ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
※近々ゲームで新しい顔が増えるみたいですね(アニマティカフェイス)。久しぶりにキャラクリガチろうかしらね。
「なるほど。キミ達がなにか隠し事をしているんだろうとは思ってたけど。とんでもないものが出てきたな」
ようやく地上に戻ってきた私達は、ギルドに最低限の報告だけをしてから後日いろいろ話をしようという約束だけして解散し、やっとホームに帰還することが出来た。実際、問題は何も解決していない気もするが、少なくともアストレアファミリアの人達が味方になってくれて、ガネーシャファミリアも協力者であることが明らかになったのは大きな前進と言えるだろう。
「ごめんなさい、ワカヒルメ様。不用意に言うわけにも行かなくてズルズルここまで来てしまいました」
私は椅子から立ち上がり深々とワカヒルメ様に頭を下げた。
「いや、それは当然だよ。このことはアストレアの子達も知っているんだよね?」
「はい、あとはガネーシャファミリアの人達もですね」
「推測するところによると、最初から彼らはリザ様を捕獲……保護するつもりだったようです」
驚いたことに、今回何かと協力してくれていたガネーシャファミリアの人々だったが、どうもリザさんのような理性のあるモンスターを探していたようで、可能ならテイムするという建前でファミリアに保護することも考えていたらしい。他にリザさんのようなお仲間もいるみたいなので、リザさんは自分の力で見つけ出したいと言ってその提案には乗らなかった。
私は、素直に手を借りていた方が良かったんじゃないかなって思ったけどね。もちろん、リザさんの意思は尊重するけど。
「ガネーシャファミリアには腕のいいテイマーがいることは聞いたことがあるね。しかし、その……君には悪いんだけど、信用できるのかな? 理性があると言っても相手はモンスターなんだからさ」
ワカヒルメ様の言いたいことは分かる。オラリオではモンスターは人類にとって絶対悪で絶滅させるべき敵ということが大前提のもはや常識だ。そこで、話の通じるモンスターがいるから仲良くしましょうとはならないのは当然だ。
「リザさんはいい人ですよ。下手な冒険者よりもずっと信用できる人です」
「うん。君がそう言うなら間違いないんだろう。ダンジョンに入れない私では会うことは難しそうだけど」
「あ、話は出来ると思いますよ。エルティナ、お願い」
「承知しました。通信の制限を解除します」
『リザさん、聞こえますか? ホームに戻りましたよ』
『そうか、無事で何よりだ』
『おっと。聞き慣れないこの声は……君がリザかい?』
『あなたは?』
『こちらは私達の主神であらせられます女神ワカヒルメ様です』
『初めましてだね、リザ。うちの
『お初にお目にかかります、ワカヒルメ様。この身はモンスターではありますが、二人とは良き友と自負しております』
「エルティナ、聞いた? 私達、リザさんの友達だって!」
「またご友人が増えましたね、マスター」
「キミは友達が多そうだね」
「そうでもないです」
『二人の友であるのなら、私の友でもあるってことだね。いずれ直接会えることを願うよ』
『また、いずれ……』
「いったん通信を切ります」
とエルティナ。
「ありがとうエルティナ……うん、信頼できる存在ではあるみたいだね。なるほど、キミ達がやたら中層や下層に行きたがっていた理由がこれだったわけだね」
「そういうことですね」
「目立つわけにも行かないというのもそういうことか。アストレアとはなるべく早く話し合いをしないとダメかなぁ」
一応これでワカヒルメ様への報告は終わったということでいいかな。
「お疲れ様でしたワカヒルメ様、エルティナ。それじゃ私はちょっと出かけてきますね」
「うん? どこか行くところがあるのかい?」
「はい、巨剣をメンテに出そうかと思いまして。スィデロさんの工房に行くつもりです。遠征から帰ったら一度顔を出すようにも言われていますし」
数日のことだが、なんだかスィデロさんも懐かしい気がする。行く前に菜切り包丁の研ぎ直しも依頼していたのでちょうどいいから受け取りに行こう。
研ぎ立ての包丁で食材を切るのはとても楽しいので、次のお料理がとても楽しみだ。
「まあ、しばらくは戦うこともないだろうからゆっくりしてくるといいよ。今は羽を休めるといい」
