ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
正式にアストレアファミリアから
と言っても、あんまり目立つわけにもいかないので、出発は地上からではなく、いったんは個々人で18階層に向かい、18階層の秘密の場所で集合して改めて出発と言うことになるらしい。
「秘密の場所ってどこだろうね?」
ゴライアスはすでに
「そろそろ、ゴライアスのソロ討伐も考えないとね。せっかく巨剣を手に入れたんだから、前みたいにキズ一つ付かないなんてことも無いだろうし」
この巨剣の性能は確かに素晴らしいが、それを十全に発揮できる敵とまだ相対していないのだから、ちょっとフラストレーションがたまるってもんだ。ここは一度、景気よく強敵とやり合うのというのがまさにアークスのやることだろう。
「今は自重しましょう」
「分かってるけどね」
アークスにとって戦闘を楽しむことはフォトナーによってDNAに刻まれた本能のようなものだ。
目の前に強敵が転がっていれば戦いたくなるのはもう仕方の無いことなのだ。エルティナもそれは分かっているし、それにある程度のブレーキをかける役割も持たされている……と、勝手に思っている。
もちろん、テオドールくんみたいに戦うことが好きじゃない人もいるし、エコー先輩みたいにそもそも戦いに適性のないアークスだっているわけだけどね。
アフィンも、なんだかんだ行ってそれほど好戦的じゃないみたいだし(勇敢ではあるけど)――まてよ、ひょっとして私だけか?
いやいや、二代目クラリスクレイスは結構好戦的だったんじゃないか? 初代クラリスクレイスなんて、嬉々として敵をなぎ払っていたし、三代目わりとイケイケだった。うーん? 私ってクラリスクレイス適性あるの?(錯乱)
なんとなく、自身のアイデンティティが崩壊しかけてきたので、いったん思考にリセットをかけて思考ループを強制終了させた。
などなどとエルティナとおしゃべりしながら中層を歩いていると、四方八方の壁が破れて大量のワンコ集団(ヘルハウンド)が出現し、間髪入れずに火炎放射を打ち込んできた。
「前が見えない……」
炎によって視界が一気に真っ赤っかに染まってしまったが、今回買ったサラマンダーウール製のローブが結構いい仕事をしてくれて、生命維持装置との併用で、むしろ快適ぐらいになってしまっている。ウールが無い状態だと、ちょっと温いかなぐらいはあったから、確実に効果はあると言うことだ。
「念のため、レスタを展開しておきます」
「うん、よろしくね。あ、そろそろ炎が途切れそうだね。それじゃ、よいしょっと」
そう言って、私は背中に繋止していた巨剣を握り、エルティナにはいったんしゃがんで貰って、巨剣の遠心力にものを言わせてぐるりと一回転した。
「うーん。やっぱり、でっかい武器は便利だなぁ」
数体は残るかと思ったが、陽炎が晴れた先にはかつてモンスターだった残骸が累々と積み上げられていた。あっけないね。
「魔石の回収を行います」
「うん。お願いね」
手応えがなさ過ぎるから多分経験値は入ってないだろうなぁと思いつつ、巨剣を腰のマウント部に繋止した。このまま行くと、中層でまともに活動するには更にフォトン出力を落としていかないとダメそうな予感がする。最終的にゼロになってようやく次のランクアップに望めるって感じか。
その後は特に問題は無く、2回ほどモンスターの宴が開催されたがそれで私達の足を止められるわけもなく、ゴライアスのいない寂しい17階層を抜けて定刻通り18階層に到着することが出来た。
「さてと……秘密の場所へは18階層に来たら迎えをやるっていう話だったと思うけど……」
「とりあえず森の方へ歩きましょう」
「そうだね」
そう言って私達はリヴィラは見向きもせずに森の方へ向かっていくと、途中でリュー・リオンさんの出迎えにあった。
「お待ちしておりました。ここからは私が案内します」
緑を基調にした、軽量で動きやすそうな衣装に身を包み、腰には美しい色の木刀を差して、リューさんは案内をしてくれるようだった。
「お願いします。皆さんはもう到着されていますか?」
「いいえ、あとは輝夜とライラだけです」
「そうなんですね。間に合ってよかったです」
