Before Days -case of DGP-   作:瑠和

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ずいぶん長いこと更新がないのでこれだけでも。最近絵を描き始めました。


邂逅Ⅲ:それぞれの事情

薄暗いどこかの部屋の中で嵐珠は目を覚ます。目を覚ますと同時に全身がひどく痛むのを感じた。

 

「…………ここは」

 

「あ、嵐珠さん。目が覚めましたか?」

 

そこに救急箱をもった歩夢と侑がやってきた。嵐珠はいま自分がデザグラに参加中だったことを思い出し、そしてボスジャマトに敗北したことを思い出した。

 

「…………そっか、嵐珠、負けたのね」

 

「ここはデザグラの休憩所です。ジャマトが一時撤退したのでゲームは中断しています。まだ安静にしててくださいね。すごいケガだったんですから」

 

「…………谢谢…ええと、歩夢?侑?」

 

「気にしないでください。それより………」

 

「?」

 

侑は嵐珠の手を取る。

 

「あの!中国で有名なスターの鐘嵐珠さんですよね!?」

 

「え、ええ」

 

「わぁ~初めて会った時からそうなんじゃないかって思ってたんですよ!本物だぁ~!すごいすごい!!」

 

侑のテンションは一気に上がり、嵐珠の手を握りながら左右に揺れていた。嵐珠が困惑していると、歩夢が侑の揺れを止める。

 

「ごめんなさい。この子昔からこんな感じで」

 

「………いいわ。サインだったらあげるけど、あまり嵐珠に関わらないで?」

 

嵐珠は起き上がって侑の手を外した。

 

「え……」

 

「あなたたち友達?ずいぶん仲良いみたいだけど。勝ち残るのは一人よ。仲良しこよしで勝てるほど、この戦いは甘くない」

 

「…でも、目の前で苦しんでる人を放っておけませんよ」

 

「……いいから嵐珠にはもう構わないで。もう…一度、ボスジャマトを倒しに…」

 

嵐珠は痛む身体を無理して起こしベルトを持って外に出ようとした。歩夢が慌てて制止する。

 

「待ってください!まだ安静にしてなきゃだめですよ!!!」

 

「そんなことしてる暇はないわ!嵐珠は理想の世界を叶えるんだから!」

 

嵐珠がそういってデザグラの制服を着ようと服を翻したとき、服の中から何かが落ちた。

 

「……これって」

 

「あっ!」

 

落としたのはデザグラの願いを書くカードだった。侑はそれを拾い上げる。

 

「これ運営に渡すんじゃ…」

 

「待って!見ないで!」

 

嵐珠の制止も空しく侑はデザイアカードに書いてある嵐珠の願いを見てしまう、

 

「友達がたくさんできている世界……?これが………嵐珠さんの願い…?」

 

「…………悪い?恥ずかしいから最後に渡すことにしてもらったのよ」

 

嵐珠を見ると嵐珠は顔を赤くして目を反らしていた。嵐珠の反応からしてどうやら冗談の類ではないようだ。

 

「悪くないけど、ちょっとかわいいな、なんて」

 

「……でも、世界的に有名なスターがそんな願いなんて…どうしてですか?」

 

嵐珠は着かけていた上着を置いてその場に座り込む。少しの間黙っていたが、ごまかせないことを悟ったのか、口を開く。

 

「…………嵐珠は……人の心がわからないの。わからないから……一人でいいって思ってた………………。でも、理想の世界が叶うなら………嵐珠は友達が欲しい……。そう思ったのよ」

 

歩夢と侑は顔を見合わせる。そして小さく笑うと嵐珠の方を向いた。

 

「…………じゃあ、もし私たちでよければ今からお友達になりませんか?」

 

「え?」

 

「いやですか?」

 

嵐珠は一瞬明るい顔をしたがすぐに表情を曇らせる。

 

「…………だめよ……いままで仲良くしようとしてくれたは人はたくさんいたけど、そのうちみんな離れていったわ。きっと、あなたたちだって…」

 

「そんなの、やってみないとわかりませんよ!そうだ、せっかく女の子がたくさんいるんですし、今からみんなでお茶会してみませんか?」

 

「………なんで、嵐珠のためにそんなに…」

 

