ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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引っ越し準備です。




そろそろ脱廃墟を検討してもいいと思う

 現状で一番の問題が何かって言うと、まずは住む場所だ。がれきを撤去してある程度使える場所を確保はしたが、いつ何時天井が崩落して生き埋めになるか分からない。

 

 私とエルティナだけなら、「さすがに寝てるときは勘弁してほしかった」「そろそろ引っ越しましょうか」ですむが、神様だと文字通り命に関わるので、割と差し迫った危機でもある。

 

 とりあえず、ここ一週間ぐらいは4階層(3階層が余裕だったので、ちょっとだけ制限解除になった)を朝から晩まで周回したため、多少まとまったヴァリスも手に入り、ワカヒルメ様もあの後すぐに新しいバイト先を確保することができたようなので、すこしだけ金銭的余裕ができたのだ。

 

「やっぱり、探索系の眷属がいると信用が桁違いだったよ」

 

「うーん。神様の社会的信用ってそういうところなんですね」

 

 しかし、一般職とダンジョンと比べると、収入がリアルに一桁違うのには驚いた。上層の更に浅いところを周回しただけでこれだから、そりゃ、みんなダンジョン潜るよね。そして、同時に地底人に魔石を売ったときにかなり安く買いたたかれていたことも、その時判明した。貴様らだけは絶対にゆ゛る゛ざん゛!!

 

「と、言うわけで、今日はとても新鮮なトマトが手に入ったので、以前手打ちしたパスタと一緒に、トマトソースパスタを作りましたよ」

 

 今日は、一日休暇をいただいたので、市場で手に入れた食材を使って、久しぶりに手料理を振る舞うことにした。

 

「君は、料理ができるんだね」

 

「まあ、趣味程度ですけどね」

 

 こちらには、地球のような便利な調味料(固形スープの素とか、うまみ調味料とか和風出汁の素とか)がないので、なかなかうまみを出すのが難しいのがネックだ。

 

「今日は奮発してベーコンを買ってきました。コレなら、かなりのうまみが抽出できるはずです」

 

 ベーコンを入れたらだいたい美味しくなるのは常識だ。かりかりに焼いたら朝ご飯にも仕えるし、ベーコンエッグなんて最高だ。酒のつまみにもぎりぎり使えると言う万能選手といえよう。

 

 トマトソースの煮込みじたいはお昼ご飯の後にすませておいたので、ソースを再加熱しつつ最後の味付けを決めて、その間にパスタを茹でてやれば完璧だ。

 

「そろそろ、もう一品ぐらい付け足したくなりますね」

 

 全体的にお野菜が不足している気がする。パスタソースにはタマネギとにんじんがたっぷり入っているのである程度は摂取できてはいるのだけどね。

 

「おー、美味しいね。このパスタももちもちですごく腰があって、何よりもこのソースだよ。家庭料理でなかなかこの味は出せないね」

 

 ふふん、トマトソースだけはOL時代以前からずっとこだわって作り続けてきたのだ。そんじょそこらの安い食堂よりも味はいいという自信がある。なんというかさ、親類の家を転々としていると、特に食事を率先して作ると割と受け入れて貰いやすかったんだ。

 

 それが分かってからは結構必死に料理の勉強をしたっけな。まあ、お金がなかったからほとんど本屋さんで料理本を立ち読みするぐらいしかできなかったけどさ。

 

 若気のいたりか、一時の気の迷いか、調理師学校に行こうか本気で考えていたこともあった。だけど、なにぶん体力が無かったので食べ物屋で働くのはちょっと難しいかもと思って、社会人になってからは、月一程度でお料理教室に時々行く程度になってしまったが。

 

「料理は趣味みたいなものでしたから。振る舞える人がいるのは楽しいですね」

 

 アークスだった頃はそんな暇は全くとれず、Ep4の終わりからEp5の終わりぐらいでようやく時間がとれるようになったので、久しぶりにいろいろやってみようと言うことになったのだ。ちょうど、地球と交流がうまれたので、手回しのパスタマシンを個人輸入できたことだし。

 

「さてと、そろそろ私達も次のステージに行くべきだと思うんですよ」

 

 なんか、言葉選びをミスった気がするがまあいい。

 

「ステージ? 結婚とか?」

 

「それは、まあ、相手がいたらですね」

 

「君は結婚願望あるんだね」

 

「ありますねぇ。やっぱり、将来的には子供もほしいって思いますし……ってそうじゃなくてですね。住む場所ですよ」

 

 私の恋愛遍歴(全敗というかそもそも存在しない)のことはいいんだ。

 

「そっちか。まぁねぇ。私もいつあの天井が頭の上に落ちてこないかびくびくしてるよ」

 

「そんなんでファミリア消滅なんていやですよ?」

 

「私だって、寝てて気づいたら天界だったなんて冗談じゃないよ」

 

「ということで、引っ越しましょう。ようやくお金も貯まってきたので」

 

 ようやく本題に入ることができた。といっても当てはない。こっちに来たばっかりなので、不動産屋の場所すら知らない。

 

「オラリオは地価が高いからねぇ。人が多すぎるというかさ」

 

 まあ、それは分かる。人のいない田舎よりも、人混みのある都会の方が家賃が高いのは当たり前の話だ。

 

「なんというかこう……冒険者向けの安い物件とか無いんですか?」

 

「むしろ逆じゃないか? 冒険者は高給取りだけど、いつ帰ってこなくなるか分からないからさ、ちょっと水増しされても文句は言えないよ?」

 

「そうなんですか。とりあえず仲介業者とか知りませんか?」

 

「うーん。明日あたりギルドに相談してみるかなぁ。だけど、私、そういう交渉が苦手なんだよね。契約書を読めないというか」

 

 まあ、今まで職人をされていた神様なので、そういうことに慣れていないのはわかるけど、これからは私達の主神様なんだからちょっとしっかりしてほしいものだ。

 

「でしたら、私がサポートいたしましょうか? マスターがお許しくださるのならですか」

 

「そうだね、エルティナが一緒なら安心か。私もそういうの苦手だから、ダンジョンにいくね」

 

「承知しました。何かあれば連絡します」

 

「キミ達は便利だなぁ。離れていてもすぐに連絡が取れるんだろう?」

 

「そうですね。ワカヒルメ様にも通信機を渡しておいてもいいかもしれませんね。ねえ、エルティナ。予備は持ってる?」

 

「最後の一つです」

 

 リザさんに一つ渡しているので、エルティナが持っているのが最後の一つ。一応、これは私達の予備なので、できれば温存しておきたいが仕方ないか。

 

「じゃあ、食事が終わったらワカヒルメ様にも通信機をお渡ししますね」

 

「お、いいのかい? 助かるよ」

 

『ねえ、エルティナ。後で、ワカヒルメ様にはリザさんのやつと絶対に通信がつながらないようにして貰える? あと、私やエルティナがリザさんとつながってるときも絶対につながらないようにってできる?』

 

『問題は無いと思います。すぐに設定します』

 

 ワカヒルメ様にはまだリザさんのことを話していない。様子を見て話してもいいかなとは思っているが、それがどれほどの影響があるのか分かったものじゃないからね。

 

 リザさんみたいな人(モンスター)の前例があれば気が楽なのになぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




契約は慎重に。甲乙とかわかりにくいよね。

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

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