ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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ドワーフの鍛冶屋さん

 ヘファイストスファミリアの拠点、『ヴァルカの紅房』にたどり着いた。

 

「一応、マップにピン打っとこ。なんか、お世話になりそうだし」

 

 受付で紹介状を渡して、背負ったでっかい剣をその辺にあった机にゆっくり置いて中身を見せた。

 

 しかし、受付が連れてきた目利きは、これほど損傷したものでしかも、これほどの素材で、ここまで巨大な武器を持ち込みでと言うことではなかなか職人を回すことが難しいということ。

 

「そんなに難しいんですか?」

 

「はい、職人に見せないと分かりませんが、それなりの職人を用意しないと行けないほどの品であることは間違いありません。しかも、この大きさですから」

 

「うーん。職人さんの確保までどれぐらいかかりますか?」

 

「それは、上に確認しないとなんともいえませんね」

 

 あ、ダメですね、これは。たぶん、半年後まで予約でいっぱいってやつだ。

 それに、持ち込みよりも得意先の仕事を優先するのは当然だから、職人さんと直接契約でも結ばないと無理っぽい感じだ。コネがないなぁ。

 

 他の方法を考えるしかないか。まあ、元々使うつもりのない武器だから、なにかやっすい武器でも探すしかないな。

 それか、もう一回だけゴブニュ・ファミリアにお願いしに行こうかな。ヘファイストス様のところで職人さんが確保できませんでしたって感じで交渉すればワンチャンあるかもね……ないか……。

 

「だったら、俺がやってやるぜ」

 

 と、でっかい声が受付に響いて、びっくりしてそっちに振り向く。自慢じゃないが、私は大きな声に驚きやすいのだ(ヘタレ)。

 

「スィデロさん、納品はもう終わったんですか?」

 

 受付の人が、いきなりやっていたちょっと小さい男の人――ドワーフというらしい――にちょっと呆れたように目を向けた。いや、ドワーフで鍛冶屋ってまさしくって感じじゃん。私、こういうの好き。

 

「こっちには大した量は納めんからな。ほとんどは向こうだ」

 

 向こうというのがよく分からないが、売り場が複数あるということだろうか。

 

「えーっと。鍛冶師の方ですか?」

 

 剣を見てやってやると言うぐらいだから、それなりに腕のいい職人さんなのだろうか。あるいは、飛び込みでもやってもらえるぐらい暇な人か(失礼)?

 

「おうよ。お嬢ちゃんの剣があまりにも見事だったんでな。是非とも請け負いたいって思っちまった」

 

 なるほど、なかなか気風のいい人のようだ。まあ、ドワーフは割と豪快で細けぇこたぁいいんだよ的な人が多いとは思うが(偏見)。

 

「いいんですか?」

 

 と、一応私は受付の人に確認してみた。

 

「本人が請け負うというのなら、こちらは止める権利はありませんが……だからといって、他の仕事を後回しにすることは許されませんよ?」

 

「他の仕事ったって、数打ちの剣ばっかりだからなぁ」

 

 それも大切な仕事だと思うけどね。同じものを常に同じ品質で、同じ期日で作り続けるのは大変なことだろうと、素人の私でも感じることは出来る。

 

 他の種族の年齢はよく分からないが、このドワーフの職人さん――スィデロさんっていうんだっけ――は結構若い方なのかもしれない。逆に、受付のエルフ耳の男の人は逆に結構年上なのかもね。

 

「それじゃ、早速俺の工房で詳しい話をしようじゃねぇか」

 

「あ、はい……」

 

 そういって、「ついてきな」といって店を出ようとするので、私は慌てて巨剣を担いで後についていった。

 

「スィデロさん、しっかりと見積もりは出してくださいよ! ヘファイストスファミリアとして請け負う仕事なんですからね!」

 

「分かってら!」

 

「あー、すみません、失礼します」

 

 と、私は受付の男の人に一度だけペコリと頭を下げて、ちょっと駆け足でスィデロさんを追いかけた。まあ、すでにマップ上にマーカーをつけているので、見失うことはあり得ないんだけどね。

 

 

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇

 

 

 スィデロさんの工房は、先ほどの店からちょっと歩いたところにある一軒家だった。

 

「へぇ、ちゃんと自分だけの工房をお持ちなんですね」

 

「まーな。チームでやるやつも多いが、俺は一人がやるほうが気が楽だ」

 

