強大なマキナイト、鉄道卿ギースレーリンと斬首卿アルベリヒとの戦いが続く中。
シルキィは彼らの帰還を祈って、震えながらも指を組んでいた。
そんな彼女に声をかけるのは、仮面の男のVだ。
「心配ですか? 彼らのことが」
「そりゃそうだろ! 相手は四傑伯、ワタシもできる限りの事はしたけど……!」
「あぁ、すいません。愚問でしたね」
フフッと笑いながらVはそう返し、壁に背を預ける。
この男はなぜそこまで安心しているのだろうか、とシルキィは考えた後、ふと周囲を見回した。
「そういえば博士くんたちがいないな、どうしたんだろう」
「彼女らの居場所なら私が知っていますよ。あなたもどうぞ」
突然の一言に尋ね返す暇もなく。
シルキィは、室内から姿を消した。
《
空久里学園の敷地内にて、四傑伯の一人である鉄道卿のポーダ・ギースレーリンと、シモンが変身する超邪甲騎士ルーガルー・タイラントと対峙した千種。
紬の手で届けられたギミックアンバーを装填した後、彼は勢い良くホーングリップを倒した。
「変身!!」
《
瞬間、地面から炎が噴き上がって千種の身体を包み込み、燃え盛る繭を形成。
その中にいる千種の影が、アンダースーツや装甲を纏って徐々に変化していく。
《
音声と共に、炎のカーテンを内側から出て来た両手が引き裂いて破り、中から変身した千種が姿を現す。
黒いアンダースーツの上に、炎のように真っ赤な装甲、眼部はオレンジのバイザーで覆われている。
それだけであればライノアーマメントとほぼ変わらないが、この形態はさらに炎を模ったクリアレッドの装甲が追加されている他、両腕・両脚には銃身が三つずつ備わっていた。
また、両肩と背中には、まるで天を支えるように巨大な角が伸びており、頭部も同じく三本角が付いている。
《
「……さぁ、行くぞ!!」
仮面ライダーダイナスト アトラスアーマメント。両拳を握り込み、彼は一直線にムカデのマキナイトへと殴りかかった。
その進撃に対し、ルーガルーは離れて動向を見守り、彼女は拳で応える。
「力で私に敵うものかァッ!!」
拳同士がぶつかり合い、重い打撃音がその場にいる者たちの耳を叩く。
自信に満ちた笑い声を発していたアルキュオネであったが、彼女の一撃はダイナストを砕くには至っていない。
「互角……!?」
「いや」
仮面の奥で千種が不敵に笑い、瞬間。
アルキュオネの拳が、赤く
「ガッ!?」
何が起きたのか理解が追いつかないまま、センチピードはよろめき自分の腕を見下ろす。
右拳の表面に焦げ目がついて、骨が露出している。再生は既に始まっているが、焼けた臭いと血煙を吐いていた。
「な、ん……だぁ!?」
「もっと行くぜ!!」
驚く間に、ダイナストは再び拳を握って突っ込んで来る。
そしてよくよく見れば、その手は僅かだがオレンジ色に発光していた。
酷く嫌な予感がして、アルキュオネは腕力勝負を避け、必死に拳打から身をかわす。
しかし拳が脇腹を掠めてしまい、その箇所がオレンジ色に数度明滅したすぐ後、先程同様に爆発した。
「グゥッ!?」
痛みに苦悶するセンチピード・アルキュオネだが、浅く狭い位置にヒットしただけなので軽傷で済み、回避の甲斐あって彼の能力への理解に至る。
「お前の拳は、その光は……触れたものを爆発させるのか!!」
「そういうこった。完成前にシルキィから説明受けといて良かったぜ」
言いながらダイナストは、再び敵を爆破せんと拳を突き出す。
しかし能力の正体が割れた以上、アルキュオネも容易く受けはしない。
腕の動きに注意を払い、トゲの鞭を使って距離を取りながらの攻撃に徹する。
「拳にさえ当たらなければ!」
「と、思うよな」
直後、ダイナストの両腕についた銃口から、小さな物体が飛び出して来た。
一本角の赤いカブトムシに似たそれは、アルキュオネの鞭にぶつかると、音を立てて爆発する。
「ぬぉ!?」
小規模な爆発であったが、その小型爆弾の火力は鞭を破壊するに至り、ムカデの騎士は苦しげな呻きを上げた。
