Side.陸八魔アル(第三校舎 東棟 車上)
「うっひゃあああ!!!???」
「原付よりずっとはや〜い!!」
超クールなスカーレットの大型バイクを見つけた時は、このバイクに私が乗るんだってワクワクしたけど、まだ早かった。
ムツキは私の後ろで手を振り上げてるだけだし、私の乗った原付とは全然違う。
壁にぶつからないように必死にハンドルを切る。
こんな運転じゃ絶対に横転するのに、なぜか安定する。
これがウルトクラウン社の技術力……! *1
い、いくらなのかしら。
もし報酬で選べるならこのバイクでも……
「アルちゃん! 前!」
「ちょ、ひゃああ!?」
危、と貼り紙のしてある箱の山にぶつかりそうになり、仰け反るようにしてハンドルを切る。
バイクが急激に傾き、地面に肘が掠める。
ま、まずっ!?
反対にハンドルと身体を傾け、車体を元に戻す。
「すっご〜い! 今の映画みたいだったよ!」
「ふ、ふふん? そうでしょう、そうでしょう! ……これならっ!」
ギアを上げ、アクセルを捻る。
加速し、肌にあたる風が強くなる。
「行け行け〜! ……あっ! 戦車! 見えたよ!」
「ムツキ、任せたわよ!」
「任せてぇ!」
バイクに備え付けられた対戦車砲、ジャベリンを構える。
「いっくよ〜! そーれ!」
カチッという音と共にロケットが射出され、2段階目の加速。
上空へ飛んでいく。
「もういっちょ!」
撃ち終わったジャベリンを投げ捨て、2射目。
今度は真っ直ぐ戦車へ向かう。
私たちに気づいた風紀委員が騒いでいるけど、遅いわ!
加速して視線を切るように建物の陰に隠れ、ドリフトでギャリギャリとタイヤ痕を残しながら停止。
遠くで爆発音がした。……当たったのかしら?
「ムツキ、残りは?」
「後はね〜、ひぃふぅ、4発? それとバイクについてるミサイルで合計5発かな。
でも注意を引くだけなら今ので十分なんじゃない?」
「ふふん? いいこと? ムツキ。
求められた仕事をこなすだけじゃ、
求められた仕事の120%、いいえ、200%をこなしてこそ
「さっすがアルちゃん! カッコいい〜!」
「え? そう? ……これなら、私たち便利屋もやっていけるのかも!」
大きな発砲音と共にちゅいん! と銃弾が道路を跳ねる。
え? 狙撃? ……違う。こちらに真っ直ぐ歩いてくる足音。
「……気を抜きすぎ。少し隠れたからってここは敵地なのを忘れないで」
「カヨコ……」
カヨコの持っている拳銃から煙が漂っている。
ぱっと見、他に風紀委員はいなさそうね。
なら安心、だけど何でカヨコがこんなところに?
もしかして手伝いに来てくれたのかしら。
「カヨコって、アルちゃんが便利屋にスカウトしたっていう風紀委員だよね?」
「私は承諾してない」
「あれえ!? で、でもあの時入ってもいいって……」
「実現するなら入ってもいいかも。とは言った。
だけど……2人が歩もうとしてるのは学園を捨てて、今の庇護を失って、住むところにも、食べるものにも困るかもしれない、そんな道なんだよ」
「…………」
カヨコは優しいから、私たちを心配しているのね。
確かに漫画やドラマで観るようなカッコいいシーンだけじゃなく、困難なことがあることもわかってる。
ウルトさんの動画のように何でもうまくいくような世界じゃないってことも。
特にお金とか。……あとはお金とか。
……うぅ、お腹空いたわね。我慢せずに給食を食べに行けば良かったわ……
いけないわ、アル。心配しているカヨコの前で情けない姿を晒すわけにはいかないわよ!
「それでも、私はやるわ。
高校デビュー、だなんて言って眼鏡を外しただけじゃ何も変わらなかったもの。
ゲヘナのどんな生徒にも負けない凄腕のアウトローになって、あのウルトさんよりもすごい社長になってみせるって決めたのよ!」
「そう……でも、私はやめた方がいいと思ってる。だから」
複数の足音、気づけば陰に隠れていた建物の窓、箱の陰。様々な場所から風紀委員が私たちに照準を合わせている。
「対峙しようとしている相手のことを、もう少し知った方がいい」
発砲音が聞こえるより先にスロットルを開き、エンジンを吹かせる!