特別参加だとはいえ、合流が最後になるのは避けたかった。ちなみに、アストレアファミリアの方がたとはすでに顔合わせは出来ていて、輝夜さんとライラさんとも挨拶は交わしている。エルティナと同じ小人族のライラさんは、なんとなくだけどエルティナをライバル視しているようだったけど。
「それにしても、そのような巨大な剣で本当に戦えるのですか?」
リューさんはちょっと振り向いて、私が背負っている巨剣を一瞥してそう聞いてきた。まあ、明らかに私の背丈の2倍近くはありそうに見えるからね。心配するのは仕方が無いことだろう。
「大丈夫ですよ。ほら、こう見えて結構軽いんですよ」
私はそう言うと、巨剣を抜刀して切れ味を元に戻さずに軽く振ってみた(危ない)。
周りに木々が並んでいるところで、枝にも当たらずに調整して振ることが出来ていることから、リューさんも私が巨剣をしっかりと制御していることを理解して貰えただろう。
「にわかには信じられませんね」
「まあ、気持ちは分かります」
いったん巨剣を頭上でくるくる回してから腰のマウント部分に繋止して手を離した。
巨剣は私が好きだから使ってるけど、これぐらい巨大になると一般的には使いにくさマックスだろう。少なくとも空間に制限のある洞窟で使う類いのものではない。
その後は特に何もなく、三人とも無口で、時々鉢合わせするモンスターを倒したりしてしばらく歩くと森の中に少し開けた場所に出て、そこにアストレアファミリアの人たちが集まって談笑をしていた。
「アリーゼ。ワカヒルメファミリアのお二人をお連れしました」
「ご苦労様、リオン。ベルディナとエルティナも、今日はよろしくね!」
赤髪のアリーゼさんは、私達に軽く手を振って、元気よく挨拶をしてくれた。
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。皆さんも」
「よろしくお願いいたします、皆様」
私とエルティナも一通り挨拶をして集団の中に溶け込んだ。
「えーっと、後は輝夜とライラだけね」
「ライラはちょっとリヴィラを偵察してから来るって言ってたぜ」
頭にかわいい犬耳を生やした
「あら、そうなの? なにか気になることでもあったのかしら」
どうやら、ライラさんはちょっと遅刻するようだ。となると、一緒にいるという輝夜さんもか?
「すまねぇ、遅れちまった」
「すみませんねぇ、ちょっと寄り道してしまいました」
ガサガサと茂みを踏みしめる音がしたとところで、ライラさんと輝夜さんが姿を現した。これで全員か。
「よし、これで全員そろったわね。さて、今回の任務はすでに知っての通り、下層で活動中の強化種のリザードマンの討伐になるわ。
『こちらベルディナ。リザさん聞こえますか?』
アリーゼさんが出発に際して最後の確認をしているところで私は念のためにリザさんに通信を送った。ワカヒルメ様には、緊急以外には通信がつながらないように設定して貰っている。この任務が上手くいったら、思い切ってリザさんのことを告白しようかどうかまだ悩んでいるところだ。
『聞こえている。出発したか?』
リザさんの声もはっきりと聞こえ、とりあえずは安心だ。
『いえ、まだ18階層です。リザさんは?』
『30階層まで降りた。29に入ったら伝えてほしい』
『分かりました。階層を刻み次第、エルティナから連絡します。それでいい? エルティナ』
『承りました』
『すまぬ。仲間を裏切ることをさせてしまった』
『リザさんは大切な仲間ですから』
もう、覚悟は出来た。
「それじゃ、出発しましょう。私達の正義のために!」
アリーゼさんが剣を振り上げて、ファミリア全員がときの声を上げていよいよ出発と相成った。
『リザさん、今18階層を出発しました』
『承知した』
「待たせたわね、ベルディナ、エルティナ。二人は私達の真ん中を歩いて。エルティナは主に回復と支援を、ベルディナはエルティナの護衛を一番に考えて、無理に戦闘する必要は無いわ」
「分かりました。エルティナは私が守ります」
「主従関係が逆転しましたね、お嬢様」
「まあ、いいじゃん。今日くらいはさ」
今回は私達がお客様なんだから、あんまり出しゃばらないようにしよう。
「ふふ……あなたたち、いいわね……」
アリーゼさんはそう微笑むと、「あ、そうだ」とおもむろにポーチから何やら見慣れない宝玉を取り出してそれを口元に掲げた。
「シャクティ、聞こえる?」
『ああ、よく聞こえているぞ、アリーゼ』
すると、宝玉からは聞き慣れない女性の声が響いてきた。ナンデスカコレハ。
