Wizard's Climber【完】   作:ノイラーテム

41 / 46
第四章。ウイザーズクライマー
終わりの始まり


 落ち目の組織という物は坂を転がり落ちるように凋落する物だ。

八本指という犯罪組織は徹底的に叩かれ、あることないことが各国上層部へ提出されることに成る。リ・エスティーゼ王国の不幸は、全ての情報をラナー王女が管理していたことにあるだろう。

 

おそるべきは彼女が大した事を『していない』ことに尽きる。

父親であるランポッサ三世に事前には何も伝えずガゼフを借りなかった事、そしてボウロロープ侯が潜り込ませた侍女が見ている前で、一般的な王国貴族の反応を見せただけである。

 

「まあ。ラキュースだけではなくアズス様まで……」

「アインドラ家が動くようにお父様が動くように何かされたのかしら?」

「でも、それだとストロノーフ様が動かれて居ないのは変ですよね」

「もしかしたら何かお役目があるのかしら? でも八本指なんて組織が壊滅したのなら、もう大丈夫よね。関係していた貴族の事も判って来たらしいですしね」

 冒険者は国政に関わらないことに成っている建前である。

建前あくまで建前であり、事実ラキュースはしょっちゅう八本指の勢力……麻薬畑を潰していた。そんな中で、蒼の薔薇も朱の雫も動いたら王国貴族はどう考えるだろうか? どう考えても何者かが……最も単純な作為者は、国王であるランポッサ三世であろう。そして冒険者ではなく王国貴族として八本指を潰し、その証拠を回収しに行ったのだとしたらどうだろうか?

 

十分にあり得る話だ。しかし、それならばどうしてガゼフは動かなかったのか?

まるでそこに重要な意図があるように見える。それは先の話からランポッサ三世があえて動かさなかったように見えるのだ。

 

「ストロノーフ様は今どちらに?」

「陛下とご歓談されておられるかと」

「そう。ということは今回の件かしら? なら後でラキュースが持ってきてくれた、この資料を持ってお父様にお伺いいたしましょう。相応しい服に着替えるからお願いね」

 国王の予定と言うのはあらかじめ決まっている。

なのにラナーはあえて尋ねた。そうすることで、気晴らしにランポッサ三世がガゼフと話していることに意味合いを含ませたのである。そして予定が決まっているからこそ、先ぶれを出しておくのも、それに合わせて着替えるのも当然の事である。王女だからと言って横車が通せるわけではないのだ。

 

その隙間で、膨大な資料をボウロロープ侯の送ったメイドに確認させる。

量が多いので奪って逃げたり処分など不可能だが、片付けるという理由で一か所にまとめるフリをして 読むことは可能である。そして、量が多いからこそ、他愛ない一つを懐に入れて、侯爵の元へ伺う事も可能であろう。

 

『どのみち否定するであろうが、諸侯も暫くは声を控えるであろう。これを気にバルブロを戒め、王太子として相応しい教育を施すとするか』

(お父様はこんな風に考えるでしょうね。後を考えれば、それ以外に無いもの)

 ランポッサ三世は善人であるが、君主として凡庸な男である。

現在の王家の力は弱く、この資料をもってしても強硬に否定されたら押し通せない。だから諸侯を少し抑え、この機に放任気味だった長子に釘を刺し、そのまま王太子としてガチガチに固めてしまおう。……そんな、当たり障りのない流れにするのが精一杯だとラナーは把握していた。王家の力が相対的に有利であり続ける方向ではあるが、急激な改革を必要としないからだ。だから諸侯も反対しないし、バルブロが愚政を敷くことを期待して見守る事もありえたのである。

 

だが、それに一切期待して居ないし、成っては困るのがラナーである。バルブロがラナーを餌に諸侯を動かす未来が見えたし、国を傾けて享楽に……むしろ八本指を復興させかねない可能性があった。だからこそ、その目を潰しに掛かったのである。いや、自分の目的の為に道筋を操縦したと言っても良かった。

 

(ボウロロープ侯は武断派の諸侯としては有能。そして権門の主としては普通、これから盛大に踊ってくれるでしょうね)

 将軍としてのボウロロープ侯は戦力の価値が判っている。

だからガゼフの戦士団を参考に、5000人の精鋭部隊を組織した。彼ならばガゼフ一人で何が出来るかを理解できるだろう。そして法国が暗殺しようとした時、四つの至宝を奪えば可能だと思った事、ラズロックという予想外の戦力で瓦解した事。その結果、百人近い第三位階の使い手が倒され、その多くが捕虜に成ったことに注目するであろう。

