型月世界の西遊記   作:筆折ルマンド

7 / 10

ウチの花果様は基本的にテンションをほんの少し下げた謎のヒロインxなんですが、書いてて「あ、キャストリアだなコレ」と思ってます。
まぁ、キャラ設定そのものがキャストリアとアルクェイド足したようなものなので仕方ないのですが。


幼王の瞳

 

 千里眼

 ずっと遠くまで見れる良い瞳。

 あまりにも詳細に事象を観測出来る事で、予知にも似た未来予測を可能とし、人の心をも見透かす遠見の魔眼。

 

 もっとも、私自身が持っている千里眼は、

 勇士が鍛錬の末に手に入れる洞察力の敬称のようなものではありません。

 

 戦艦が索敵半径数百kmのレーダーを持つのと同じ。

 地球外生命体との戦闘を想定する巨神なら、

 少なくとも太陽系全体を見張れるだけの知覚範囲が必要なのは自明の理。

 私の千里眼は仮想敵が途方もなく巨大であるが故に、私の観測能力もそれ相応のスケールが必要だから備わっているという生まれ持った特性なのです。

 

 当然ながら空の彼方を見渡す私の瞳は、地球上の全てを見通す事が出来ます。

 ふふん、凄いでしょう? 

 

 ただまぁ、そうは言っても私の頭は1つだけなので、流石の千里眼でも一度に一つの画角しか見る事は叶わないのですが。

 

 ◇

 

 花果山 山頂

 天辺に土を盛って慣らし、そこに草花を生やして寝転がります。

 サクサクと小気味良い音を立てつつ手触りは柔らかい。

 芝の青い香りと花のほんのり甘い香り、晴れた日の空気の香りも清々しい。

 

 水簾洞の澄んだ水の香りも好きですが、やっぱり、霊猿のみんながいるからか、あそこは少し騒がしい。

 その騒がしさが良いと思う気分の時もあるのですが、最近は静かな方が好きな気分の時が多くなっていました。

 

 気楽な王様ごっこも、変化が無ければそれは退屈に繋がります。

 

 ましてや、人間の王様なら考えるべき民の安全や食料に娯楽などは、そもそもが野生動物の王国には必要ありません。

 少し地母神の権能で食料となる植物を生やしておけば、後は放っておいても無問題。

 

 霊猿の皆はとても安上がりな、っとと。

 うん、みんなとても良い子たちなのです。

 

 ですので、ね。

 

 ちょっと読書に耽るぐらい良いですよね? 

 

 ◇

 

 千里眼はその機能を十全に発揮して、花果山に居ながら数千キロも離れた光景を目の前で見ているかのように観測できました。

 私は毎日の様にこの目を使って、世界中を観察していました。

 

 時折、異常に感の良い方がこちらの観測に気付いて目が合うこともありましたが、それはそれで楽しい気分になります。

 なんというか、趣味の一致のような。そういう一種の意気投合に似た感じ。

 

 まぁ、見られている向こう側は、あまり良い印象は持っていない様でしたけど。

 そりゃあ、私だって1人でゴロゴロしてる今の姿を他人に見られたくはないので、人の事は言えませんが。

 

 ◇

 

 千里眼で多くの景色を見ました。

 

 天界で、老爺の様に茶をすする神々を見ました。

 

 死を迎えた白装の人々が、冥界で裁可を待つ行列を見ました。

 

 人界は未だ混迷を極め、小さな幸せと、それを押し流すほどの悲喜交々で沸き立つ戦禍が渦を巻いていました。

 生きるだけで必死だった時代を越え、生き方の自由を初めて得た人類は、

 得た自由の可能性を持て余し、溢れ出す欲望のままに大きな何かを奪い合う事に熱狂していました。

 

 それを非合理だなんだと笑うつもりはありません。

 動物とはすなわち非合理性の塊、世界に対する乱数そのものですから。

 戦争とは、弱肉強食のワイルドルールが今も人間に適応されたままである証明であり、多少偉ぶった所で人間が動物のままであることに変わりは無かったのです。

 

 ◇

 

 世界において

 私を知った存在の私に対する反応は大きく3つに分かれます。

 

 敬うか

 

 放っておくか

 

 警戒するか

 

 このいずれかが必ず該当します。

 

 野生動物や精霊の多くは私が生物に対する上位種である事を本能的に察して私を敬います。

 

 神々の多くは、私がどういう存在か、分かる人も分からない人も、神秘が減衰し、もうすぐ寿命を迎える自分たちには関係無いと私に対しては不干渉を決め込んでいます。

 