「………嵐珠さんがこの願いにどれほど全力か……なんとなくわかります。でも、わざわざ命を賭けなくても少しくらい叶うこと知ってもらいたくて」

 

侑は嵐珠が寝かされていたスペースのカーテンを開けて、休憩所で集まっているメンバーに声をかけた。

 

「すいません!もしよかったらみんなでお茶会しませんか!?」

 

「お茶会?」

 

「うん。今回のゲームは協力が必要でしょ?親睦会ってことですか?」

 

「いいねぇ!あ、ここにキッチンとか食材ってありますか?」

 

最初に賛同したのはエマだった。エマは彼女に「イマシ」に尋ねた。イマシとはこの休憩所に瑠和、璃奈、しずくを案内した白い服の女性だ。イマシの役割はこの休憩所のコンシュルジュだ。

 

「ええ。ある程度のものはそろっています。ご自由に使えるものもございますが、ゲームの参加時間に応じて配られるマネーを使って食材を買うこともできますよ」

 

「じゃあ私なにかお菓子作ってくるね!」

 

「あ、俺も協力しますよ」

 

「わ、私も」

 

「じゃあ私お茶の準備してくるね!」

 

エマ、瑠和、しずく、侑はラウンジから出てキッチンの方へ行ってしまった。残されたメンバーは、どうしようかと顔を見合わせる。

 

「私パス。騒がしいの苦手なの」

 

「僕も。あんまりこういうの好きじゃないんだ」

 

果林とミアが抜けようとしたが、出ようとしたドアの前に璃奈とせつ菜が来た。

 

「ま、待ってください!い、一回くらいやってもいいんじゃないですか?もし不快でしたら出ていくって形でもよろしいんじゃないでしょうか…」

 

「…」

 

「みんなでやれば、きっと楽しい」

 

「…わかったよ」

 

小柄な二人に止められ、気まずくなったのか二人はラウンジのバーカウンターに戻る。璃奈はふうっと安堵のため息をついてソファに戻った。

 

ソファに戻った璃奈の横に愛が座ってきた。

 

「小さいのにガッツあるねぇ君」

 

「…ありがとう…ございます」

 

 

 

―キッチン―

 

 

 

「ありがとうございます。急な提案だったのに…」

 

キッチンでは瑠和、エマ、しずく、侑が調理をしながら話していた。

 

「ううん、みんなと戦うっていうのより、わたしはこっちの方が好きだから」

 

「俺も…こういうことの方が馴れてる。あんまりバチバチしすぎるのも疲れるしな」

 

「私は………こんなことくらいでしかお役に立てませんから…」

 

そういってしずくは慣れた手つきでお茶を注いでいく。

 

「しずくちゃん……だっけ?上手だね」

 

「家が無駄に大きいので、こういうことの教育も叩き込まれてきたんです」

 

「あれ?ひょっとして桜坂ってあの桜坂財閥の!?」

 

侑が改めてスパイダーフォンでしずくの名前を確認したときにしずくの苗字に反応した。桜坂家、テイラー家ほどではないが有名な名家だ。

 

「なんか、でかい家柄だったっけか」

 

「でかいなんてもんじゃないよ………すごーい…ランジュさんやミアちゃんもそうだけど、今度は本物のお嬢様だ……」

 

「そんなお嬢様はなんでこんなことに参加してるんだ?なんでも手に入りそうな気もするが」

 

「………お金じゃ手に入らないものもありますから。まぁ、それはお茶会の時にでも………ね?」

 

 

 

―ラウンジ―

 

 

 

少しの間雑談をしていると、瑠和たちがお菓子とお茶を運んできた。全員にカップとお菓子が配られ、嵐珠は歩夢に肩を借りながらラウンジに出てきた。

 

「じゃあ親睦会も含めまして、お茶会のほうを始めましょうか」

 

あまり気乗りしてなかった果林とミアも一応お茶に口をつけると、そのおいしさに驚く。

 

「Nice、結構おいしいじゃないか」

 

「………そうね。悪くない」

 

おいしいお茶に免じてかミアと果林はその場に残ることにしたようだ。一方、肝心の嵐珠もお茶のおいしさは認めていたが、ビジネス以外での会初めてで少し緊張していた。

 