「そう、よかった。私達は今から出撃するわ。予定通り24階層で一度合流しましょ」
『了解だ。待っている』
アリーゼそれで会話を終わり、ポーチに宝玉を大切にしまい込んでぞろぞろと歩き出している仲間達のもとへと急ぐ。
「アリーゼさん。その宝玉はなんですか?」
「宝玉? ああ、なんかこれを持ってるもの同士なら離れていても声を届けることが出来るみたいなのよ。ギルドが貸してくれたもので、すごく貴重なのよね。壊したら大変だわ」
「そうなんですか。すごいですね。ほしいなぁ」
と、白々しく言ってみるが、心の中はドッキドキだ。
『こっちにも通信機みたいなのがあるなんて知らなかったよ。オラリオを甘く見てた』
『予想はしておくべきでしたね。思った以上に、リザ様への包囲網が強く感じます』
『あー、どうしよう、マジどうしよう……』
ガネーシャファミリアと言えば、私でも知ってるぐらい大手のファミリアで、何よりも人海戦術に出られると、リザさんを逃がすのが格段に難しくなる。アストレアファミリアだけなら何とかなると思っていたのが甘かった。私は本当に詰めが甘い……。
『マスター、今はとにかく動きましょう。私はアリーゼ様から詳細を聞き取りますので』
『うん。分かった』
『何か問題か?』
『ええ。ガネーシャファミリアって言う大きなファミリアがリザさんの包囲網に加わってるみたいです』
『なるほど。困難だな』
『情報が集まれば逐次報告いたしますので。落ち着いて行動してください』
『承知した』
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇
エルティナにはなるべくアリーゼさんの側にいて貰うことにして、私は周りの眷属達とのおしゃべりに混ざりながらできる限りの情報を集めるよう努めた。
そうしている内に24階層に到着して、広めの場所にテントを立てて今日は休むことになった。本格的な作戦行動は明日以降と言うことになった。
『24階層から25階層への出入り口にガネーシャファミリアの眷属が警備に当たっているとのことです。おそらく更に下層への出入り口も同様と思われます』
『ふむ。出入り口を押さえるのは戦術の基本か。これで、下手に下へ逃れることも難しくなったか』
『フロアが広いとそういう作戦になっちゃいますよね。ガネーシャの人たちが出入り口をふさいで、私達が探すって言う感じか』
捜査官がチームで裏口をあらかじめ塞いでおくのは映画やドラマではお約束みたいなものだ。
オラクルにもそういう治安維持や内偵、特別捜査みないた部署はあったが、私達アークスはそういう訓練は全く受けていなかった。
アークスに頭脳戦なんてさせちゃいけない。大体は優秀なオペレーターが判断してくれるからだ。オペレーターがいないここではエルティナの判断がかなり重要になるし、今は全権を委ねている。情けないね。
『入り口付近で騒ぎを起こして、警備に穴を開けるとかどう?』
『私達は基本的に集団から離れることが出来ません』
『リザさんがモンスターをけしかけるとか』
『それは、あまり褒められたことではないはずだが?』
『ですよねぇ』
考えがテロリストよりになるのは、今やろうとしていることがテロリストよりのことだから仕方が無いとして、私じゃこの程度しか考えられないよ。
「二人とも、ちゃんと食べてる? 下層に言ったら保存食ぐらいしか食べられないから、今のうちに食べときなさいよ」
キャンプの脇でこそこそ作戦会議をしている私達に、アリーゼさんが寄ってきて、いい香りのスープの入ったカップを私達に渡してくれた。
「あ、すみません。今行きますので」
『相談はまた後ほどにいたしましょう』
『承知した』
私達はリザさんとの通信をいったん打ち切って、食事にすることにした。
「さてと……お料理は今日で終わりだったら……食材は何がある?」
温かいスープを飲み干すと、いい感じにお腹が温まって食欲が湧いてくるようだった。
「リストはこちらです」
と、エルティナは私達以外には見えないリストをHUDに投影して見せてくれた。
「うーん。豆腐あるのか……なんで? まあ、便利だからいいけどさ。挽肉があるなら麻婆豆腐でも作ろうかな」
そう言って私は、エルティナに豆腐の下処理用のお湯を沸かして貰い、自分は鉄鍋に油を敷いて挽肉を炒め始めた。若干焦げ目が出る程度が美味しいから、焼き目はしっかりと入れた方がいいよ。
