肥満児二人。ただし最強。   作:悲しいなぁ@silvie

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2話

京都姉妹校交流会、当日

その日、庵歌姫は既に帰りたい気持ちで一杯だった。

交流会の前に互いの顔合わせも兼ねて、一回集まっとかね?という連絡が後輩である五条悟から届いたからだ。

…………教えてねーんだよ!!お前にケータイの番号もメアドも!!というツッコミが喉まで出掛けたが、歌姫ももう大人である。なんとかその言葉を飲み込んで東京まで来ていた。

しかし、しかしだ……何事にも限度というものがあるだろう

 

「あ〜…眠ぃ、おい恵…終わったら起こしてくれ」

「もう、甚…やなかった

津美紀ちゃん、行儀悪いで?」

「………………」

 

なんか、滅茶苦茶ガタイの良い男三人がスカート履いてる。 

 

なんか、滅茶苦茶ガタイの良い男三人がスカート履いてる…

 

なんか、滅茶苦茶ガタイの良い男三人がスカート履いてる?

…………………………………なんで?

 

「……おい五条、私の見間違いじゃなきゃ変態が三人居るんだけど」

 

「なに?歌姫ってもしかしてそういうの差別しちゃう人?

あのさぁ〜俺ら教師だぜ?ジェンダーやらLGBTQやらも理解してやらねぇとさ」

 

ニヤニヤと心底腹の立つ顔でそう言いながら、まぁ…仕方ねぇか歌姫だしと締めくくる五条。歌姫は心から思った、此処が日本で良かった…と、アメリカならもう撃ってる。

 

「……………で、そこの三人は……何?」

 

「スー…スー…」

「嫌やなぁ歌姫先生、もう何回か顔合わしとるやないですか

禪院真依ちゃんです」

「…………禪院真希です」

 

立ちながら寝ている大男、きゅるん♥としなをつくる金髪、顔面に明らかに殴られたであろう青痣がくっきりと浮かぶ男。

三人は思い思いの返答を返してきた。

 

「…………スーッ…」

 

歌姫は必死に眉間を抑えながら深く息を吸いこむ。アンガーコントロール……あれ?何秒数えるんだったかしら…まぁ、十秒ぐらいで良いか……

 

「………フーッ…」

 

うん、ちょっと落ち着いてきたわね………うん……うん

 

「ざっっっっっけんじゃないわよ!!!!!」

 

血圧がとんでもない事になりながら歌姫は吼えた。そして、その勢いのまま説明すら放棄して立ち寝をしている甚爾へ詰め寄る。

 

「オラッ!!起きろ!起きなさい!!甚爾でしょ!!ねぇ!!」

 

「チッ………スー…」

 

ガックンガックン揺さぶると一瞬目を開けて舌打ちをした後にまた寝息が始まる。歌姫はカチカチと歯を鳴らしながら青筋を立てる。

 

「はぁ……?なに…?私相手なら起きる必要もないってコト……?ねぇ……キレそう……ねぇ!!!」

 

もうキレてるというツッコミをする者は流石に居なかった。

 

「いやもうキレてんじゃん、どしたの?更年期?」

 

いや、五条が居た…顔と戦闘能力以外0点男、五条悟が居た。

 

「お前らのせいなんだよ!!!!!起きろ!!そして私に説明しろ!!伏黒甚爾ぃぃ!!!!」

 

身長差故に飛び上がるようにして甚爾の顔面を殴打しながら叫ぶ歌姫。しかし、残念ながら殴った歌姫の拳の方がダメージは大きかった。

そんな歌姫の必死の思いが伝わったのか……それとも虫がたかって苛立つのと同じ現象かは不明だが、甚爾がようやく目を醒ます。

 

「チッ………高専二年、伏黒津美紀でーす」

 

なおもパンチを止めない歌姫の額を長い腕で押し止めながら心底面倒臭そうに言う全身ピチピチスカート男。

 

「どこが!!??アンタから津美紀ちゃん要素探すくらいなら徳川埋蔵金探す方が楽よ!!!!」

 

「何言ってんだ、ちゃんと等級も4級だろーが」

 

「アンタのは降格喰らってるだけでしょうが!!!!」

 

片手で歌姫を抑えながらもう片手を口元にやって大あくびをする甚爾。

 

