ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

10 / 185
惑星概観

 あれから一週間はあっという間で、エルティナと買い物や、もらった特別報酬で豪華な食事会をしたり、せっかく許可が下りたので地球に1泊2日の一人旅行(エルティナは許可が下りなかった)に行ってみたり、今まで縁の無かった(ウルク肝いりの)カジノなどにも行ってみて、休暇を満喫できたと思う。10数年ぶりに食べた東京のお寿司はおいしすぎて泣いた(ガチで)。

 

 カジノはそれほどギャンブル性の高いものはおいておらず、せいぜいアークマスロットぐらいだ。ほかのものはローリスクローリターンで、割と長く遊ぶタイプのものが多かった気がする。ブラックニャック? あれはディーラーがいかさましてるからやらない。

 

 得られたコインもメセタに換金できず、アークス向けの景品と交換するのがメインだ。ダーカーとの戦争も一段落したので、もう少し娯楽寄りの景品に変わっていくだろうと言われているが、どうなることやら。今のところは、アークスの福利厚生の一環と言うらしいが、いずれは一般に公開されるのかどうかは未定らしい。オラクル船団にギャンブル依存症患者を出さないようくれぐれも気をつけてほしいものだ。

 

 その一週間は結局アッシュとマトイちゃんには会えなかった。噂では、分刻みのスケジュールをこなしているらしいが、実際何をしているのかはよく分からないとのこと。またぞろ、地球やオメガでの残務処理とかいろいろやってるんじゃなかろうかと邪推している。交友関係が広い上に働き者だからねぇ、あの二人は。私も一応、ロ・カミツとスクナヒメの様子は何度か見に行ったので、あんまり人のことはいえないけど。

 

 スクナヒメには日本の玉露とお茶請けにきんつばをプレゼントしてみたが、喜んでもらえて何よりだ、これからも何かあったときは助力お願いします(ごますり乙)。

 

 ともかく、そろそろ休暇にも飽きた頃合いで休暇が明け、私専用みたいに宛われたキャンプシップに乗り込んでいよいよ長期任務にしゃれ込むこととなったわけだ。

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇

 

 

キャンプシップから見下ろす惑星は確かに荒涼としていた。

 

「生命反応なしって言うけど、結構動いてるのはあるよね」

 

「果たして生命かどうかは不明のようですが」

 

「それも含めて調査か、本当に慰安とか慰労とかいえるのこれ?」

 

 割とがっつりとした探索が求められている気がする。細かいことは言わないが、こだわりたければどうぞご自由にという感じに思える。飽きたらそこそこの報告あげてから撤収してもいいからねとウルク総司令から直接お言葉(内緒話)をいただいているので気楽ではあるが。

 

「仕事としてどうなんだろうね、それ」

 

 とりあえず、キャンプシップを極軌道を周回させて全球探査モードにし、キャンプシップ内の装置がしっかりと稼働しているか、チェックすることにした。特に倉庫が船団とつながっていることを確認しておかないと大変なことになる。

 

「コレがアウトだと本気でサバイバルしないとダメだからね」

 

 ゲームと違い、この身体は水と食料を必要としている。基本的にはオラクル船団から倉庫を経由して直接供給されるので、安心だが、現地調達となるといっきに難易度は上がる。

 

「地表に食料になりそうな物はありませんね。水は、除染すれば何とか調達できそうではありますが」

 

「そんな水は飲みたくないなぁ……。ほんと、バカンスには来たくない惑星だよね。海も、なんか変な色だし。汚染されてる?」

 

「有害物質はそれほど検出されていないようです」

 

「すこしはあるってことだね」

 

「アークスの生命維持装置であれば、特に害はないようですが」

 

「こわ、近寄らんとこ」

 

 まあ、この惑星で海水浴がしたくなることは今のところないだろう。少なくとも、海から海産物を獲得するプランは凍結せざるを得ないだろう。

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇

 

 

 ひとしきり惑星の悪口で盛り上がったところでちょっと落ち着くことにした。総評としては、「まあ、未開の惑星なんてこんなもんだよね。むしろ、ましな方?」ということで決着が付いた。最終的に入植するなら全球浄化は必須だが、オラクルの専門部隊なら半年ぐらいで生命維持装置を切っても暮らしていけるぐらいにはやってくれるだろう、知らんけど。

