Before Days -case of DGP- 作:瑠和
現在Anotherdays-case of Lanzhu-作成中!!!お楽しみに!
他Anotherdayシリーズもエピソード等作成中です今しばらくお待ちください!!
「あぐっ!はぁ!はぁ…っ!」
腹部から大量の血液を流しながら、歩夢は必死にファームに向かっていた。
「はやく…あの子に……」
そんな歩夢の前に、一人の青年が現れる。歩夢が顔をあげると、そこにはアリナによく似た容姿の青年がいた。
「アリナ君…?違う………目覚めたんだね!」
歩夢の表情がぱぁっと明るくなった。そして、青年を優しく抱きしめる。
「アリナ君の姿になれたってことは、ちゃんと食べたんだね?さぁ、最後は私。もう、持ちそうにないから…………」
歩夢は両手を広げ、笑みを零す。
「………」
青年は黙ったまま姿を変態させ、歩夢をひとのみにした。青年に歩夢は捕食され、歩夢が立っていた場所にはジャマーブーストバックルのみが残された。
―別地点―
別地点では瑠和と彼方が必死に戦い、一般人を避難させていた。
「はやく!こっち!!」
「はぁ!早く逃げろ!」
迫りくるポーンジャマトの群れを蹴散らしながら、瑠和はふと、近くの丘が妙に輝て見えることに気付いた。
「…………あれは」
避難状況を見て、少し余裕があると感じた瑠和は丘の方へ向かってみる。
「…………これは………」
光の中心には、一凛のガーベラが咲いていた。妙に輝きの大きいその花を摘んでみると、ジャマーエリア内に花火が打ちあがった。
「うぉあ!?」
『勝者!仮面ライダーギャーゴ!!』
勝者が瑠和に決まった瞬間市民を襲っていたポーンジャマトも姿を消す。
「そういや花を摘んだら勝ちとかってルールだったか……彼方さん!大丈夫ですか!」
ふと彼方の方向を見ると、彼方はゲーム終了と共にスパイダーフォンを確認していた。だが、彼方はスパイダーフォンを見たまま固まってしまっていた。
瑠和は何かあったのかと思い、駆け寄ってみる。
「彼方さん?」
「………………瑠和君」
彼方は無言でスパイダーフォンを見せた。瑠和はそれを見て驚愕する。
―数日後 ラウンジ―
ここはデザイアグランプリのラウンジ。広々としたラウンジには、瑠和と彼方の二人しかいなかった。
「………ここ、こんなに広かったんだね」
「…………そうだな」
前回のゲームで、瑠和と彼方以外の全員が退場した。残った二人はただ、次のゲームに備えて肩を寄せ合うことだけだった。
「………みんな名前も知らないような人たちだったのに」
彼方は一枚の写真を取り出す。
「それは…」
まだ全員が無事だったころ、みんなでお茶会をしたときの写真だ。かすみが「せっかくだから写真を撮りましょう」なんて言い出して、なんだかんだみんな乗り気になったときの。
「……侑ちゃん、歩夢ちゃん、かすみちゃん、しずくちゃん、果林さん、愛ちゃん、せつ菜ちゃん、エマさん、璃奈ちゃん、栞子ちゃん、ミアさん、嵐珠さん………みんな、叶えたい願いがあって、そのために戦ったなら、本望なんだろうけど…」
「…………本当に、命を賭けるほどの願いだったんですかね」
「………そんなのわからないよ。願いに良いも悪いもない。結局はみんなのエゴ……なんだから」
「……エゴ…か」
「そういえば、この写真、瑠和君写ってないね」
「俺はカメラマンやりましたから………」
「ねぇ、写真撮ろ?一緒に」
「え……はい」
二人は肩を寄せ合い、写真を撮った。
結局その日は何も起きず、二人は家に帰ることにした。瑠和はいま彼方の家に世話になっている。璃奈が亡くなったことを利用し、うまく居候することができた。
帰り際、彼方は最寄りのコンビニに寄り、すぐに出てきた。
「何してきたんだ?」
「写真の現像。ほら」
彼方が先ほど撮った写真を現像したものを持ってきた。