しばらくか。じゃあ、四日間(一週間と言えない元日本人)ぐらいお休みをいただこうかな。旅行とかしたいけど、あんまり気楽にオラリオから出られないのが辛いよね。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇
次の日は休暇の一日目ということでホームに引きこもってお気に入りのソファーに寝そべりコンソールから夜会向けのコーデを作成しつつ時間を潰した。
ワカヒルメ様がドレスをお召しになる場合はフィンブランをベースにアクセサリーをいろいろ付けたシンプルなコーデとして、ワカヒルメ様が着物をお召しになるのなら、ワキンキャリコをベースにする方向性で固まった。
私達がレベル2になったことから、神々が主催する宴に招待される可能性がちょっと出てきたということなので、今のうちに恥ずかしくない格好を作っておく必要があるのだ。
「エルティナはドレスか着物どっちが好き?」
「どちらでも結構です。マスターとワカヒルメ様に合わせます」
「だよねー。分かった」
部屋の掃除をしていたエルティナにも声をかけるが、答えは想像通りで逆に安心した。
「マスター、そろそろワカヒルメ様が戻られる時間です」
「あ、もうそんな時間か。ご飯作らなきゃ。材料は何かあったかな……」
ダンジョンではあまり口に出来なかったお肉を主菜にしようとは思うが、付け合わせを何にするかはあまり考えていなかった。
「ニンジンとポテトの備蓄が豊富のようです」
「分かったよ。じゃあ、ニンジンはグラッセにして、ジャガイモはフライドポテトにしようかな」
お肉の付け合わせとしてはど定番と言えるだろう。こういうのはシンプルなのがいいのだ。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇
その次の日はアストレアファミリアのホーム『星屑の庭』においてクエストを総括する会合が開かれることになった。
その際、こちらからはワカヒルメ様の同席を希望してそれが認められたので、久しぶり(と言うほど時間は空いていないが)に星屑の庭を訪ねた。
今回もリューさんが門まで出迎えてくれて、以前と同じルートを通って応接間に通された。
「アストレア様、アリーゼ。ワカヒルメ様ご一行のご到着です」
そう言って応接間が開かれ、私達はアストレア様とアリーゼさんに出迎えられ、上座にワカヒルメ様、その次に一応団長の私と最後にエルティナが座って会議と相成ったのだ。
最初にリューさんが入れてくれたお茶を楽しみ、それから今回のクエストの結果は「下層の安全確保に成功したが、
「25階層の
基本的な説明はアリーゼさんがしてくれるようで、今日は立派な団長さんに見えて不思議だ。リューさんも、最初の給仕が終わってからはアリーゼさんの隣に座って、自分もお茶を楽しみながら状況を見守っている。
「災害は忘れた頃にやってくるって言葉もありますけどね」
これは、私の前世での教訓だ。誰もが来るわけが無い、起こりえないと思っていた震災が私の生まれ故郷を襲い、私は家族を含め全てを失ったのだ。
「至言ですね。私達はその言葉を心に刻むべきだ」
リューさんが短くつぶやいた。
「確かに、私達は大抗争が終わってから少し気を緩めてしまっていたようね」
アストレア様も深く頷いた。あんまり深刻に受け止められても困るんだけど……まあ、いいか。
「次は強化種についてだけど……
アリーゼさんが私に水を向けてくる。まあ、そうだろうね。こうなるだろうから、あらかじめワカヒルメ様にお話ししておいたことだ。
『エルティナ、打ち合わせ通り準備しておいて』
『承知しました。リザ様、よろしいですか?』
『私はいつでもよい』
『じゃ、そういうことで』
『なんだい? 何をするつもり?』
実際のところは私の口から説明するよりも直接本人から話を聞いた方がいいだろうと思い、ワカヒルメ様にも内緒でちょっとした仕込みをしておいたのだ。
「強化種……リザさんとの出会いは今は伏せますけど、私が冒険者になったのはダンジョンに置いてけぼりになったリザさんを助けるためでした」
実際は未来(?)からここに強制転移させられて、やむを得なくダンジョンに置き去りにせざるを得なかったリザさんをどうかして保護するのが目的だった。そのために私はダンジョンに潜り、階層を積み重ねていったのだ。
「あなたが冒険者になったのは確か……半年ほど前だったかしら?」
「大体それぐらいですね」
「正確には4ヶ月と少しと言ったところですね」
エルティナが正確な数字を言ってくれて助かった。そうか、まだ半年もたってないんだね。オラクル船団から半年近くも離れるのなんて初めてじゃないかな?
