ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
いろいろでっかいお姉さんの登場です。
※高評価ありがとうございました。大変はげみになります!
「この調子で中層を攻めたら、少なくとも半年以内には50万は行きそうだね」
「ゴライアスの素材を何とか換金できれば、更に早くなりますね」
と言うのが、昨日の夜にエルティナとワカヒルメ様と話し合った結果だ。
今は、賃貸料だけはワカヒルメ様のバイト代から支払って頂いているが、それ以外の生活費に生活品の購入やその他諸々に加えて、ワカヒルメ様の設備投資のための積立と、私の装備のための貯金などに主にヴァリスを使っている。余裕が出来たら、万が一の時の
ワカヒルメ様が自分の事業を展開できるにはまだまだ時間がかかりそうだが、私がどんどん階層を深めていけば、収入はどんどん増えるから、いずれはバイトをやめても問題なくなるだろう。
と言うわけで、今日は、今手持ちの剣のメンテをして貰うついでに、資金ぶりが良くなったので巨剣の修理の進捗を聞いておこうと思ったのだ。
エルティナは、今日は拠点の掃除と帳簿の整理をするとのことなので一人でやってきた。
あと、ワカヒルメ様はなにか、神様の会議に出席していて、今日は戻らないとのことだった。神様が会議をするのだ、それはそれは素晴らしいことを決めているのだろう。
ついでに私達の二つ名という、実に厨二病なことを決めるらしいが、ちょっと楽しみではある。
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途中で屋台で軽食と飲み物を堪能して、力をつけてからスィデロさんの工房にやってきた。
「こんにちは! スィデロさんいらっしゃいますか!!」
アポは取っていないが、煙突から煙が若干出ているので仕事中だろうと思い、分厚い木の扉を大声で怒鳴りつけながら、拳で叩き続けた。ドアノッカーも一応あるが、私の背では届かないのだ(半ギレ)。
こんど、木のトンカチでも持ってきてやろうか。
「もしもーし、いるのは分かってるんですよ。開けろ!! デトロイト市警だ!!!」
なんか、例のゲームを思い出して思わずやってしまった、この場を借りて謝罪したい。
「思い上がるな!! 馬鹿者が!!!」
すると、中から馬鹿でかい女の人の声がとどろいてきて、
「
と、思わず土下座してしまったが、しばらく待っても特に動きが無かったので、実は開いていた扉をそーっと開いて中をのぞき込んでみた。
見ると、身長も胸もお尻もおっきいお姉さんが仁王立ちになって、作業机に座っているスィデロさんを叱責しているように見えた。
「全く、おぬしはややこしいものを持ち込みよって。状況を理解できているのか?」
よく見ると、その女の人は私が修理を依頼した巨剣を持っているようだった。これぐらい大きな人だと違和感がないな。
「分かってるよ姐さん。だから、これは俺が責任を持って……」
「おぬしに責任がとれるのかと聞いておるのだ」
なんか、いろいろ話がループしてる感があるので、いったん家の中に入って扉をちょっと大きめの音で閉めて、二人をこちらに向かせた。
「こんにちは、スィデロさん。お取り込み中なら出直しますけど……」
「ああ、お前か。今はちょっと、すまんな」
と、スィデロさんは机から立ち上がって、女の人の表情を伺いながら、居心地が悪そうにしている。上司か?
「うん? おぬしは何者だ?」
と、いろいろおっきいお姉さんが、しばらく視線をキョロキョロさせたと思うとようやく下を向いて私に目を合わせてくれた。ごめんね、背が低くて見つけにくかったよね(言いがかり)。
「えーっと、お持ちの剣の持ち主です。名前は、ベルディナっていいます。名字はありません」
「おお、これはおぬしのか。いや、恥ずかしいところを見せたな。手前は椿・コルブランドという。ヘファイストス・ファミリアの団長を務めさせてもらっておる」
「あ、団長さんなんですね。よろしくお願いします」
と、一応敬意を持ってペコリと頭を下げておいた。
「それで、何か問題でもあったんですか?」
私は近くの椅子に腰を下ろして、二人のやりとりを聞いてみた。どう考えても、私の剣が問題の中心にあるように思えたので。
「あー、いや、問題はねぇよ。約束通り俺が責任を持って……」
とスィデロさんが答えようとするが、それにかぶせるように椿さんが盛大にため息をついた。
「だから、先ほどから言っておろうが。もう、分かっておるのだろう? おぬしのようなヒヨッコにこれを打ち直すことなど出来るはずもないと。すでになんでも試したはずだ」
そうなの? と、私はスィデロさんに目を向けた。
「そ、そんなことねぇよ」
これは、神様じゃなくても分かりますね。そんなに、この剣はやっかいなものなのだろうか。確かに、でかくて重いから作業は大変だろうけど、スィデロさんはドワーフだからパワーはあるだろうし、(多分)若いのだから体力も問題ないだろうと思うのだが。
「
そう言って、椿さんは、私の剣を床に突き刺して、奥に飾ってある剣を取り上げて鞘から刃を抜いた。
「これがおぬしが今までの最高の出来と言っていた剣だな。たしかに、おぬしにしてはかなりの出来だ。もう少し精進すれば、ヘファイストス様の銘を刻むに値するかもしれん」
「おい、姐さん、何をする気だ?」
スィデロさんはうろたえているが、私はなんか分かった気がする。
「つまりは、こういうことだ」
すると、椿さんは鍛冶師さんとは思えないほど鋭い一閃で剣を振るって、私の剣をスィデロさんの最高傑作で切り裂こうとした。しかし、鉄が砕ける甲高い音とともに眼前に現れたのは、傷一つつけられていない(元々傷だらけだけどね)私の巨剣と、インパクト部から砕け散って、刀身を半分にしてしまったスィデロさんの剣だった。頼むから、私に弁償させないでよね?