「………なるほどな」
彼方はいつも使っている手帳にその写真を挟む。
「彼方ちゃんのおまもりなのだ~」
そういってニコニコ笑う彼方を見て、瑠和は自然と笑顔になった。この人を守りたい。一緒にいたい。それだけで十分な気がした。
願いなんて、瑠和にはなかった。
◆◆
―数日後―
さらに数日が経った。瑠和は近江家の一員として弁当屋の手伝いに精を出していた。瑠和は朝一番に起きて弁当の仕込み、そして彼方が朝食を作っている間に遥を起こしに来ていた。
「遥ちゃん、おはよう」
「………おはようございます」
「今日は顔色がいい気がするね。朝ごはん食べられそう?」
「…………はい」
「じゃあ一緒に居間に行こうか」
瑠和は遥を抱き上げ、車いすに乗せる。そして居間まで押していった。
「お、遥ちゃんおはよ~。瑠奈君が来てくれて本当に助かるよ。遥ちゃんもよくご飯食べるようになってくれたし」
「いいんだ。彼方さんの笑顔が見れるなら。じゃあ、一緒に食べよう」
もう、あんな命がけのゲームなんかしなくても、瑠和の願いは叶ったように思えた。だが、瑠和は知っている。一番近くで見ているからこそわかる。
彼方は願いを叶えたがっていることを。
その日の昼。昼食を買いに来た客が収まり、一段落したころ。二人のスパイダーフォンが警告音を鳴らす。
「………瑠和君」
「ああ」
―東京ビッグサイト 屋上ヘリポート―
二人は東京ビッグサイト屋上ヘリポートへ転送させられた。そこには、Uがいた。
「お二人とも、おそらくこれが最後のゲームになります」
「……」
「最後のゲームは、サバイバルデスマッチになります」
その言葉を聞いて瑠和は彼方を見る。
「俺と彼方さんで戦えってのか…?」
「いいえ。もうお一人います」
三人のところへ向かってくる足音が聞こえた。瑠和と彼方は足音のする方を見た。
「新しくエントリーしたライダー。リクだ」
「新たなエントリー?…………おい、どういうことだよなんでこんなに参加者が減ってから…それに……お前はっ!」
瑠和は抑えがきかなくなり、リクと自己紹介した青年に掴みかかる。
「テメェはアリナだろうが!」
リクの容姿はアリナに酷似していた。璃奈が死んだゲームが発生した際にアリナはゲームマスターとして顔を見せていた。その顔を、瑠和が忘れるはずはない。
リクは瑠和の手を掴んで引き離す。
「離せ。俺はアリナと同じ顔だが、アリナじゃない」
「そんな嘘が…」
「俺をアリナだと思い、殺したいなら好きにしろ。俺たちがこれからやるのは、デスマッチ。殺し合いだ」
「ふざけんな!!おまえとならともかく、彼方さんと戦えるわけがねぇ!!」
「まったく………………これはお前たちへの救済だ。このデスマッチは一人が脱落した場合、残ったどちらかの降参が認められる」
「なに……?」
「お前たち二人で俺を倒せれば、あとは勝手に勝者を決めればいい。無論、殺しあって決めてもらっても構わないがな」
リクはゲームのルールを説明しながら一つのベルトを取り出した。薫子が持っていたはずのヴィジョンドライバーだ。
「なんだそのベルトは…」
「さっきから隠れてみてるあんたは、これが欲しいんだろ」
リクが声をかけた方向にはビッグサイトの逆三角形を支える柱の先端の方。リクの言葉が聞こえたのか、仮面をつけた男が柱の陰から現れた。
「ああ、そうだ。それを取り返す機会を伺っていたが………」
「もう、こいつに用事はない。俺とこいつらの戦いを邪魔してほしくなかったんでな。返してやるよ。ただし、この戦いは邪魔するな」
リクはそう言ってヴィジョンドライバーを仮面の男に投げる。
「そうか、ではこのゲームのみ、静観させてもらおう」
仮面の男はベルトを受け取ると、姿を消した。屋上ヘリポートに残された瑠和、彼方、リクの三人はそれぞれデザイアドライバーを取り出した。