最初は中層で待機して貰っていたが、リザさんも生きて強くなるためにはモンスターから魔石を摂取する必要があり、度々冒険者と衝突して殺し合いになる前になんとか逃亡するを繰り返し、今となっては30階層よりも下に追いやられ、そろそろ深層が見え始めているということだ。
本当に苦労をかけてるね。本人はダンジョンという場所がどうも故郷のような安心感があって、手応えのある敵と戦うことが出来て割と満足しているみたいだけど。
「なるほど。あなたの話は理解できたし、あなたが嘘を言っていないことも分かったわ。だけど……」
アストレア様はチラリとワカヒルメ様に目を向けた。モンスターは信用に値するのかをおそらくは聞いているのだろう。
「アストレア様。リザ殿は武人として信用できる存在であると私から保証いたします」
なんと、助け船を出してくれたのはリューさんだった。リューさんはリザさんと直接剣を打ち合って、ダンジョンではとなりで戦うこともあったからそれなりに解り合うところもあったのだろう。リューさんも割と武人寄りの人だからなおさらかもね。
私? 私はただの一般アークス(冒険者)ですよ。
「と言ってもやっぱり、人づてではなかなか信用できないというのは分かりますよ」
「そんなことは言っていないわ」
アストレア様はそう言うが、言っていないだけで心では思っているということは見え見えだ(偉そう)。
「なので、直接お話しをして貰うことにしました。エルティナ、お願いね」
「話? なに? リザをここに呼ぶの?」
「さすがに町中にモンスターを呼ぶのはどうかと……」
アリーゼさんもリューさんも困惑しているのが面白い。ここからちょっとびっくりさせてあげよう。
「お待たせいたしました。モニターに投影いたします」
エルティナは通信機を会議モードに設定し、テーブルの真ん中の空間にモニターを出現させ、リザさんをそこに映し出した。
「もしもし? 聞こえますかリザさん」
通信の最初に「もしもし」と言ってしまうのは元日本人のサガなのだろう。
『む、ベルディナか。もう話をしていいのか?』
「こちらの映像を送ります」
エルティナは一旦リザさんの通信機をリモートで操作してリザさんの方にもこちらの映像を表示させた。
『そちらは?』
「紹介いたしますアストレア様。こちらはダンジョンリザードの強化種のリザさんです。リザさん、紹介しますね。こちらは先日そちらにお邪魔したときに一緒だったアストレアファミリアの主神のアストレア様です」
『お初にお目にかかりますアストレア様。先日はあなたの眷属と良き共闘をいただき、大変光栄でありました』
リザさんは大変礼儀正しく頭を垂れ、
「ええっと、状況がまだよく分かっていないのだけれど……ご丁寧にありがとう、リザ。私はアストレア。アストレアファミリアの主神を務めているわ」
思いっきり困惑しているアストレア様はチラチラとアリーゼさんやワカヒルメ様に目を向けているが、その二人は何も知らないので首を横に振るばかりだ。
「ねえ、ワカヒルメ。ひょっとしてこれは『鏡』かしら? 許可無く神の力を使うのは違法だったと思うのだけど?」
「いや、これはそういうことじゃなくて……どう説明したらいいのか……」
そういえば、こうやって直接モニターを出すのは初めてかもしれない。大体は音声だけで何とかなるので使うこともなかったけど、こうやって会議風にするなら必須だからね。
「ちょっと便利なマジックアイテムだと思ってください」
私はとりあえずそう言っておくことにして、リザさんとアストレア様に、
「とりあえず挨拶だけって思ったんですけど。他に何かありますか?」
と確認しておいた。今はとりあえず顔合わせをして貰い、リザさんが大変礼儀正しい義にあふれる御仁だと認識して貰えればそれでいい。
「そうね。じゃあ、私から一つだけ確認いいかしら」
「どうぞ、アストレア様」
「リザ、あなたは冒険者……人の命を奪ったことはあるのかしら?」
「私は恩人、ベルディナとエルティナの両名に、できる限り人の命を奪わないよう努めると約束しました。まだその約束を違えていないと断じます」
「…………分かったわ、ありがとう。あなたは良き友であるみたいね」
『大変光栄です』
「通信を終了します」
エルティナの宣言によって通信が終了しリザさんを映していたモニターが消えた。
「なるほど、あなたたちはリザとこうやってお話ししてたのね。私もそれ、欲しいわ。いくらぐらいで手に入るものなの?」
「非売品なので在庫はないですね」
とりあえず諸々後回しにして今度は例の
結局アレがなんなのか分からない。下層であれほど強力なモンスターが出現した記録はどこを探してもなかったらしい。
「たった一日でよく調べられましたね」
「下層のモンスター総覧はギルドから売り出されてるからね」
「そうなんですか私も買わないと」
「高いわよ。それに、探索系のファミリアでギルドランクが一定以上じゃないと無理ね」
「残念ですね」
