Before Days -case of DGP-   作:瑠和

1 / 14
※注意・以下の文にはニジガクovaのネタバレあります。




この作品は先日公開された虹ヶ咲スクールアイドル同好会OVA作品のラストで登場した「スクールアイドルGPX」のカードがデザイアカードに見えた作者の思いついた完全自己満足ストーリーです。

本来であれば現在公開中の「Another Days -case of Shizuku-」の連載が終了してから投稿する予定でしたが「仮面ライダーギーツ4人のエースと黒狐」公開記念に1話のみ先行投稿します。続きは「Another Days -case of Shizuku-」が完結次第です。


邂逅I:ようこそ!DGPへ

「ふぁ………」

 

カーテンの隙間から差し込んでくる日光に照らされ、少年は目を覚ます。

 

「もう朝か………」

 

少年の名前は天王寺瑠和(てんのうじ るな)。

 

この家で妹の璃奈と二人で暮らしている。両親は数年前に事故で亡くなっていた。両親の残した蓄えと瑠和の働きで生活している。

 

朝食を準備していると、妹の璃奈が起きてきた。

 

「おはよう、璃奈」

 

「おはよう。何か手伝う?」

 

「いいよ。顔洗ってきな」

 

「うん」

 

璃奈は両親を亡くしてから表情が表に出なくなった。瑠和は心配していくつか病院に連れて行ったが変化はなかった。もう璃奈の笑顔を見なくなってからもう何年もたつ。

 

どうにかしてやりたい気持ちもあるのだが、瑠和も仕事が忙しく、あまりこれという対応ができていないのが現実だった。

 

璃奈ために何かしてやりたい。そう思いながら朝食を作っていると、インターフォンがなった。

 

「誰だ?朝っぱらから…」

 

「私が出る」

 

「ああ、頼む」

 

璃奈が出ると、ドアの前には白と黒のドレスを纏った女性が立っていた。

 

「おめでとうございます。あなたは今日から仮面ライダーです」

 

「…………え?」

 

突如目の前に現れた少女から手渡されたのは黄色の箱。スライド式のふたを外すと、そこにはなにか、ぱっと見ではわからないものが入っていた。

 

「これは………」

 

箱の方から再び女性へと視線を向けるとすでに女性はいなくなっていた。

 

「あれ……?」

 

「おめでとうございます、今日からあなたは仮面ライダーです」

 

「うわ!」

 

台所に立っている瑠和の真横にいつの間にか白と黒の女性が立っていた。そして先ほど璃奈に渡したものと同じ箱を渡す。

 

「え………仮面…え?」

 

「それでは」

 

瑠和と璃奈が動揺しているうちに女性は去って行ってしまった。瑠和と璃奈は居間に集まって箱の中身を見る。

 

「なんだったんだ………新手の宗教か何かか?」

 

瑠和は箱の中に入っていた一番大きな黒い機械を取り出して眺める。

 

「説明書、入ってた」

 

「説明書?ああ、これか」

 

箱から説明書を取り出して開いてみる。そこには「デザイアグランプリ」についての説明が書かれていた。

 

「最後まで生き残った勝者には理想の世界を叶える権利が与えられる…………本当かよ」

 

少し考えながらも瑠和は説明書に「デザイアドライバー」と書かれていた機械を腰に押し当ててみるとドライバーから音声と同時にベルト帯が飛び出し、瑠和の腰に巻かれた。

 

「うお、なんかすげぇな」

 

瑠和は突如として自身に装着されたベルトに困惑する。璃奈はちょっとしたテクノロジーに驚きながらも感心している様子だった。さらに箱に入っていた「IDコア」を見て考える。

 

「IDコア………これって………ここかな」

 

瑠和の巻いているベルトの中央にIDコアを装填すると、『Entry』の音声とともに、瑠和が光に包まれて消えた。

 

「お兄ちゃん?」

 

璃奈は慌てて周りを見渡すが兄の姿はない。少し考え、璃奈は自身もドライバーをつけてIDコアを装填した。

 

『Entry』

 

音声とともに自身の身体が光り、気づくと璃奈は見知らぬ空間に飛ばされていた。

 

「ここは………」

 

どこかの荒野のような場所の空中に浮いている神殿のようなものの上に璃奈はいる。振り返ると周りを見ながら困惑している人たちがいた。

 

