では本編をどうぞ
ひどい雨だった。風が吹き荒れ、雷の音が鳴り響く。
人里から少し離れた屋敷で、2人の子供がいた。
「夜一、あんたは絶対生き延びるんだよ。ウチの家の親戚は、優しい人が多い。生き延びて、幸せな人生をおくりな」
「だめだよ!姉ちゃん!僕、僕…」
まだ、小学生とも思える少年は震えて必死に姉の手をつかんでいた。
一方、少年より少し年上に見える少女は少年を強く抱きしめた。
「夜一、大好きだよ。」
少女は少年の耳元にそう呟くと、少年を無理矢理引き剥がした。
少年は、姉の覚悟に圧倒され、ただ呆然と姉が自分から離れて行くのを見ているしかなかった。
姉が少年から数歩離れた所で、無機質かつ残酷な音が部屋に響いた。
少年は、さっきまで一度も聞いたことのなかった音。しかし、もう忘れることはないだろう。これは、少年の母親と父親をなくした時の音。
つまり、銃声である。
それが今聞こえてきた。背筋に寒気が走る。嫌な予感がする。自分の勘違いだと思いたい。
しかし、自分の予感が的中してしまう。少年から数歩離れている場所にいた姉が倒れたのだ。
少年は、急いで倒れている姉に駆け寄る。すると、胸から暖かいものが流れている。
暗くてあまり見えない。自分の思い違いだと思いたい。しかし、雷の光が無情にもそれを現実だと思い知らせた。
夜一が見たのは紅だった。
姉の服が、胸を中心に紅く染まっている。よく見ると、自分の手のひらと服の袖も少しずつ紅くなりつつある。
「姉ちゃん?姉ちゃん!姉ちゃん!」
呼んでも反応しない。寝起きの機嫌が悪くて、裏拳をよくくらわされていたことを思い出す。今回もそんな風に起きてくれると思いたかった。
しかし、反応がない。体を揺すってもなにも返事をしない。
「やだよ、やだよぉ、うわぁぁぁぁぁ」
屋敷には、悲痛な少年の声が鳴り響いた。
「はっ」
夜一は飛び起きた。息を乱し、ようやく夢から覚めた夜一は、息を整えてからため息をついた。
「また、またあの夢か…」
夜一の体は冷たい汗をかき、頬が少し濡れていた。
夜一は、時間は少し早いが、登校していた。とんだハプニングのおかげで、早く目が覚めてしまったためだ。もう一度寝るのは、また夢を見てしまうかも、という可能性を考えてやめた。
ふと、そのとき、夜一は視界の端に昨日知り合った友達の姿を発見する。外からは門があるので良く見えないが、寺の中で誰かと戦っているようだった。
一瞬、襲われているのかと考えたが、双方殺気がないので模擬戦をしているのだと思い、少し見学ふることにする。
寺の中に入ると、門下生と思われる人が全員倒れていた。状況からして、寺で戦っていた友達、達也がやったのだろう。
門下生たちは、地面に腰を下ろしながら、全員同じ所を見ている。その視線の先には、達也と戦っているものがいた。
夜一は、門下生たちと一緒に勝負を観戦し、戦いが終わるのを待っていた。
十分後、達也の対戦相手が息を一つ切らさず立っているのに対し、達也は息を乱し、地面に倒れこんでいた。
「お疲れ~、達也」
「お疲れ様です、お兄様」
夜一が達也に声をかけると同時に、達也の妹こと司波深雪は兄に声をかけていた。
「ありがとう、夜一、深雪。それにしても夜一はなんでここにいるんだ?」
「さっきここを通りかかった時、たまたま達也を見つけてな」
達也は深雪から受け取ったタオルを受け取りながら、こっちに視線を送ってくる。お兄様と私の空間を汚すなんて!誰だこいつは!っと心の声が聞こえるのは気のせいだろうか。
「ああ、深雪とは初対面だったな。こいつは制服を見ればわかると思うが、一校の生徒だ。名前は百鬼夜一。」
「よろしく!」
達也に自己紹介をしてもらい、軽く微笑みながら挨拶をする。
「それでこっちはもう知ってると思うが、俺の妹、深雪だ」
「よろしくお願いします」
深雪が、夜一にそう言って微笑むと、あまりの笑顔の可愛さに夜一は頬を赤くする。
「やあやあ~、僕を仲間外れにしないでもらえるかな?」
先ほど達也と相手をしていた相手、全国的にも忍術使いとして有名な人物、九重八雲である。
「そんなつもりはなかったのですが」
「お久しぶりですね。九重さん」
達也が弁解しているのに対し、夜一の言った言葉に対し、少し驚いたようでこちらを見てきた
「夜一九重先生を知っているのか」
達也と深雪がこちらを見つめてくるので、説明しようとした時
「それは僕の口から言おうかな」
九重が口を挟んできた
「九重家と百鬼家、実は古い繋がりがあるんだよ」
「古い繋がりですか?」
「まあ、詳しい話はまた後日として、百鬼家は武術の家からしたら結構有名なんだよ、それで、2年前までは夜一君もよくここに通っていたのさ」
達也はこのとき納得していた。昨日見かけた時から、夜一は歩き方、呼吸、姿勢からして武道をやっているものの歩き方だった。
「それはすごいですね。俺も手合わせしてみたいですね」
「達也君も、彼と手合わせは勉強になると思うよ、と言っても、彼に剣を持たせたら、手合わせどころじゃなくなるけどね~」
「九重さん、それは買いかぶりです」
