カイロ・レン(偽)は桜蜘蛛と共にシュテルンビルトを駆ける   作:クォーターシェル

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第3話

地の利を取られたか……しかしゲートが閉じられ人が密集しているこの状況では奴も遠くへ逃げられない……。そう思っていたのだが、1人のおっさんが群衆からでてきてしまい、ロビンと位置を交換されてしまった。そしてそのおっさんは高所から落ちそうになっている。おいおいおい……何がしたかったんだ?すると近くから

 

「お父さん!」

 

という声が聞こえてくる。みると園内の施設の4階ほどから子供がおっさんに向かって手を伸ばしている。状況をかいつまむと、あの子供は逃げ遅れていて、あのおっさんは子供の父親ということか?するとバーナビーが飛び出して行っておっさんを救助する。俺も子供を安全に地上に下ろすことにした。お互い救助された親子は抱き合う。それにバーナビーが

 

「お父さん。息子さんから離れないで上げてください。貴方は、この子にとってのたった1人の大事な父親なんですから」

 

と言った。おっさんの方は涙を浮かべながら何度も礼を言う。その後バーナビーは再び仕事に戻っていった。

 

「さて、これで心置きなく戦える」

 

「ああそうだね」

 

と言って俺達はロビンの方を追うことになった。ロビンはジェットコースターに逃げ込んだらしい。アニエスからの情報によればジェットコースター最上部は展望台に繋がっているらしく、シュテルンビルトを一望できるそうだ。

 

つまり、ロビンの奴が展望台に到達すれば見た相手と自分の位置を入れ替える能力で一気に逃げることが可能という訳だ。そうなった場合スタチュー・オブ・ジャスティスは持ち去られ、この街のヒーローの威信は地に墜ちるだろう。

 

そんな中、バーナビーが1人で行くと言い出し本当に1人でロビンを追いかけて行ってしまった。俺達もと行こうとするがそこにバーナビーの相棒ワイルドタイガーが待ったをかけた。なんでも彼の3分を無駄にしたとのことで、その借りを返すのもあって俺達を止めたらしい。ファイヤーエンブレムが

 

「ハンサムに任せるだけの根拠でもあるの?」

 

ともっともらしい質問をする。それに対しワイルドタイガーは

 

「根拠ならある!それは……俺の勘だ」

 

と答えた。

 

「「はあ!?」」

 

と思わず声を上げる俺達。ワイルドタイガーは

 

「あいつは多少……いやかなり正確に難はあるけど、兎に角!今必死に犯人を捕まえようとしてるのは確かだ!」

 

と続ける。そして

 

「コンビとして俺が見守る!何かあったら……責任も俺がとる!だから……任せてやってくれ!」

 

と言い、ジェットコースターの方へ向かった。どうやら彼は相棒のバーナビーの事を本当に見守る気らしい。残された俺達は、

 

「どうする?」

 

「ワイルドに免じてあの新人のお手並みを拝見するか」

 

と言って、此処で待つことにした。とりま原作主人公に賭けてみるか。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

その後、バーナビーは自らのスーツを囮にするという策を使い、ロビンの不意をついて視界を封じて捕縛した。こうしてスタチュー・オブ・ジャスティスは取り戻されたという訳だ。しかし、俺と遙はその後イアンオーナーから肝心の所でバーナビーに活躍を譲ったということで軽い小言を受けた。まあ今回はあまりいい所見せれなかったからしょうがない。

数日後、トレーニングルームで俺と遙はランニングマシンで走っていた。

 

「はあ~……」

 

「はあー……」

 

と俺達は全く同じタイミングでため息をつく。そんな時、ワイルドタイガー……虎徹が

 

「どうした?2人共浮かない顔してるじゃねえか」

 

と話しかけてきた。そこで俺は先日の出来事を話した。俺の話を聞き終えた後、虎徹は笑い出した。そしてこう言った。

 

「はっはっは。お前らも大変なんだな!そういう面見せてくれるだけバーナビーより可愛げがあるよ」

 

と。

 

「俺達ヒーローも企業戦士……そちらもバーナビーさんのサポートやらで大変なんでしょうね」

 

と俺が言うと、虎徹は

 

「ああ。こっちだって大変だよ。でも、バーナビーはもっと大変だと思うぜ」

 

と返した。

 

「どういうことですか?」

 

と遙が聞くと、

 

「まっ、俺もあいつと組んだばかりだからあいつの事を知らない事も多いが、ああいうタイプってのはな、結構プライドが高いんだよ。自分が頑張ってる姿を見せたいっていうかさ」

 

と続けた。

 

「成程」

 

「確かにそうかもしれませんね」

 

と俺達が納得すると、

 

「そう言えば、お前らシュテルンビルトに来てから日が浅いみたいだが、俺らより先にヒーローコンビやってたんだろ?なにかコンビとして上手くいく秘訣とか無いのか?」

 

と虎徹が聞いてくる。確かに、俺達はワイルドタイガーとバーナビーのコンビより2年も前にコンビをやっているが……

 

「んー、そうですねえ……」

 

と俺が考えていると、横にいた遙が口を開く。

 

「コンビを組んでいる以上、お互いの信頼関係は大事ですから、信頼し合うことと後は……」

 