「親馬鹿過ぎる!!良い加減子離れしなさいよアンタ!!」

 

「チッ…っせぇな……ツミキナニイッテルカワカンナーイ」

 

「おお!???ならせめて術式見せて見なさいよ術式!!」

 

甚爾のあからさまに此方を小馬鹿にした態度に血管がはち切れんばかりにブチギレながら叫ぶ歌姫。その顔面は既に真っ赤である。

 

「へいへい、術式ね…」

 

甚爾はかったるそうにポケットからタバコを取り出し、それを口に咥える。

 

「ホレ」

 

咥えたタバコの前で親指と中指を擦り合わせると、バンというちょっとした発砲音に近い音が鳴りタバコに火が灯った。

 

「構築術式でライター作った…これで良いか?」

 

「いや……もう…凄いけども!!凄いけど呪術関係ない!!!フィジカル!!ついでに人間でもない!!!」

 

あまりの出来事にちょっと怖くて涙が出そうになりながら叫ぶ歌姫。指パッチンで火を出す生物を見れば誰だってそうなる。

ぜぇぜぇ、と荒い呼吸をしているとそっと背を撫でてくれる三輪と新田。ありがとう…私、アンタ達の為に頑張るからね…

 

「恵君!貴方からも言ってやって!!」

 

歌姫は眼の前のスカートゴリラに話が通じないと見るや飼育員さん(伏黒恵)に標的を移す。

恵とはそこまで交友は無い、無いが…苦労人仲間として無言のシンパシーを感じていた。きっと、向こうもそうに違いない…!

 

「すみません庵先生…」

 

しかし、歌姫は一つ勘違いをしていた。

そう、この家庭は───

 

()()()()()()…後で言って聞かせますんで」

 

親馬鹿とシスコンで構成されている。

 

「嘘でしょ……」

 

ガックリと膝をつく歌姫。こんなに落ち込んだのはヤックルの(ケツ)に矢がブッ刺さった時以来である。

だが、だが……それでも歌姫は立ち上がる。必ずや、かの邪智暴虐な馬鹿共を除かねばならぬと決意して。

 

「………アンタ達は?そこの二人はなんのコスプレ?」

 

しかし、この天与のゴリラにこれ以上構うのも精神衛生上良くない為暇してそうな金髪と顔面青痣親父の方にシフトした。

 

「もう、やから禪院真依ちゃんやって言うてるやんか歌姫先生」

「……………禪院真希です」

 

「…………百歩、百歩譲って直哉は理解(わか)るわ…

てめぇは誰だよ!!!!おい!!そこのオッサン!!ねぇ!誰!?誰なの!!?怖いんだけど!!!ねぇ!!」

 

「ぜ…禪院真希です……」

 

「それしか言えねぇのかよ!!!アンタの名前聞いてんの!!ねぇ!!」

 

オッサンと呼ばれた事に割とショックを受けながらも俯いて機械のように同じセリフを繰り返すオッサン。

 

「もう、やめたってや歌姫先生…お姉ちゃんが怖がっとるやんか」

 

「わ…わた、私は…」

 

金魚のように口をパクパクさせながら何かを歌姫に伝えようとするオッサン。歌姫はそれを見て近付こうと──

する、その前に直哉がオッサンの首を掴んで宙吊りにする。

 

「私は…?私は何なん?僕、そんなセリフ言えなんて頼んだ覚えないんやけど…おい、何とか言えやカス

おどれは僕の言うた事だけやっとればええんや…自我なんぞ出すなや」

 

腕一本で持ち上げられたオッサンの身体がバタバタと暴れるも、直哉はまるで意に介さず握力を強める。

 

「あ、ぐぅ…、がっ…!」

 

「それとも、まだ殴られ足りんか?扇のオッサン」

 

「あ、あぅ……」

 

パッと直哉が手を離すとオッサン…改め禪院扇は情けなく尻から落ちてその場に蹲る。

何も知らない人間から見れば、ピチピチミニスカ金髪細マッチョがピチピチタイトスカートポニテのオッサンをボコボコにして泣かせているという地獄である。

 

「地獄か!!!!」

 

というか歌姫から見てもそうである。

 

「いや……もう泣いてんじゃないの!!やめてあげなさいよ直哉!!」

 

「えー…こんなんで泣いてまう方が悪いんとちゃう?」

 

「いや…でも!!それでも謝ってやんなさいよ!四、五十代のオッサンのガチ泣きなんてこれ以上見たくないのよ!!」

 

「もう〜……扇のオッサ……

やない、お姉ちゃん…ごめんちゃい♥」

 

謝りながら恐喝している…後に歌姫はその場面をそう評した。

 

「………とにかく、と・に・か・く!!