「さぁ、始めようか。世界をかけた、最後の戦いを!!」
『ジャマト!ジャマーブースト!』
「…さっさと終わらせる!」
『ビート!』
「早く帰って、遥ちゃんのご飯作らなきゃ!!」
『シノビ!』
『Ready…………Fight!!!!』
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「やぁぁぁぁぁぁ!!!」
戦闘が開始すると同時に瑠和と彼方は同時にリクに攻撃を仕掛けた。しかし、二人の攻撃は空を切る。
「なに…っ!」
リクは一瞬で二人の背後に移動し、回し蹴りで二人を蹴り飛ばした。
「きゃあ!」
「ぐあ!!」
「さぁ、俺に食われるのはどっちだ」
「…………こんのぉぉぉぉ!!!」
瑠和は素早く起き上がり、ビートアックスでリクを切り付けようとするが、片手で防がれてしまう。リクは瑠和のビートアックスを掴ん瑠和の方を向く。
「お前が戦う理由はなんだ」
「俺はみんなの………彼方さんの願いのために戦う!!」
「そうか……」
瑠和の言葉を聞いたリクはジャマーブーストのレバーを捻り、全身のマフラーのようなアーマーから緑色の炎を噴き出す。そして瑠和のビートアックスを弾き飛ばし、瑠和の腹部に強力な拳を食らわせる。
「がっ…」
痛みに悶える隙も与えず、リクは瑠和を蹴り飛ばし、吹っ飛んだ先へ瞬時に移動して蹴り、再び綱が飛んだ先へ移動して攻撃することを繰り返す。
「はぁ!!!」
さらに強力な膝蹴りを食らわせて上空に打ち上げる。
「ぐぁぁぁぁ!!」
「誰かの願いのために戦うなら、俺のために死んでくれよ」
空中に打ち上げられた瑠和を地面に向けて蹴り飛ばし、地面に叩きつけた。だが、地面に叩きつけられた瑠和はポンッという音と共に丸太に変わった。
「なに?」
「瑠和君大丈夫!?」
瑠和は最後の一撃を受ける寸前、彼方の変わり身の術の力で助けられていた。
「がはっ…なんて…………強さだ…」
「……この力は、母が残してくれた力だ」
「母…?」
「俺はアリナによって産み出され、歩夢によって育てられた。ジャマトの変異体だ」
「ジャマトの…?」
「俺は望む。父と母と、ジャマトが平和に暮らすだけの世界を…そして、貴様ら仮面ライダーの死を!」
リクはブーストを吹かせて瑠和にとどめを刺そうとしたが、彼方が飛び出してリクの攻撃をクナイで防ぐ。
「彼方さん!」
「君の願いはわかったよ…でも!私にも譲れないものがあるから!」
彼方はリクの腕を弾き、クナイを突き立てるがギリギリで躱された。
「それはこちらも同じだ!」
彼方のクナイを躱したリクは彼方を蹴り飛ばす。
「彼方さん!」
瑠和はビートバックルを外し、コマンドバックルをセットし、蹴り飛ばされた彼方を受け止める。
「瑠和君…」
「彼方さん………一緒に行こう!」
「うん!」
二人は二手に別れた走りだし、リクの左右から攻撃を仕掛ける。
「はぁ!」
「やぁ!」
二人が飛びかかったとき、リクは彼方の背後に瞬時に移動した。
彼方に攻撃しようと飛び上がった瞬間を狙い、瑠和はレイジングソードをリクに投げつけた。瑠和のレイジングソードでリクのバランスを崩し、彼方はリクを蹴り飛ばした。リクは地面に落ちた。
「彼方さん!」
「うん!」
さらに瑠和は彼方を踏み台にして飛び上がり、倒れているリクの腹部に拳をめり込ませた。
「ぐぅ!…………らぁぁぁ!!」
しかし、リクは全身から蔓を伸ばして瑠和たちに攻撃を仕掛ける。
「っ!」
瑠和はリクから離れる。そしてそれと同時にレイジングソードを拾い上げ、迫りくる蔓を弾く。数発蔓を弾いたところでレイジングソードからチャージ音が鳴る。瑠和はコマンドバックルを外し、ベルトにセットする。
「行くぜ」
『TWIN SET TAKE OFF COMPLETE JET AND CANNON』