主婦、サラリーマン、学生等本当に様々な人がおり、そして全員ドライバーをつけていた。

 

「璃奈!!」

 

その人混みを押し進みながら璃奈の前に瑠和が来た。

 

「お兄ちゃん!よかった……」

 

「ああ………まさかこんなところに飛ばされるとはな…でも合流できてよかった」

 

「うん………ところで、ここどこだろう」

 

唐突に飛ばされた場所に改めて困惑していると、突如声が響いた。

 

「皆さん!こんにちは!私はゲームナビゲータのUです!ようこそ、デザイアグランプリへ!」

 

いつの間にやら神殿の中央にさっき瑠和たちにドライバーを渡した女性が立っていた。名前を「U」というらしい。

 

「いま、私たちの世界はジャマトの脅威にさらされています。どこから来るのか、なにが目的なのかはわからないジャマトから平和を守るため、誕生したのがこの「デザイアグランプリ」なのです!」

 

Uが意気揚々とデザイアグランプリの概要について説明したが、全員ポカンとしている。デザイアグランプリについてもそうなのだが、これまでの人生でジャマトとかいう怪物に襲われた経験もないし話を聞いたこともないからというのが大きな要因だろう。

 

「皆さん、「なんだ?それ~」って感じですよね。知らないのも無理はありません。ジャマトの悲劇を忘れて平和に過ごせるよう、デザイアグランプリが終わるごとに、人々の記憶はリセットされるよう、設計されているのです。記憶が蘇るのは、IDコアを手にした人だけ。皆さんは、仮面ライダーとなってジャマトと戦うのです。そして、見事に勝ち抜いた通称「デザ神」は自分の理想の世界を叶えることができます。要は、どんな願いも叶うということです。それでは皆様、お手元のデザイアカードに願いをご記入ください」

 

「え…」

 

いつの間にやら全員の手元にはペンと裏にDGPと書かれた紙がもたされていた。

 

「理想の………世界」

 

 

 

―森―

 

 

 

願いを書かされた後は全員どこかよくわからない森の中へと転送された。

 

 

『それでは、デザイアグランプリを開催します。運命の第一回戦。最初のミッションは宝探しゲーム!ジャマトに奪われた宝物を取り戻してアイテムをゲットしてください。ちなみに、アイテムをゲットできなかった場合失格となりますので、ご注意ください』

 

アナウンスが終わると、森のあちこちから「ジャマト」と説明された怪物が出現してくる。ジャマトの手には武器が持たれており、参加者たちに襲いかかってきた。

 

容赦なく襲われた参加者を見て瑠和は璃奈の手を掴んで慌てて森の奥へと逃げた。

 

「なんだよこれ!やべぇよ!」

 

瑠和はとりあえず岩陰に隠れて辺りをうかがう。まだ気づかれていないが、周りにもジャマトはいる。

 

「ジャ、ジャ、ジャ」

 

「璃奈。俺がアイテムを取ってくるから、そこに隠れてろ」

 

「でも…」

 

「いいから。お前をこんな危険なことに巻き込めない!」

 

「……無理しないでね」

 

「ああ」

 

瑠和は近くに落ちていた手ごろな木の棒を拾って、ジャマトがやってくる方向に歩いていく。ジャマトは瑠和を視認すると剣を構えて襲いかかってきた。

 

瑠和は息を飲む。

 

瑠和は喧嘩の経験などない。格闘技の経験もない。「戦う」なんて経験本当に初めてだった。緊張で腕が震えている。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

そんな自分を鼓舞するように叫び、ジャマトの剣を紙一重で躱した。躱せたことに驚きながらも瑠和は木の棒でジャマトの後頭部を思いっきり殴る。

 

「ジャ!」

 

ジャマトは勢いのまま地面に転がる。それと同時にミッションボックスを落とした。ミッションボックスを落としたジャマトはどこかへ逃げていく。

 

「これが…宝?」

 

「ジャ!ジャ!」

 

瑠和がミッションボックスを拾うと同時に、別のジャマトが瑠和に襲いかかってきた。

 

「うわ!」

 

気が抜けたばかりなので瑠和はビビって逃げだす。

 

さっきは気合いもいれていたし偶然攻撃を避けられただけだ。また同じことが出来る自信はない。

 