 

そう……ガゼフ一人を動かすだけで、強硬手段がランポッサ三世には可能なのである。だが王国は帝国とは違うし、ジルクニフに出来たことがランポッサ三世には出来ない。だが、戦力を観察できる侯爵が、そういった人の心理を見抜けるかどうかは別なのである。ラナーどころかレエブン侯の真意ですら見抜けないボウロロープ侯に、この先を読めるはずも無かった。

 

 『君側の奸を討つ』と称し、リ・エスティーゼ王国で動乱が起きた。

国王の陰謀は、朝議の場で証拠を突きつけ、ガゼフに諸侯を粛清させる。彼ならばそれが可能であるし、四つの至宝を身に付けたら周囲に控えた騎士が何人居ても無駄であるとボウロロープ侯は判断したのである。だからこれは彼にとって、身を守る予防攻撃も同じであった。

 

翻って、5000人の精鋭部隊を彼は有している。

王宮勤めの騎士よりも強く、ガゼフの戦士団に匹敵する者たちだ。彼らの一部を先行して呼び寄せ、残りを順次集結させればよい。それだけで自体が決するのだとボウロロープ侯は理解していた。『後』を考えればランポッサ三世には不可能だが、侯爵の視点からはこれ以上ない好機であると知っていたからだ。

 

「ウロヴァーナ辺境伯の身だけは確実に抑えろ!」

「ブルムラシュー侯とレエブン侯ならば何とでもなる!」

「ペスペア侯に関しては八本指の噂を均等に流せば良い。それで奴は終りだ!」

 王国を動かす六大貴族にも色々と差がある。

ボウロロープ侯が最も強い軍事力を持つのに対し、ウロヴァーナ辺境伯は辺境を守れるだけの戦力を持ち伍している。これに加えて穏健派であるという風評が邪魔だった。政変が終わった時に系統だって反論を起こし、逆行を後押し出来るのはあの老人だけである。だからこそボウロロープ侯は第一優先目標に辺境伯を選んだのであった。

 

それに比して金に汚いブルムラシュー侯と、コウモリのレエブン侯は論じるに足らなかった。唯一の懸念は姫の一人を妻に迎えているペスペア侯であるが、彼は身綺麗なことが勢力に大きく影響している。八本指の影響で『全ての派閥』がいろいろ悪事を働いていると知られれば、最もダメージを受けるのは彼である。そういう意味で、相対的に問題があるのは最大派閥のボウロロープ侯も同じなのだが、彼はこれよりクーデーターを起こすので問題はなかった。ちなみにリットン伯に至っては、考慮にすら入れる必要はない。

 

「へ、陛下の身を押し込め、国璽と御名を握るなど……」

「こんなことをしても大丈夫なのでしょうか?」

「これは仕掛けられた戦いだ! 放置しては我が身が危うい! それは貴様らも同じだぞ! 陛下は我らを粛正するために戦力を秘かに集められていたのだ!」

 ボウロロープ侯は愚かでは無いので、至急ではあるが調べさせていた。

まずはガゼフに対抗できる戦力を探し、ブレインの所在を確認していたのだ。武芸大会で僅差で敗れたという彼ならば、勝てるとは言わずとも守る事はできるだろうと判断したのだ。だが、その結果判ったのはエ・ランテルのパナソレイ市長の推薦で王都へ来ていたという事実。立ち去ったという事だが、ガゼフにも面会して何やら約束をしていたということまでが明らかになっていた。

 

では噂に名高い暗殺者のイジャニーヤはというと、王国在住の勢力では無いので少し遠すぎるという。万が一、即座にエージェントが辿り着けたとしても……『現当主がラキュースに雇われている』という真実に辿り着いてしまうだけであろう。

 

(陛下から見て、好機は今しかない!)

(男であるならば、権力者ならば絶対に動く!)

(今ならば王家に威信を取り戻せるし、帝国と違って証拠もあるからな)

(それに……今の情勢を良く思っておらなんだのは、儂も同じ。この機に軟弱なこの国を作り直し、帝国と戦える……それ以上の国にするべきだ。その意味において、儂にとっても好機は今しかないのだ!)

