「何…これ?」
「初めに私の術式を見た時なんか安直だなって思わなかった?」
「・・別に」
「・・・・。確かに名前から星ってのは分かりやすいとは思うけどさ…。私と言ったらやっぱり『歌』じゃない?」
すいせいの本当の術式は自身のオリジナル曲を術式に落とし込み擬似術式を生み出す『混醒湊術(ミックスリスト)』。つまり彼女は自分の曲の数だけ術式を持つことができるさくらみことは別方向の「異能」である。その術式の使用可能時間はその元の曲の長さと同じ時間。
「へぇー、そ、そういう術式なんだぁー。」
みこが分かりやすく萎えながらリアクションを取る。
「みこ的にはすいちゃんの星の術式を看破したところで勝てたと思ったんだけどなぁ…。」
みこの言葉を聞いてすいせいは嘲笑うように口を開く。
「何言ってんのさみこち、」
「へっ?」
「みこちはこの術式の全力をまだ全然分かってないよ?」
みこが動き出すより早くすいせいの正面から光線が放たれる。
「『天穿』」
呪力の起こりで行動を予測したみこは即座にすいせいに向けて呪力を放つ。
「へっ…!?」
刹那、光がみこの脇腹を貫く。天穿は槍斧によってかき消された。
み(速さで負けた!?)
星間メーザー。光におけるレーザーの電波版でありレーザーと同じ原理で放たれる超速の波動である。すいせいはこれを応用し、星のイメージから発生させたメーザーを無理やり変化させ、レーザーとして使っている。その分呪力消費は大きいが、その速さはすいせいの全ての技の中で最速であり、当然その速度は光に並ぶ。
「流石にこれ(レーザー)は疲れるなぁ」
「痛った!!」
みこは地面を転がりながら叫ぶ。
「そりゃ、ねぇ?」
「クソがよぉ…!」
みこは呆れた顔をしたすいせいを睨み、即反転術式をかけて立ち上がり祓串を構える。
「桃の華」「日の香」「靡く白紙」
す(呪詞!?)
「日向の芽」「日鏡」「光の円周」
「一等星『瞬』!」
「『閑靜浄土』」
「ッ!?」
領域に入った瞬間、すいせいの動きが止まる。
す(術式が消えた!?)
みこは新宿の戦闘後から生得領域を展開することができるようになっており、術式を持っていれば領域展開が可能だったであろうレベルまでそれは達している。だが実際のところ彼女は術式を持っておらず展開した生得領域には術式が付与されていないため領域展開には至らない。だが天与呪縛により術式が失われた彼女の場合、その領域には「術式が付与されていた」という前提が組み込まれ、本来付与されていたはずの術式という架空の存在の分の容量が領域に空く。そして、その空いた容量に領域内の他者の術式が流れそれを中和するようになる。領域展延の状態での領域展開。それが『閑靜浄土』の正体である。『閑靜浄土』に立ち入った瞬間全ての術式は中和され効果を失う。
す(こんな隠し玉が!?)
「虚詞」「紅く溶けた石」
「は?」
だが、同時並行で詠唱していた呪詞は『閑靜浄土』のものでは無い。
「最大出力『天穿』!」
形代串の代理による呪詞と手印により強化された天穿。その速度、威力は共に通常の200%となる。
放たれた呪力の光線を槍斧で無理やり受けるが呪力を削り切れず吹っ飛ばされる。
そこに追い討ちをかけるようにみこは右手を向け呪力を放つ。
「グラニテ・ブラスト!」
「…領域展開。」
「へっ?」
みこの追撃と同時の掌印により着弾より早く領域が展開される。
「『天憧晩球』」
みこの放った光線が地面にぶつかり爆発を起こす。
「シン・陰流簡易領域!」
瞬間、みこが地面に叩きつけられる。
「がっ!?」