「だがまだだ! 鞭にも再生能力が……あ?」
半ば程まで破壊された手元の鞭を見下ろして、アルキュオネは目を細めて訝しむ。
爆発で千切れバラバラになった鞭の残骸が、カチカチと音を立てて
矢尻のような形状になり六発ほど作られたそれらは、女ムカデの方を向いて底部から火を吹き飛び出していく。
いわゆる、ミサイルだ。
「な、にぃぃぃ!? ぐあはっ!?」
ミサイルがアルキュオネに高速で殺到し、直撃の後に爆発。
先程よりも破壊力の高い爆撃が、無防備な彼女の身体を抉って焼いた。
ダイナストはフンと笑い、右手の人差し指をアルキュオネに突きつける。
「こいつがアトラスアーマメントの真の能力だぜ! 爆破したモンを作り直して、さらに爆破する! 超々攻撃型形態だ!」
「おのれぇ……!」
よろめくギースレーリンは、自らの左手にあるムカデの刻印を再び輝かせた。
「BOAギガス! シフト!」
そして、アルキュオネの身体が蒸気に包まれて変質していく。
蛇竜のような長く赤黒い巨体に、頭部に付いた毒が滴る二本の鋭いキバ。無数の足からは蒸気を噴き、それを纏ってキバを噛み鳴らし威嚇している。
ペルビアンジャイアントオオムカデのマキナイト、センチピード・マキナイト・ギガスだ。
「破壊力で押し負けるのならスピードと搦手だ! 今度こそ終わらせてやる!」
センチピード・ギガスはそう告げると、巨体に見合わぬ凄まじい速度で駆け出し、魔王を取り囲んで走り回った。
放つ蒸気は酸性らしく、ダイナストを溶かさんとして、シュウシュウと音を立てて迫る。ルーガルーも近づく事ができず、動向を見守っている。
「どうだ、この酸の蒸気からは逃げられまい! 私の姿さえ見えんだろう! そしてぇ!」
ヒュッと風を切る音と共に、ギガスは何度も飛びかかって、その毒牙で彼を斬り裂こうとする。
ダイナストの方は酸に焼かれないよう必要最低限の動きで回避に動き、毒にかからないために装甲だけで防ぎ続けた。
だが、やがて一歩も動けない程に酸蒸気が張り巡らされると、ギガスは好機とばかりに背後から首を狙う。
「覚悟しろ!」
その牙が当たる前に、ダイナストは手に持った銃で地面に向かって連射。
すると先程と同じように爆発が起こり、抉れた地面がミサイルへと再構築され、背後の大蛇めいたムカデに飛んでいく。
「なに!?」
「喰らいな!」
真っ直ぐに飛んで来るミサイルを、その圧倒的スピードにより、ギガスは身を捩る形で寸でのところで全て避ける。
「当たらなければぁ!!」
外してしまったミサイルは全て空中で爆発し、ギガスは短く息をつきながらも再びダイナストへ襲いかかろうと首を動かす。
だが、既に
ギガスが回避に動いた瞬間から、ダイナストは拳を地面に叩き込んでいるのだ。
そして、蒸気に包まれた二人の周辺一帯がオレンジ色に明滅する。
「しまっ……!!」
「もう遅ェ!!」
直後、引き起こされる大爆発。
土が巻き上げられ、酸の蒸気は散り散りになり、ギガスは中空に吹き飛ばされた。
さらに。
爆破された土は再構築され、ギガスの頭上にてミサイルの弾幕に変わっている。
「う、うわぁぁぁ!?」
如何に素早く動けようと、空中ではどうしようもない。
そして地上に目を向ければ、そこにはドライバーを操作して待ち構えるダイナストがいる。
《
「こいつで終いだ」
《アトラスビートル・ダイナスティダイナマイト!!》
ギガスがミサイルの爆撃に撃ち落とされた後、右足にオレンジ色の膨大な光を溜めたダイナストは、そのまま強烈な回し蹴りを叩き込む。
爆発のエネルギーが即座に流しこまれ、全身が発光。明滅の後――。
《
大爆発を起こし、変異の解けた裸体のギースレーリンが上半身だけになって地面に落ちた。
「俺の勝ちだ」
爆炎を背に、ダイナストは拳を掲げて静かに告げる。
一方、ソーマの変身した仮面ライダーレギウスは、アルベリヒの変異したマンティス・マキナイト・ゴーストを相手取っていた。