しばらく逃げていたが、進んだ先に巨大な岩盤があるのが見えた。行き止まりだ。

 

「嘘だろ!?」

 

「ジャ!」

 

振り向くとそこまでジャマトが迫っている。覚悟を決めてファイティングポーズを取るが、腰が引けていた。すぐにやられるのがオチだろう。

 

少しの間睨みあっていると、突然ジャマトが足をよろめかせた。

 

「?」

 

「ジャ~」

 

そしてそのまま地面に倒れる。ジャマトの背後には大きい石を持った璃奈が立っていた。

 

「璃奈!」

 

「お兄ちゃん大丈夫?」

 

ジャマトは頭を押さえながらふらふらとどこかへ立ち去っていった。瑠和はすぐに璃奈に駆け寄る。

 

「璃奈!隠れてろって言っただろ!?」

 

「でも、お、お兄ちゃんが逃げてるの…見えた…から」

 

瑠和は璃奈の手を見る。震えていた。呼吸も荒い。不意打ちを狙ったとはいえ、よくわからない怪物に立ち向かうのには勇気が必要だっただろう。

 

引っ込み思案で人見知りの妹が頑張ったようだ。

 

「…ありがとう。でも、あんまり危ない真似はするなよ」

 

「うん」

 

瑠和は璃奈を落ち着かせるために璃奈を軽く抱き締めて頭を撫で、背中をぽんぽんと叩く。瑠和の腕の中で璃奈の震えが収まるのを感じた。

 

「ねぇこれ、君たちの?」

 

璃奈を落ち着かせていると背後から声がした。見るとふわふわの茶髪を腰ほどまで伸ばした女性が立っていた。女性の手にはさっきのジャマトが落としたと見られるミッションボックスが持たれている。

 

「あ、ああ。すいません」

 

「このデザイアグランプリっていうの?結構姑息な人もいるらしいから気を付けた方がいいよ~」

 

女性はミッションボックスを渡して去っていった。

 

「ありがとうございます」

 

「きれいな人だった」

 

「そうだな…そういや、宝の中身ってなんだ?」

 

瑠和は先ほど手にしたものと璃奈が倒して手に入った二つのミッションボックスを開く。中には小さなレイズバックルと大きめのレイズバックルが入っている。「アローレイズバックル」と「マグナムレイズバックル」だ。

 

「…とりあえずこれでミッションはクリアってことになるのか?…このまま隠れていれば…」

 

そう思って岩に腰を掛けようとした瞬間、悲鳴が聞こえてきた。

 

「………」

 

「お兄ちゃん………」

 

「隠れていよう……」

 

「お兄ちゃん!私も、戦える………それに、この先も戦わなきゃだから………」

 

 

 

―別地点―

 

 

 

「は、は、は!」

 

少女はジャマトから逃げていた。戦いなんて経験のないただの女子高生だったからだ。

 

「ジャ!ジャジャ!」

 

「あう!」

 

不幸にも少女は転んでしまった。それをチャンスとばかりにジャマトは少女を囲む。少女は涙目になりながらあたりを見回す。

 

「………っ!」

 

「ジャ!」

 

「いやぁ!」

 

少女は目を瞑ってうずくまる。しかし、いつまでたってもジャマトの攻撃が少女に当たることはなかった。

 

「………?」

 

ジャマトはいつの間にか吹っ飛んでいた。そして、そこに颯爽とアームドアローを装着した瑠和が飛び込んできた。

 

「はぁぁ!!」

 

飛び込んできた瑠和は少女を囲っていたジャマトにアローを打ち込んだ。

 

「………あなたは」

 

「大丈夫ですか?」

 

瑠和は少女に手を伸ばす。

 

「あ、ありが………危ない!」

 

倒したと思っていたジャマトが起き上がり瑠和に攻撃してきた。だが、瑠和は動じない。とびかかってきたジャマトはどこからか飛んできた弾丸に撃たれ、爆発四散した。

 

「ナイスコントロールだ。璃奈」

 

撃ったのはマグナムフォームとなり、遠くから狙撃した璃奈だった。

 

「ブイ」

 

ジャマトが爆発したあとにはミッションボックスが落ちていた。瑠和はそれを拾って少女に渡す。

 

