ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
誤字報告ありがとうございます。自分でもなんでじゃって間違いしてて笑いました。
いろいろ確認しよう
ギルドにランクアップの報告をしてから、ワカヒルメ様監修のもと、一日かけてロキファミリアへの手紙を書き、ギルドに配達を依頼して一安心だ。
「剣は明日か。手紙を書くのにこんなに時間がかかるとは思わなかったよ。メールでいいじゃん」
「こちらにはありませんので」
「そうだけどさ。こんなに改まる必要ってあるの?」
「ワカヒルメ様がそうおっしゃっておりましたので」
「うーん。確かに、ワカヒルメ様はそういうのにはうるさいイメージがあるな」
古い時代の日本では手紙というのは公私ともに相当に重要な要素で、手紙の良しあしで進退が決まるなんてことがざらにあったことだろう。ワカヒルメ様がその価値観であるなら、まあ、仕方がないことなのだろう。
「さて、久方ぶりのダンジョンだね。準備はいい?」
「私はいつでも結構です。むしろ、マスターのほうが心配ですが」
「分かってるよ。借り物の剣だから。慎重に行こう」
「今日は10階層で慣らしです。ランクアップのズレを修正する必要もあると伺っております」
「ずれって何だろう? そんなに変わった感じはないけど」
多少体が軽いぐらいか。アビリティを蓄積するに従って、フォトンの身体強化を落としているので、そのすり合わせ程度のことであるとは思うが。
「油断せずに行きましょう」
「分かってるよ」
そうして、ダンジョンの地上階を降りて、螺旋階段をぬけ、いよいよダンジョンへと立ち入っていった。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇
「あの戦いの後だと、全然張り合いがないね。エンジンのスターターが空回りしてる感じ」
10階層で何度かの宴を被って灰の山を築き上げてもなお心は弾まない。
代剣の性能は大したもので、これならあの強化種とやりあっても無事で戻ってくるだろうと確信できるほどだった。
この都市では新米向けの武器でさえ数千ヴァリスから1万ヴァリスである。ならば、今私が持っている剣がどれほどの値段かというと、優に10万は越えてくるだろう。場合によっては、私が今目標としている50万に匹敵するか超えるぐらいはするんじゃないかと思っている。
「なんというか、物価がバグってるよね」
「命を預けるものですので、仕方がないのではないでしょうか?」
「まあ、分かるけどね」
私は剣をゆっくりとさやに収め、軽くその場で飛び跳ねてみる。
「うーん。スキルってさ、なんか変な感じだよね。フォトンじゃなくて魔力を使ってるみたいだけど、なんだかしっくりこないというか」
先日ランクアップしたところで、実は新しいスキルと発展アビリティというものが発現していることが分かったのだ。発展アビリティはランクアップと同時に習得するもので、今回はいろいろワカヒルメ様からアドバイスをもらって、狩人というものを習得した。
これは、一度交戦し経験値を獲得したことのあるモンスターとの戦闘時に能力値が強化される摩訶不思議な能力だ。実は、別のアビリティも選択可能だったのだが、これはレベル2でしか習得できないレアなアビリティであるらしいので、こっちを習得することにした。
問題はスキルで、発現したタイミングとしては、おそらく例の強化種と戦っている間ではないかと言われた。
「虚空跳躍(ネクストジャンプ)ですね。アークスでいう二段ジャンプと同じようなものでしょうか?」
ワカヒルメ様から教えてもらった内容はこうだ。
虚空跳躍(ネクストジャンプ)
→任意発動型。精神力を消費することで、虚空を足場にして跳躍する。
確かに、無意識に空中を蹴って加速した覚えもある。ただ、それはフォトンを噴射したりなどなどと一緒だったので、どのタイミングかはよく覚えていない。
「空中にとどまることはできないけど、空中で方向転換が簡単にできるようになったから結構便利かも」
そういって、私はその場で空中をジグザクと飛び回って見せた。
「
「うーん。精神力ってのがよくわからないなぁ。フォトンとは明らかに違うものが消費されてる感じはあるけど」
精神力はフォトンと違ってなかなか回復しないものらしいから、注意して使う必要があるが、現状どの程度消費していてどれぐらい残っているのかわからない状態だ。精神力を使いすぎるとマインドダウンといって意識がもうろうとしたり、最悪気絶するらしいから本当に気を付けないといけない。