「後は?」

 

「ヒーローとして、市民を守るという気持ちを忘れないことでしょうか?私達ヒーローがしっかりしていないと、このシュテルンビルトの街も守れなくなりますから」

 

と遙が答える。流石は俺の相棒、いいこと言う。俺も続けて

 

「あとは、ヒーローである前に人間であるということも忘れない方がいいでしょうね。ヒーローは正義の味方ではありますが、同時に人の命を預かる仕事でもあるんですから。もしそれで判断を誤れば、取り返しのつかない事態になることもあり得ます。そこだけは、肝に命じておいた方が良いと思います。特に、貴方のようなベテランヒーローなら尚更」

 

と俺が締めくくる。虎徹は

 

「ほお~ブルーローズやドラゴンキッドより少し年上の子供だと思ってたがしっかりしてるなあ。同業者としてこれからもよろしく頼むわ!」

 

と言ってきた。それに対して俺達は

 

「はい。こちらこそ!」

 

と返して、俺達は別れた。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

それから少し後、TVでバーナビーの特集を組むということで、俺達はプロデューサーのアニエス達の前でバーナビーへのコメントをする事になった。

 

「ヒーローとしてはこちらが先輩だが、先日のスタチュー・オブ・ジャスティス盗難事件の件といい彼からは凄みを感じるな」

 

と俺。それに続いて遙も

 

「はい。今回の事件での活躍を見ていて、改めて彼がヒーローであることを強く実感しました」

 

と返す。その後も他のヒーロー達へバーナビーへのコメントが取材されていたが、ワイルドタイガーは適当な返事をしたことでアニエスに怒られていた。取材が終わった俺達は一旦家に帰る事にする。シュテルンビルトのダウンタウン、ブロンズステージの一角にある俺の借家で俺は親に電話していた。ここ最近の事を業務秘密に抵触しない程度に話そうと思ったのだ。

 

「HERO TV観てたわよ。相変わらず活躍しているじゃない。父さんも母さんも安心したわ」

 

と母親が話す。そして

 

「それにしても、あんた達本当に仲が良いわね!まるで恋人同士みたい!」

 

と付け加えた。

 

「まあな。俺にとって遙は大事な存在だよ。俺達ヒーロー活動以外でも仲いいからな。まあ恋人ってのはオーバーだと思うけど」

 

と俺が返す。

 

「まあ!そうなの!?」

 

「ああ」

 

「でもね楓ちゃんには内緒にしておきなさいよ!あの子絶対反対するだろうから!」

 

「そうかな?」

 

その後も暫く母と話していた途中、出動の連絡が入った。どうもフォートレスタワーというビルに爆弾が仕掛けられたらしく、既にワイルドタイガーとバーナビーが現場にいるようだ。

 

「悪い!そろそろ行かないと!」

 

と言って、俺は通話を切った。そして急いで準備をして、俺と遙は現場へと向かった。俺達は現場にて市民の避難誘導や逃げ遅れた市民の救出をした。そして爆弾はワイルドタイガーがビルの天井をぶち抜き、バーナビーが爆弾をビルの上空へ蹴り上げることで人的被害無く爆発し、事件は解決した。その後、俺達は再びトレーニングルームへと戻っていた。

 

「さっきの事件、なかなかの派手だったな」

 

「うん。でも無事に解決して良かったですね」

 

「ワイルドタイガーとバーナビーのコンビ、中々やるじゃない。こりゃ俺達もうかうかしてられないな」

 

「ええ。負けていられませんよ」

 

と話していると、そこへ虎徹とバーナビーがやってきた。

 

「よう!お疲れさん!お前らも頑張ってたじゃないか」

 

と虎徹が声をかけてくる。

 

「ありがとうございます。そちらも大活躍でしたね」

 

と俺が返すと、虎徹は

 

「おうよ!バニーちゃんがいい働きしてくれたからな」

 

と返した。すると横にいたバーナビーが

 

「いえ、僕はそんな……ただ必死でやっただけです」

 

と謙遜する。しかし、虎徹は

 

「でも爆弾を蹴るってのは冷や冷やしたぜ。お前結構雑なとこあるのな」

 

と続ける。バーナビーはやれやれといった風に肩をすくめて、

 

「おじさんには言われたくないですね。あれくらいスマートに出来ないんですか?」

 

と言い返した。それに対して虎徹は

 

「なんだよ~。俺だって出来るっつうの。見てろ、今度やってみせるから」

 

と返した。

 

「じゃあ期待していますよ。……ところで、貴方達のコンビ名はなんて言うんですか?僕達より先にヒーローコンビをやっていたならそれくらいありますよね」

 

とバーナビーが尋ねてくる。しかし俺もそういえばと思ったくらい、俺達には特にコンビ名は無かった。遙も

 

「あっ、そういえば……」

 

とそれに気づいたようだ。

 

「そうか、そう言えばまだコンビ名も決めていなかったな。考えてみるか」

 

と俺が言った直後、イアンオーナーから電話がかかってくる。何かと思うとハデスホテルで俺達のコンビ名を決める為に俺達にも来てもらいたいそうだ。そこで俺達は早速、タイガー&バニーコンビと別れハデスホテルへと向かうことにしたのだった。

 




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