「分かったか? この剣の前ではぬしのものなど、ただの玩具だ。手前ですら、これほどのものを作れるようになるまで、どれほどかかるのか分からん。オリハルコンを主材として、
うなだれるスィデロさんがかわいそうだけど、いろいろ新しい用語が出てきて私も混乱中だ。というか、この剣、オリハルコンが使われてるのね、初めて知った。
「えーっと、いろいろ教えてほしいんですけど。オリハルコンってなんですか? あと、
私は手を頭上に高々と掲げて質問した。聞くは一時の恥だけど、聞かないのは一生の恥とも言うからね。
そもそも、デュランダルってなんだ? ローランが使ってた剣のことか? 敵に奪われないように岩にたたきつけて壊そうとしたら逆に岩が真っ二つになったっていうやつ。
「そうだったか。少し長くなるが……」
と、椿さんが親切に丁寧に教えてくれた。私の印象では、オリハルコンはとにかくすげー素材で、それで作られた武器は――某国産RPGで有名な勇者の剣とかみたいに――完璧で究極の装備みたいなイメージがあるけど、こっちではそうでもないみたいだ。
「つまり、オリハルコンはすごく硬くて、壊れない武器が作れるけど、武器の性能自体は結構低いってことなんですね」
包丁で例えると、ステンレスは確かに硬くて錆びにくいため素材としての性能は高いが、包丁としての性能はやはり鉄製品には及ばないって感じのやつだ。切れ味とか研ぎやすさとかね。まあ、家庭で使うならステンレスで十分だと思うけど。
まあ、壊れないってことはどう考えてもチートだけど、それでも切れ味が落ちるから定期的なメンテは必要らしいので完全メンテフリーって訳にはいかないようだ。意味わからん。壊れないなら研がなくてもいいはずじゃん。
「さよう。最高なのはアダマンタイトだな。しかし、いつか必ず壊れる。絶対に壊れない武器を所望するのなら、
しかし、
「恐ろしいのは、本来なら第二等武装に至ることも難しいはずが、この剣は明らかに第一等武装と遜色のない、あるいは凌駕しているかもしれんほどの仕上がりだ。手前であっても、どうすればこんなものを作れるのか、想像も付かん」
椿さんが興奮気味なのはそういうことか。本来ならあり得ないはずのものが、「出来とるやろがい」みたいに眼前に現れたら、そりゃ狂うわ。
「そんなものを、おぬしのようなヒヨッコでは修理することも敵わんだろう。しかも、たった50万で受注してしまいよって。身の程を知れ、馬鹿者」
と、結構厳しいことを突きつけられて、スィデロさんはマジへこみ。まあ、部下が身に余るような案件持ってきたときにはやっぱりこれぐらい叱る必要はあるとは思うけどさ、職人さんならなおさらだろう。
「しかし、契約書を交わしてしまった限りは仕方ないだろう。この仕事は手前が引き受ける。手前もまだ未熟ではあるが、修理ぐらいは行えよう」
と、持って行きそうになるが、スィデロさんがそれを止める。
「これは、俺が引き受けた仕事だ。頼む、最後までやらせてくれ」
土下座までしてちょっと引いた。いや、別に、やってくれるならいいじゃんって思うけど。やっぱり、職人さんの意地があるのかねぇ。元事務方には分からん。今は戦闘畑って? 戦いは数だよ、お兄さん。
椿は「しかたねーなー」という風に肩をおろし、私に目を向け、そのままつま先から頭のてっぺんまで眺め回して、「ふむ……」とあごに指を絡めて思案顔だった。こんな貧相な身体を見ても楽しくないでしょうね、ごめんね(言いがかり)。
「この剣は、誰がつかう?」
「私ですけど」
まさか、お使い娘だと思ったのかなこの人。人を見る目がないな。そんなんで剣の善し悪しなんて分かるの(誹謗中傷)?
