Before Days -case of DGP- 作:瑠和
「…………」
ここは、以前アリナが管理していたファームの一角。そこにはアリナの身体が蔦にくるまれた状態で置かれていた。だが、その肉体は息をしていない。
「もうすぐ………だよ。アナタと私の愛の結晶。生まれるからね」
そんなアリナの遺体に寄り添うのは歩夢だ。
歩夢は先のゲームの最中、絶命の寸前にアリナが植え付けたジャマトの種によって延命し、なんとか助かっていた。しかし、ジャマトの力に歩夢の精神が勝ったのはよかったものの、「ジャマトは同類であり味方である」という知識が刷り込まれた状態で覚醒したのだ。
そのせいか、アリナに対しても異様な愛情を持っている。
「さぁ、そろそろゲームも再開しないとね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「本当にいいんですか?」
「うん、ごはんはみんなで食べた方がおいしいし、彼方ちゃんも君と一緒にいたいから…」
瑠和たちの暮らしていたアパートの前、彼方と瑠和が話していた。
彼方は瑠和と恋仲になったこと、一人ではまたいつ自殺するかわからない危険性からしばらく一緒に暮らすことを提案したのだ。
「じゃ、行こうか」
「……うん」
二人は手をつないで歩き始める。
新しい日常へ踏み出そうとしたとき、二人の前に男が現れた。
「…?」
サングラスをした、オールバックの老人。ただの通りすがりではなく確実に瑠和たちに用事があるみたいだ。
「なんだあんた」
「なんだとは、実の祖父を忘れるとは、親不孝いや、祖父母不幸とでも言うのかな?」
「……悪いけど、生まれてこのかたじいちゃんにもばあちゃんにも会ったこと無いんだ。父さんと母さんから死んだってきいてるけど?」
「はははは!そうか、あの二人は君の真実を伝えずに死んだか…。だが、私は確かに君の祖父だ。名前を天王寺博史…」
天王寺博史は名刺を瑠和に向けて手裏剣のように投げる。瑠和はそれを受け取り。名前を確認した。確かに天王寺とある。
だが、両親の死に対して不快に笑う男に、瑠和は嫌悪感を示す。
「何がおかしい!」
「では、私から君に、君の真実を伝えよう。隣にいるのは、君の妻かな?それかガールフレンド…まぁ、なんであれ聞いていたほうがいいかな」
「なんのことだ…」
「君のとなりにいるその男、天王寺瑠和は………既に死んでいる」
「!!」
「っ!?」
その言葉にもっとも同様を示したのは瑠和自身だった。
「どういう……ことだ?」
「君は5歳のとき、交通事故に巻き込まれて死んだんだよ。だが、君の両親は君の死を受け入れられなかった。そこで、「アンデット」と呼ばれる不死生命体を研究していた私に泣きついて来たのだよ。私も研究の一貫として、君にアンデットが封じられているカードを融合させ、蘇らせたのさ!ははははは!」
「…」
博史の言葉に瑠和は胸を押さえながら呆然としていた。隣にいた彼方もそんな瑠和を見つめるので精一杯だった。
「少し…ショックが大きかったかな?まぁいい。しばらくは不要だったから君を生かしていたが、もしかすると必要になるかも知れないと思ってね。君の身体に融合されている、カードを回収に来たんだ」
「回収…それって瑠和君は!」
彼方は、はっとして博史に尋ねた。
「まぁ、彼はいま、アンデットの力で生きている。回収完了すれば、死ぬだろう。だが、本来死んでいたときから20年近く生きれたのだ。もう満足だろう?」
「…っ!」
「ふざけんな………こんなところで…」
瑠和は彼方を見る。
「俺は彼方さんと生きるって決めたんだ!そう簡単に、死んでたまるかよ!」
瑠和は叫んでデザイアドライバーを装着した。
「……ほう、デザイアグランプリか………ちょうどいい。ケルベロスの実験だ」
博史が指を鳴らすと、博史の背後からケルベロスアンデットが飛び出してきた。
「なんだか知らねぇが、さっさと終わらせてやる………変身!」
『ビート!』
「瑠和君!」
「グルァァァァ!」
瑠和はビートアックスを構え、アンデッドに向かって走り出す。
