ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある 作:柳沢紀雪
今回はアンケートを設定しておりますので、是非とも回答をお願いします。
ロキファミリアの集団を気づかれないように何とか追跡してたどり着いた先には、先遣隊と思われる人達の集団が待ち受けていた。
ルドラファミリアの眷属の一人も逃さないように包囲しているのだろうと私は思い、リューさんの姿を探そうとしてその必要が無いことを理解した。
『ライラさん。リューさんを発見しました。ロキファミリアの人ともめてますね』
HUDのモニターに映るリューさんを望遠で眺めると、長身で緑髪エルフの女性と押し問答している様子が見て取れた。
『ギリギリ間に合ったか。アタシらももうすぐそこだ』
私はレーダーに映るライラさんの光点がもうすでに私の光点と重なりつつあるのを確認し、屋根の上から二人を捜して見つけ出した。
「お疲れ様です、アリーゼさん、ライラさん」
私は地面にスタッと三点着地して、ようやく二人と合流できた。
「リオンを見つけてくれてありがとう、
「あっちです」
私は建物の向こうを指さし二人を案内する。
その先には少し開けた広場のような場所に幾らかの人が隊列を組んで待機していて、その先の狭い裏路地を塞いでいるように見える。
おそらくその路地の向こうにルドラファミリアのアジトが控えているのだろう。すでに
「そこをお通しください、リヴェリア様。私は正義の鉄槌を下さなければならない」
果たしてリューさんの介入はフィンさんの詰み手に含まれているのだろうか。盤上の駒は盤上では正しく振る舞い、プレイヤーの意志に従うが、盤外から小石の一つでも投げ入れられればあっという間にゲームは成り立たなくなる。
「それは、ただの復讐だリュー・リオン。怒りに身を任せ、我を忘れているお前を私は通すわけにはいかない」
リヴェリア様と呼ばれた凜々しいエルフの美人さんは手持ちの杖を掲げてリューさんを威嚇するように制止している。
「やつらが原因で仲間が死んだのですリヴェリア様。私は仲間の無念を晴らさなければならない」
「それはお前だけではないリュー・リオン。ここにいる者達の多くも、ここにいない者達の多くも
「しかし、リヴェリア様……」
「そこまでよ! リオン」
なおも詰めようとするリューさんにアリーゼさんが待ったをかけた。
「アリーゼ、なぜここに」
「あなたがここにいるからだわ、リオン。ギルドから待機命令が出てる。帰るわよ、リオン」
「あなたも止めるのか、アリーゼ」
「いい加減に子供みたいな駄々をこねるな、リオン。この件はロキファミリアとガネーシャファミリアに任されたんだ。アタシ達の出る幕はもうねぇよ」
「私は許せない。絶対に
そう言ってアリーゼさんは輝夜さんから借り受けた小太刀を納め、ホムラノベニレンゲを抜き去り私達に向けた。
「すみませんリヴェリア様、この落とし前は私達が付けますので、この場は見逃してください」
「もとより私はここを封鎖することを任されている。それを邪魔しないのであれば好きにするといい、アリーゼ・ローヴェル」
「面目ねぇ、フィンにはよろしく言っておいてくれな」
アリーゼさんとライラさんはリューさんを殴ってでも連れて帰ると言っているが、はっきり言って二人では勝ち目はないだろう。というか、さっきリューさん、二人が相手って言ったよね? ひょっとして私、見えてない? 悪かったね背が低くて(138cm)。
「その武器を抜くのなら私も黙ってはいませんよ、リューさん。私も本気で止めますからね」
今回は会合だけだから巨剣は昨日の時点でメンテに出してしまっていて手元にない。こんなことになるのなら予備の武器を調達しておくべきだったと本当に後悔している。
「まって、
私が虚空から雪のごとき真っ白に輝く細剣――フェリシテエーデルをかぶせたリンザータラッサ(雷)を取り出したところでアリーゼさんがかなり焦って私を止めにかかった。
「大丈夫ですよ。そうならないように調整します」
「甘く見るな。私はもう逃げない!」
「その意気やよし! その武器の使い方をしっかりとレクチャーしてあげます」
果たしてリューさんはアークスの武器を扱えるだろうか。直ドロで潜在能力もまだ解放していない、スロットが8つに光属性値+60が解放されているだけが取り柄の無強化武器で、特殊能力もほとんどが低スペ過ぎて頭を抱えたくなるものばかりだ。
カタナにテクニック3とか誰得って感じだし、パワー3とアーム3に、スタミナ3とヴォル・ソール、スピリタ3、アビリティ3とか、もうちょっとマシなオプション付けようよと言いたくなるばかりだ。