「おー、いい匂いじゃねぇか。何作ってんだ?」
甜麺醤と豆板醤にラー油をいい感じに挽肉に絡ませて肉味噌を作っているところに、口の悪い小人族の女性ライラがひょっこり顔を見せた。
「麻婆豆腐って言う私の得意料理ですよ」
肉味噌がいい感じになったので、いったん火から上げて冷ましておき、その間にさいの目に切った豆腐を塩を若干入れた熱湯に入れて熱を入れていく。これをするのとしないのとでは豆腐の弾力がまるで違うから、絶対やった方がいいね。
「ふーん。お前、料理得意なんだな」
近くの倒木に腰を下ろしてこちらをじっと見つめている……正確には豆腐をさいの目に切って丁寧にお湯に沈めていくエルティナを見つめているようだった。
「
「私ですか? 私はお嬢様ほど堪能ではありません」
「出来ないことはないってところか?」
「おそらくはそうでしょう」
エルティナはたぶん、レシピ通りに料理を作ることは出来ると思う。サバイバル時のサポートとして一般的な自動調理器のシステムを簡易化させたやつがインストールされているので。
「お料理は私が好きなので、私が率先してやってるだけですよ。エルティナにはお掃除とかお洗濯とかいろいろ頼んでますね」
豆腐を上げるのはタイミングが大切だ。熱を入れすぎると今度は逆に堅くなりすぎて食感が悪くなる。お湯が再沸騰して、豆腐が元気に踊り始めるぐらいがちょうどいいと思うけど、なかなか正解を引き当てるのは難しい。
「ふーん。結構家庭的なんだなお前」
「そうでしょうか?」
「そうかも」
私もライラさんの言葉に、うんうんと頷いた。エルティナは真面目で仕事が丁寧だから、お掃除もお洗濯もしっかりしてくれて、とても快適に日々を送ることが出来ている。私じゃもっと適当になって、いろいろ埃っぽくなっちゃうだろうね。毎日清潔なパンツがはけるということはとても大切なことだ。
豆腐がお湯の中でいい感じに踊ってきたので、小さな網で丁寧にすくい上げて、先ほどの肉味噌に素早く加え、もう一度火を付けた。お肉がパチパチいって来たところで人数分の水を入れて更に風味を加えるためにトウチをひとつかみほど加え、刻んだ状態で保存していたネギのみじん切りをたっぷりと加えていったん煮立たせる。
「あ、ごめん、エルティナ。水溶き片栗粉作ってくれない? ゆるめでいいから」
「分かりました」
これを忘れたら台無しだ。しゃびしゃびの麻婆豆腐なんて冗談じゃないからね。
「なあ、
後はお酒と香辛料を入れて、さらに一煮立ちさせたところで塩胡椒で味付けをしてと言ったところでライラさんが、フィンさんのことを口にした。
「フィン様ですか? ロキファミリアの団長で、
「そうだよ。お前、会ったことあるのか?」
「一度……いえ、二度ほど12階層で。どちらもインファントドラゴンと戦った時でした」
そっか、エルティナは2回も会ってたんだね。私は強化種の時に助けて貰ったときだけかな?
「フィンさんにはお世話になったんですよ。私の剣が壊れたとき、代わりに槍を貸してくれて、助かりました」
あのときは本当に助かった。まだお礼に行けていないのが懸案事項なので、できる限り早く時間を見つけてロキファミリアを訪ねないとなぁ。
「あっそ。会ったことあんのね。どうだった?」
「どう、と言いますと?」
「なんか、あるだろう? 人となりとかさ」
「人格共に大変優れた方と思いましたが」
「そうじゃなくてさぁ……」
うーん、ライラさんの言いたいことはちょっと分かったかもしれない。たぶんだけど、ライラさんはフィンさんのことが好きなんだよ。私の恋愛センサーがビンビンに反応しているからまちがいないね(そんなものはない)。
「一度火を止めて、片栗粉をしっかりと溶かして……それから熱を入れて粘りを出して……よし、完成です! うーん、いい匂い!」
二人の会話がドツボに入りそうだったので、私はわざとらしいぐらい明るい声で料理の完成を宣言し、これ見よがしに麻婆豆腐を器によそって香りを振りまいた。
「う……うまそうじゃねぇか……」
「ライラさんも食べます?」
「いいのか?」
「結構多めに作りましたからいいですよ」
「じゃあ、私も御相伴に与らせて貰おうかしら!」
と、ライラさんの向こうから、赤髪の女性っぽい元気な声がして、ニッコニコのアリーゼさんがライラさんの隣に躊躇無く座った。うーん、狙ってたな?
