ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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ゴライアス涙目


やっぱりこうなるのか……

 その日はとりあえず地下5階でとめて、帰りは各階層をゆっくりと探索することにした。

 

 探索の間に一度だけお茶の時間を作って今度は紅茶を入れて、クッキーを楽しんだ。このクッキーはさすがに店で購入したものだが、時間に余裕ができたら自分でも作ってみたいと思う。なんだかんだいって、料理は好きなので、お菓子にも挑戦してみたい。

 

 そこで、階層の結構深いところに不思議なフロアがあり、モンスターがそれに群がって休憩しているように見えた。そこに立ち入ったとたんに全部襲いかかってきて、三人で手分けして倒した。改めてしっかりと調べてみると、リザさんがそれを口にして「力がみなぎるようだ」と言い始めた。エルティナの分析では、これは、モンスターにとっての食糧なのではないかというらしい。

 

 魔石がなくてもダンジョンでエネルギー補給できるとわかり、リザさんには割とよい知らせだったのではないかと思う。

 

「じゃあ、ここは、レストランって呼ぶことにしよう」

 

「もう少し何とかならんのか」

 

 リザさんには不評だったが、他に特に候補がなかったので、そのままレストランと呼ぶことになった。そのうち本式の調査隊が、もっと気の利いた名前をつけてくれるだろう。

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇

 

 

 それから地上に戻って仮拠点で一晩過ごし、次の日もダンジョンに入って5階層以下に挑んだ。しばらくは1日2階層を目安に探索しようと言うことにして、システムにもかなり詳細なマップが記録されたと思う。

 

 そんなこんなで到達した17階層にそれはいた。

 

「うわぁ……二人とも、あれ、見える? でっかいねー」

 

「記録の通りです。あれは、階層主と呼ばれる特別な個体ですね。たしか、ゴライアスといいましたか」

 

「まさに巨人か」

 

 こちらに気がついているのかどうか分からないが、ゴライアスいうらしい巨人は通路の前に陣取って襲いかかってくる様子はない。ダンジョンの第一関門みたいな感じなのかな?

 

「記録ではこの先の18階層は、モンスターの湧かない安全地帯と呼ばれる場所となっているようです」

 

「そうなんだ、まさに番人って感じだね。ボス戦の後の安全地帯なんて、なんかそれっぽいじゃない」

 

 ステージが変わるというか。次のステージに入るなら、こいつぐらいは倒せるようになろうねという、ゲームの親切設計にも思える。

 

「どうします? まずはリザさんだけでいきますか?」

 

「いや、さすがに一人では無理だろう」

 

 リザさんは自分の能力を過信も過小評価もしていないのがすごい。私はとにかく安全志向だから、とりあえずみんなで殴ろうってなりがちだ。

 

「じゃあ、みんなで仲良く殴りましょう。エルティナは念のためにちょっと後ろに待機してて、けが人が出たらすぐに対応できるようにしておいてもらえるかな?」

 

「分かりました」

 

 回復役を安全な場所においておくのは、強敵とやり合う際のお約束みたいなものだ。

 

「それじゃ、リザさん。初撃は私が貰いますね」

 

「承知した。私は死角を狙おう」

 

「じゃ、行きます」

 

 私はフェリシテエーデルをかぶせたリンザータラッサ(光)を取り出して、バーランスタイルに設定して、少し離れたところで剣を振るって、切っ先から発射される衝撃波をゴライアスに向かってうちはなった。

 

 バーランスタイルは比較的防御力に優れ、遠距離攻撃に適したスタイルなので、攻撃力の高い強敵と初めてやり合うときによく使うスタイルだ。本体に取り付けている特殊能力については番外編に記載しているので、そっちを見てほしい。

 

「通常攻撃にガードポイントがあるから結構便利だよ」

 

「いまだ理解ができんがな」

 

 まあ、攻撃を当てているのにダメージがキャンセルされるなんて、普通考えないからね。私だって、どういう仕組みになっているのかまるで分からないし。

 

「補助をかけておきます」

 

「ありがと、リザさんには念入りにね」

 

「かたじけない」

 

 エルティナからシフタ(攻撃力アップ)とデバンド(防御力アップ)のテクニックを貰って、ちょっとやる気アップ。

 

 そのまま、ゴライアスの攻撃パターンなどを探りながら、丁寧に攻撃をさばいて、割と安全に討伐することができた。

 

 大ぶりの攻撃をアークスに当てるなんて至難の業だ。ステップ回避じゃなくて、全部通常攻撃のガードポイントでさばいてやって、そこからアドバンス状態でさらにダメージカットが追加されてカッチカチになった。リザさんも、最初は左足を重点的にダメージを与えていき、最後は立ち上がれなくなったところを、頭部を集中してボコって終わらせた。

 

「ふぅ……思ったより時間かかったね。攻撃も一発ぐらい貰ったかな?」

 

「貰ったと言うよりも、わざとあたりに行ったように見えましたが」

 

「あ、分かる? とりあえずどれぐらいの攻撃力があるか確かめとこうと思ってね」

 

「危険なことをしますね、マスターは」

 

「エルティナがいるから大丈夫だよ」

 

「思いの外、頑丈だったな。外皮が硬いのか」

 

「結構柔軟に動いてるように見えるけど。コレって、何かの素材にできないかな? リザさんのアーマーにするとか」

 

「一応回収してみます。リザ様は魔石の摘出をお願いします」

 

「了解だ。外皮を剥がし終わったら伝えてくれ」

 

 二人とも私がなにも言わないうちに役割分担して仕事にかかった。

 

 しばらく二人の仕事ぶりを眺めて、エルティナも外皮の必要分は剥がし終わったのか、リザさんのところに来て、魔石の摘出をお願いする。

 

「私も手伝おうか」

 

 私もせっかくなのでこの大物の魔石を眺めたかったので、リザさんのそばに行った。

 

「おそらく、この奥にあるはずだ。かなりの大きさになりそうだな」

 

 そう言ってリザさんは、手持ちの剣を掲げ、上段に構えて一気に振り下ろし、魔石を守る最後の肉壁を切り裂くように振り抜いた。

 

 何かが割れる音がして、力があふれ出してきた。

 

「このエネルギーは……マスター、リザ様、下がってください」

 

 エルティナの警告は、しかし遅く、ついには力は闇となって世界を覆い尽くそうと広がっていく。

 

「闇が、広がっていく……」

 

 リザさんは呆然として自らを覆い尽くそうとする闇に何もできずにたたずむばかりだ。

 

「リザさん、エルティナ。私と手をつないで、絶対はなさないで。私が何とか守るから……」

 

 私は体内のフォトンを全開にして、それを膜のようにして三人を包み込む。これで、みんなを守れるかどうかは分からない。だけど、私にできることはこれだけだ。大丈夫、ダークファルスの攻撃からもみんなを(一瞬だけ)守れた実績のある私のフォトンだ。

 

「大丈夫、きっと何とかなるから……私を信じて……」

 

 心静かにしていればきっといずれ闇は晴れる。ただそれだけを信じてフォトンに願いをかけるのだ。

 

 フォトンは人の想いに応じて可能性を具現化する力だ。だから、強く想えばきっとフォトンは応えてくれる。そうだよね、シオン。

 

 

 

 




やっとここまでこれた、長かった……

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

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