問題児達と神殺しの簒奪者が異世界から来るそうですよ?   作:更新亀さん

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13話

 

『じゃあこれからよろしく、メイドさん』

 

『え?』

 

「え? じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのって私達だけじゃない? 貴方達はホントにくっ付いてきただけだったもの」

 

「うん。私なんて力いっぱい殴られたし。石になったし」

 

「つーか挑戦権持ってきたの俺とカイだろ?だから所有権は2:2:3:3で良いだろ」

 

「何を言っちゃってんでございますかこの人達!?カイさんも止めてください!?」

 

「一番の功労者は俺だ、つまりレティシアは俺の者だ」

 

『えー……』

 

問題児三人と、ジン、黒ウサギが声をそろえて言う。

 

「カイさんまで何言ってるんですか!?」

 

もはやツッコミが追いつかないなんてものじゃない。

 

黒ウサギとジンは完全に混乱していた。

 

「カイ、お前もしかしてレティシアに惚れたのか?」

 

十六夜がニヤニヤしながら聞いてくる。

 

カイは否定しなかった。

 

「ああ、俺はレティシアを気に入った。昔からこう言う性分でな。気に入ったものはつい手に入れたくなってしまう」

 

合った瞬間にビビッ、と来たのだ。

 

「やるか?」

 

「良いだろう。身の程を教えてくれる」

 

#

 

大広間から中庭に移動した俺たちは、ルールの確認をしていた。

 

 

《ギフトゲーム名   "メイドさんは勝者の手に"

 

 ・プレイヤー一覧   逆廻十六夜

 

 ・クリア条件     相手の戦闘不能。

 

 ・敗北条件      相手を殺害する。

            降参する。

            プレイヤーが上記のの勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと尊厳の下、ギフトゲームを開催します。

                          魔法神印》

 

 

 

金色の"契約書類"を十六夜と共に確認する。

 

「これでいいか?」

 

「問題ないぜ。さっさと始めようか」

 

他の面々は、カイが《創造神ブラフマー》の権能で創造した客席に待機している。

 

このルールで一番簡単なクリア方法は相手を気絶させることだ。

 

「このコインが地面に落ちたらスタートだ」

 

「それでいいぜ」

 

カイが親指の上にコインを乗せながら言う。

 

そして、コインを親指で弾く。

 

コインは綺麗に放物線を描き、上へ飛んでいき地面に落ちる。

 

キン、とゲームスタートが鳴り響く。

 

「行くぜぇ!オラァ!!」

 

十六夜が第三宇宙速度で殴りかかる…が、カイは十六夜の拳を掴み投げ飛ばし、

 

「〈雷帝よ•舞え〉」

 

六振りの雷剣を放ち追撃する。

 

「オラよ!!」

 

十六夜は雷剣を殴り、砕くが、カイは十六夜に接近していた。

 

「しまッ!「フンッ!!」ガハッ!?」

 

カイの拳が十六夜の鳩尾を捉える。

 

「痛ってなぁ!!」

 

十六夜は倒れる事なくカイに殴りかかる。

 

「チッ」

 

カイはバックステップで距離を取る。

 

「やるな、十六夜。さっきので決まったと思ったんだがな」

 

「あんまり俺を舐めない事だぜ!!」

 

「だが、俺の勝ちみたいだな」

 

十六夜は仰向けに倒れる。

 

「負けちまったか……」

 

「やりすぎデスよ!!まったく……」

 

ゲームの勝敗が決まった後、倒れた十六夜を運び、再び大広間に戻ってきていた。

 

黒ウサギは先ほどのことをプリプリ怒っている。

 

「約束通り、レティシアは俺の者だ」

 

「あぁ……仕方ないから勘弁してやる」

 

 

視線をレティシア移し、

 

「これからよろしく頼む」

 

「う、うむ」

 

レティシアが顔を若干赤く染めながら頷いた。

 

#

 

───"ペルセウス"との決闘から三日後の夜。

 

子供達を含めた"ノーネーム"一同は水樹の貯水池付近に集まっていた。

 

その数、一二七人 +一匹。数字だけを見れば中堅以上のコミュニティとも呼べるだろう。

 

「えーそれでは!新たな同士を迎えた"ノーネーム"の歓迎会を始めます!」

 

ワッと子供達の歓声が上がる。周囲には運んできた長机の上にささやかながら料理が並んでいる。

 

本当に子供だらけの歓迎会だったが、それでも四人は悪い気はしていなかった。

 

「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」

 

「うん。私も思った」

 

「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねえか?」

 

「綺麗な星空を眺める丁度良い機会だと思うがな」

 

 実を言えば、"ノーネーム"の財政は想像以上に悪い。

 

あと数日で金蔵が底をつく。

 

三人が本格的に活動し始めたとしても、百人を超える子供達を支えるのは厳しいかもしれない。

 

ましてやその中で、魔王との戦いや仲間達の救出を行わなければならないのだ。

 

こうして敷地内で騒ぎながらお腹いっぱい飲み食いをする、というのもちょっとした贅沢になるほどに。

 

そういった惨状を知っている飛鳥は、苦笑しながらため息を吐いた。

 

「無理しなくていいって言ったのに………馬鹿な子ね」「そうだね」  耀も苦笑で返す。二人がそんな風に話していると、黒ウサギが大きな声を上げて注目を促す。

 

「それでは本日の大イベントが始まります!みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」

 

十六夜やカイ達を含めたコミュニティの全員が、箱庭の天幕に注目する。

 

