ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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オラリオ遺跡に到着

「おー、まさに大きな街の遺跡って感じ」

 

 山の頂上にようやく到着して見下ろした先にはちょうど真昼の太陽に照らされた巨大遺跡群の様子を眺めることができた。

 

「古文書の通り、中央に巨大な塔が建っていた形跡が見て取れます」

 

とエルティナ。

 

「かつて、それが倒れ、災いが地上に噴出したということだったな」

 

「そのように記載されておりました。その災いは間違いなくモンスターのことでしょう」

 

「塔は分かるけど、なんか、かなり大きな外壁があったように見えるね。全部外側に倒れてるけど、なにか大きな爆発が内部で起こったのかな?」

 

「そうなると、かなりの規模と思われますね」

 

「火の山が吹き上がったということか?」

 

「火山の噴火か……平地に見えて実は全部火口だったとかなら怖いけど」

 

 地球でも、アメリカのどこかの自然公園がなんかそういうのだったと聞いたことがある。火口をいくら探しても見つからず、よくよく調べたら探していた範囲全部が火口だったって笑えないやつ。

 

「いかがしましょう。このまま降りても到着は深夜になりそうですが」

 

「もう、ここで一晩しようか。遺跡を俯瞰しながらいろいろ相談しよう」

 

 私の提案にエルティナもリザさんも反対はせず、まだ日も高いのでゆっくりと野営の準備に取りかかった。せっかくだから、今日はちょっといいお肉を焼いて食べよう。

 最近はリザさんもとりあえず一口だけ食べてくれるようなったので、感想が楽しみだ。

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇

 

 

――命の痕跡はどこにもない。ただ、滅びだけがそこにあった――

 

 

「モンスターが跋扈してる感じでもないんだね」

 

 街に入ったとたん、モンスターの大集団が徒党を組んで襲いかかってくると思って、フルクシオを最大出力で構えていたが、無駄になったようだった。

 

「モンスターの巣窟になっていると思いましたが、当てが外れましたね」

 

 肩すかしというか、安心したというか。まあ、いいや。戦わずにすむならそれでいいさ。

 

「ほとんどは地下に潜んでいるのだろう」

 

 でしょうねと私はリザさんに返す。

 

「まずはいい感じの拠点を作らない? 当分はここで活動することになるだろうし」

 

 下山に思ったよりも時間がかかったせいか、すでに正午を過ぎて太陽もちょっと傾き始めている。気を抜いたらすぐに暗くなりそうだ。

 ざっと眺めてみると、ほとんどの家屋は倒壊して姿を失っているが、石造りの頑丈の名建物は内装はともかく壁と天井は少なくとも保持されているようだ。

 

「住めそうなところもちょこちょこありそうだね」

 

 数日は都市内の探索がメインになりそうだ。都市遺跡内の安全の確保もしないと安心して眠れないということだ。

 

「そういえば、ダンジョンの入り口って、塔の根元にあるんだっけ?」

 

「記述ではそのようになっておりましたね。ダンジョンを塔で蓋をすることでモンスターの地上進出を防いでいたとのことです」

 

「なるほどね。人類にとっては最後の砦だったってわけだ」

 

「ゆえに、塔が倒れたのちはモンスターが地上にあふれるようになったということか」

 

 人類どころか、動植物、虫までも壊滅させるほどの大災害がモンスターによって引き起こされたのかと思うと、どれほど絶望的なことだろうか。

 

「そうなると、恐竜絶滅以上の大災害なると思うけど……どうなんだろう?」

 

 恐竜が滅びても哺乳類は生き残り、その後再び生物の楽園が地球に形成された。

 

 モンスターの跋扈だけで植物、昆虫類すらも滅亡するとは到底思えないが、ほかに何かあったのだろうか。大気そのものが猛毒になったとか。

 

「まあ、そういうのは学者先生に任せることだね」

 

 私の役割は、この星に交流可能な知的生命体が存在するのか、ダーカーやフォトナーの痕跡は存在するのかを調査することだ。

 

「可能であれば、ダンジョンの入り口近くに拠点を構築したいところですね」

 

「ダンジョンの中には拠点にできるところはないのかなぁ」

 

 ダンジョン内に拠点を作ったら、調査もはかどると思う。何せ、マントル寸前まで存在する極超大深度地下施設だ。最深部まで調査するには年単位の時間が必要なるかも知れない。

 

「規模によっては本船からいくつかチームを招集することになるかも知れませんね」

 

「そうなると、休暇は終わりってことだね」

 

「おそらくマスターが現地指令として任命されるでしょうね」

 

「そういうのは、もうちょっと上の人の仕事だと思う。少なくとも一般アークスのやることじゃないでしょ。めんどいし」

 

 アークスにせよ、エルティナにせよ、私を過大評価しすぎだね。私なんて、所詮はゲーム知識ありきで戦ってどや顔してるだけで、優先的にいい装備を流して貰ってるから強く見えてるにすぎないのにさ。

 

 シバの時だって、私にリバレイトを渡したのはいいけど、アッシュなんてコートシリーズのままだったし。優先度が違いすぎでしょ。アッシュにリバレイトセイバーの一つでも渡しておけば、もっと安全にシバと戦えたはずなんだ。私? 当たらなければ死ぬことはないでしょ(アホカ)。

 

「マスターなら適任と思いますがね」

 

「ないない。それじゃ、どうする? いったん分かれて調査する? リザさんも通信機の使い方、だいぶ慣れてきたでしょ」

 

「そうだな。その方が効率が良いか」

 

「レーダーには未確認対象の存在も確認されております。とにかく警戒を厳にお願いいたします」

 

「できる限りお互いに声かけを密にしていこう。それじゃ、私は倒れた塔を中心に調査してみるね」

 

「では、私はその反対側を調査いたします」

 

「私は、街の城壁跡を主としよう」

 

 三人とも担当する箇所をおおざっぱに決めて、それぞれ分かれて行動を開始し始める。

 

『こちらベルディナ。二人とも聞こえる?』

 

 声の届かないところまで来たところでいったんテスト通信をかける。

 

『こちらエルティナ。感度良好です』

 

『リザだ、聞こえている』

 

『いいね。じゃあ、なるべくお互いに通信し合うってことでよろしく』

 

 倒れた巨塔は横たわっていてもかなりの威容を誇り、それだけで下手な館を超えるほどの高さがある。

 

「大きいものを作りたがるのは文明の病気みたいなものだね」

 

 巨大建造物は文明の末期を予感させると誰かが言っていた。故にバベルの塔は倒れ、言葉の違いから人々はともに争うこととなる。そんなことを、あらゆる人類は繰り返してきた。世界の器なんてなんてことはない、ただ同じことを繰り返すだけなら、ただの人類ですら無限に繰り返してきたことだ。

 

「さてと、何かお宝でもあるといいけどね。調査終わったら払い下げられるかもだし」

 

 そういう、トレハン要素があるから惑星探査は結構好きだったりする。ダーカーのいない平和な惑星は、それだけで癒やし要素だ。そして、人のいない惑星はただそれだけで美しい。

 

「ほんと、こういう気楽でワクワクする任務ばっかりだったらどれだけいいか」

 

 おそらく、何かは起こる。その予感はする。惑星に降り立ったとたんにリザさんというイレギュラーに遭遇し、いかにも世界の中心だろうと思われる都市国家の遺跡にたどり着いた。何かが起こらない方がおかしいと言うほどに状況は整っている。

 

「できれば、無事に船に帰してくれたらいいけどね」

 

 安定した大地は憧れだが、今はまだ星海原の未知なる世界こそが我が故郷でありたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

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