「いやー、ご飯はもう食べちゃったけど、こんなに美味しそうな匂いがしてたらやっぱりね? 一口でいいから貰えないかなぁって……だめ?」
この人はねだるのも上手いし、何よりも懐に入るのがとても上手だ。
「いいですよ。ちょっとだけなら」
ちゃっかりと自分用の器とスプーンも持参していたようだ。抜け目がないな、この団長。
他の団員もチラチラとこちらを見ているようだが、残念ながらあなたたちの分はないよ。ゴメンね。
「あら、結構とろっとしてるのね。それに暖かくて香りも最高ね」
湯気に混じった肉と中華調味料の複雑な調和が鼻孔と胃を刺激する。私達はたまらなくなって「いただきます」と手を合わせ食事を開始した。ライラさんとアリーゼさんはそんな私達の振る舞いをちょっと不思議そうに眺めていたが、自分たちも食後の食事(?)をすることにした。
「うん。まあまあかな。地上ならもうちょっとこだわれるけど、仕方ないね」
今回はニンニクが使えなかった(持ってこなかった)ので若干風味が浅い感じがするし、コンロも火力が低いので、肉もそこまでしっかりと熱を通せなかったみたいだ。
その代わりラー油をちょっと多めに入れたので、辛さが元気をくれるようで、この場所には合っていると思う。
「んー、美味しい。うちのシェフに雇いたいぐらい!」
「それは、やめとけ。気持ちは分かるけどよ」
アリーゼさんもライラさんも概ね好評のようで安心した。
「それにしてもガネーシャファミリアの件、なんであんなにも急だったんだ?」
「さあ? ギルドにもいろいろあるんじゃない? やっぱり、私達だけじゃ人数不足よねぇって思ってたし。ギルドもそう思ったんじゃないかしら」
「それにしてもよう。そういうのはもっと前から言ってくれねぇと、こっちも連携とか作戦とかあるわけだし」
なるほど、ガネーシャファミリアの加勢は、アストレアファミリアにとっても急な話だったわけか。だから、私達に依頼したときにはそれについての言及がなかったわけだ。
「だけど、その代わりに眼晶(オクルス)も貸して貰えたんだからいいじゃない」
「まあ、便利だけどよ。単に事前打ち合わせが出来てねぇから、その場で話し合いならがらやれってことだろう……ったく」
うーん。こうやって遠隔で連絡を取り合われると、下手に攪乱することも難しくなるなぁ。ガネーシャファミリアが出入り口をふさいで、その間にアストレアファミリアが一階層ずつ念入りに調査するわけだ。可能性とすれば、警備の交代、次の階層にいく瞬間に気が緩む間を突いて……ってところだろうけど、大手ファミリアの団員がそんな隙を見せるとは思えないし。やっぱり、強行突破するしかないのかな? それは、本当に最後の手段にしたいんだよねぇ。
時間がたてばたつほど出来ることが少なくなっていく。いっそのこと、下層ではぐれたことにして私一人で単独行動をするか? アストレアファミリアはエルティナにいて貰うことにしてさ……それしかないか?
なにか、きっかけが欲しい。アストレアファミリアも、ガネーシャファミリアもリザさんから目をそらさざるをえないような、強烈なきっかけが欲しい。
――そんなことを願うべきではなかった――
※ルート分岐※
・エルティナの二つ名が『
『
・エルティナの二つ名が『
リューとの交流がもうすこし増えていた。リューの木剣の名前【アルヴス・ルミナ】もアストレアから名前を頂戴したものなので、アストレアの象徴である
・エルティナの二つ名が『
今回の冒険者依頼がアストレアファミリアではなく、ガネーシャファミリアからだった可能性が微レ存。その上で異端児について説明があり、依頼の時点でリザさんについて告白し、ガネーシャファミリアとの連携プレイという形になった可能性が発生していた(あくまで検討段階で)。
24階層のキャンプにガネーシャファミリアの団長のシャクティが降りてきて、アストレアファミリアの誘導やリザさんとの合流について打ち合わせがされるなどなど、結構違いがあるルートを想像していた。
・エルティナの二つ名が『
フレイヤファミリアの立場上、アストレアファミリアからはちょっと敬遠されていたかも。
・エルティナの二つ名が『
本編と変わらず。