視界内の物体をすり抜ける事ができるマンティス・ゴーストは、レギウスの斬撃や氷壁をその力で避けながら、両腕の刃で攻撃している。
「く!」
レギウスはというと、攻める事も防ぐ事も困難な状況に苦しまされていた。
「いい加減理解しろ。貴様では、儂には勝てん」
「……どうかな?」
そう言いながら彼が手にしたのは、千種から受け取ったマルスギミックアンバー。
スタッグビートルのものとそれを差し替えると、すぐにキーをひねってマンディブルハンガーを開いた。
《
「アーマーアペンディクス!」
《
レギウスの両肩や両脚、背部などに追加される装甲。
それらは、ダイナストのマルスアーマメントが纏っていたものと同一のものであった。
《
片手に一本ずつ持った剣を構え、僅かに腰を落とすレギウス。
だがその姿を見ても、ゴーストは全く怯む様子を見せない。
「それがどうした!」
言いながら両腕の鎌を大きく振り被り、迫っていく。
瞬間、レギウスは自らの双剣を赤く閃かせた。
「ウッ!?」
剣から咲いたのは氷ではなく炎。振り被れば無数の火球が飛び、ゴーストの方へ直進する。
「それがどうしたぁ!」
しかし、想定外の攻撃に一度ゴーストは怯みはしたものの、すぐに無関係とばかりに突撃を続ける。
炎であろうとすり抜ければ問題ない。その考えから、今まで通りに斬りかかれば良いと判断したのだ。
レギウスもそれは承知の上で、敵が高周波の鎌を振り上げると同時に、剣から炎を噴き出す。
「フン、なんの真似だ……!?」
炎など容易く斬ってやろう、と鎌を振り下ろした、その時。
ゴーストの両腕が、真っ赤な炎に彩られた。
「う、うおおおおお!?」
「やはりそういう事か。敵を斬る時、鎌のある腕はその瞬間だけは実体化しているんだな。でなければその鎌は、僕の身体をすり抜けていなければならない」
「何をしたァ!?」
「特別な事じゃない。ただ……どんな物体でも斬り裂く高周波の刃でも、元々形のない炎なら……と思っただけさ」
燃える腕に意識が向いて狼狽している間に、レギウスは剣を振るってその鎌を腕ごと砕く。
「ぐあああァッ!?」
「そしてこれで武器は壊れた! 僕の勝ちだ!」
決定打を欠いた今、カマキリの騎士に抗う術はない。
そう思ってレギウスは勝利を宣言するものの、マンティス・マキナイトは怒りのまま頭を振る。
「まだ、まだだ! BOAドラゴン、シフト!」
蒸気に包まれたその身体が、徐々に巨大なシルエットを形取っていく。
長い首に角のようにも見える触覚、無数の刃がついた刺々しい鎌に巨体を支える四本の脚、そして長い尾と拡がった大きな翅。
まさしく西洋の龍を思わせるその怪物は、オオカレエダカマキリの騎械、マンティス・マキナイト・ドラゴンである。
「喰らうが良い!!」
叫びと共に、今度はマンティス・ドラゴンの方が真っ赤な炎の塊を吐き出す。
レギウスは氷壁を生み出してそれを防ぐものの、豪火は容易く氷を溶かし切ってしまう。
「チッ!?」
「たかが人間風情が! 儂をこの姿にしたことを後悔させてやる!」
さらにドラゴンは自らの腕を振り抜き、鎌で抉るように氷の壁も地面も斬り裂く。
ゴーストの時とは異なる、圧倒的パワーと炎の息吹によるゴリ押し。
如何に防御に優れたレギウスでも、このまま凌ぎ切る事は難しく、装甲に裂傷が目立ち始める。
「ゴーストが暗殺や回避に特化した形態なら、こっちは強攻殲滅形態といったところか……!」
振り下ろされた鎌を横目に見ながら、レギウスは地面に二つの剣を突き刺す。
それを降伏の証と見て、ドラゴンは大口を開けて特大の炎を吐き出さんと息を吸い込んだ。
「終わりだ! 小僧ォッ!」
「いいや終わらない!」
レギウスはそう言ってハンガーを閉じた後、キーをひねり再び開く。
すると、音声と共に彼の周囲を再び真鍮の繭が覆って炎を防いだ。
《マルスエレファントビートル!