急発進し、包囲網を潜り抜けようとしたけど、どこもかしこも風紀委員だらけ。
一先ず建物の外周を回るようにして走り出す。
「うわーお、もしかして嵌められちゃった感じ? 何だかアルちゃんにしては上手く行きすぎてる気がしたんだよね〜」
「ちょ、ちょっと! それどういう意味よ!?」
「なんでもなーい、アルちゃん、あんまり揺らさないでね?」
手が腰から外れる。
このバイクのお陰だと思うのだけど、運転に慣れていない私でも思い通りに動くし、全然揺れない。
それでも動き回っているのは変わらないし、命中率は下がる。
ムツキがそこら中にいる風紀委員を狙って撃っているけど、あまり当たってない。
風紀委員の攻撃は何発かバイクに当たってるけど、跳弾しているおかげで致命的な傷になってはいない。
だけどこのままじゃ……
「全然当たんないや、んーっと、あっ、ほら! アルちゃんも撃って撃って! 片手で撃つの練習してたでしょ!」
「ええっ!?」
片手で撃つのは練習していたけど、初めて実戦で使うのが運転しながらだなんて。
でも、でも……
すっごくかっこいいじゃないの!
私の銃、ワインレッド・アドマイアーを引き抜き、左手で構える。
構えるだけじゃなく、狙って、ぶつかったり風紀委員のいないところを探して運転もしなくちゃいけないのよね。
大丈夫よ、落ち着いて……
緊張や、揺れで照準がうまく定まらないけど……今っ!
トリガーを引き、衝撃を肘で抑える。……命中した。
こちらに銃を構えて、木に隠れていた風紀委員が倒れてる。
何よ、やってみれば案外簡単じゃない。
続けて2、3と風紀委員を倒し……少し楽しくなってくる。
「うわっ、前、前っ!?」
「へっ?」
せ、戦車ぁ!?
慌ててハンドルを切るが、もう遅い。
100km/h近くまで加速したバイクと戦車の側部がぶつかり、宙に投げ飛ばされる。
ムツキがバイクに残した爆弾が爆発し、残っていたミサイルと連鎖爆発。
わ、私のスカーレット・アチーブ(バイクの名前)が……
無力感と絶望に苛まれ、吹き飛ばされながら空を見上げると……
あ、あれはウルトさんが使う伝説の
生で見れるなんて感動だわ……!
ってこのままじゃ直撃しちゃう!
「ひゃああああ!?」
「何これっ、きれ〜、面白〜い!」
真昼だというのに星空がきらめいて、落ちてくる。
今までの爆発音や、銃声がまるで遊びだったかのように猛烈な爆音と衝撃が辺りに響き渡る。
ムツキの手を離さないように力を込めて、様々な衝撃で揉みくちゃになる。
「……あっ、いた。」
何か白い影が飛んできて、引っ張られ……着地した?
光で目がチカチカしてよく見えないけれど……
「2人ともよく頑張ったね。見てたよ。」
この声は……
Side.冠ウルト(万魔殿前広場 給食部トラック 車上)
隕石で一緒に吹き飛ばしちゃった便利屋の2人をジャンプして捕まえ、給食部のトラックに降り、なでなでする。
怪我は……隕石が原因のものはなさそう。銃弾の擦過痕とか軽い切り傷はあるけど、総じて軽傷っぽい。
「わお、覇王ちゃんだ。今の流れ星って覇王ちゃんが落としたの?」
「そだよ。にしてもバイクで自爆特攻だなんて気合い入ってるね、思いついてもそうそうできないよ。」
「あれはアルちゃんが事故っちゃった……あれ? アルちゃん? おーい?」
アルちゃんは私の腕の中でカチンコチンに固まっている。
ヘイローは燦然と輝いているし、意識はあるよね。
固まっているアルちゃんをトラックの荷台に座らせた。
とりあえず置いておこうか、優先事項は今後どう動くかだ。
「7人*2乗るとなると、少々手狭ですわね」
「もうトラック穴だらけだし、敵陣のど真ん中だし、すぐに降りることになるだろうけどね。」
「この後はどうしますの?」
「
戦車で砲撃されないだろう万魔殿の建物内に逃げ込むかだね。
できれば前者がいいけど、マコトちゃんは敵陣のど真ん中だからなあ……」
突っ込んで無双するのはヒナちゃんがいる以上……それにアルちゃんが炙り出してくれた風紀委員会の予備戦力を考えると勝算が極めて低い。