アンタ達は流石に駄目よ!!甚爾はまだ親だから万歩譲るけど…アンタ達は駄目!!親代わりと知らないオッサンは駄目!!」

 

「えー…ええやんか、扇のオッサンは二人のガチ親父やで?

髪型も似とるし…実質真希ちゃんやろ?」

 

「ガチ親父!!????このオッサン二人の親なの!!?」

 

オッサンという単語が出る度に啜り泣く声が聞こえるが、それを気にしてくれる人間はこの場に居なかった。

 

「そやで、半分同じ血で髪型も一緒…ついでにザコなとこも似とるし大体真希ちゃんやろもう

………いやな?最初は僕も蘭太くんとか連れて来よ思ててんで?ただ蘭太くんも甚壱くんも誰も彼もみーんな任務で出払うとってなぁ

僕かて妥協してんで?誰が好き好んでこんなオッサンの女装なんて見たがるかいな」

 

屋敷で休暇を取っていた扇を殴り倒して無理矢理身ぐるみを剥いだ男のセリフである。

 

「ぐぅ………でも!!こんなんじゃ交流会になんないじゃない!!

4級三人が抜けて1級二人と……オッサンが入ってるのよ!?」

 

「だから俺も4級だって言ってんだろ」

 

「扇のオッサンも一応特別1級やで」

 

「禪院真希です……」

 

ついでに言えば、三年の秤金次も1級で恵も1級な為戦力差がとんでもない事になっていたりする。

 

「Ms庵!」

 

パン、と場の空気を締めるように東堂が手を叩く。

 

「切り替えるべきだ……実力伯仲の術師同士の鎬の削り合いから、如何に強敵相手に立ち回り自身の長所を押し付けられるかへと…今!!目標が変わっただけだ」

 

確かにそうではある、自分の実力を大きく上回る相手との戦闘でなければ得られないものも確かに多い……だが──

 

(((((東堂(コイツ)に言われるとなんか腹立つ)))))

 

京都高生の心が一つになっていた。

 

「それに…これ以上お義父さんと義兄さんの前で恥はかけまい」

 

東堂はビッ、と襟を正すと甚爾と恵の方へ向かっていく。

 

「初めまして…お義父さん!」

 

「……………あ゛?」

 

殆ど寝起きの甚爾は聞くだけで小動物なら殺せそうな声で聞き返す。

お義父さん?何言ってんだこのゴリラパインは

 

「私、美々子さんと菜々子さんの二人と結婚を前提にお付き合いをしようと思っている東どぅぅううぐぅ!!」

 

東堂のキモいセリフを聞き終わる前に、甚爾は躊躇無く東堂の額に火の付いたタバコを押し当てていた。

 

「てめぇ…頭ん中身までパイナップルか?とっとと失せろ…」

 

「お義父さん!!確かに娘さんを大事に想う気持ちはわかぐううぅぅぅぅ!!!」

 

2本目である。

 

「お、おとぐゔゔぅ!!お義父さぐゔゔぅぅぅぅ!!

聞いて下ぅぅぅゔ!!おぐゔゔぅ!!!」

 

口を開く度に額に押し当てられるタバコ。

既に東堂の額には六つの火傷(クリリン)が刻まれていた。

 

そんなこんなで、前途多難な京都姉妹校交流会は始まるのであった。

 

 

 

 


 

 

高ミナ乙女達

高田ちゃんと美々子と菜々子の三人からなる高身長アイドルユニット

結成理由は甚爾が居酒屋で偶々出会った高田ちゃんと意気投合した結果である。

 

メカ丸

もう少し後で誰にとは言わないが滅茶苦茶怒られる事になる。

「テメェ情報と違うじゃねぇかよ!!なんだあのバケモン達は!!」

 

花御

真人から学生同士の戦いと聞いていますが…心が痛みますね

この星の為とは言え…未来ある若者を手に掛けるのは




パパ黒と直哉が積み上げてきた好感度が……消えた…?
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