「これは君のだ。使うといい」

 

「え?いいんですか?」

 

「ああ」

 

「お兄ちゃん、その人、無事?」

 

そこに璃奈が合流した。

 

「…ご兄妹…なんですね」

 

「ん?ああ」

 

瑠和と璃奈は変身を解除する。

 

「俺は天王寺瑠和。こっちは妹の璃奈。よろしく」

 

「あ、ご丁寧にどうも……わたし、桜坂しずくっていいます。よろしくお願いします」

 

自己紹介を終えたところで、三人の前に白い服を着た女性が現れた。

 

「アイテム獲得、おめでとうございます。どうぞこちらへ」

 

 

 

―休憩スペース―

 

 

 

「ここは、デザイアグランプリに参加される皆様が無料でご利用いただける、休憩所となっております」

 

説明した女性はバーカウンターにはけていった。

 

「こんなところが…」

 

「あれ、無事だったんだ」

 

すでにそのスペースのソファに陣取っていた少女が瑠和たちに気づく。

 

プラチナブロンドのショートヘアーに右目が隠れている。大人ぶってはいるが、そこまで大人という風には見えなかった。

 

瑠和が休憩所の存在に呆然としていたが、しずくが少女に近寄っていく。

 

「あなた、ひょっとしてミア・テイラー!?すごい!本物だ!これに参加してたんだ!」

 

「巻き込まれた、が正しいけどね。僕のこと、知ってくれてるの?」

 

「もちろん!だってあのテイラー家なんだから!」

 

「家の名前で評価されるのはいただけないけど、知っててもらったことは感謝するよ。そっちのは?」

 

ミアと呼ばれた少女は瑠和たちを見た。急に知らない人間に声を掛けられた璃奈は少し驚いて瑠和の後ろに隠れる。

 

「…俺らか?」

 

「ああ、言わなくていいや。確かこいつで」

 

ミアは運営から渡されたデザイアグランプリ専用のスマホ「スパイダーフォン」で二人の情報を調べる。

 

「………リーニャと、ギャーゴ…だね」

 

「仮面ライダーの名前………か。そういう君は………リープ…か」

 

「モチーフがウサギで、ちょっとかわいいのは気に食わないけどね」

 

「…………ウサギ?かわいい…」

 

ミアの変身するライダーのモチーフを聞いて、璃奈は瑠和の後ろから小さく顔を出す。ミアは少し照れ臭そうに礼をいった。

 

「…………どうも」

 

「うはぁ~!きつかったぁ~」

 

そこに金髪の少女がとびこんできた。

 

「いや今回のきっつこれ!死ぬかと思ったぁ……」

 

さらに続々とアイテムを獲得した参加者たちが休憩所に飛び込んでくる。瑠和たちを含め生き残ったのは14人となったとき、休憩所の電話が鳴る。瑠和たちを案内した白い服の女性が電話に出た。

 

「……かしこまりました。皆さま、緊急事態です」

 

瑠和たちは再び最初に集められた場所に来た。

 

「先ほど、盗賊ジャマトの親分が現れました。宝探しゲームはここまでとし、アイテムをゲットできなかった皆様はリタイアとなります」

 

残った面子を見渡すと瑠和以外全員女子だった。

 

「………女の子が多いな…」

 

「手に入れたアイテムを使いこなして、ジャマトをすべて倒してください。生き残った方は一回戦勝ち抜けです」

 

説明を聞いていたがふと引っかかるフレーズが出てきた。

 

「………生き残った方?」

 

「これは、命を懸けたゲームですので」

 

「…………命…」

 

何も聞いていない。命を懸けたゲームと事前に知らされていれば、こんなこと無理に参加しなかったかもしれない。瑠和は璃奈の方を見る。

 

詳しくは見れなかったが、確かに璃奈は何か願いを書いていた。

 

「…………璃奈、璃奈は叶えたい世界があるのか?」

 

「……ある」

 

「それは、命を懸けるほどの願いか?」

 

「……………もしかしたら、違うかもしれない。だけど、私にとっては命を懸けても叶えたい」

 

「……わかった」

 

瑠和はそれだけ聞くと前を向いた。覚悟を決めたのだ。周りの面子も何も言おうとしない。多少は動揺する表情も見せたが、皆、命を懸けても叶えたい願いらしい。

 