 

「深遠なる闇がいなくなったから、一つの惑星に腰を据えたいって思う人も増えてくるだろうしね。ここがその第一歩になればいいけど」

 

「では、どこからかかりますか?」

 

「うーん。調査もそうだけど、新クラスの運用試験を頼まれたんだよね、アッシュとゼノ先輩から」

 

「そのようですね。たしか、ラスターといいましたか」

 

「うん、ガンスラがメインのクラスらしいんだけど(もちろん知ってる)」

 

 そういえば、ラスターが実装されたのは原初の闇が実装された後だから、物語的には戦争終結後にアッシュが考えた最強のクラスってことになるのか。初めて使ったときは、結構操作が複雑で頭が混乱したけど、解説動画を何度も見て、ポイントを押さえられれば簡単に高火力が出せるようになってびっくりした記憶がある。

 

 NGSのスレイヤーも楽しかったが、戦闘力なら圧倒的にラスターだと今でも思う。

 

「だけど、なんで私がテストしなきゃダメなの? こう言うのってもっと専門のクラス担当とかいるんじゃないの? ストラトスちゃんとか、キョーくんみたいな」

 

 ゲーム時代でも、そのあたりが疑問だった。単純にこのクラス自体が主人公(アッシュ)が考えたクラスだから、アッシュ自体がクラス担当という立ち位置になるのかもしれないが。

 

 まさか、私をクラス担当にするなんて話ないよね?

 

「一般アークスからの使い心地をレポートしてほしいとのことです」

 

「うーん、それなら仕方ないか。みんなが使えないとクラスとして役に立たないからね」(ちょろい)

 

 よく考えたら、ただの一般アークスに過ぎない私が、新しいクラス担当なんて大それた役を与えられるわけはなかった。

 

 ちなみに、今回のために新型のフルクシオとリンザーシリーズのガンスラッシュも3本提供してもらえた。フルクシオが炎属性で、リンザーの2本が光、雷の属性だ。

 

 それぞれフォメル、バーラン、ザンディの三つのスタイルを切り替えることができる。

 

 アッシュ曰く、自分の中のフォトン属性を切り替えればわざわざ武器を複数用意する必要はないと言うが、ちゃんと一般アークスの目線で物を言えと言いたい。

 

 といっても、フルクシオ/リンザーのガンスラはデザインがちょっと好きじゃないので、フェリシテエーデルの武器迷彩をかぶせて、きらきらのレイピア風の見た目にしている。「キレイな武器を使うと、戦闘も楽しくなる」というのが私の持論だ。ちなみに、このフェリシテエーデルは、依頼される際にアッシュから貰ったやつだ。「俺にはこういうのは似合わないから」というらしい。たぶん、クリスマスイベントでアル君からもらったんじゃないかなと思うが、出所は不明。

 

 もちろん、かっこいい武器も好きだし、かわいい武器も好き。NGSで実装されたアルマティ系の武器迷彩がこっちにないのは残念でならない。クリスティアとか、ラゲードのデザインはとても好きだった。

 

「地表降下は明日にしようか。今日はキャンプシップの機能の確認する日と言うことで……お腹がすいたから、ご飯にしよう」

 

 船の簡易キッチンで保管庫からトマト缶とタマネギにんじんとニンニクを取り出して、

 

「今日はトマトソースのパスタだね」

 

 私の一番の得意料理をつくることにした。

 

「タマネギとにんじんにしっかりと火を通してソフリットにするのがおいしさの基本だよ。ニンニクはお好みで、私はちょっと多めが好き」

 

 と、愛用している菊一文字の菜切り包丁(地球から個人輸入したけっこういいやつ)を取り出して調理に入る。

 

「切れ味のいい包丁だとタマネギが目にしみないから料理も楽だよ」

 

 いい包丁とは料理を楽しくするものだと私は信じている。

 

 




菊一文字の菜切り包丁は、作者が今一番ほしい物です。高いから買えません。

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

  • いる
  • いらない
  • すでにある分も含めていらない
  • どちらでもいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。