「おぉぉぉぉ!!」
瑠和はジェッドフォームで飛び上がり、上空からリクに仕掛ける。リクは両腕からさらに蔓を伸ばして瑠和に攻撃するが、瑠和は身体を捻り、蔓を紙一重で回避しながらリクに突っ込む。
「ちぃ!!」
リクは蔓の剣を生成し、瑠和のレイジングソードを防ぐが、ジェッドの勢いに押される。だがリクも負けずとブーストを吹かして拮抗させる。
「もらったよ!」
背後から彼方が飛び出してきた。
「っ!!」
リクはとっさに背中から蔓を生やし、ドリルのようにうねらせ、彼方の腹部を貫いた。
「彼方さん!!!!」
だが、彼方が貫かれた直後にポンッという音と共に腹部を貫かれた彼方は丸太に変わった。
「!!」
「たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
彼方はリクの背後から滑り込むように突貫してきた。
『シノビ・ストライク』
「火遁の術!!!」
彼方は火炎玉をリクにぶつける。リクは炎に包まれる。
「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
『リボルブ・オン』
「こいつで!」
瑠和は火炎が放たれると同時にリクから離れ、キャノンモードに形態を変えた後、火炎に包まれたリクにキャノン砲を放った。
「がぁぁぁぁぁぁ!!!」
火炎に包まれながら、リクは吹き飛ばされていった。
「………トドメだ」
瑠和はレイジングソードのボタンを押す。レイジングソードにエネルギーを溜める。
『RAISE CHARGE』
「………はぁ!」
倒れていたリクは唐突に動き、蔓で彼方を捕らえた。
「彼方さん!」
『ジャジャジャストライク!』
そして瑠和が動くよりも先にジャマトバックルを起動させ、ブーストによる加速つきのライダーキックを彼方に食らわせた。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
彼方は変わり身を使う暇もなく蹴り飛ばされ、支柱に叩きつけられた。
柱の根元にずるりと倒れこむ彼方を見え、瑠和の脳裏に
「……………っ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
悲鳴にも似た声を上げながら瑠和は両肩のキャノンを放ち、突貫していく。リクは蔓を盾のように展開し、その砲撃を防ぐ。
「らぁぁぁぁぁ!!!!!」
『タクティカル・レイジング』
だが瑠和はその盾をレイジングソードで叩き切り、その先のリクを掴んだ。
「なに!」
「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『COMMAND TWIN VICTORY』
ゼロ距離でキャノンの必殺技を浴びせ、リクを屋上ヘリポートのぎりぎりまで吹っ飛ばした。
「はぁ………はぁ………彼方……彼方さぁぁぁぁぁん!!!!」
瑠和は急いで倒れている彼方のところに駆け寄った。
「彼方さん!!彼方さん!!!」
「んぅぅ………もぉ、うるさいよぉ…」
瑠和は彼方のIDコアを見る。まだ何ともなっていない。ひび割れる兆候もなかった。瑠和はホッとする。心の底からホッとした。
今度は、失わなかった。
「…………よかった………」
「………彼方ちゃんは大丈夫。少し休んだら、戻れるよ…」
「ここで休んでいてください。あいつは、俺が………っ!」
だが、そんな安心もつかの間、瑠和の脇腹を蔓が貫いた。彼方の頬に瑠和の血が着く。
「あがっ………」
「る………」
蔓はそのまま瑠和を持ち上げ、投げ飛ばした。瑠和は鮮血をまき散らしながら地面を転がる。
「瑠和くぅぅぅぅぅん!!!!!」
「少し、狙いはズレたか……」
リクはゼロ距離の砲撃を食らったのにピンピンしていた。瑠和の砲撃を受ける直前、全身に蔓の鎧を巻いて防御していたのだ。