 ボウロロープ侯は武人として有能だからこそ、そう判断した。

ランポッサ三世はガゼフに命じて彼の首を斬り、リットン伯やレエブン侯あたりは牢に送れば良いだけだ。それだけで王の権力は絶対の物となるし、帝国が血濡れた粛清と権力闘争、そして幾多の反乱を越えて行った事を、一撃で立つ快刀乱麻の機会である。やらない訳が無いし、やらなければ心底軽蔑したであろう。

 

そして、これは彼にとって決起するチャンスでもあった。

この国は諸侯の力が強く、ボウロロープ侯をしても全てを思うままに動かせるわけではない。バルブロ王子を無事に次期国王として、自分が地位の地位に就いて序列の一位となるのが精々であろう。だが、この機会に他の連中を片付けてしまえば何とでもなるのだ。

 

(精鋭の兵を三万……いや五万程に拡充できれば……)

(それで帝国の軍団と互角以上。後は動員した兵でなんとでもなる)

(敵主力が来たところへ精鋭をまず派遣し、増援として送るだけではない)

(彼奴等の居らぬ所へ別動隊を回せば、それだけで勝てるわ。粛清に反感を持って居るのは、帝国の方でも同じであろう)

 帝国は常備軍なので八万程だが、遠征には最大で六万が限界だ。

つまり同格の兵が五万居るならば、相手の動きを押し留めることは十分に可能。そして王国の国力は帝国以上なのは間違いが無いので、徴兵した戦力を三路から五路に分けて進軍させれば、それだけで帝国が瓦解すると彼は理解していた。今現在、王国がジリ貧なのは……単純に統一見解が取れない事、そして積極性に欠ける為だと信じていたのだ。

 

それら、個々の情報や考えに問題はない。

王国が帝国以上なのも、帝国の中に不満分子が多い事も、防衛戦に用いている何十万の戦力が無駄に消耗だけしている事も、それらを攻勢に使えないのが王国が積極性に欠ける事なのも真実だ。だが、それらを総合すると無理がある。そしてそれらを突き通そうとしているのが現在の彼であった。いささか誇大妄想ではあるが、痴人の夢ではないと言うあたりに救いようがない。

 

「陛下が側近たちの命を条件に御納得なさいました」

「後宮の一室に御移りいただけ。どうせガゼフを警戒しただけだ、他の連中は適当で構わん」

 今の所、侯爵のクーデターは順調に成功しつつある。

いかにガゼフが強かろうとも、精鋭兵の数で押し、周辺の人間を人質にされては抗しえない。その事を痛い程判っているのはランポッサ三世であろう。おそらくはその欠点を補うために、ブレインと接触させたのだろうとボウロロープ侯は予測していた。そこで宮仕えを断られたが、敵対しないという条件で遠くへ追いやったのであろう。実際、そこまで戦力が整い、アインドラ家の抱える冒険者どもを利用されたら今回の制圧は難しかったかもしれないのだ。

 

賭けに勝った……後はバルブロを王へと推戴し、制度を利用して可能な限り正攻法に見える形で国を抑えるだけであった。そうすれば、頭の固いパナソレイなどの役人たちも、彼に従わざるを得ないのだから。

 

「大変です! た、た、大変な事が……」

「既に緊急の状態だ。これ以上の事は存在せん! 落ち着いて話せ」

 突如として駈け込んで来た伝令兵を落ち着かせるだけの余裕が生じた。

既にこの国を動かすのはボウロロープ侯とその派閥であり、他の誰でもないと思わせた瞬間である。他の六大貴族は当主たちを引退させ、全てをボウロロープ侯が握る時が来た。さすがに彼が思う様な強い国家にするなどと考えているようなことはないが、自分たちも甘い蜜が吸えると思った瞬間である。権門の主に逆らえないとはいえ、クーデターに参加した意味があったと思う者も多かったであろう。

 

だが、最悪の事態が訪れたのである。

 

「帝国からの宣戦布告です! 今年はカッツエ平原ではありません!」

「ちっ。何時もの定期便ではないのか。忌々しいがエ・ランテルなら時間を稼げ……」

「い、いえ! トブの森を荒らすモンスターが居たゆえ、はげ山が多くできたとのこと。森の出口での開戦『も』求めております!」

「「なんだって!?」」

 パナソレイに一定の権力を認め、エ・ランテルで防がせる。

あそこは三重防壁を持つ要塞都市でもあるので守れ切れる筈だ。その間に王都での政変を片付ければ済む、国王は手中にあるのだ……。そう思っていたのだが、今年に限って宣戦布告の内容が違っていたのだという。より正確には、帝国の方が二路に分かれて進撃して来るという。

 

少なくともトブの森を抜けて来る敵はエ・ランテルでは防げない。

思い描いた戦略が、ガラガラと崩れ去るのを感じたボウロロープ侯たちであった。

 