「マジックポーションってのがあるみたいだけど。2,3本は所持しといたほうがいいのかな?」
「高いですが」
「命には代えられないでしょ」
金の切れ目が命の切れ目なんてシャレにならないけど、冗談ではないのも事実だ。
話の最中に壁にヒビが入ってゴブリン数匹とリザードが一匹出てきたので、ちょうど良く虚空を蹴って頭上から全部まとめてなぎ払ってやった。
「うーん。斬撃のキレが上がってる気がする。やっぱりランクアップのお蔭かな?」
「ランクアップしただけでステイタスが上昇するのでしょうか?」
「よく分からないけど、ランクアップボーナス的な隠しパラメータがある気がするなぁ」
器を昇華させるという言葉も聞いたので、あるいは魂が同じで全く異なる存在にパワーアップしたって感じなのかも。合体ロボが追加パーツとドッキングして強くなる的な(分かりにくい)。
「エルティナもちょっと試してみる? 確か魔導っていうアビリティが追加されたんだよね?」
「そうですね。分かりました。次の戦闘は私が担当します」
ということで、次はエルティナを先頭にしてテクテク歩いて行くと、ちょっとした広間で壁やら天井やらに一斉にヒビが入り、いかにもモンスターの集団が現れそうな感じだった。
「あんなにヒビが入ったら崩落しそうな気がするけど大丈夫なんだよね、不思議」
「ダンジョンの神秘というやつですね」
ここまで来るとなれたものだ。エルティナはウォンドを構えて、集団戦に強いテクニックの準備する。
「確か、威力とか効果範囲とかPP効率が良くなるとかだっけ?」
しかも、エルティナの足下に新たな魔法円(マジックサークル)が出現し、かなりカッコイイ。
「そのようです……イル・メギド」
エルティナはそうして闇のフォトンを励起させて、巨大な闇の魔手を招喚し、モンスターに向けて発射した。最初のモンスターに着弾すると共に消滅させ、それは次々と新しい標的を見つけては殲滅していき、モンスター達は一気に混乱状態に陥った。
「半分ぐらいになったね」
「そうですね。こちらに気がついたようです」
「うん。頑張れ!」
残りのモンスターが魔法の使い手を認識したのか、一斉にエルティナに向かって襲いかかってくるが。エルティナは魔法円を再び展開して、すでに迎撃の準備は完了している。
「これで終わりです。ギ・バータ」
次は氷のフォトンを励起させ、前方に氷の塊を招喚すると、それから無数の氷の矢が扇状に発射され、襲いかかるモンスターすべてを灰の塊に変えてしまった。
「お疲れ様、エルティナ。どうだった?」
「効率は上がっているようです。そのほかはよく分かりませんが、おそらく向上していると思われます」
「まあ、威力が分かるほど強い敵でもないか」
試し打ちにもなってない気がする。まあ、仕方ないか、エルティナはアークス装備そのままだから、私が死闘を繰り広げた強化種が相手でも割と一方的に瞬殺できるだろうし。
「うーん。とりあえず確認するのはこの程度でいいのかな?」
「シフタとデバンドの効果がどの程度上がっているか確認したいところですが」
「それは、新しい武器が出来てからかな。中層にも行きたいし」
「そうですか」
攻撃力や防御力はなかなか数値化しにくいところだ。魔導のアビリティでどの程度上がっているのかはすごく気になるが、焦ってはいけない。
エルティナはスキルは発現しなかったようなので、とりあえずランクアップで変わったところの確認は以上でいいのか。
「それじゃ、金策だね。武器の調達に思ったよりお金を使っちゃったから」
「頑張りましょう」
その後、10階層ぐらいなら大丈夫かと言うことで10階層を周回して夕方になったので拠点に戻った。
ちなみに、虚空跳躍(ネクストジャンプ)をかなり積極的に使用してみたが、特にマインドダウンが起こる兆候はなかった。異常なほど消費が少ないのか、私の精神力がそこそこ多いのかは分からないが、特にマインドダウンを意識して使用する必要は無いだろうという結論に落ち着いた。
ベルディナ レベル2
■基本アビリティ(潜在)
力 0(892)
耐久 0(105)
器用 0(504)
敏捷 0(897)
魔力 0(20)
■発展アビリティ
狩人 I
■魔法
【】
【】
【】
■スキル
虚空跳躍(ネクストジャンプ)
→任意発動型。魔力を消費することで、虚空を足場にして跳躍する。
エルティナ レベル2
■基本アビリティ(潜在)
力 0(20)
耐久 0(105)
器用 0(504)
敏捷 0(897)
魔力 0(892)
■発展アビリティ
魔導 I
■魔法
【】
【】
【】
■スキル
二つ名をどうするか考え中。