 そして残る私を警戒する存在。

 それは端的に言えば人間でした。

 

 私の存在を知る人間。

 それはすなわち仙人と呼ばれる人たちのことを指します。

 

 正確には元人間

 100年単位の修練によって自然と半ば一体化し、精霊の領域に踏み込んだ

 言ってしまえば「生きたまま幽霊になった人間」

 

 それが仙人です。

 

 彼らのみが、私を警戒していたと言っても過言ではありません。

 

 まぁ、当然と言えば当然ですね。

 

 これからの世界

 次の時代の主役は言うまでもなく人間です。

 ですが、私という存在は人類が主役となるべき時代に割り込み、人類を支配下に置くことが出来ます。

 

 私は、生命を創造し、同時に回収する能力である地母神の権能を、無限の出力のエンジンに転用している戦闘用の巨神ですが、その権能を本来の用途で使えない訳ではありません。

 

 その気になれば時間はかかっても地上の生物全てを隷属し地上世界を完全に支配するのも不可能ではないのです。

 

 途方もなく面倒そうなのでやる気はありませんが。

 

 それ故に、私がどういう存在かある程度理解している人間が私を警戒するのも仕方ないことなのです。

 

 ただまぁ、私にはそんなやる気これっぽっちも無いので、彼らの心配は杞憂です。

 

 というか、そもそも「心理戦は鏡写しの如し」と言う様に、相手の行動を予想する行為は、もし自分が相手の立場なら何をするか? が根底にあります。

 つまり、仙人の人たちは「もし自分が全能なら、戦争を止めるために積極的に人間界に介入していた」と言っているようなものなんですよね。

 

 おそらくは、能力の限界か半自然霊としての縛りか、極端に人間に干渉出来ない事、人間の争いを止められない事に不満を抱いていたんでしょう。

 

 そう考えると彼らも少し可哀想に思えます。

 彼らの根底にあるのはより多くの人を戦争から遠ざけたいという善意ですから。

 

 その想いの裏返しで私を疑ってかかるのは辞めてもらいたいですけどね。

 

 ◇

 

 私の事を特に警戒していた須菩提祖師という仙人が、弟子を私の所に送り込もうとしていたのには気付いていました。

 

 須菩提祖師さんが遠見の魔術で私の事見てるの、私、気付いてたんですよね。

 

 深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている

 

 という奴です。

 神代の魔眼というものは出鱈目で

 目からビームを撃ったり、

 自分が見た物体を石にしたり、

 最たる物は「見た者を殺す」

 なんてど直球な代物まであります。

 

 そんな訳で私にはそう言った呪詛に対する耐性があり、逆探知も簡単に出来てしまうのです。ブイ。

 

 須菩提祖師さんは赤い戦士風の弟子と青い術師風の弟子の模擬戦を眺めて、そして赤い人の方を選びました。

 

 十中八九、彼を私の所へ送るのでしょう。

 

 須菩提祖師さん。

 良い選択をしましたね。

 私としても、その赤髪の人と青髪の人だったら断然赤髪の人の方が良かったですね。

 

 真面目そうだし。なんだかんだ甘そうだし。

 はい、是非とも仲良くさせていただきたいものですね。

 

 花果山の山頂、ひゅうと風が吹いて彼女の髪を広げる。

 千里眼を閉じて伸びをする美候王は出迎えのサプライズについて楽しげに思いを巡らせた。

 

 ◇

 

 ──────

 ────

 ──

 

 美候王の存在には意味が無い。

 

 厳密に言えば、まだ『その時』ではない。

 

 彼女は天才科学者のとっておきの様な物。

「こんな事も有ろうかと」と

 世界が危機に陥った際にのみ表舞台に立つ

 

 地球の秘密兵器

 

 ただし、彼女はまだ成長の途上であり

 彼女は未だ幼年期(モラトリアム)の只中にあった。

 





1章ヒロインは実質キャストリアだし

2章ヒロインズは三蔵ちゃん・白竜・赤毛のお人好し・食いしん坊
の予定なので

あれ、コレ、実質妖精國なんじゃね?と思ったり

今なら水着パワーでお気に入り登録アーップ!
…姑息がすぎるな

Q.もし花果様が妖精國アヴァロン・ルフェに派遣された妖精だったらどうしてた?

A.とりあえず既存の妖精は一旦皆殺しにしてから、精神性を健全な状態に改造してから再誕させてる。
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