 バハルス帝国は二路に分けて進軍していた。

いつもはカッツエ平原を戦場に指定して居たが、今年は本格的な進行である。国内でのモンスター退治に加えて、ザイトルクワエの分体との戦いで、トブの森周辺にも兵を展開していたのだ。

 

その二個軍団と入れ替える形で秘かに休養した部隊が動いた。

先行してまずは二個軍団が道を切り拓き、そして後から四個軍団が進軍する手筈に成っている。

 

「陛下。驚くほどに順調ですねえ。怖いくらいでさあ」

「あの女は悪魔だよ。あれと取引したのは俺だぞ? 実際に怖いと思っているとも」

 馬車の中で側近のみだからか、ジルクニフは愉快そうに答えた。

バウジットが驚くのも無理はなく、エ・ランテルに援軍が来ないどころか王国は現在クーデター中だという。しかもその事を事前に知らされており、加えてトブの森がはげ山化しているのが怖いくらいの追い風であったのだ。

 

まるで……何者かが帝国を使嗾しているかのように。

 

「後はエ・ランテルでどれだけ苦労するかですかね?」

「いや。そちらも問題ない。付近の貴族たちは王都に反感を持ち始めたからな。吝嗇でアンデッド退治の褒美ももらえないどころか、クーデター政権に置き換わっているのではその気も無かろうよ」

 アンデッドの災禍に置いてエ・ランテル周囲は大混乱だった。

これに対して都市長のパナソレイは緊急動員の権利を使って招集。褒章を約束して対処に当らせたのは見事であったが……そのパナソレイを上層部は処罰し、一時は更迭するとまで言っていたのだ。それは良いとしても約束の報酬を無効にされ、掛かった費用どころか減った税の減免も無し。これでは不満を持たない筈はない。

 

それでなくとも法国が一部の気骨ある貴族を煽っていたのだ。

エ・ランテル周囲の貴族たちは、のきなみ不服従を見せていた。今年の動員は終わったとばかりに、貴族の義務は果たしたのだから放っておけ、他の地方が兵を出すだろうという態度である。

 

「そうだな……パナソレイには一応降伏を勧めおくか」

「降るなら、ランポッサの首は不要とでも言えば良いだろう」

「旧政権の象徴を活かしておくのはなんだが……まあ奴は王として無能だ」

「ガゼフとパナソレイが降るのであれば、よほど有益であろうよ。慈悲深い皇帝だと俺の評判も多少はマシに評価されるかもしれんぞ? まあ跡継ぎの第一王子は駄目だが」

 くつくつと笑いながらジルクニフは案を弄んだ。

有能であると判っているパナソレイは降伏したら使ってやる気では居た。従わないならば殺すだけだが、条件としてランポッサ三世の命と引き替えにしても良いくらいには思っていた。もっとも、それはガゼフが同じ条件で降るかもしれないと計算していたからだ。

 

こういった場合、旧王朝の血筋が居るとメリット・デメリットの両方がある。

メリットは慈悲深く見せ、筋道を通せば旧臣たちも登用してくれる可能性から素直に従う事。デメリットとしては、反抗作戦の象徴として、担ぎあげられてしまう事だった。だが、ランポッサ三世は無能であり、むしろ反抗する気を摘んでくれるかもしれないとすら思っていたのである。

 

「そりゃ結構な事です。で、悪魔さんの出した条件は大丈夫なんですかい?」

「王国にも帝国にも関わらぬ……、いや、関われぬ側室以下の待遇。そういう扱いを判り易く示して欲しいそうだ。後は愛人を囲って田舎で暮らすとさ。まったく……判っているのか? それで傷つくのは私の評判なんだが」

 ラナーが要求したのはド直球、それも火の玉ストレートだった。

王室を始めとして上位貴族は子供さえ産めば、後は好き放題出来る慣例だ。公式の愛人を連れて離宮暮らしを行う王妃や側室は珍しくなかった。だが、それでも正式な側室であれば……王国の象徴でもあり、帝国での継承権も有してしまう。だからそれもまとめて、快刀乱麻できる手法を選べとラナーは言っているのだ。

 

それはランポッサ三世の扱いで上げるであろうジルクニフの株を、激しく下げる行為でもあった。

 