すれ違い様にアンデッドを切り裂き、振り返ると同時に再度切りつけた。だがアンデッドはそれにひるむことなく瑠和を鋭い爪で切り付けようとした。
「そんな攻撃が!通用するか!!」
瑠和は爪を躱し、接近してきたアンデッドの腹部にビートアックスを叩きつける。
「おらぁぁぁぁぁ!!!」
叩きつけたビートアックスを思いっきり振りぬき、ダメージを与える。
「まだまだ!」
『リボルブオン・セット、グレート』
リボルブオンでの上下反転と同時にアンデッドの攻撃を回避した後にコマンドバックルを装填し、レイジングソードとビートアックスで切り付けた。
「こいつでぇぇぇ!!」
さらに攻撃をしようとしたとき、その腕をアンデッドが抑えた。
「!!」
「グルァァァァ!!」
アンデッドが叫び、瑠和の目の前で大きく吸引した。そのとき、瑠和の身体の中から一枚のカードが出現し、アンデッドに吸収された。
「がっ………」
カードが吸収された瞬間、瑠和は仰向けに倒れ、動かなくなった。
「………瑠和君!!」
「御苦労、トライアル」
博史はトライアルから瑠和の体内から出現したカードを回収する。
すると、トライアルは叫び声をあげ、別の場所のカードを回収しにどこかへ行った。
「これで彼と融合していたアルビノジョーカーのカードは回収された。君には残念かもしれないが。所詮これは運命だ」
彼方は慌てて瑠和に駆け寄り、脈を確認する。博史の言う通り、瑠和はもう、死んでいた。
「そんな………瑠和君……なん…で」
「それでは、さらばだ……」
博史はリムジンに乗って去って行く。そんな博史の言葉など彼方の耳に届いていない。倒れている瑠和の身体を掴み静かに涙を流すだけだった。
「なんで………どうして………瑠和君」
「…………はっ!!!!」
瑠和の頬に彼方の涙が落ちた瞬間、瑠和は勢いよく目を覚まし、思いっきりせき込んだ。
「え………」
「げほっ!がはっ…………え?なんで俺……生きて…」
「瑠和君!!!」
彼方は涙ながらに瑠和に抱き着いた。彼方に押し倒された瑠和は自分がなぜ蘇生したのかを考えてみたが、彼方の泣く声を聞いていたらどうでもよくなった。
「……………まぁ、いっか」
ー数日後ー
数日後、エマは休憩所で目を覚ます。
「…………ここは」
「エマさん!」
「侑ちゃん…」
エマが目を覚ましたことに侑は歓喜し、早速なにがあったのかを聞いた。そして、前回のゲームの最後に歩夢がアリナによって殺害されたが、種を植え付けるような趣旨の発言をアリナがしていたことを侑は聞いた。
「………そうだったんだ…。じゃあ、あれは、歩夢の本心じゃない……んだよね」
「………多分」
「うん、それが聞けただけでよかった。覚悟は、決まったよ」
侑が決意の表情を見せた瞬間、ジャマーエリアの出現を知らせる警報が鳴り響いた。
「………エマさんはここにいて。私たちでケリをつけてくる。まだ怪我も治ってないですし」
「うん………気を付けてね」
―ジャマーエリア―
ジャマーエリア内にはライダー組が集まっていた。
「じゃあ、瑠和のこと頼むよ」
「うん、まかせろぜ~」
多少立ち直ったとはいえ、まだ瑠和は暴走する可能性があったため、彼方と一緒にジャマーエリアに巻き込まれた一般市民の避難、ポーンジャマトの駆逐を担当することにした。
そして、歩夢と戦うのは、侑、ミア、かすみの三人だ。
「じゃあ、歩夢ちゃんは任せたよ」
「ああ」
「ちょ~っとこついて歩夢さんを正気にしてきますから。待っててください」
「………二人とも、行こう」
5人はそれぞれの目標に向かって走った。
―ジャマーエリア中心部―
「侑ちゃん、待ってたよ」
ジャマーエリアの中心部には歩夢がいた。前回の戦闘で失われたはずの左腕が復活していた。だが、ただの腕ではない。植物の蔦を絡めて作ったような歪な腕だ。
「………歩夢。いま眼を覚まさせるから」
「「「変身!!!」」」
『DEPLOYED POWERED SYSTEM・GIGANT BLASTER』
『ゾンビィ!』
『ブースト!』
「………変身」
『ジャマト!』
『Ready・Fight』
「いくよ………」
「わぁぁぁぁぁぁ!!!!」