その夜も満天の星空だった。空に輝く星々は今日も燦然と輝きを放っている。

 

異変が起きたのは、注目を促してから数秒後の事だった。

 

「………あっ」星を見上げているコミュニティの誰かが、声を上げた。

 

それから連続して星が流れた。すぐに全員が流星群だと気が付き、口々に歓声を上げる。

 

黒ウサギは十六夜達や子供達に聞かせるような口調で語る。

 

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけを作ったのです」

 

「え?」「何?」「何だと」

 

子供達の歓声の裏で、十六夜達が驚きの声を上げる。

 

黒ウサギは構わず話を続ける。

 

「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒した"ペルセウス"のコミュニティは、敗北の為に"サウザンドアイズ"を追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」  

 

十六夜達三人は驚愕し、完全に絶句した。カイは興味深そうに星空を眺める。

 

「───……なっ……まさか、あの星空から星座を無くすというの………!?」

 

「星を無くしたのは"魔王アノス"と共に〈破滅の太陽サージエルドナーヴェ〉を堕とした時以来だな」

 

カイの言葉に三人の顔が引き攣る。

 

刹那、一際大きな光が星空を満たした。

 

そこにあったはずのペルセウス座は、流星群と共に跡形もなく消滅していたのだ。

 

ここ数日で様々な奇跡を目の当たりにした彼らだが、今度の奇跡は規模が違う。

 

言葉を失った三人とは裏腹に、黒ウサギは進行を続ける。

 

「今夜の流星群は"サウザンドアイズ"から"ノーネーム"への、コミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし、皆で観賞するもよし、今日は一杯騒ぎましょう ♪」

 

嬉々として杯を掲げる黒ウサギとカイ、子供達。だが三人はそれどころではない。

 

「星座の存在さえ思うがままにするなんて………ではあの星々の彼方まで、その全てが、箱庭を盛り上げる為の舞台装置という事なの?」

 

「そういうこと………かな?」

 

その絶大ともいえる力を見上げ、二人は茫然としている。

 

が十六夜だけは、流星群を見ながら感慨深くため息を吐いていた。

 

「………アルゴルの星が食変光星じゃないところまでは分かったんだがな。まさかこの星空の全てが箱庭の為だけに作られているとは思わなかったぜ………」

 

星空を見上げ、先ほどまでペルセウス座が輝いていた場所を見る。  

 

星の位置を自由に遊び、ソラの彼方まで支配するような絶大な何かが、この箱庭にはあるのだ。

 

感動を補充するように眼を細めると、元気な声が十六夜を訪ねる。

 

「ふっふーん。驚きました?」

 

黒ウサギがピョンと跳んで十六夜の元に来る。

 

十六夜は両手を広げて頷いた

 

「やられた、とは思ってる。世界の果てといい水平に廻る太陽といい………色々と馬鹿げたものを見たつもりだったが、まだこれだけのショーが残ってたなんてな。おかげ様、いい個人的な目標もできた」

 

「おや?なんでございます?」

 

コミュニティの目標ではなく、十六夜個人の目標。

 

黒ウサギでなくとも興味があるに違いない。

 

十六夜は消えたペルセウス座の位置を指さし、

 

「あそこに、俺達の旗を飾る。………どうだ?  面白そうだろ?」

 

今度は黒ウサギが絶句する。しかし途端に弾けるような笑い声を上げた。

 

「それは………とてもロマンが御座います」「だろ?」「はい ♪」

 

満面の笑顔で返すが、その道のりはまだまだ険しい。

 

奪われた物を全て奪い返し、その上でコミュニティを更に盛り上げなければならないのだから。

 

だが他の三人も反対はしないだろう。そんな予感が十六夜にはあった。

 

"家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い"それだけの対価を支払った彼らの新しい生活は、まだ始まったばかりなのだから。

 

#

「レティシア、こんな端っこで何してるんだ?」

 

「カイか。いや夢の様だと思ってな。私はもう二度とこの光景を見ることは叶わないと思っていたからな」

 

「そうか」

 

無言が続く。

 

「―――カイ」

 

「どうした?」

 

「いや、改めて礼を言おうと思ってな。私を助けてくれただけでなく、子供達を笑顔にさせてくれてありがとう。今回の食事もカイがお金を出してくれたのだろう?」

 

「気にするな。俺は俺のしたい事をしたまでだ」

 

「そうか。そ、その、一ついいだろうか?」

 

レティシアが顔を若干赤く染めながら問いてきた。

 

「なんだ?」

 

「三日前のことは本当か?」

 

「三日前?」

 

「そ、そのだな……お前がわ、私にほ、惚れているって……」

 

レティシアがもじもじしながら言う。

 

(か、可愛い……)

 

「あぁ本当だ。俺はお前に惚れた、一目惚れと言うやつだ」

 

「そ、そうか……わ、私もだ」

 

「―――レティシア」

 

「は、はい!!」

 

レティシアがおどおどしながら返事をする。

 

「俺と―――付き合ってくれないか?」

 

レティシアは顔を真っ赤にしていたが、

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

と、しっかりと返した。

 

ここでカイは重大な事実に気づいた。

 

カイは草むらを睨み、

 

「出てこいよ、お前ら」

 

『おめでとう(ございます)!!!』

 

草むらには十六夜達が隠れていた。

 

「ヤハハ、男らしすぎだぜ。カイ」

 

笑いながら十六夜が言う。

 

「全く、困った奴らだ」

 

こんな感じでカイ達の歓迎会は終わっていった。

 

 

 

 

 

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