「……陛下。そりゃあ……もしかして……」

「そうだ。適当な雑兵に相手をさせてから後宮に入れる。生まれた子供は誰の子か怪しいので、継承権は一切与えない。そう言う事だろうよ、あの悪魔が要求しているのは」

 王室の女性として形ばかりの縁を繋ぐ。

そういう扱いをしないと、ジルクニフの方にも問題が出る。だが、下手な事をすると帝国を乗っ取られてしまうので、ラナーの案に乗るのは悪くなかった。だから形ばかりの側室として扱うが、王国貴族も帝国貴族も鼻をつまむような状態にせねばならないのだ。

 

そして、どこの誰とも分からぬ者に『貞操を汚され』、愛人に逃げた王女は、大きな瑕疵があるゆえに反抗の象徴とはならないのである。

 

「どうだ、バウジット。おまえあの女の相手をしてみるか? 三国一の美貌だそうだぞ」

「勘弁してくださいよ陛下。そんなことしたら王女様に恨まれちまうでしょうが。蒼の薔薇が刺客に送り込まれてくるなんざ、ゾっとしませんや。せいぜい、その愛人さん候補に、実行犯になってもらいましょうぜ」

 今回の要望はジルクニフにとって好都合だったが、ラナーへの評価を下げた。

主に女としての評価であり、結婚相手として最底辺からランク外へと認識を変えたのだ。もちろん亜人種である竜王国のドラウディロン女王は論外なので、相手は聖王国のカルカ女王か、それとも高位貴族の誰か……と相対的評価を変えたのである。

 

なお、ラナーの方はクライムを滾らせる為に、最初の一回くらいは本当に見知らぬ雑兵でも仕方ないと覚悟していたので、真相をジルクニフやバウジットが知ったら確実にドン引きするであろう。

 

「陛下! 大変です! トブの森に進行した軍団で問題が……」

「ここまで順調な方がおかしいのだ。だからこそ顧問として爺や激風たちを付けている。落ち着いて話せ、何があった?」

 そこへ急使がやって来た。伝令の中でも上位の官だ。

トブの森に向かわせていた軍団付きであり、高度な判断を要する内容を口頭で伝える権限を持っている。ジルクニフが口にした『激風』ニンブルが直卒する部隊の一人であり、ペガサスライダーをしていたはずだ。おそらくは空を飛んで急行したのだろう。

 

だが、この程度の苦難はジルクニフにとって想定済みであった。

二路に分けて進軍させたが、統制が採れないのはまずい。とはいえメッセージの呪文は真偽が問題になる為、ペガサスライダーの急使いなど複数の手段で連絡を取れるようになっている。メッセージもこういった方法で保管すれば、ちょっとした暗号を混ぜることで正確性を増せるのだ。

 

「そ、そのパラダイン様が離脱なさいました。ロックブルズ様を伴われております!」

「なん……だと」

 トブの森には魔獣が多く棲息するがゆえに、戦力は過剰だったはずだ。

逸脱者のマジックキャスターであるフールーダを始めとして、そしてペガサスライダーの激風ニンブルやカースドナイトの重爆レイナース。帝国が誇る精鋭であるはずだった。

 

一体……トブの森で何が起きたのだろうか?

自体は帝国優勢のまま、混迷を深めていく。きっとその真相を知るのはスレイン法国だけであろう。




 と言う訳でリ・エスティーゼ王国終わりのお知らせ。
全てはラナーってやつが悪いんだ! ちょっと侍女に聞こえるように囁いただけなんですけどね。

●王国再建方向ではできないの?
 作者いわく……。ナザリックがやって来ず、バルブロが死んで、クライムにラナーが執着せず。
その上でラナーとザナックとレエブン候が真面目に協議する事が条件だそうです。まあ無理ですね。
なんでかと言うと、今回の様にバルブロ王子一人でひっくり返る上に、バルブロが次の王に成ると、覆せませんから(王党派も分解するので)。
ちなみにレエブン候が簒奪するだけなら、クーデターやらせて、自分で鎮圧するマッチポンプをしたでしょう。

●ラナーの行動
 自分が疑われているのは察して居るので、判り易く直球で交渉してます。
その方法をとることで、自分が軽蔑されて関心度が落ちるのも計算の内。
形ばかりジルクニフに側室として嫁ぐけど、雑兵(クライム)に汚されちゃったな~。愛人囲って出てこないし、あーこれ駄目だな~。という路線に成ります。

●帝国
ジルクニフ「狙い通り!」
ラナーと法国「狙い通り、返し!」

と言う感じですね。まあ八本指の一件で、何もしていないのが理由に成ります。
大問題に関与しなかった奴は、発言する権利も無いのです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。