歩夢に向けてギガントブラスターを乱射しながら侑は走っていく。歩夢は蔓を巻き付けた腕でそれを防ぎながら侑に向かって走り出す。
「侑ちゃん、おとなしくしてて」
侑の目の前まで迫った歩夢は地面に腕を叩きつけ、蔓を伸ばして侑を鹵獲しようする。
「!!」
「はっ!!」
だがその蔦をミアのゾンビブレイカーが切り裂く。
「邪魔しないで!!」
ミアに触手を伸ばしたが、その触手は間に割り込んできたかすみのブーストに焼かれる。
「っ!」
「もうこれ以上!誰も失わせません!!」
「犠牲もなく理想の世界へ行くなんて!」
歩夢は蔓をムチのように振り回し、三人を吹き飛ばす。だが侑は空中で身体をひねり、うまく着地し、ギガントソードにバックルを切り替える。
「歩夢ぅぅぅぅぅ!!!!」
「侑ちゃん………どうしてわかってくれないの」
歩夢は剣に変形させた蔓をもって侑の斬撃を受け止める。
「止めて見せる!!歩夢はそれ以上行っちゃいけないんだ!!」
「私がたどり着く場所は私が決める!!」
二人のつばぜり合いにミアとかすみが突っ込んでいく。歩夢は不利と判断したのか侑の剣をいなしていったんバックステップで距離を取る。
しかし、ミアは瞬時にゾンビブレイカーのレバーを引き、エネルギーを溜める。
『ポイズン・チャージ』
「はぁ!!」
ミアの放った斬撃波が空中にいた歩夢に命中し、落下する。そこにブーストを拭かせたかすみが一気に接近し、勢いをつけた強力な拳を歩夢の腹部にめり込ませた。
「かっ……」
歩夢は殴り飛ばされ、瓦礫に突っ込んだ。
「歩夢………」
侑が心配そうに瓦礫を見つめていると瓦礫が無数の蔓によって吹っ飛ばされ、歩夢が立ち上がる。
「私は………理想の世界を叶える………だれにも……邪魔はさせない!!」
「歩夢っ…………!」
侑はコンテナバックルを外し、レアバックルを取り出す。
「もう、これしか………」
『ギガント・グレート』
「はぁぁぁぁ!!」
侑はギガントソードを構え、歩夢に向かっていく。歩夢も侑を鹵獲しようと蔓の触手を伸ばす。侑はギガントソードで触手を切り裂き、レアバックルの力で軽くなった身体で触手の間を潜り抜けていく。
「なっ!」
「歩夢!目を覚まして!」
侑は歩夢の目の前に降り立つと歩夢のベルトにセットされているジャマトバックルを無理やり外そうとする。
「離して!」
しかしすぐに歩夢に蹴り飛ばされ、侑は地面を転がる。それと同時にレアバックルが外れ、ふっ飛んだ。それをチャンスと見た歩夢は一気に侑を蔓で縛り上げる。
(しまっ……)
「侑!くそっ!」
ミアとかすみが侑を救助しに向かうが、触手に阻まれる。
「邪魔だよ………さっさと死んでゲームクリアのための養分になってよぉ!!!」
「っ!」
そんな戦闘が繰り広げられている現場に、誰かが壁伝いに歩いて来た。全身に包帯を巻き、まだ万全とは程遠い状態のエマだった。
「…………歩夢ちゃん……。みんな………」
(…………私の…願い)
エマはゲームが始まったばかりの時を思い出す。書いた願いは「周りの人をポカポカにさせてあげられる力」。何ともふわふわした願いだったが、エマにはそれしかなかった。大きな望みはない。ただ人並みの幸せの中で周りの人も幸せにできたらと思った。
だけど、世の中はそう簡単じゃなくて、大きな幸せの代わりに人並みの幸せすら叶わない人もいることを知った。
「…………私は」
だからせめて、誰かのために戦いたかった。誰かの願いを応援したかった。
「歩夢ちゃん、侑ちゃん………こんなの、きっと悲しいことだよね…だから…」
エマはレアバックルを出す。瑠和はエマからビートバックルを受け取る代わりにレアバックルを渡していたのだ。
「変身」
『ニンジャ・グレート!Ready・Fight』
「だぁぁぁぁ!」
『ニンジャ・グレート・ヴィクトリー』
痛む身体を無理矢理動かし、エマは飛び出した。そして、ニンジャバックルの力で分身を産み出し、一体は侑の救助、一体はミアとかすみの援護、一体は歩夢に飛びかかり、拘束した。
「エマさん!?」
「よしっ!」
救助された侑はすぐに立ち上がり、ギガントソードを拾い上げる。かすみは侑が落としたレアバックルを拾いに、ミアは歩夢へ攻撃に。