 スィデロさんはそういって、魔法の明かりをつけて、私に剣を鉄の台に置くように指示した。

 

「ふーむ。見れば見るほど見事だな。しかも、ヘファイストス様の銘入りか」

 

「スィデロさんの主神様なんですよね」

 

「おうよ。すばらしい神様だ。神格者で、ご本人の鍛冶の腕もすばらしいとしか言いようがない」

 

 いい神様のようだ。

 

「さて、仕事の話に入るか。そこに座りな。茶は出せねぇが、のどが渇いたらそっちの瓶から水でも飲みな」

 

「分かりました」

 

 といって、私は進められるままに、丸太みたいな椅子に座った。さすが工房と言うべきか、中は外よりもずいぶん暑いので、汗も少し流れそうだ。

 

「回りくどい話は苦手なんでな。まずは金の話だ。これだけの業物を修理して鍛え直すなら、100万は貰うことになる」

 

「ひゃく!? いやいや、無理ですよ。私、今5000ぐらいしか持ってませんよ?」

 

 あんまり私を驚かせないでほしい。強がっているが、実は小心者なのだ(バレバレ)。

 

「それじゃ、安物のナイフぐらいしか買えねぇぞ」

 

「えぇ……物価高すぎぃ」

 

 目の前が一瞬真っ黒になった。5000ヴァリスも結構無理してやりくりして貰ったものだ。

 

 もちろん、ダンジョンにこもれば、それぐらいはすぐに稼げるが、家賃や食費、光熱費(主には生活用の魔石)、生活防衛資金に、各種積立(主には織機)等をさっ引くといくらも残らないのが現状なのだ。

 

「だろうな。まあ、今回は俺もこれほど見事な武器を預けて貰える礼も含めて、50万に負けといてやろうと思ってる」

 

 いきなり50%OFFとは頭イカれてるな、このドワーフ。というか、最初にふっかけてから適正額を提示してお得感を出すという高度な駆け引きか?

 

「50万でも高いですね。もう一声貰えませんか?」

 

「これ以上は負けられねぇ。俺が経理に叱られちまう。その代わり、50万稼ぐための武器を格安で作ってやろう」

 

「あ、それは助かります。おいくらで?」

 

「お嬢ちゃん、だせるのが5000だって言ってたな。大サービスで3000でやってやるよ。といっても、質のいい廃材をかき集めてでっち上げるだけだがな。材料費がかからねぇ分、丹念に仕上げてやるさ」

 

「なるほど、人件費だけってことですね。じゃあ、お願いします」

 

「じゃあ、話は決まりだな。この剣は預かって早速仕事に入ろう。金ができたらいつでも引き取れるように完璧に仕上げてやるからな」

 

「助かります。じゃあ、代わりの武器はいつ引き取りに来ればいいですか?」

 

「そうだな。今3000払って貰えるなら、三日後には渡せるようにできるぜ」

 

「あ、じゃあ、これでお願いします」

 

 そう言って、私はポーチにしまったヴァリスを取り出す振りをしてアイテムパックを起動して3000ヴァリス分のお金を取り出して、鉄の台に置いた。

 

「ちょっと待ってな……よし、ちょうどだな」

 

 しっかりと数えて貰い、これで契約完了だ。

 

 その後、代わりの武器はどのような形状にするのかとか、詳細を打ち合わせをしてその日は終わった。最初は私の剣ぐらいの大剣がいいかと言われたが、予算内で良い物を作ってもらおうと思い、フェリシテエーデルぐらいの小ぶりの片手剣を発注することにした。

 

「じゃあ、また3日後に来ますね」

 

「おう。昼頃に来てくれ」

 

「分かりました」

 

 とりあえず武器の算段が付いてほっと一息だ。スィデロさんは、しっかり者なのかどうか分からないが、少なくとも信用のおける人物だろうと思える。

 

「しっかし、50万かー、まあ、目標ができたのはいいことだと思うしかないな」

 

 少なくとも、剣のメンテを請け負ってくれたのだから、それだけでありがたいと思うしかないよ。こんなド貧乏な零細ファミリアの眷属なんて、ヘファイストスファミリアぐらいだと門前払いされても文句は言えないだろうし(ド偏見)。

 

 

 

 




ローンじゃなくて良かったね。

惑星探査編以降で、各章の時短編(あらすじ)は必要ですか?

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