「ぐ………」
瑠和は脇腹を押さえながら地面でもがく。そんな瑠和の前に蔓の剣を持ったリクが立った。
彼方はすぐに動こうとしたが、身体の痛みがまだ強かった。だが、ふと地面を見ると、瑠和が投げ飛ばされた際に落としたレアバックルが落ちていた。
「叶うのは俺の願いだ。願いのない貴様が、ここまで生き残ったこと自体間違いだ」
「…………同感だな」
瑠和は倒れたままの状態で答えた。
「そこの女もそうだ、妹のため?まだ生きてるだけいいだろ。俺の家族は、俺が自我を持った時点ですでにいなかった!!!家族の愛を知らない俺の辛さを知っているのか!?」
「………」
「だからさぁ」
リクはジャマーブーストバックルを起動させた。
『ジャマーブーストラウンド1』
「…っ!」
「勝ちくらい譲ってくれよ!」
『ジャマーブースト・ヴィクトリー』
「はぁ!」
蔓の剣を振り上げ、瑠和に突き刺そうとした。
瑠和はそのとき、あえて抵抗しなかった。
このまま戦って、彼方が死ぬことが嫌だったからだ。彼方が死ぬくらいなら、このまま自分が死んだほうが1000倍マシだった。
彼方の願いは叶わないが、死ぬよりずっといいと思った。
それに、璃奈のところに行きたいと思うところもあったのかもしれない。
なんにせよ、瑠和はこのまま死を受け入れるつもりだった。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴にも似た叫びが響いたと思うと、瑠和を突き刺すはずだった刃は、間に入った誰かの身体を貫いた。
「………え?」
「ぐ……あぅぅ…」
リクの刃は彼方を貫いていた。
「なに…?」
「彼方……?」
「く………うぅぅぅぅ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『シノビ・グレートヴィクトリー』
「なにぃぃ!?」
彼方は激痛に耐えながら、バックルを起動させ、背後にいたリクの腹部にクナイを突き刺した。
「ぐぁぁぁぁ!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全身を襲う激痛を誤魔化すように彼方は叫びながらクナイをさらに深く突き刺す。
「がぁぁぁぁぁ!!がはっ!!ぐぉぉ…」
リクは刺された場所を押さえながら後退し、膝をつく。
「………ごほっ」
「彼方ぁ!」
それと同時に彼方も倒れる。だが瑠和が必死に身体を動かし、彼方を支えた。
「彼方!彼方!彼方ぁぁぁぁぁ!なんで…こんな…」
「…うーん…。なんでだろうねぇ。君が殺されそうだって思ったら、遥ちゃんの顔より先に、君の顔が………君の笑顔が思い浮かんだんだ~」
「だからってぇ!!」
「君のほうが、大切だって思えたんだよ……いや、心配だったのかな?彼方ちゃんがそばにいることでなんとなく元気になれてたみたいだけど…だけど………ダメだよ。それじゃ。もう一度、瑠和君に心から………笑って欲しくて」
「………あんたがいなきゃ、俺は笑えない………」
彼方の言葉に対し、瑠和は涙ながらに訴えた。
「………大丈夫。きっと笑えるよ瑠和君は強いもん」
その言葉とともに彼方は笑みをこぼす。だが、それと同時にIDコアに大きなヒビが入った。
「彼方さん…彼方さぁん!だめだ、だめだだめだ、逝かないで…俺は強くなんてない!璃奈を守れなかった!しずくも守れなかった!今度は...…あなたを………」
「………本当に強いって言うのは、力が強いってことじゃないよ」
彼方はベルトからレアバックルを外し、瑠和の胸に押し付けた。
「本当の……………強さ…………それは」
彼方が伝えようとした言葉。それが瑠和の耳に全て届く前に彼方は消滅した。
「……………あ…ああ……………………」
(ねぇこれ、君たちの?)
