一瞬で方陣が描かれる。

黒(立ち入った瞬間炸裂する攻防一体の拡張術式だ。)

「さて、どうする?鬼娘。」

あやめの傷から吹き出した血がかかり、右手の刀「妖刀 刹那羅刹」の刃が紅く染まる。

「悪いけど、力借りるよ。羅刹」

傷口を反転術式で治すと両手の刀を構える。

「極ノ番「百鬼夜行・赤重剣(ナキリヨアソビ・セキチョウケン)」

 

百炎鬼灯術極ノ番「百鬼夜行(ナキリヨアソビ)」の一対一に特化した姿、「赤重剣(セキチョウケン)」。生み出した無数の炎の分身を自身の体に重ねて一撃必殺の斬撃を放つ。

 

黒(これは、やべぇ…!)

黒上がすぐさま刀を鞘に入れ、居合の構えを取る。

「秘伝『落花の情』!」

 

お互いの構えが完成するとあやめが地面を蹴った。

「極意『聞不死舞(きかずじまい)』」

 

鬼人の三つある極意の一つ「聞不死舞」聴覚を自身の意識から完全に遮断することで使用でき、使用している間、全ての術式の対象にならなくなる。

 

あやめが方陣に踏み込むが能力が作動せず黒上が鍔を弾いた。

「淵(エン)」

瞬速の黒い斬撃をあやめは左の刀で受け、右の刀を振り下ろす。

 

「大太刀 妖刀刹那羅刹」 あやめの愛用する黒い太刀。自らの血を吸わせることで刀身を紅く染め術式を発動させる。その術式は吸った血の量に応じ刀身を巨大化させる。今回あやめが吸わせたのは約1L。それにより刀身は三倍にもなる。

 

「羅刹赤鬼剟砲(ラセツセキテッポウ)!」

放たれた紅い波動に対し黒上は鞘を前に出す。

「グラニテ・ブラスト!」

「ッ…!?」

 

呪具「納鞘(おさめざや)」 放出系の術式を一つだけストックし任意で放つことが出来る。この時の納鞘には新宿でみこが放った「グラニテ・ブラスト」がストックされていた。

 

だがそれでも波動を相殺しきれていない。

黒(仕方ねぇ、大人げないがアレ使うか)

「影討『冥禔』」

紅い波動が黒い呪力に飲まれ、あやめが吹っ飛ばされる。

「二度も私に術式を使わせた奴はここ数百年いなかったな。」

あ(クッソ…。これが隠し玉かよ。)

「それじゃ、お疲れ。楽しかったぜ!」

あやめに向け刀を振り上げるとそのまま動きが止まる。

「チッ、時間切れかよ」

「???」

黒上がその場にぶっ倒れると髪の色が白く染まった。

あ(ほんっと何なんだよ…。)

あやめは脱力した様にその場に寝転がってため息をついた。

 




次回は目黒区編です。
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