「それでは皆様、ミッションを開始します」

 

そう言うとナビゲーターの女性は変身ポーズをとった。

 

「変身!」

 

「え?」

 

『Entry』

 

ナビゲーターの掛け声とともに瑠和たちは再び森の中へ転送された。それと同時に全員が仮面ライダーの姿に変身する。

 

『ランビー、ギャーゴ、リーニャ、マック、スミロ、キュービー、リープ、ライズ、サスケ、ダパーン、レートリバー、シーカー、クーガー、ラグーン』

 

「これは………璃奈は猫……か?」

 

「お兄ちゃんも」

 

瑠和と璃奈は両方とも猫をモチーフにしたライダーの様だ。さらに、羊、熊、スミロドン等々、様々な姿のライダーが並ぶ。その前に盗賊ジャマトたちが集結した。

 

「さ、行きましょうか」

 

犬をモチーフにしたライダー、レートリバーが先陣を切り、アイテムを取り出す。何やらかわいらしい生物が眠っているような形のアイテムだ。

 

『モンスター!!』

 

モンスターフォームになったレートリバーはジャマトの群れに突っ込んでいく。

 

「いっぱいいるねぇ~よーし、愛さん頑張っちゃうぞ~!」

 

『フィーバー!ブースト!』

 

「……行きます」

 

『ニンジャ!』

 

「侑ちゃん………」

 

「…行こう、歩夢!」

 

『アームド・チェーンアレイ』

 

『DEPLOYED POWERED SYSTEM・GIGANT BLASTER』

 

「燃えてきましたねぇ!行きますよ~!」

 

『アームド・ハンマー』

 

「あ、え、えと!かすみんだってぇ!」

 

『アームド・シールド』

 

「………ま、行きましょうか」

 

『アームド・クロー』

 

「よし、がんばろう!」

 

『アームド・ドリル』

 

「じゃ、ボクも。君らも早くいかないと死んじゃうよ」

 

『ゾンビィ!』

 

次々とアイテムを使ってジャマトととの戦いに向かう。残されたのは瑠和、璃奈、しずく、そしてさっき瑠和たちの前に現れた女性だった。

 

「命がけの………」

 

「ねぇ君」

 

瑠和も変身しようとしていた時に先ほどの女性が声をかけてきた。

 

「え?」

 

「君の望みはなぁに?」

 

「俺の望みは…………璃奈の望みが、俺の望みです」

 

嘘だ。実はさっき願いを書くときに瑠和は何もかけずとりあえず保留という形にしてもらったのだ。瑠和は別に望む世界なんてなかった。ただ日々を平和に暮らせれば文句はなかった。

 

瑠和の言葉を聞くと女性は目を閉じて前に出る。

 

「………そう。あのね、この戦いは遊びじゃないんだ。みんな願いを叶えたくて必死に戦ってる。そこに「自分」のわがまま…………大好きがないと、生き残れないし、誰も守れない。君の願い、彼方ちゃんは見つけてほしいって思うな」

 

『シノビ!』

 

自身のことを彼方といった女性もアイテムを使ってフォームチェンジし、ジャマトに向かっていった。

 

「………俺の…願い?」

 

「瑠和さん危ない!」

 

瑠和が自分の願いに悩んでいるとどこからか斧が飛んできた。それにいち早く気づいたしずくが瑠和を突き飛ばして難を逃れた。投げてきたのは親分ジャマトだ。

 

「………まずはこいつら倒してからか…行くぞしずく!璃奈!」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

『アームド・アロー』

 

『アームド・ウォーター』

 

『マグナム!』

 

三人とも変身した。しずくは熊をモチーフにしたライダーで、ウォーターレイズバックルを装着した。

 

「はぁ!」

 

三人とも射撃タイプの武器だったため全員が親分ジャマトに狙いを定めて砲撃する。しかし瑠和と璃奈の砲撃ははじかれ、しずくに至っては武器から最初は勢いのいい放水が発射されたがそれ以降はただの水鉄砲、いいとこホース程度の威力しか出ていない。

 

「えぇ!?」

 

「くそ、璃奈!援護してくれ!!しずくは隠れてた方がいい!」

 

「わかった」

 

「……すいません、ありがとうございます」

 