「とっておきだ!」
そうして繭から飛び出して来たのは、上下に重なり合う赤のカブトムシと青のクワガタ。
本来ダイナストとレギウスの合体形態であるはずの、ヴェイパー・デュアルビートルであった。
シルキィの手により、単独での発動を可能としたのだ。
「なんだ!? その姿は……!?」
「ハァァァーッ!!」
炎と氷の弾幕が、雨霰とドラゴンへ降り注ぐ。
対し、マンティス・ドラゴンも炎のブレスで攻撃を防ぐが、直後に炎の幕を突き破ってデュアルビートルの角が胸を貫いた。
「グブッ!?」
「まだまだ!!」
デュアルビートルはそのまま右方向へ身を動かし、肉を削いで抉り取る。
さらに自身のハサミで右側にある二本の足を断って落とし、続け様に背中へ氷塊を落として翅を潰した。
蒸気解放の効果が切れるまで残り約一分。その時が来るまで、レギウスは攻撃を続行する。
「く……侮るなよ小僧!」
ドラゴンが炎を両腕の鎌に吹いて振り抜くと、無数の炎の刃がデュアルビートルへと飛んでいく。
氷の壁では溶断されて防げない。咄嗟にそう判断して、レギウスはバレルロールの要領で紙一重で回避する。
そして唖然としているカマキリの龍へと、冷気を纏う角とハサミを叩き込んだ。
「ぬわあァァァッ……!?」
喉へ食い込む痛みに、苦しみ呻くマンティス・ドラゴン。
それと同時に、レギウスの蒸気解放が解除された。
耐え切った。そう確信を持ったドラゴンは、残った足で体を引き摺りながら鎌を振る。
「今度こそ、儂の勝ちだ!!」
地上に落下しつつあるレギウスが、その刃に斬り裂かれようとしていた、その時。
カマキリのドラゴンの腕は、突然としてピタリと止まってしまう。
「あ……っ?」
止まったのは腕だけではない。
頭がほとんど動かせず、歩みもさらに遅くなり、呼吸も苦しくなっている。
何よりも――寒い。
「ま、さ……か!?」
凄まじい寒気と喉からの出血が途絶えている事に気付いた時、アルベリヒは理解した。
先程のデュアルビートルの一撃。アレに深々と刺され、冷気を流し込まれ凍結させられた時点で、既に勝負はついていたのだ。
レギウスは無傷で着地した後、地面に刺したままのレギウスラッシャーを拾って組み合わせ、ハサミの形を作る。
《シザーモード!》
「僕の勝ちだ」
《
レギウスラッシャーが青い光の刃を発振し、それがマンティス・ドラゴンの身体を左右から挟み込む。
その一撃はカマキリの龍の凍りついた巨体を徐々に締め上げていき、レギウスが腕に力を込めると同時に、喉に空いた穴を閉じるようにして一気に圧し潰す。
《
「斬首卿、討ち取ったり……!」
アルベリヒが完全に砕け散り、バラバラと氷の破片が地へ落ちる中、レギウスは静かに息をつく。
《ツインモード!》
「よし、ダイナストも勝ったようだな。後は……!?」
レギウスラッシャーを双剣の状態に戻した後、上空で破壊音を聞いて、彼はハッと目を見張った。
ダイナストとレギウスが、それぞれ四傑伯を打倒した直後。
「あーあ、なっっっっっさけないなぁ~。四傑伯を名乗ってるクセにさぁ、揃いも揃って何やってんの? カス共がよ……」
内側から石の檻と水の牢を破壊したジル・ド・レスピナス――スコーピオン・マキナイト・エンペラーは、溜め息と共にゆっくりと着地する。
