入学編1
国立魔法大学付属第一高校
日本にただ9校しかない魔法を磨くための学校、言い換えれば魔法を使える者だけが通えるエリート学校であった。
桜が堂々と咲き誇り、太陽は雲ひとつない青空で光輝いている。
そんな中、エンブレムに花を携えた1人の少年は二人の人影を見つける。
どうやら口喧嘩をしているようだ。盗み聞きは趣味ではないが、話している少女の声が荒ぶっているので自然と聞こえてくる。
「お兄様、どうしてですか⁉︎どうしてお兄様が主席ではないんですか⁉︎私よりお兄様の方がっ」
「深雪!」
お兄様と呼ばれていた男が声を大きくしたことで、深雪と呼ばれていた美少女は黙ってしまう。
「深雪、俺はテストで高得点をとったかもしれないが、ここは魔法科高校だ。ペーパーテストより実技が優先されることは知っているだろう」
「ですが!」
「それに、俺はお前の晴れ姿を楽しみにしているんだ」
青年が優しく微笑むと、少女は頬を赤く染めた。
「お兄様!」
少女は青年の胸に体をあずけた。
コレを遠目から見ていた少年こと、この物語の主人公、百鬼 夜一は呆然としていた。
(なんだこのバカップルは…。でも会話の内容からして兄妹の関係のようだが)
少しの間、呆然としていると先程の兄妹は別れ、妹はどこかに、兄はすぐ近くのベンチに座ったようだった。
兄はベンチに座るとこちらの視線に気づいたようだった。
夜一はこのまま無視していくと、兄妹喧嘩をおもしろがって見ていたやつなどと思われても嫌なので、声をかけてみることにする。
「ずいぶん兄思いの妹さんだね」
夜一の声に、青年はこちらを見てくる。夜一はこのとき、妹も美少女だったが、兄もなかなかのイケメンだと思った。
「見ていたのか、見苦しい所を見せたな」
「いいや、そんなことはないさ。兄妹がなかのいいことは素晴らしいことだからね」
そんな夜一のセリフとは裏腹に夜一は暗い表情をうかべた。
「まあ、とりあえず、僕の名は百鬼夜一。夜一ってよんでくれ。よろしく頼むよ」
「俺の名は司波達也。達也ってよんでくれ」
達也は夜一から差し出された手をとり、握手をした。
「それにしても夜一は、なんでこんな早い時間から学校に来ているんだ?まだ入学式まで1時間はあるぞ?」
「だって達也、入学式だぜ?ワクワクして早く来ちゃうもんだろ普通」
そう言って夜一は無邪気に笑った。
達也と夜一はそれから、くだらない話をして時を過ごした。そのとき、
「君たち、一年生でしょ?入学式に遅れるわよ?」
声のした方を見ると、そこには美少女がいた。長くのばした髪に、少し小悪魔っぽさをだした笑顔を向けてくる。
ほんの少しの間だが、夜一は見惚れてしまっていた。
「すいません、もう行きます」
達也は立ち上がり、歩き出そうとする。夜一もそれについて行こうと立ち上がる。
「ところであなたたちお名前は?」
「自分は司波達也です」
「僕は百鬼夜一です」
「そう、あなたたち2人が噂の…、私は七草真由美、この学校の生徒会長をしています」
夜一は少し驚いた、この学校のパンフレットを、あまり見ていなかったせいもあるが、話していた相手が生徒会長、しかもナンバーズだったことに。
達也も少し驚いているようだ、などと思っていると、真由美のセリフに少し違和感を覚えた
「あの、噂ってなんですか?」
夜一は思い切って聞いて見た
「まず、達也くんはペーパーテストが1位、平均点70のテストで達也くんの平均点は96点、ぶっちぎりのトップよ」
夜一は驚いた、なぜなら達也のエンブレムには花がなかったからだ。
ここ第一高校では成績が優秀な一科生と成績が優秀でないニ科生とに別れるが、一科生のエンブレムには花があり、ニ科生のエンブレムには花がないっと言うように区別されている。
しかし、達也のエンブレムには花がない、つまりニ科生ということだ。
ペーパーテストで満点をとっておきながら、ニ科生ということは実技が不得意ということ。つまり努力はしているが、才能がないということ。夜一は、達也を少し不憫に思った。
「次に夜一くん、あなたの魔法処理速度は主席の深雪さんを抜いて、ぶっちぎりのの1位よ」
今度は達也が驚く番だった。深雪を超える処理速度の魔法師を、見たことがなかったからだ。
同時に世界は広いそう思う達也であった。
「それよりあなたたち入学式もうすぐ始まるわよ」
真由美のセリフを聞き、達也と夜一は急いで講堂へ向かった
小走りで講堂に来た達也と夜一は席を探した。すると夜一はあることに気づく。席の前が一科生、後ろが二科生と綺麗に別れているのである。
「入学式の時点でコレとは、聞いてた以上だな…」
夜一は一科生なので、ここで達也と一緒に座ると空気を乱す恐れがある。達也もそう感じたのか、夜一と達也は別れて座った。
夜一は前方で席を探していると、1人知り合いを見つけた。
ちょうどその隣の席も空いているので、声をかけてみる
「君も一高に来たんだね、雫」
すると雫と呼ばれた少女は振り返り驚いた顔をした
「夜一、久しぶり、あなたも一高に来たのね」
雫は夜一に微笑んできた。夜一は5年ぶりに見る幼馴染が、美少女になっていたこともあり、頬を赤く染めた。
「雫、その人は?」
雫の隣から、ツインテールの女の子が顔を出してくる。この子も美少女だなっと夜一は思う。
「ほのか、紹介するね、この人は百鬼夜一。七年前まではよくウチのパーティに来てたんだ」
「よろしく、夜一ってよんでくれ」
ちなみに、補足すると雫の家、北山家は富豪として有名であり、度々パーティを開催している。このパーティには、北山家と仲のいい名家しか呼ばれないのだが、百鬼家の話はまた後日に…
「夜一、こっちの子は光井ほのか、私の親友」
「よろしくね、夜一くん」
「ところで夜一、あなたは今どうやって暮らしているの?」
「それはあの事件のあとどうやって過ごしたかってことか?」
夜一は普通に答えたつもりだったが、雫にはわかった。夜一は七年前の事件を思い出して、ほんの少しだけ暗い表情をしたことに。それと同時に後悔した、聞くべきじゃなかったと。
「あの事件のあと、俺は親戚の家に引き取られて、そこの兄妹の人たちとはずいぶん世話になったよ。」
「そっか、いいところに引き取られたんだね」
雫は安心したように、息をはいた。また、夜一もそんな雫を見て本気で心配してくれたことを嬉しく思った。
このとき、ほのかは仲間はずれにされて少しすねていた。
そうしている間に、新入生主席による司波深雪の挨拶がはじまった。
夜一、雫、ほのかの3人、いや講堂にいる全員が彼女の容姿に目を奪われていた。みんながみんな、こんな綺麗な人見たことないというような表情をしていた。
雫は確かに、深雪のことを綺麗だとは思ったが、横で夜一が顔を赤くしているのを見て、何か胸の奥に嫌なものを感じた。雫自身、これが恋だと知るのはもう少し先のことである。
かくして、入学式が終わり三人は帰った
こうして百鬼夜一の高校生活が幕を開ける
ss投稿はじめてです!
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