電子廻戦   作:メイマロン

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世田谷区編は1話で終わりです。


短編:世田谷区
世田谷区編


世田谷区に、天使が舞い降りた。

游泳者 天音かなたは東京区域(エリア)に入ると、襲いかかってきた初心者狩りを退けそのまま近くのビルに入った。

「えっすいちゃん、なんでここに…。」

ビルに入るや否やパックのりんごジュースを飲みながらソファにふんぞり返っている青髪の少女を見て顔をひきつらせた。

「かなたん…そんなあからさまに嫌な顔しなくても良くない?」

游泳者 星街すいせいは苦笑しながら立ち上がり、近くの壁に立てかけてある斧槍を取りかなたの前に立った。

「もうルールは分かってると思うけどどうする?もう少し話す?」

「いや長居したくないし、始めようか。」

すいせいが斧槍を構え、それに対してかなたがファイティングポーズをとる。

す(かなたんの術式は分からんけど多分怪力関係だろうしな…近接戦闘主軸の私とは相性悪いな)

か(術式も持ってる武器も全く情報が無い。不本意だけど一旦相手の動きを見て二手目以降の行動を潰す!)

数秒間互いに見合うと、すいせいが斧槍を地面に刺し両手を合わせた。

「いやいや、お互いが正体不明(アンノウン)同士なら初手で潰しにいくために初めから切り札を使うでしょ。」

か(まさか、使えるの!?)

「領域展開『天憧晩球(てんしょうばんきゅう)』」

か(初っ端から領域とか思い切りが良すぎんだろ!)

す(対抗してこない!?今は温存しとく口か!)

「舐めてると一瞬で終わっちゃうよ?」

すいせいは不敵に笑うと斧槍を逆手に持ち振りかぶる。

「三等星『刳魔(コマ)』!」

斧槍を投げると、光を纏い超速でかなたへと飛んでいく。

か(速っ!?)

「握殺(グラスプオフセット)!」

斧槍との間の空間を握ると斧槍が弾かれる。

す(弾かれた?分からない、術式が割れねぇな…クソッ!)

「堕ちろ」

人差し指を下に振り下ろすと、一瞬でかなたが地面に倒れる。

か(呪言じゃない!倒れるだけじゃなくて起き上がれない!)

「一等星『瞬(マタタキ)』!」

彗星の如く移動したすいせいがかなたへ斧槍を振り下ろす。

「ぐっ!!」

転がり避けるが左の羽が切られる。

「ッ!!!握砕(グラスプクラッシュ)!」

瞬間、すいせいの領域が崩壊する。

「まじか…!?」

か(領域展開後は術式の使用が困難になる。このタイミングを逃すな!)

「握壊(グラスプブレイク)」

かなたがすいせいの斧槍を握ると斧槍が砕ける。

か(武器は潰した次で終わらせる!)

斧槍を放し1歩下がったすいせいにかなたは右手を伸ばす。

「もらった!」

すいせいに手が触れる寸前、すいせいの姿が消える。

「ッ!?」

「二等星『彗(スイ)』。」

 

領域展開直後は術式が焼き切れ、一時的に術式の使用が困難となるだが「困難となる」だけで「使用できない」訳では無い。すいせいの呪術センスと時の運により一時的とはいえ能力を使用可能とし窮地を脱した。

 

す(ワンチャン狙いでやったけどなんかできたな…。だがこっからどうするかな。)

背後に瞬間移動したすいせいはかなたを殴り飛ばすとかなたと同じようにファイティングポーズをとる。

か(なんで今術式が使えたんだ!?マグレなのかどうなのか…。だけど相手の得物が消えたことですいちゃんはコッチの土俵に来たんだ一旦体制を立て直した後で確実に潰す!)

殴り合う中でかなたは反転術式を使用し羽や身体を回復していく。

す(反転術式か、殴り合いながらとは器用だな。だが攻撃がちょっと緩んでるしこちらとしては好都合、このまま持久戦にして状況が出来たところで一気に決める!)

お互いの思惑が交わりつつ建前の殴り合いを続けた後、全回復したかなたが空を握る。

「シェーブグラスプ!」

かなたの術式「天握呪法」はあらゆるものを握り潰す概念系の術式であり。その対象は広く物体、境界、エネルギーなど多岐にわたる。そして当然その中には相手との間の空間も入る。

かなたの目の前に瞬間移動させられたすいせいの頭をかなたは掴むとそれと同時にすいせいはかなたの腕を思い切り殴る。

か(いい反応だけど殴られた程度でこの手は離さないよ!これで私の勝ち!)

「握壊!」

すいせいの拳が腕に当たった瞬間、かなたの視界が光に埋め尽くされる。

「うぐっ!?」

吹っ飛ばされたあと目を覚ますとすいせいを握っていた腕が吹っ飛ばされていた。

か(全身が痛い…。何コレすいちゃんの自爆か?)

「七等星『隕衝(インショウ)』」

 

七等星『隕衝』、すいせいの能力「観星醒御(プラネタリウム)」の彼女の生み出した自己流(オリジナル)その威力は隕石の破壊力にも並ぶ程のすいせいの切り札である。

 

かなたが全回復するためにかかった時間、その間に既にすいせいの術式は回復していた。

 

倒れているかなたを見下ろしすいせいは嬉しそうに微笑んだ。

「私の勝ちだよね!」

それに対してかなたはゴミを見る目で一言、

「…サイコパスが。」

と吐き捨てた。

 




次回から荒川区編がスタートです。
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