万魔殿内にもかなりの数の風紀委員がいるみたいだし、温泉開発部の方にはあまり戦力を割かなかったみたいだ。
後者の万魔殿立て篭もりはこのまま実行するだけじゃ多分微妙。
もう一手何か欲しい。
でもまあ、現状としては万魔殿に入るしかないよね。
「うーん、どうなるかは出たとこ勝負になっちゃうけど、万魔殿内に突っ込んで、隙を見て万魔殿の議員を拉致。その後に逃げよっか。」
万魔殿のあの広さがあればかくれんぼで時間稼ぎをするのは容易だし、ゲリラ戦じみたことをすればヒナちゃんと多対一で戦える場面が出てくるかもしれない。
私じゃヒナちゃんの攻撃に耐えれても倒し切る攻撃力が足りない。どうしても多対一の状況を作る必要がある。
他にも
マコトちゃんの部下って情報を集めるために出払ってることが多いし、強いわけでもないから脅威にはならない。無視して良いだろう。
サツキちゃんは催眠術をかけ返した結果、今日は学校に来てない。
残るイロハちゃんは……多分大丈夫でしょ、うん。
「このままトラックで正面突破でよろしいでしょうか〜?」
「近いのはそっちだし、そこからどの部屋に逃げたのか分かりにくいだろうからそうしよ。」
進路を変え、瓦礫を使ってジャンプ、隕石の衝撃で横転している戦車を飛び越える。
おっ、マコトちゃんとイロハちゃんが見えた。
前者の案、マコトちゃん速攻拉致が実現しそうだし、試しにやっておきたい。
それに今のうちに引っ掻き回せば、万魔殿内で展開がしやすそうだ。
ヒナちゃんの姿が見えないのは気がかりだけど。
「ちょっと特攻してくる。先に万魔殿入って掃除しといて。」
「わわっ、揺れるぅ!?」
跳ぶ。
隕石の爆風による煙幕を突っ切り、
マコトちゃんが立っている戦車、虎丸の砲塔部分に静かに着地する。
砲塔の先に付いた巡回中と書かれた札がからり、と揺れ、
私に気づいたマコトちゃんの目が憎々しげに細まる。
イロハちゃんとも目があったので手を軽くふりふりしておく。
「やあ、マコトちゃん。調子はどう?」
WA2000、ブルパップの狙撃銃を構え、私に照準を合わせる。
マコトちゃんが銃を構えるのは初めて見たな。レアシーンだ。
「キサマ、よくも、よくも! この次期議長であるマコト様に恥をかかせたな!」
「ふふっ、キサマって。いつもみたいにウルトって呼んでよ。私たちの仲でしょ?」
「……私たちの仲? ……なんだ? キサマ、裏切ったんじゃないのか?」
……その受け取られ方は想定外だった。
てっきり、うるさい! って切り捨てられて銃撃たれると思ったんだけど。
意外と怒ってなかったりする?
上空でクロノススクールのヘリが飛んでるし、もしかすると音声撮られてるかもしれないからカッコいい感じで返したいんだけど。
アルちゃんというファンがいる手前、カッコ悪い姿は見せれない。
「さあ? マコトちゃんの態度次第ってところかな。」
「なるほど? ……キヒャヒャッ! 私を試そうというわけか! 覇王よ!」
適当に濁したらいい感じに受け取ってくれた。
銃口が私からズレて、ほぼ無防備だ。
サクッと拐ってゲームセットかな。
「キキッ! 良いだろう! キサマという王冠さえいればこのマコト様が連邦生徒会長に成り代わり、キヴォトスの全てを手に入れることも夢ではない!」
「えっ?」
こわっ、なんか言い出した。
連邦生徒会相手はSRTいるし多分無理なんだけど。
中3の頃にSRTのFOX小隊がなんか爆弾解除したニュースを見て、トリニティやめてSRTに入るか迷った時期があり、色々と調べてたけど私1人じゃ絶対に勝てない気がするんだよね。
弱い子の集団相手なら無双できるけど、少数精鋭相手だと封殺される気しかしない。1人相手にしてる間に痛い弾をぶち込まれて終わる。
試しにエントリーシート送ったら、問題行動が多すぎて弾かれたし……
「そして! この私がキヴォトスの全てを手に入れた暁には、覇王よ! キサマにキヴォトスの3分の2、いや半分をくれてやろう!」
貰える割合が減ってる。
「どうだ? 悪い取引じゃないだろう?