「ぬ? さようか……おぬしは、そうだな……これぐらいの剣をいつもは使っているのではないか?」
と、自分の腕ぐらいの長さの全長に、「おそらくは刺突が主で、横薙ぎも多用しているようだな。だったら、刃渡りはこれぐらいで、束はそれほど長くない方がいいか。いや、むしろ、束は少し曲がっていた方がいいのか? 珍妙な……」と、いつも使っている武器(ガンスラ)の感じをピタッと当ててしまった。
「なんで分かるんですか?」
「何となくだな。ぬしの体つき、足や体重のかけ方や移動、腕の上げ下げ。ほぼ勘ではあるが、なかなか悪くないであろう?」
「いや、お見それいたしました」
と、私は素直に頭を下げる。見ただけでそこまで分かるとは、この人はやっぱりすごい鍛冶師なんだなぁ(手のひらドリル)。
「姐さん、何考えてんだ」
「少しな。この武器はこのものには馴染まんだろう。ならば、契約違反になるが、いったんこの剣を手前に売却し、その売価とこちらから支払う違約金を合わせて最適な武器を発注せんか? もちろん、買い取った剣はおぬし以外には売却せぬと約束しよう」
なるほど、そういうことか。団長の椿さんですら目を見張るこの巨剣なら、かなりの額が期待できるから、それを頭にして新しい武器を作ろうよってことだ。
「
「うん? 可能だが、武器としての性能はかなり劣ることになるぞ? それなら、アダマンタイト製の武器にすることを勧めるがな」
「アダマンタイトのものは、かなり頑丈ですか?」
今後ランクアップとともに筋力はどんどん上がっていくだろう。緊急時にはフォトンによる身体強化も加わって、かなりの加重になるだろうから、それで壊れてくれると困るのだ。
「それはもちろんだ。私が手がけるのだから、深層であっても十全な働きをすると保証しよう」
なるほど、武器としての能力には問題は無いという確約はいただけたと考えられる。
そうなると、これは難しい問題だ。多分、椿さんの案が一番正しいのだろうとは思う。私が普段使っている、使い慣れたサイズで最高クラスの武器を用意してくれるなんて最高じゃないかって思う。なによりも、こちらからは一切支出することなく、元の巨剣すらも私以外に売却せずに残しておいてくれるという約束までしてくれた。
だけど、
実際、強化種のインファントドラゴンと戦っていたときや、ゴライアスと戯れていた時も、私の剣ではおそらく急所まで差し込めなかったと思う。
インファントドラゴンの時フィンさんが長めの槍を貸してくれたから何とかなったが、ちょっとこれは課題だなぁと思っていたところだ。
まあ、それに、私みたいにちっちゃい女の子(自虐)が、身の丈を越えるでっかい武器を振り回すのって、なんかよくない?
「あのー、申し訳ないんですけど、剣はそのままの大きさで頼めますか?」
やる気になっているところ申し訳ないが、やっぱり、でっかい武器はロマンだ。ロマンは男の子だけのものじゃない、女の子だってロマンがほしい(身長も欲しい)。あと、新しいまな板が欲しい。
「ふむ……なにか思うところがあるのか?」
「いろいろです。試したいこともありますから。それと、最後の仕上げだけスィデロさんにして貰いたいです。スィデロさんにお願いした仕事なので、やっぱりそこは…………ですね、はい……」
理由はいろいろだが、一番の理由は、やっぱりスィデロさんにお願いしたいということだ。ヒヨッコだの何だの言われているが、最初に手を上げてくれたことがうれしかったのだ。
「そうか。しかし、ぬしの身体でこの大きさではなぁ。まあ、何とかバランス良く仕上げてみるか。スィデロよ、顧客にこうまで言われたのだ、最後は死ぬ気で仕上げよ、よいな?」
「最初からそのつもりだ!」
何とか二人の間で折り合いが付いたようで良かった。これなら、後のことは口は出すまい。プロにお任せだ。
その後、いろいろ細かいところを打ち合わせして、スィデロさんと椿さんの作業分担とかスケジュールなどを側で聞いて、三人ともOKと言うことで後日、新しく契約を交わそうということになった。
スィデロさんの工房を出る頃には、そろそろ夕飯の買い物に行かなきゃだめな時間になっていた。ずいぶん、長く話し合っていたようだ。
「あ、そういえば、アーマーの発注忘れてた。次にするかぁ……」
なにか、いろいろなことがありすぎてちょっと混乱している。とりあえず、50万以上は支払わないでいいという確約が貰えたのでよしとするべきか。
実費で買ったら何臆するのか想像が出来ませんね。下手したら10億ヴァリス超えるかも?
椿としては未知の武器を、自分の最高の品を代金として手に入れるつもりだったが当てが外れたという感じ(主人公は気づいていません)。
未知の武器を研究するのが目的なので当然売却はしないが、主人公だけなら特別に売ってもいいよという感覚。団長なら、当然この程度の腹芸はするべきでしょう。むしろ、そういうことに疎すぎる主人公が悪い。
※アンケート回答ありがとうございます。予想の10倍ぐらいの回答をいただいて狂喜乱舞でございます。アンケートは明日(9/26)で締め切る予定ですのでよろしくお願いします。
エルティナの二つ名はどれがいい?
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賢者(セージ)ロキ
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巫女(ヴォルヴァ)フレイヤ
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小聖女(リトル・セント)ディアンケヒト
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慈愛(シーター)ガネーシャ
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星乙女(ヴィルゴ)アストレア
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一般小人族(リトル・ノーマル)本人
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どれでもいい