初めてあったのは、最初の盗賊ゲームだ。璃奈と生き残れたことを喜びあっていた時に声をかけてくれた。
(ん~?気づかれちゃってかぁ。まぁちょっとしたおせっかい)
ボスジャマトとの戦闘で、あと一歩で殺されそうになった。それを人知れず助けてくれた。
まだほんの二月ほどの付き合いしかなかったが、その二月の間に共に過ごし、乗り越えてきた苦難は、瑠和にとってかけがえのないものになっていた。
目の前の現実から目をそらすように、次々と過去の記憶が甦ってくる。
「……………………――――――――――――――---------------------っ!!!!」
声にならない悲鳴を空に融かした。
「……」
それと同時に試合終了のベルが鳴り響いた。
ーラウンジー
瑠和はその後、強制的にラウンジに転送され、デザグラからの治療を受けた。
ベッドに横わたる瑠和は、まるで植物状態の人間のようだった。そんな瑠和に、Uが近づく。
「リク様から、今後の対戦のことについてご連絡です」
「……」
反応はない。
「もし、降参するのであれば、勝者はリク様となり、リク様がデザ紙となります」
「…………戦うよ」
「え?」
「俺は、戦う」
「そう………ですか」
Uは瑠和の返答を聞くと去っていった。
一人になった瑠和は、むくりと起き上がり、まだ痛む傷を押さえながら帰ろうとした。
ベッドルームを出た瑠和はラウンジのテーブルになにか置かれていることに気づいた。
「これ………は」
置かれていたのは、デザグラの願いを書くための紙とペン。
「デザグラは願いを持って戦うゲームです」
そこに、今まで見たことのない白いスーツを着た男が現れた。
「お前は…」
「私はギロリ。デザイアグランプリの新たなコンシュルジュです。以後、お見知りおきを」
「…」
「願いなしは受け入れられない。戦うのであれば、願いを書かなければならない……ゲームマスターからの伝言でございます」
「…俺に、願いなんてない」
「なければ希望なしとお書きください………参考までに、あなたと共に戦ったものたちの願いです。次の試合までには書いておくように」
ギロリはそう伝えて出ていった。
瑠和は目の前に置かれた13枚のデザイアグランプリのカードを見た。
「………………」
『友達がたくさんできている世界』
『私がちゃんとしている世界』
『競い合える相手がいる世界』
『姉が幸せに暮らせている世界』
『大好きを伝えられる世界』
『お姉ちゃんが元気に暮らせている世界』
『運命の人と出会い、自由に暮らせる世界』
『誰とでも心をつなげられる世界』
『トキメキがあふれる世界』
『僕の歌を世界中に届けられる世界』
『かすみんワンダーランドを作れる世界』
「…………」
読んでいたカードに涙がポタリと落ちた。
「………うぐ……ひくっ…………彼方…璃奈………しずく、嵐珠さん……エマさん……ミアさん…栞子ちゃん…果林さん……侑ちゃん…歩夢ちゃん……せつ菜ちゃん…………かすみちゃん…」
瑠和は仲間たちの名前を呼び名ながらソファーからずるりと落ち、地面にうずくまる。
「うぁぁ………あぁぁん………もう一度……会いたいよぉ……」
続く
現在の仮面ライダー
天王寺瑠和 職業:公務員
モチーフ・猫/仮面ライダーギャーゴ
願い・未定
リク 職業:なし
モチーフ・龍/仮面ライダーエル
願い・父と母と平和に暮らせる世界
天王寺璃奈 退場
朝香果林 退場
近江彼方 退場
宮下愛 退場
中須かすみ 退場
桜坂しずく 退場
鐘嵐珠 退場
ミア・テイラー 退場
エマ・ヴェルデ 退場
優木せつ菜 退場
高咲侑 退場
上原歩夢 退場
三船栞子 退場