キサマが今ここで跪き、百合園セイアを捨て、忠誠を誓うというのであればこの騒ぎを許してやってもいい。キヒャヒャヒャヒャ!」
死んでも嫌だが。
マコトちゃんはお世話しがいがなさそうだし、忠誠とかだるいじゃんね。
「ごめん、無理。」
「何だと!?」
「ちなみにどうやってキヴォトスを乗っ取るつもりなの?」
「……? それはキサマがサンクトゥムタワーに乗り込んで……連邦生徒会長を倒す?」
「無理無理。」
「…………」
マコトちゃんが考え込んでしまった。
特に計画とか考えてなかったんだ。
私がいれば何とかなるだろ的な感じか。ちょっと嬉しいな。
後ろでイロハちゃんがため息ついてるよ。
……ふと気づいたが、拙い。隕石による
アホなペースに巻き込まれてしまっていた。
サッと周りを見渡すと、ヒナちゃんが戦車の陰からこちらに銃口を向けているのが見えた。
急いでマコトちゃんをとっ捕まえようと手を伸ばし、
「ぐっ……!」
片手は弾かれたが、人にはもう一本の手がある。
驚愕し、口を開けているマコトちゃんの襟元を掴み、肉盾にする。
「痛だだだだだっ!?」
紫色の神秘で光る銃弾の雨を
かなり優秀な盾だ。
そこそこ身長が高いし、
ホルスターからリボルバーを抜き、即座に放つ。
……2発着弾したが、まったく効いてなさそう。
私はヒナちゃんの弾20発くらいで倒れそうなのに不公平では?
「……3日ぶりなのに、随分な挨拶だね。ヒナちゃん。」
「……あなたの考えていることは相変わらずよくわからないし、
別に
冠ウルトのステータス
貫通/特殊装甲
タンク/FRONT/HG
HP :低(ウイと同程度)
攻撃力:低(HG装備のサポートキャラ級)
防御力:極高(lv87 完全強化で8000くらい 6000程度の大差をつけて問答無用でトップ)
命中値:高
回避値:高(スキルありだとトップ)
会心値:高
屋外戦闘力:SS(固有武器星3)
屋内戦闘力:B
市街地戦闘力:D
装備:手袋、鞄、ネックレス
EXスキル:真っ直ぐ行ってぶん殴る!(顔は避けて) COST:4
敵1人に対して移動し、攻撃力3300%分のダメージ/さらに気絶状態を付与(5秒間)/対象が中型以上の敵の場合は追加で3300%のダメージ
ノーマルスキル:キヴォトスブレイカー
戦闘開始時と20秒毎に、最大で敵9人に対して、隕石が落ちて円形範囲(ヒビキEXより広め)に破壊属性で攻撃力300%分のダメージ/さらに命中値と回避値を12%減少(15秒間)
パッシブスキル:Pantheism
攻撃力を529増加(固有装備星2)/さらに防御力を26.6%増加
サブスキル:Topological Soliton
最大HPの3%分受けるダメージを軽減/継続ダメージを無効化/敵との距離が近いほど回避値が増加(最大50%)
タンクの中では最もHPが低い代わりに防御力と回避値の高いメタルスライム。
細かいダメージはサブスキルの効果で無効化されるが、大ダメージに弱い(水着マシロ、アリスでワンパン)
HPが低く被ダメを抑えるため、継続回復スキル(ハナコ、ハナエ、ルミ等)とシールド付与(体ユウカ、正月フウカ等)と極めて相性がいい。
スキルの倍率が高いが攻撃力が低いためあまりダメージが出ない。NSは合計倍率2700%だが破壊属性のためあらゆる敵にResistされる。常時命中回避デバフを撒くのと遮蔽物が全部なくなるのが一番の特徴。
気絶のCC目的か、タンクとして採用しよう。
グレゴリオ相手の置き物としての適性が高い。
ゲーム上での耐久力はともかく、ストーリー上での耐久力とかよくわかんないですよね。
ナギサ様はアズサの銃弾1マガジンで寝てますが、アズサはサオリの虚しい虚しい連打で3マガジン以上くらってそうなのに動けてます。
カヤは……なんか不意打ちくらって1発で沈んでませんでしたっけ?(うろ覚え)