瑠和は強力な一撃を食らわせるために接近戦に移行する。璃奈は近くの木に身を隠しながら瑠和に当てない程度に援護をする。

 

親分ジャマトは親分というだけあってほかのジャマトに比べ戦闘能力が高かった。瑠和は接近して格闘戦に持ち込もうとしたが瑠和の繰り出したパンチは片手の斧で防がれ、もう片方の手に持たれた斧で切りつけられる。

 

さらに追撃されそうなところで璃奈が親分ジャマトを狙撃して阻止する。そこで生まれた隙にアローを打ち込むが威力が低く、大きな隙は作りだせなかった。

 

「………」

 

それをしずくは影から見つめていた。

 

「…………私も…何か…」

 

ふと近くに目をやると最初に突貫していった仮面ライダーレートリバーがジャマトを2体同時に殴り飛ばした瞬間を見た。

 

「あラ?」

 

殴り飛ばしたと同時に目の前にミッションボックスが落ちてきた。レートリバーはボックス出現とともに音が鳴ったスパイダーフォンを確認する。

 

「これ………ああ、シークレットミッションってやつね」

 

レートリバーはミッションボックスを拾い上げると中からはしずくが使っているウォーターレイズバックルが出てきた。

 

「ウォーター?让我们使用」

 

レートリバーはベルトの上部スイッチを押し、バックルを180°回転させた。

 

『リボルブ・オン』

 

するとレートリバーの身体が浮き上がり、回転して上半身と下半身が入れ替わった。そして上半身のアーマーが下半身になったので上半身にウォーターレイズバックルを挿入する。

 

『アームド・ウォーター』

 

「食らいなさい!」

 

レイズウォーターをジャマトに向けて発射したが、しずくと同じくすぐに水圧は弱くなってしまった。

 

「え~使えないじゃないの!」

 

「ジャジャ!」

 

レートリバーが動揺しているとここぞとばかりにジャマトが接近してきた。しかし、とっさにレイズウォーターを振り回すとそれがジャマトに命中する。そして命中した際にとてもいい音が響いた。

 

「あら、こっちの方……が!」

 

もう一体接近してきたジャマトにレイズウォーターを殴りつけると、レートリバーはレイズウォーターを得意げにくるくると回す。

 

「手に馴染むわ」

 

レートリバーはそのままレイズウォーターを鈍器として振り回す。その様子を見ていたしずくは少し考え、自身のウォーターレイズバックルを外して瑠和の戦っている場所に走った。

 

瑠和たちは戦いながら移動し、浅い川の中で戦っていた。

 

「うぉらぁぁぁぁ!!」

 

ショルダータックルで突撃し、よろめかせたところで瑠和のレイズアローと璃奈の狙撃を食らわせる。しかし親分ジャマトはすぐに斧で反撃してきた。瑠和は斧で切り付けられ、吹っ飛ばされる。

 

「あぁ、くそ……」

 

「瑠和さん!」

 

遠くからしずくの声がした。

 

「しずく!?下がってろって」

 

「使ってください!」

 

しずくはウォーターレイズバックルを瑠和に投げた。

 

「それから、ベルトの上のボタン!押してバックル回すと上と下の装備を入れ替えられます!」

 

「え?」

 

瑠和は実際にバックル上部のボタンを押し、バックルを180°回す。

 

『リボルブ・オン』

 

刹那、瑠和は背後に迫った親分ジャマトの攻撃を回転しながら躱した。瑠和は着地と同時にウォーターレイズバックルを装填し、上半身にアームドウォーターを装備した。

 

『アームド・ウォーター』

 

「それ、鉄パイプになります!」

 

「アケコエイン!」

 

背後から親分ジャマトが攻撃してきたが瑠和はそれをレイズウォーターでガードする。

 

「なるほど………っな!!」

 

瑠和は親分ジャマトの斧をレイズウォーターで弾くとそのまま殴りつけた。さらに追撃に殴りつける。怯んだところを璃奈が狙撃し、さらに吹っ飛ばした。

 

「つーかこれ蛇口なら、なんかならねぇのか?」

 

レイズウォーターの手元にある蛇口を回すとホースが飛び出し、川の中に入った。

 

「お?」

 

「ケポロ!」

 