残念ながら私達は探索系ではなく職人系なのでそもそも条件に合致していなかった。しかし、それだとヘファイストスファミリアとかはどうなんだろう? 職人にもダンジョンに入る人も結構多いとも聞くし。上級ファミリアだからいろいろ配慮があるのかもしれない、うらやましい限りだ。
「それであれば、新種の発見と言うことになるのでしょうか。ギルドには真っ先に報告するべきではありませんか?」
エルティナの提案はもっともだ。アストレアファミリアほどの人達がまるで刃が立たないような化け物が下層で出現するかもしれないなんて
「ただ問題は、私の想像を超えすぎていてどう報告したらいいか分からないってところね。後半はあなたに全部任せてしまったし」
アリーゼさんはため息をついてお茶を飲もうとしてカップが空だったことに気がついた。
リューさんは黙ってお茶のお替わりを全員についで回った。
「一応、私の戦闘記録もお見せできますけど。見ますか?」
「どうやって? さっきのモニターみたいに?」
「そうですね。エルティナ、お願いできる?」
「承知しました」
私はエルティナにそう伝えて、後半部分、私が超化ギガンティクスと闘い始めるぐらいのところをモニターに投影した。
戦闘記録はマグが取ってくれるので私の一人称ではなく三人称で見ることが出来る。
状況は、最初の火炎攻撃と、岩石を伴った降下攻撃に、天井から降り注ぐ流星群じみた火球攻撃を少し早送りで見せてもらった。
「こう見ると、敵のデザインの秀逸さが映えますね」
PSO2はいろいろ言われるけど、ボスエネミーのデザインは結構秀逸なものが多いと思う。ネクス・ヴェラが最終的に三本首になるのは分かってるなと思った。
「ねえ、リオン。こいつとウダイオスのどっちが強いと思う?」
「これほどの飽和攻撃で空中を自由に飛び回れてしまうと、ウダイオス以上に倒しにくいモンスターであることは確かでしょう」
『ウダイオスってたしか、階層主の一体だっけ?』
『詳しい情報はありませんが、その噂を聞いたことはありますね』
『なんか、下層以下の階層の情報って結構秘匿されてるよね。情報開示請求出したら見せて貰えるのかな?』
『調べておきます』
『よろしくね、エルティナ』
一応、例の
やれやれといった感じで会議はこれで一旦お開きになり、お茶と茶菓子の追加がリューさんによって運ばれて、ちょっとした雑談にもつれ込むことになった。
「そういえば、他の皆さんはどうされました? 案内されているときも静かでしたし」
私はふとそんなことを聞いてみた。
「いま、ディアンケヒト様のアミッドに来て貰っててね、治療をして貰ってるのよ」
「あ、そうだったんですね」
確かに、リューさん以外か結構重症だったし、アリーゼさんも見た目は平気そうにしているが時々辛そうに咳き込んでいるのを見るとやっぱり後遺症はありそうだった。
「皆さん、大丈夫でしたか?」
「そうね。元通りは行かないけど何とかするわ。輝夜とアスタには立派な義手を作ってあげないといけないし。ライラには眼鏡を買ってあげないとダメかしらね」
ライラさんは結局片目の視力は戻らず、もう片方もほとんど見えていないらしい。冒険者として復帰できるかどうか微妙なところだろうと言われた。
ネーゼさんも見た目は平気そうな顔をしていたが実際はやせ我慢だったみたいで、内臓にかなりの負担がかかっていてホームに戻って倒れてからはまだ目覚めていないらしい。
全く五体満足だったのはリューさんだけみたいで、今後のアストレアファミリアは自動的にリューさんが引っ張っていかなければならいみたいだ。なんか、輝夜さんが姑みたいになる光景が目に浮かぶなぁ。
「私達が出来ることならなんでも力になりますから、気軽に言ってくださいね」
そうして、アリーゼさんは「ありがと」と短く言うとそのままお茶を一気に飲み干して、「はぁ……」と少し気怠そうなため息をつくと、少し居住まいを正して私に真面目そうな目を向けた。
「さてと、最後になったけど、これから一番大切なことを確認したいの、いいかしら
「はい、何でしょう」
一番大切なこととはなんだろう。リザさんのことも確認したし、
「こんな風に聞くのはとても失礼だと思う。だけど、どうしても聞いておきたいの。あなた……あなたたちは何者? 私達ではまるで刃が立たなかった
ついにこのときが来たか。覚悟していたとはいえ、実際に目の当たりにするとやっぱり緊張するね。さて、FAQリストを作るのはまだこれからって感じて準備をしていないから、アドリブで何とか乗り切るしかない。
頑張らないと。
※余談※
NGSで、とりあえず現時点のストーリーを完走しました。
リサージェントアークスって、正義のフォトナーって感じがしました。
志が異なっているとはいえ、敵を倒すためにアークスを作ったということで、結局やってることは同じなのかなぁと。逆にフォトナーがクズ過ぎたという反省がシナリオライターにあったのかもしらん。
(一瞬だけ、4thクローンがガロアになるんじゃねと期待したけどそんなことはなかった【重大なネタバレ】)
ちなみに、4thクローンを最初見たとき「あれっ?」って思いませんでした? なんか、ブルプロの最初の操作キャラに似てると思ったのは私だけかな……