ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

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番外編:愚者のため息

 

 ベルディナが姿を隠しているが気づかないフリをしていた対象はガネーシャファミリアの眷属ではもちろんなく、暗躍(?)していたフェルズだった。

 

 密かにアストレアファミリアを監視しつつ、他の異端児(ゼノス)達と交信しつつ状況を見守っていたのだが、ここに来て思わぬ情報が舞い込んできた。

 

「まさか、猫又(ツインテールキャット)が新参の協力者だったとはな」

 

 マーマンの闘技場という特大のイレギュラーが発生してたため、一旦は退却するだろうかと思っていたが、そうでもなかったらしい。

 それどころか、新参の名前とその支援者が同時に分かって、しかも、アリーゼがそれに一定の理解をしていることが判明してさすがに「マジか」とつぶやいた。

 

「それにしてもリザ……リザ……リザードマンか……安直すぎだな。所詮は子供か……」

 

 遠くで子供がくしゃみをする声が聞こえた。

 

 ちなみに、密かにディスられた女児はようやく合流した仲間達に囲まれて叱られたりしていた。保護者の小人族を高い高いしながらくるくる回る様子は大変和むが、大人としてしっかりと注意しておかないと後が怖い。ダンジョンで無茶は常道だが、無謀は死に直結する。それを理解させないとあの子供に未来はないだろうとフェルズは思う。

 

『フェルズ、聞こえる?』

 

「レイか、新参は発見できたか?」

 

 フェルズは懐から声のする宝玉を取り出して返事を返した。レイとはセイレーンの異端児(ゼノス)で空を自由に飛べることから空から新参(リザ)を探して貰っていたのだ。

 

『まだね、やっぱり木が目隠しになっててよく分からないわ』

 

 

 高空からの監視に、エコーロケーション能力を持つ彼女ですら発見が難しいとなると、どこかに潜んでじっくりと機会をうかがっているということだろう。

 

 リザという新参者は、新参でありながら自らを律する能力に長けていると言わざるを得ない。

 

「そうか。すまないが引き続き頼む」

 

『分かったわ』

 

「あと、新参の名が判明した。リザというようだ」

 

『おー、リザっちか、俺と同類なんだろう? 楽しみだぜ』

 

「リドもいたか。もう少しだけ協力してほしい」

 

『名前が判明したってことは、協力者が分かったってことかしら?』

 

「ああ、ワカヒルメファミリアのエルティナという小人族と、ベルディナという女児だ。どうやら、独自の連絡手段を持っているようだな」

 

『はやく会いてぇなぁ』

 

 リドの声はウキウキしているなかにも若干の闘争心が見え隠れしている。リザの戦闘力は漏れ聞くところに寄るとリドと同等か、あるいは若干凌駕しているように思える。

 リドは穏健派ではあるが、その内実は武人でありしかも同類のリザードマンの異端児(ゼノス)であるとなればすぐにでも手合わせをしたいと願うだろう。

 

「なるべく穏便にな。警戒をさせてはいけない」

 

『分かってるよ』

 

 異端児(ゼノス)達との内緒話も一段落して再びアストレアファミリアへ目を向けると、ベルディナとアリーゼの二人が他の団員に対してホットサンドを振る舞っている様子が見えた。心配させた償いをさせているのだろうか。

 

「……美味そうだな……」

 

 身体を失った身のフェルズであっても、その光景は眩しく感じる。

 

 しかし、ここに来て今後の行動は決まった。ベルディナが支援者であり、アリーゼが理解者であるなら彼らに追従して状況を見守ろう。そして、リザという新参を確認し次第リド達に連絡して合流し、状況によってはアストレアファミリアも異端児(ゼノス)の秘密に巻き込もうとフェルズは判断した。

 

「ここまでは、全てウラノスのシナリオ通りか……」

 

 フェルズは通信用宝珠……眼晶(オクルス)を懐にしまった。

 

 

 

 

 

 

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