唯一、超化エネミーからドロップしたのか、イクシード・エナジーが付いているのは良いことだけど、そもそもSOPが付いていないのは論外なんだよね。
「不思議だ。この剣を抜いた瞬間、体に力があふれるように思える」
まあ、若干ではあるがアビリティ補正が付くからその通りではある。
「詳しいことはまた後で説明しますね」
私も自分の武器を構え、念のためユニットとマグの全部を有効化した。
【『非戦闘状態』を解除/『訓練状態』にて起動】
フェリシテエーデルを構える私をさすがに警戒してか、リューさんもなかなか攻撃を仕掛けてこない。
と言っても私も大勢の見守る中で派手な立ち回りを披露するつもりはない。変に注目されると後が面倒だし、何よりも恥ずかしい。
「参る!!」
リューさんが裂帛の気迫とともに一気に後ろ足を踏みしめて爆発的な速度でかっ飛んできた。
「おい、いつもより速くねぇか?」
私は向かってくるリューさんに合わせるようにフェリシテエーデルを刺突の形に振りかぶって、攻撃が当たると同時に
「なっ――」
勢い余って明後日の方向に吹っ飛んでいくリューさんは、それでも空中で何とか体勢を立て直して地面にかっこよく着地した。私もあんな風なカッコイイ女になりたいものだ(無理)。
「今のは……攻撃がはじかれた? ……いや、打ち消されたのか」
大体あってます、さすがリューさん。
「降参しますか?」
「ぬかせ!」
ちょっと口がお悪くなっておられる。ライラさんほどではないから、まだ少し上品な感じがあっていいね。
「そんなまっすぐな攻撃じゃ、私に当てるなんて一生できませんよ」
「馬鹿にするな!」
といっても、当たる寸前に前にステップしてやれば――ほら、攻撃がすり抜けてそのままリューさんの背後を簡単にとれてしまうのだ。
そしてそのままカウンターを背後から、急所は完全に外して打ち込むと衝撃がリューさんの体を抜けて完全に動きが止まってしまった。
「あなたは――いったい何で出来ているのだ」
大変失礼な言い方だが、その気持ちは分かる。しかし、これがアークスの戦い方だ。
「私は私です。オラリオの外からやってきた、冒険者としてダンジョンに潜るしか他にないただの女の子ですよ」(21歳)
今の私は一般アークスであり、ごく一般的な冒険者だ。ランクアップ出来ただけで上澄みと言われるけど、それでもまだまだ中層しか周回できないありふれた冒険者でもある。まあ、最速記録とか言われてるけど、記録なんていずれ誰かに破られるようになってるんだから、大したことないよ。
「くっ……」
リューさんは素早く飛び退いて再び私に向き合ってカタナの切っ先を向けた。
「じゃあ、次は私の方から行きますね」
私も少し上体をかがめて細剣を構え、フレシェット/ムーブアーツを発動させた。
予備動作なく加速し対象の懐に一気に飛び込んで数発の斬撃を放つだけの実にシンプルなPAだが、そのぶんあらゆる攻撃の起点になり得る優秀な技だ。
「速い……」
私の突進に剣を合わせようと振りかぶるリューさんだが、それはカタナ使いのすることではない。
「鞘を私の攻撃に合わせるように当てるんですよ。それが、その武器の使い方です」
今にも接触しようかといったところで、私はリューさんの耳に届く程度の声で、短く言葉を放った。
「鞘を……? 合わせる?」
リューさんもほとんど無意識に腰に差していた鞘を引き抜き、それを私の攻撃に何とか当てようと上体をひねった。かなり無理のある姿勢になってしまい、今にも倒れ込みそうだったが、振るわれた鞘は間違いなく私の細剣の刀身に接触し、淡い光を放った。
「湧き上がった力を感じたら一旦カタナを鞘に収めて、その流れのままに抜刀すればいいんです。それが、その武器の正しい扱い方です」
リューさんによって引き抜かれた刀身からは強力な衝撃波が発生し、攻撃をキャンセルされて動作を固定化されてしまった私に襲いかかった。
「その感触を忘れないでください」
私は口元に笑みを浮かべ、衝撃に身を任せて宙を舞い、そのまま背中から地面にたたきつけられた。
もちろん、ユニットを有効化しているので大したダメージはない。
「いったい、なんなのだこれは。精神力の消費をまるで感じない……魔剣なのか?」
空には星が瞬き、月が煌々と輝いている。暗黒時代の終わりだ。その花道を歩むのはおそらくフィンさんなのだろう。それを邪魔してはいけない。
「もう、これで終わりにしましょう」
私はゆっくりと立ち上がり、フェリシテエーデルを何度か素振りをして次の攻撃に備えた。