九重が夜一をベタ褒めにするので、夜一は少し恥ずかしがっていた。
「それにしても剣を持たせたら、手合わせどころじゃなくなるといつのはどういうことでしょうか?」
このとき男3人の低い声のあとに、高いかつ綺麗な声の深雪が話すと、声が目立つものだななどと夜一は思っていた
「手合わせにならないも何も、夜一君が強過ぎて、相手にならないということだよ」
「なっ」
深雪は心底驚いていた。兄は自分の中で最強、特に体術に関しては右に出るものはいない、そう思っていた。しかし、その兄の上を行く夜一という存在が信じられなかった。
学校にて、夜一は1人教室の前に来ていた。
夜一は、達也、深雪と一緒に登校するつもりだったが、まだ朝ごはんを食べていないらしく、先に1人できた。
教室のドアを開けると、そこには少なからず人がいた。
やはり新学期早々みんな張り切ってるなと思っていると、
「夜一君、おはよー」
教室のドアから数歩と言ったところから、ツインテールの女の子が声をかけてきた。
「ああ、おはよう、ほのか」
ツインテールの女の子こと、光井ほのかである。
「あれ?雫は一緒じゃないの?」
「雫は今、お手洗いに行ってるよ」
なんとなく気になったことを聞いて見ると、ほのかは口元を歪め、少しニヤニヤしながらこっちを見つめて来た
「あれ〜、夜一さん、雫のこと気になるの?そう言えば、昨日分かれてから、雫、夜一さんのことばかり話してたけど、どういう関係なんですか〜?」
夜一は驚いた。真面目に見えて、恋バナについては小悪魔になることを。ほのかってこんな性格だったのかと思いつつも、ほのかのセリフに少し気になることを見つけた
「雫が僕のことばかり話してたって?」
このとき、ほのかがうっすら笑ったように見えたのは見間違いではないだろう
「あれ〜、夜一君気になるんだ〜」
「まあ、ちょっとは」
頬を赤く染めながらも、夜一は答える。
「雫、7年前よりカッコ良くなったとか、呟いていたんですぜ旦那」
怖い!ほのかが怖いよ!というかどこの悪代官だよ!夜一は心の中で、この状態のほのかを闇ほのかと命名(勝手に)
「どうしたの?」
「うわーーー〜!」
後ろから雫に声をかけられ、思わず本気で驚いてしまった。変な声をあげたせいか、クラスの人から白い目で見られるのは気のせいではないだろう。
「おはよう、夜一」
「お、おはよう、雫」
雫が微笑んで、挨拶をしてきて、思わず顔を赤くしてしまった。このとき、夜一はしまったと思った。
来る!来てしまう!闇ほのかが!!
「それより、2人は何を話してたの?」
まずい!夜一は思った。ここでほのかが、
「夜一君が、雫のこと気になってるみたいだよ〜」
なんて言ったら、雫に白い目で見られてしまう!まずい!それはまずい!そのときほのかが口を開いた
「夜一君とはね〜」
なにを!なにを言うつもりだ!闇ほのか!夜一は恐怖した。ほのかは雫の後ろに回り込んでこちらを見てくる、まるでお前の考えてることはお見通しとでも言わんばかりの視線を感じさせてくる
「今日、雫と3人で昼ごはん一緒に食べよう!っていってたの。ねっ、夜一君?」
ほのかは雫に見えないように、小悪魔の笑みを向けて来た
「そ、そうなんだ雫。今日3人で食べないか?」
「うん、私も夜一と一緒に食べたい」
そう言って、雫は微笑んできた。め、めちゃくちゃ可愛い!夜一が心の中で叫んでいると、耳元から悪魔の囁きが聞こえてきた
「コレ一個貸しだからね!♡」
ほのかが耳元で夜一にだけ聞こえる音量で呟いてきた。
怖いよ!怖いよ闇ほのか!夜一は心臓を一掴みされたような感覚を感じたという
ガラッ、夜一の金縛りを解いたのはこのドアを開ける音だった。
司波深雪、教室に入るだけで教室の雰囲気を変えた。
「おはようございます」
深雪の声は、静かな教室に凛と響いた。
「おはようございます、さっきぶりですね。夜一さん」
深雪は教室のドアに1番近かった夜一に話しかけてきた。
「あ、ああ、おはよう」
このとき、殺気にも似た視線を感じた。(主に男子から)だが、それ以上は話さず、自分の席に着いた深雪を見てか、視線はなくなった。ある1人を除いて
「夜一、さっきぶりってどういうこと?」
雫である。よく見ると、なぜか怒っているように見える。
「えーと、登校するとき偶然会ったんだ」
「偶然?本当に?」
し、雫の顔が近い!それに何故か頬を膨らませてるし、何に怒ってるのか知らないが、ちょっと可愛いな
「本当に偶然だよ、なんでそんな怒ってるのさ?」
夜一の質問に雫は、自分でも不思議だった。7年前、夜一と別れてから、自分の心に何か穴が空いたような感覚に襲われた。それは7年間でだんだん弱くなっていったが、昨日
、夜一と再開してから自分の心に違和感を感じていた
「わからない、でも偶然ならいい」
夜一は、頭の上に?を浮かべていた。ほのかが遠目からニヤついてるとも知らずに
まだ、入学式2日目の朝です!自分でも進むのがすごく遅いと思ってます
あと、一応ほのかは、標準モードと闇モードがある設定です。ほのかファンの人ごめんなさい笑
精一杯書くので、また感想、批評などもらえたら幸いです^_^