それぞれが動き、危機感を感じた歩夢はすぐさま自分を拘束しているエマに蔓の剣を突き刺した。
「―――――――っ!!」
エマは激痛に顔を歪めるが、それでも歩夢を離そうとはしない。
「離して!!」
「はな………さなない!!」
「おぉぉぉぉぉ!!!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
そうこうしているうちにミアと侑が接近してくる。
「くっ!!だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
歩夢はとっさに咆哮を放ち、全身から棘を出現させた。前回のゲームでしずくたちに致命傷を与えた技だ。
歩夢の身体から出現した棘は四方八方に刺さり、歩夢を抑えていたエマ、接近してきていた侑を串刺しにした。
ミアはとっさに前に出したゾンビブレイカーがミアを貫くはずだった棘を砕き、無事だった。
「がっ……」
「ぐ………」
「歩夢………お前ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ミアは激昂し、ゾンビブレイカーを構えて歩夢に突進していった。歩夢は棘を消滅させ、蔓の剣でミアの攻撃を受け止める。
「これが望みか!お前の!!」
「大丈夫、たとえ致命傷でも、私が助けるから」
それは、歩夢と同じように種を植え付け、ジャマトや歩夢にとって都合のいい存在としてよみがえらせるということだ。
それに気づいたミアは歯ぎしりし、怒りのままにゾンビブレイカーを振るった。
「ふざけるな!!そんなことして、人の心を捻じ曲げてまで!叶えたい世界なのかよ!!」
「世界をねじ曲げるデザ神だって同じじゃない!。同じ穴のムジナのくせして、綺麗事言わないで!私は私の世界を私の力で叶えてみせる!」
刹那、ミアの足を地面から伸びた蔓が縛り付ける。自由を奪われたミアを歩夢は切り倒す。
「ぐぁぁぁ!」
だが、ミアが倒れると同時にその背後から侑の落としたレアバックルを装着したかすみが飛び出してきた。
「そんなかわいくない世界、私は望みません!」
「だったら私を倒してみせてよ!自分勝手な願いを叶えるために!」
◆◆◆◆◆◆
世界には、苦しいこと、悲しいことばっかりだ。
早くに両親を亡くし、私は一人ぼっちだった。
そんな私を守ってくれたのは、かわいいもの。私自身も可愛いと思うことで、自分を信じることで私は無敵になれた。
デザイアグランプリの説明を聞いたとき、私は家族を取り戻したいと思った。
ただ家族がほしいだけじゃない。みんな可愛くて、私の大好きが溢れる、かすみんワンダーランドが欲しいって願った。確かに自分勝手な願いかもしれない。
だけど、きっと今の歩夢さんの願いよりはマシだと思う。だから
◆◆◆◆◆◆
「私が自分勝手でも!あなたの願いは否定します!」
「吠えないでよ!愛も知らない子供が!」
歩夢も反撃するがレアバックルとブーストバックルの組み合わせにさすがに苦戦する。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
かすみと歩夢が戦っている間、歩夢に斬り倒されたミアのところへエマが地面を這いながら寄ってきた。
「ミア…ちゃん」
「う…………エマ…?おい、大丈夫か!?」
エマは歩夢に全身を貫かれ、あちこちから出血しているエマはベルトからレアバックルを外してミアに差し出す。
「エマ…」
「歩夢ちゃんを、止めてあげて?こんなこと、きっと歩夢ちゃんも望んでないよ…」
「………君ってやつは…。ああ、わかった。必ず止める。」止めてみせるさ。君のお人好しに免じて…。だから」
ミアは身体の痛みに耐えながら立ち上がり、そっとエマの瞳を閉じさせた。
「ゆっくり眠ってくれ」
ミアが歩夢たちの方へ歩くのと同時にエマのIDコアにヒビが入り、エマは消滅した。
一方、かすみと歩夢は拮抗した戦いを繰り広げていた。
「こんのぉぉぉぉ!」
ブースト加速のついた拳を歩夢は剣の腹で受け止めるが、後方に吹き飛ばされる。やはり、ブーストを使っているかすみがやや上手だ。
「っ!」
(チャンス!)