「やっぱ俺ちゃん以外は器じゃなかったって事なのかねぇ、こうも差があるとは思わなかった」
両腕の大きなハサミをシャキシャキと開閉し、首を鳴らして再びの溜め息。
その様子に、ダイナストもレギウスも、ルーガルーでさえも愕然としていた。
彼らの目から見ても、あの檻はそう簡単に破壊できるものではなかった、はずなのに。
まるで些事であったかのように、スコーピオン・エンペラーは平気な顔で欠伸している。
ダイナストたちはそんな彼に戦慄し、それと同時に激戦を想起し身構えた。
だが、そんな時。
「ジ、ジル……!!」
「おー?」
ジルの足元で、体を激しく損壊したポーダ・ギースレーリンが口を挟む。
「私は……私はまだ、やれる……! 人間の血を、分けてくれ! 飲めば、この傷が治れば……まだ、まだ戦える……やれるんだ!」
「……」
「頼む! このままでは終われない!」
血涙を流し、亀裂が走った右腕を伸ばして懇願するギースレーリン。
ジルは彼女の必死な姿を見て、小さく溜め息を漏らす。
「しょうがないねぇ」
そして、そう呟いた直後。
彼自身の周囲を漂うビー玉ほどの大きさの血の塊が一つ、
「ジ、ジルッ!?」
目を見開いて喘ぎ、苦しみに震えるギースレーリン。
そのすぐ後に、ダイナストたちの前で、彼女の身体はフワリと浮かび上がった。
「違う、違うゥッ!! わた、私が欲しいのは人間の……アグッ!?」
「いやぁ俺だってさ、心苦しいよ? 同僚を手にかけるって。クラトカからも仲間割れすんなって釘刺されてるし」
言いながらジルは「でも」と続ける。
「しょうがないでしょ? お前、もう役に立たないじゃん。文字通り手も足も出なかった負け犬じゃ、陞爵したってなんの価値もない。爵位ってのは威張るためのお飾りじゃないんだからさ」
――だから。
「負け犬は死ね」
スコーピオン・エンペラーが冷酷に告げると同時に、ギースレーリンの身体に大きな異変が起こった。
彼女の胸の中心にベコリとクレーターが出来上がって、腕も肩も背中も頭も、そのクレーターに
ギースレーリンはその引き寄せる力に全く抗う事ができず、血涙さえその陥没に染み込んでいく。
それだけではない。草木や土といった周囲の物体やダイナストたちをも、彼女のクレーターが、エンペラーの力が引っ張っている。
「イザ……ベラ……」
震える唇がその名を紡いだ直後、彼女の身体は内側に向かって折れ曲がって押し潰され、血肉でできた丸い塊に変わってしまう。
「最期に言い遺すのが女の名前かよ」
唯一影響がないのは、エンペラー自身であった。
彼は冷め切った目でギースレーリンだったものを見つめ、退屈そうに呟く。
「超ウケる」
やがて肉塊がベシャッと地面に落下すると同時に、ダイナストたちを引き寄せた謎の力も収まる。
そしてその肉玉も、すぐに灰となって消滅した。エンペラーは既に興味を失っているが。
「ンじゃ、そろそろ始めよっかなァ~ハハハハハハァーッ!!」
先程までとは打って変わって、至極楽しそうに笑い声を上げた後、スコーピオン・マキナイト・エンペラーは改めて仮面ライダーたちに向き直った。
立ち向かうのは、ダイナストとレギウス、そしてルーガルー・タイラント。
空久里の、そして地球人類の命運を賭けた戦いが、今始まる――。