ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
ベルディナがバベルの塔に向かって八つ当たりをしていたころ、とある館の執務室では、金髪の身ぎれいな小人族の男性が、朝早くからたまった書類に目を通していた。
「もう執務を始めているのか、フィン」
フィンと呼ばれた小人族の男性が、ふと顔を上げると、そこには長身のりりしい雰囲気のエルフが部屋に入ってきていた。
「リヴェリアも、こんな時間に珍しいね」
「なに、若い者が自主的に鍛錬をしているようでな、監督役は必要だろう」
「なるほど、ハイエルフが見張っていれば、無茶もしないか」
「まあ、そういうことだ」
リヴェリアは苦々しそうな顔をしつつ、ソファに腰を下ろすと、水筒の水を一口飲んだ。
「そういえばフィン。少し興味深い話を聞いたぞ」
「興味深い? それは、僕にとってかい?」
「おそらくな。最近入った新米たちが、5階層でへまをしたことは聞いているな?」
「ああ。ガレスから注意させたからね。その後はどうだい?」
「少なくとも基本的な連携を意識するようにはなった」
「そうか、なによりだ。それで? 話はそれだけかい?」
「いいや。その新米達が、その際、例の小人族の女性に助けられたと言うことだ」
「例の小人族の女性……それは……妙に身ぎれいなヒューマンの子供の保護者代わりをしている小人族の女性のことかい?」
「ご明察だな、フィン」
「しかし、僕が聞いた話では。なんでも、その子供をダンジョンで活動させるためのサポーターをしているのではないのか? 戦っているところはほとんど見ないと聞いたが」
「新米達の話なら、負傷した自分たちをまとめて広域回復魔法で癒やし、更に天井に張り付いていたリザードを超短文詠唱で蹴散らしたとのことだ。にわかには信じられんがな。小人族で、しかもレベル1のサポーターがそれほど多彩な魔法を扱えるのだろうか」
「僕が知るうちでは、同胞でそれはあり得ないね。なるほど、それは興味深いね」
「お前ならそう言うと思ったよ。ちなみに、彼女が所属しているファミリアは――」
「ワカヒルメ・ファミリア。極東からオラリオに流れてきたのは大抗争のすぐ後ぐらいだったけど、正式にファミリアとして活動を始めたのはつい最近だったかな」
「知っていたか」
「まあね。あの時期でオラリオに入る神はすべて頭に入れている。何が闇につながっているのか分からないからね」
「零細ファミリアには惜しい人材か?」
「いや、さすがに無理に奪うことはないよ。ただ、ちょっとした繋がりを作っておいて損はないかなってね」
10歳にも満たないようなヒューマンの子供をダンジョンで引率する小人族の女性というだけで、何らかの事情をもっていることは明らかだ。
下手にそれを突っつくと手痛いしっぺ返しを食らうことは見て取れるほどだ。
「しかし、あのヒューマンの子供は一体何者だ? リヴィラでの目撃情報もあるが、さすがにそれは……」
「それだけの実力があるのなら、遠くない将来、僕たちのところまで登ってくるだろうさ。その時にどのような関係になっているのか、少し楽しみじゃないかな」
フィンは、席を立ち、背後の窓から外を眺めそう言葉を放つ。街は朝霧もはれ、さわやかな朝日に照らされていた。
「大抗争から、もうそろそろ2年になるのか。もう2年もたったというべきか、まだ2年しかたっていないというべきか、微妙なところだね」
「同感だ。しかし、闇派閥の勢力はまだ残されているといっても、オラリオの治安はずいぶんとよくなってきている」
「シャクティとアリーゼ達には本当に苦労をかけたね」
フィンは、オラリオの秩序をつかさどる二つのファミリアに思いをはせる。かつての大抗争の要として、今もオラリオの住民を守り続けている。
「しかし、終わりも見え始めている」
「ああ、もう一歩だ」
フィンはまだ行動は起こす様子はないようです。
ダンまち原作キャラ登場まで30話近くかかる小説がここにあるらしい。
時系列を言うと、この時点でかの大抗争からそろそろ2年がたとうとしているところで、ベルがオラリオに来る約5年前ぐらいを想定しています。
惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?
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いる
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いらない
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すでにある分も含めていらない
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どちらでもいい