態勢を崩した隙を見たかすみは一気に加速し、全力の一撃を放った。だが、歩夢の腹部にかすみの拳が決まった瞬間、歩夢は小さい悲鳴を上げながらもその拳を掴んだ。
「捕まえた」
(しまっ………)
『ジャジャジャストライク!!』
歩夢は腕に蔓を巻き付けてドリルを作り出し、それをかすみにぶつけようとしたが、それは飛び込んできたミアのゾンビブレイカーによって斬り落とされた。
「おらぁぁぁ!!」
さらにゾンビブレイカーを歩夢に叩きつけ、かすみから引き離す。
「ありがとう、助かった」
「…………エマが死んだ」
「え…………」
ミアの発言にかすみはショックを受けるが、すぐに拳を握りしめ、切り替える。
「終わらせよう。かすみ。これ以上、歩夢に罪を重ねさせない」
「…………そうだね。終わらせよう」
「罪………?私は理想の世界を目指して戦ってるだけだよ?」
「僕らの知ってる歩夢はそんなことは言わない。これで終わらせる」
(…………レアバックルが二つに、ブーストバックルが一つか………思ったより面倒だな)
「仕方ない。私たちの子供に渡すつもりだったけど、少し使おうか」
歩夢は緑色のバックルを取り出した。ブーストバックルに形状が似ているが違う部分は多い。
「…………なんだあれ…」
「私たちの子供の出生祝い………かな?」
『ジャマーブースト!』
歩夢がバックルをセットし、レバーを回すと蔓が全身を包み、全身にバイクのマフラーのようなパーツが着く。
「終わらせるんだっけ?うん。私も賛成。終わらせよう」
歩夢はレバーを二回ひねる。
『ジャマーブーストタイム!!』
「行くぞかすみ、同時攻撃だ」
「うん」
『ブーストタイム!ブースト・グレートヴィクトリー』
『ゾンビィ!グレート!ヴィクトリー』
「はぁぁぁぁぁ!!」
「だぁぁぁぁぁ!!」
かすみとミアは同時にジャンプし、ダブルライダーキックを放った。歩夢も再度ジャマーブーストバックルのレバーをひねって飛んだ。
『ジャマーブーストヴィクトリー』
「たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
歩夢の足に蔓が巻き付き、ドリル上になる。さらに全身のマフラーから緑色の炎が噴き出し、加速を促しながら二人のライダーキックに対抗する。
互いのキックがぶつかり、激しいスパークが放たれる。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐぅぅぅぅぅぅ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
歩夢はさらにジャマトバックルを押し込む。
『ジャジャジャストライク!』
歩夢の身体から蔓が出現し、さらに足に巻き付いてドリルを大きくする。
そのパワーに二人のキックでも耐えきれなかった。歩夢はミアとかすみを貫き、着地した。
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
二人は変身解除させられ、地面に叩きつけられる。
「あ…………くそ………」
「まだ………」
地面に這いつくばる二人は完全に動けなくなった。それと同時にIDコアにヒビが入った。
「………っ!」
「そんな……」
「…………私の勝ちだね。きれいな花を咲かせる養分に…」
歩夢が勝ち誇った顔で笑みを零した瞬間、背後から巨大な剣が歩夢の腹部を貫いた。
「…………え?」
「…………………ごめん。歩夢」
歩夢を貫いたのはギガントソード。突き刺した張本人はもちろん侑だ。全身を貫かれて歩くのもやっとだった侑だが、最後の力で歩夢にトドメを刺したのだ。
「侑…………ちゃん?」
「ごめんね?歩夢。でも、大丈夫。一人じゃいかせないから」
そういって侑は自身のIDコアを指さす。侑のコアはすでにかなりのヒビが入っていた。
「歩夢………もし生まれ変われたらさ………今度は…二人でトキメキを見つけようよ。トキメキがあふれた世界が………私の望みだから…」
涙ながらに伝え、侑は消滅した。
「侑………ちゃん……そんな…嘘…………いや…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
混乱した様子で、身体を引きずりつつ歩夢はどこかへ行った。
残されたかすみとミアは仰向けになりながら消滅の時を待っていた。
「……………ねぇ、ミア子はさ、願い、なんだったの」
「なんだよその呼び方…………」
「何でもいいじゃん。どうせ消えるんだし。なんでも持ってそうなくせになんで戦ってたの?」
「………………なんでもなんて手に入らないさ。金があれば責任が、なければ自由が。世の中ってそんなもんだし。僕は名家の代わりに、自由を失った。僕は、自由に歌える世界が欲しかったのさ」
「へー、なにいってるか全然わかんない」
「じゃあ聞くなよ」
「………瑠和さんと彼方さん、大丈夫かな」
「………大丈夫だって願うしかないだろ」
「そうだね…………少しは、いい世界に…」
『mission failed』
続く
天王寺瑠和 職業:公務員
モチーフ・猫/仮面ライダーギャーゴ
願い・未定
天王寺璃奈 退場
朝香果林 退場
近江彼方 職業:弁当屋
モチーフ・羊/仮面ライダーランビー
願い・遥ちゃんがスクールアイドルができている世界
宮下愛 退場
中須かすみ 退場
桜坂しずく 退場
鐘嵐珠 退場
ミア・テイラー 退場
エマ・ヴェルデ 退場
優木せつ菜 退場
高咲侑 退場
上原歩夢 職業:大学生
モチーフ・蛇/仮面ライダーサスケ
願い・大好きを伝えられる世界
三船栞子 退場