試しにその状態で放水口を親分ジャマトに向けてトリガーを押すとすさまじい勢いの水が発射され、親分ジャマトが再び吹っ飛ばされた。

 

「ジャー!」

 

「おお。これなら!」

 

「瑠和さん!頑張って!」

 

「おぉぉぉぉぉ!!!」

 

一気に接近し、レイズウォーターでぶん殴ろうとしたが親分ジャマトに防がれ、切り付けられる。怯みながらも放水を浴びせ、生まれた隙にレイズアローを打ち込む。しかし、やはり火力が足りずすぐに反撃を受けて瑠和は地面に転がった。

 

「お兄ちゃん!」

 

璃奈も必死に援護するが、やはり押されている。

 

「はぁ、はぁ………あぁぁぁ!!」

 

痛む身体を持ち上げながら瑠和は親分ジャマトに立ち向かっていく。だが無謀だ。疲弊した攻撃では親分ジャマトは怯まず、すぐに反撃を食らう。

 

そのまま倒れることも許されず、2回、3回と切り付けられ岩肌に激突した。

 

「ぐぁ………は……あぁ…」

 

瑠和はレイズウォーターを杖代わりに何とか立ち上がる。

 

「テテウクバエインチャ!」

 

親分ジャマトが瑠和のいる場所に斧を投げた。斧は瑠和の手前に突き刺さり、少し点滅したかと思うと大きな爆発を起こした。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「瑠和さん!」

 

普通に食らえば死ぬレベルの爆発だ。璃奈としずくは思わず叫んだ。

 

煙が晴れていき、瑠和がいた場所には猫の模様が描かれた丸太が刺さっていた。

 

「………え?」

 

「はぁぁぁ!」

 

親分ジャマトの背後から「ポンっ!」という音と煙とともに瑠和が現れ、放水で親分ジャマトを吹っ飛ばした。

 

「これで……」

 

瑠和はウォーターレイズバックルとアローレイズバックルを起動させる。

 

『ウォーター、アロー、ヴィクトリー』

 

「おぉぉ!」

 

瑠和が親分ジャマトに向かって走る。親分ジャマトはすぐに斧を構え、両手に持っていた斧を2本とも瑠和に投げた。

 

瑠和はそれをエアプレーンジャンプのような挙動でぎりぎり躱し、ジャンプで浮いた足をそのまま親分ジャマトに叩きつける。

 

そしてレイズアローを押し付けると同時に川から上がった水がレイズアローに吸収された。

 

「とどめだぁぁぁ!」

 

すさまじい水圧で威力を増した矢が発射され、親分ジャマトにゼロ距離で命中する。

 

「ジャァァァァ!!!」

 

親分ジャマトは爆発四散した。瑠和は爆炎の中からふらふらと歩いて出てくる。

 

「お兄ちゃん!大丈夫!?」

 

「瑠和さん!」

 

瑠和は数歩歩いたところで倒れかけた。二人は瑠和に駆け寄り、倒れる前にギリギリで瑠和を受け止める。

 

「…瑠和さん!瑠和さん!」

 

しずくが瑠和を抱き抱え、必死に声をかける。

 

「………疲れた」

 

瑠和の気が抜けたような声を聞き、しずくと璃奈は顔を見合わせてほっと安堵のため息をつく。

 

「よかった…」

 

「うん…ご無事でよかったです」

 

「心配かけたな…」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

『第一回戦終了~!』

 

全てのジャマトが討伐され瑠和たちは最初の空間に連れてこられた。

 

「今回脱落者はいませんでした。皆さまおめでとうございます。またジャマトが出現したときにデザグラは再開されますので。それではごきげんよう」

 

「………また……戦いがあるのか」

 

「いやならやめればいいさ。そっちの方が、僕たちは助かるから」

 

苦い顔をする瑠和に、ミアがあきれた顔で言った。その言葉に少し苛立ちを感じた瑠和は八つ当たり気味に質問する。

 

「…そういう君はどんな願いを願ったんだ?」

 

「僕かい?僕は…………………」

 

 

 

続く




OVAを見てから同作者連載の「彼方の近衛」の続きを書こうと思いましたが三部作を見ないと続きを書けない状態に陥ったので時間稼ぎの作品になるつもりがちょっとした対策になってしまったので投稿します。「彼方の近衛」の続きもお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。