リューさんはカタナを鞘に収め、ぐっと上体を低くして次の渾身の攻撃に備えた。そのまま加速して高速攻撃をするもよし、相手の攻撃を鞘で受けて強力なカウンターをたたき込んでもいい。どちらにせよ相手の行動を全てキャンセルできるあり方こそがアークスたるものだ。
「いいえ、もう終わりよリオン」
「アリーゼ……なにを……。あぁ…………そうか……私は、間に合わなかったのか……」
リューさんに背を向けるアリーゼさんの向こう側、細い路地のさらに奥、家々が立ち並ぶ先、そこに巨大な光の柱が天へと昇っていった。
「なに?」
私はそれを見たことはない。だけど、何か大変なことが起こっていることだけは分かる。
「神の……送還……」
「そうよ、リオン。終わったのよ。ルドラファミリアは消滅した。後に残るのは
そうか。神様が天にお戻りになるときはあのような光と共に地上に別れを告げるのか。もう、二度と戻れぬ場所を見下ろしながら帰っていくのか。
「………………正義は……もはや果たされてしまった……。そうですね?」
「………………」
「もう、私が出来ることはなにもない……ならば、私の正義は、いったい、どこにあるというのか!!」
リューさんの叫びは悲痛に染まっていた。私にそれに返す答えはない。しかし、戦いは終わった。私はフェリシテエーデルを量子化して武器スロットに格納した。
「あなたの正義は、あなたの心臓に突き刺さっている。決して抜けることはない。そうでしょう、リオン」
アリーゼさんの言葉はおそらくリューさんの心に突き刺さったのだろう。悲しみと怒りにこわばっていた身体からすべての力が抜けていくように見えた。
「私の心臓……決して抜けることはない……」
カランと乾いた音が広場に響き渡った。それを見る人の目は多いが誰も言葉を発することはない。
一つの正義が果たされ、一つの正義が今終わったのだ。
それを見届けた人々の思いはどこにあるのか。喜びや達成感よりも何かが終わってしまったという虚無が一瞬人々の間を通り抜ける。
黄金の髪のエルフはカタナを取り落とし、膝を折り、天を仰ぎ、星を瞳に宿し、月に見つめられ、見開いたまなこからハラハラと落とされる鈍色の雫が大地をぬらし消えた。
強く輝く月の光は冠のような虹をたずさえ、私達を優しく包み込むようだった。
■ホムラノベニレンゲによる冒険者アビリティ加算値
耐久+90
精神力+9
力+1857(125+1083+649)
魔力+95
器用+35
物理防御力+35
魔法防御力+35
※力だけならレベル2つ分のアビリティ補正なので、
ベルディナにとっては役立たずでも、冒険者にとっ
ては十分チートなのではと作者はいぶかしんだ。
●詳細
[基礎アビリティ加算]
力+1083
[属性値加算]光+60
力+649(=1083×0.6)
[潜在能力]
解放されていない
[特殊能力]SOPスロット無し
テクニックⅢ
パワーⅢ
アームⅢ
スタミナⅢ
イクシード・エナジー
ヴォル・ソール
スピリタⅢ
アビリティⅢ
これをもちましてようやく一段落を迎えることが出来ました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
※今後の方針について
次話の投稿後、いったんプロットの練り直しで時間を貰います
その上で今後の展開についてアンケートをさせてください。
問)今後主人公(ベルディナ)が4~5年後の原作開始時点で、
どの程度のレベルになっているか。現在レベル2です
必要レベルに応じて経験値取得ルールを考えようと思います。
よろしくお願いします。
今後主人公は原作開始(数年後)までどれぐらいランクアップするか
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レベル2
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レベル3
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レベル4
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レベル5
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レベル6
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レベル7
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おまかせ