ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある   作:柳沢紀雪

70 / 185



年始以来爆発的に忙しかったのがようやく少し忙しい程度に落ち着いてきたのでようやく書けました。

次はいつになるのかなぁ…………







衝突

 

 はやる気持ちを何とか抑え、アストレアファミリアの人たちと何度か地図を取り出しつつ、確実にそこへ向かう私達だった。

 

「なあ、団長。さっきから自信満々で歩いてっけど、本当に信用していいんだろうな?」

 

 さすがにライラさんは懐疑的のようだ。

 

「あら、私のあてが外れたことなんてあったかしら?」

 

 アリーゼさんはとぼけるが、どう考えても白々しい。

 

「むしろあてが外れたことの方が多いですねぇ」

 

 輝夜さんは辛辣だけど、そう言えるのは信頼しているという証だろう、知らんけど。

 

「私はアリーゼを信じます……信じて、よいのですね?」

 

 金髪ロン毛のスレンダーエルフ美少女(リューさん)は信じたいけど信じ切れない自分を責めているような、大変趣のある表情でアリーゼさんを見つめる。

 

「まあ! リオンにまでそんなこと言われるなんて、私もヤキが回ったみたいね」

 

 団員の皆様からの割と辛辣な追求をのらりくらりとかわし続けるアリーゼさんは、見てるこっちはヒヤヒヤものだがいつのものことなのだろうか、思ったより懐疑的には思われていないようにも見える。「まあ、団長ならしゃーない」というか、他にあてが無いのならぐいぐい引っ張っていってくれるアリーゼさんについて行った方が諦めもつくというような感じだろうか? よくわからん。

 

「まあ、他にあてが無いんだから仕方ないって」

 

 獣人のネーゼさんがケモ耳の付け根をボリボリとかきながら肩をすくめた。時々何かに反応するようにピコピコ動くそれは大変かわいらしいというか、ケモナーでない私ですらツンツンしたくなるほどだ。

 

『マスター。雑念です』

 

『ごめんごめん。真面目にやります』

 

 エルティナは鋭い……というよりは多分私の脳波とかをモニターしてたんだろう。きちんと忠告してくれるサポートパートナーは貴重なのだ。他の人はイエスマンが多いっていうみたいだからね。

 

 ネーゼさんが他の人を説得するみたいに話しかけていて、若干アリーゼさんから注意がそれたところを見計らって私がそっとささやいた。

 

「多分、次の茂みの向こうぐらいです」

 

 私はそう言って視線で目の前に生い茂る濃い緑を指した。

 

「分かったわ」

 

 アリーゼさんとは思念通信が出来ないので内緒話をするのにも一苦労だ。まあ、その分だけ人間関係は近くなっているような気がするから善し悪しだけどね。

 

『お待たせしてすみませんリザさん。今、リザさんの右手方向のすぐ側にいるので、タイミングを合わせましょう』

 

『承知した。そちらの合図に合わせる』

 

『分かりました』

 

「それじゃ、そろそろ行くわよみんな。もうすぐそこだって私の乙女の勘がつぶやいてるわ」

 

 アリーゼさんがいろいろ察したように皆に声をかける。

 

「アリーゼさんって乙女だったんだ。あんなに美人なのにもったいない……」

 

 私なんて、こんなちんちくりんで相手にされないせいで未だに乙女ですよ。

 

『マスター、雑念です』

 

『ホントにゴメンね、エルティナ……それじゃ、リザさん。カウントダウンしますので合わせてください……10、9、8……』

 

 私は一歩一歩秒を刻みながら徐々に歩みを早め、アリーゼさんもそれに応じてくれていつしか速歩から駆足へ、茂みを通り越す頃には腰に繋止していた巨剣を手に持って背の高い雑草をなぎ払って視界を開けそこに足を踏み出した。

 

 HUDに表示されたリザさんの光点が今まさに私の三角マークと重なり、瞬間的に頭上の緑の天井から降りたった巨大な影が視界を覆い、けたたましい音と共に舞い上がる土埃の向こう側に、長い尻尾を持つ人型のシルエットが浮かび上がった。

 

「モンスターです! 戦闘準備を!!」

 

 先頭のアリーゼさんの背後を守るリューさんの素早い号令に殿の輝夜さんも前線に上がってきて、両翼に付いていたネーゼさん達は一歩下がって後方を固めた。

 

『お久しぶりです、リザさん。やっと……やっと会えました……長かった』

 

 私も形だけは巨剣を構えてリザさんの巨体に切っ先を向ける。

 

『言葉は常に交わしていても不思議なものだ。これは、嬉しいということなのだろうか』

 

 おそらくリューさんたちは、目の前にたたずむ武装したリザードマンが私達が追っている強化種であることにとっくに気がついているだろう。ここではどのような言葉をかけても彼女たちを止めることは出来ないだろう。だから、リザさんの力を今は信じるだけだ。

 

『できる限りフォローはいたしますので』

 

 エルティナはあくまで後方の集団の護衛として前線には出てはこれないが、それでもいざとなったらタリスで遠隔テクニックでサポートして貰うつもりだ。

 

『私の修練の成果を示すよい機会だ。遠慮はいらん!』

 

 その言葉は私にも向けられたものなのだろう。アリーゼさんはチラリと私に問いかけるように目を向けるが、私は静かに頷いて巨剣を上段に構えた。

 

『さすがリザさん。カッコイイです。それじゃ、しばらくお手合わせ願います』

 

 アークス装備を有効化させればおそらくそれほど苦戦はしないだろうけど、今の私はただの一般冒険者(レベル2)に過ぎない。推定驚異度レベル5とも評価されるリザさん相手にどれほど善戦できるのか、試してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








やっと再会できました。よかったね、ベルディナ。





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。