ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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報告と依頼

 

 リザさんの集落からオラリオ遺跡まで歩いて約1ヶ月ぐらいといっても、それほど急ぐわけではないので無理のないペースで向かうことにした。

 

 その間、私達の食料や水を調達するために何度かキャンプシップに戻りその都度本船に報告書を上げているのだ。なんだかんだ真面目に任務をしてしまっているが、一応半分バカンスのはずなんだけどね。まあ、宇宙の命運がかかっていないから楽しめているけどさ。

 

「以上がここまでの報告だね、シャオ」

 

『分かった。それほど進展はなしってことか』

 

「そりゃそうだよ。歩いてるだけだから。途中で遺跡らしきものもあったけど殆ど風化しちゃってたしね」

 

『分かったよ。それと、前回君から提出して貰った魔石のサンプルだけど。エネルギー媒体としてどの程度活用できるかはまだまだ未知数みたいだね』

 

「そっかぁ。現地調達できる一番の素材だから、いろいろ便利に使えたらいいなぁって思ったけど」

 

『ただ、技術部の食いつきは良かったみたいだから、何かしらの返答は来ると思うけどね――早速来た』

 

「どうしたの?」

 

『いや、リュドミラが魔石について君たちと話しがしたいってさ。つなげてもいいかい?』

 

「うーん。いいけど、私じゃあんまり専門的な事は分からないよ?」

 

『あー、いえ、用があるのはベルディナさんではありませんねぇ。厳密にはサポートパートナーのエルティナさんに用があります、はい』

 

 間髪入れずに青髪ショートのハイキャストの女性が通信に割り込んできて、一気にまくし立てた。

 

「私ですか?」

 

 エルティナは通信モニターに一歩近づいた。

 

『はいそうです。簡単に言うと、魔石に対して現地での詳細な調査を依頼したいわけでして』

 

 その後、反論も疑問も許さずに一気にまくし立てたリュミドラは、

 

『と言うわけですのでよろしくお願いしますね。あ、資材はこの後すぐに転送しますので――はい、転送しました。では』

 

「あの子にはもうちょっと人の話を聞くようにプログラムしたほうが良かったんじゃないの?」

 

『サンプルの人格の問題かな。僕じゃどうにもならないよ、それじゃよろしくね』

 

「まあ、押しつけられたんだったら仕方ないね。サラによろしく言っておいて」

 

 と言うことで通信が終わり、早速リュミドラから転送されているはずの機材とやらを拝みに行くべく転送機へと足を運んだ。

 

 そこにはサポートパートナーサイズの簡易的な装置が鎮座していて、エルティナは早速それにアクセスして装置を起動させた。

 

「なるほど。リュドミラの言うとおりのことは一通り出来るようです」

 

「そうなんだ。じゃあ、任せてしまってもいい?」

 

「承知いたしました」

 

 エルティナは一旦その装置を量子分解してアイテムパックに格納した。

 

 これが何かというと、サポートパートナーのさらなる活躍の一環として試作された簡易クラフト装置らしい。どうも、リュミドラ曰くAISのさらなる発展のために、この惑星から産出される魔石やモンスターがドロップする素材が活用できないか調べたいとのことだが、いちいち提出されるサンプルを調べていてもらちがあかないので、現地で解析や分析、簡易的な素材の開発を出来るようにしたいとのことだ。

 

 それで、エルティナがいま受け取ったのはそれを可能にする装置で、それらはサポートパートナーに搭載されているAIや解析能力を利用してそれを拡張発展させる装置と言うことらしい。つまり、サポートパートナーを前提とした装置なのでアークスだけでは使えないが、その分装置を小型化することが出来たとのことだ。

 

 PCで言えば、グラフィックボードとかサウンドカードみたいな拡張装置と言えばいいのかな。あくまで本体であるサポートパートナーが持つ機能を拡張させるのが目的らしい。

 

「つまり、その装置があれば魔石とかモンスターのドロップアイテムとかをより詳しく調べられて、なんなら簡単なものなら作ることが出来るってことだよね?」

 

「そうなります。そうすることで、技術部における解析や開発のコストと時間を削減することが出来るとのことです」

 

 エルティナで成功したらいろいろなサポートパートナーに配布すると言うことだろう。

 

「うーん。私じゃ上手く活用できなさそうだから、エルティナに全部任せちゃってもいい?」

 

「承知しました」

 

 クラフト装置の大きさはかなり小さいのでアークスが使用する武器やユニットを作成するほどのことは出来ないだろう。せいぜいが、キャンプで使える程度の小さなナイフを作る程度になりそうだけど、本当に活用できるのだろうか?

 

「それにしても、シバがいなくなったのにAISをまだ使う予定があるんだね」

 

 確か、AISヴェガは終の艦隊への対抗手段として作られたもので、その開発特化型のハイキャストとしてリュミドラが作られたから、リュミドラがAISの強化発展に貪欲なのは分かるけど、終の艦隊がいなくなった今となってはその存在意義も問われているのではないだろうかと思うのだ。

 

「いえ。むしろ逆のようです。今後はAISを主力に据えていくべきではないかという意見もありますね」

 

「うーん。AISを主力か……確かに戦力も均一化されるし、アークスの安全性も高まるってことか……」

 

「あるいは、フォトン適性を持たない要員も戦力として数える事が出来ますので、アークスシップ周辺警備のみならず内部の警備にも活用しようという話もあるようですね」

 

「そうなんだ。AISってすごいね」

 

「発展案についてはマスターの提案がきっかけと聞いておりますが」

 

「そうだっけ? あー、なんかそういう話もしたかも。だけど、実際に動いたのは技術部だから私が何か言うまでもなかったと思うよ?」

 

 AISの宇宙戦闘に特化するなんてことは宇宙艦隊であるオラクル船団としては当然やるべき事だし、戦力的な意味合いでもAISを活用しない手はなかっただろうから、私が言わなくても誰かがやっていたであろう事だ。私がやったことは、それをせいぜい1年早く始めた程度の事でしかない。

 

「きっかけは重要なことと私は判断します」

 

「そうかなぁ……まあ、いいや。それで、どうする? 早速魔石の解析とかしてみる?」

 

「追々行っていくつもりです」

 

「わかった、じゃあ、任せるよ」

 

 







今後の展開のための後付け話です。

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

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