「嵐珠さん、これどうぞ」

 

「え、ええ……谢谢…」

 

「すいません。クッキーとかくらいしか用意できなくて………お口にあえばいいんですけど……」

 

相手は本物のセレブだ。庶民のお菓子が口に合うか不安だったがそれはすぐに杞憂だったことが分かる。嵐珠がクッキーを一つかじった瞬間、これまで彼女が見せたことない笑みを零したからだ。

 

「あ、これ、かすみちゃんが作ったコッペパンもどうぞ」

 

かすみがどこからか取り出したコッペパンを全員に配りだす。

 

「………おいしいわ。とっても。珍味とか、いろいろご馳走は食べてきたけど……そんなものよりずっとおいしい」

 

「よかったです!そういえば、まだ皆さんのお名前ちゃんと聞いてませんでしたね。自己紹介でもしませんか?」

 

「そうですね皆さんのことを知れるいいチャンスですし」

 

「じゃあ、かすみんから!」

 

職業や好きなことなどを含めた自己紹介はしたが、まだ願いがなにかは言わなかった。そこから少しずつ14人は打ち解けていった。

 

「それにしても、ジャマトっていったかしら。あいつらなんなのかしらね」

 

果林は気になっていたことを言ってみる。だれもジャマトについて知らないしこんなこと言ってもしょうがないと思ったのだが、予想外にもかすみが反応した。

 

「最悪な連中ですよ!人みたいな形してるけどぜんっぜん可愛くないですし!」

 

「あら、ずいぶん決めつけるのね」

 

「……かすみん、昔デザグラに巻き込まれたのを思い出したんです……その時、すっごく怖い思いして…」

 

IDコアに触れた人間はデザグラのことを思い出す。かすみは数年前にデザグラに巻き込まれ、ジャマトに襲われたのだ。

 

「まぁでも、かすみん今回は仮面ライダーですし?それに何よりこれがありますから!」

 

そういってかすみは大型の赤いバックルを取り出した。

 

「それは…?」

 

「これ、ブーストバックルって言ってぇ、と~っても強いバックルなんですよ!昔かすみんを助けてくれたライダーが使って大暴れしてるのを見ましたから!」

 

「へぇ…」

 

全員がなんとなく作っていた壁も自然と消え、軽口を叩く程度には仲良くなっていった。そんな空気に触発されたのか、自己紹介のときも名前くらいしか言わなかったミアが口を開く。

 

「そういえば、せつ菜って言ったっけ?君はなんのためにデザグラにいるんだい?」

 

「え?わ、私ですか?」

 

「ああ。さっきのゲームではいかにもな正義の味方してたけど…なにが願いで戦ってるのかなって」

 

ミアはせつ菜の戦いをみていて単純に疑問に思ったことを聞いた。

 

「あー…その節はお世話になりました……私、ちゃんとした自分になりたくて」

 

「ちゃんとした自分?」

 

「はい。私、昔から元気だけとアニメに詳しいことくらいしか取り柄がなくて………成績も悪いですし。肝心なところでミスしてしまいますし…。せめてもっとちゃんとした自分になって…迷惑をかけっぱなしの両親に恩返しをしたいなと…。あはは、変ですよね、こんな願い」

 

「家族思いなんだね」

 

半ば自虐のように理想の世界を語ったせつ菜だったが、間髪入れずに侑が肯定した。

 

「それだって、立派な願いだと思うよ」

 

「…ありがとうございます。私が手に入れたバックルもある意味、型破りな私の性格と合ってるのかもしれません」

 

そういってせつ菜はハンマーバックルを取り出す。照れ隠しに話題を変えたのだ。それをみて瑠和はふと思い出した。

 

「あ、そうだ。なぁイマシさんよ」

 

「なんでしょうか?」

 

「俺、さっきこんなバックル手に入れたんだけど…これなんだ?」

 

瑠和は先ほどのゲームで入手した謎のカードとバックルを取り出した。

 

「あ、それ私も手に入れたよ」

 

侑が同じものを取り出した。それをみてイマシは驚いた顔をする。

 

「おやおや、これは珍しい……しかも2つとは」

 

「?」

 

「これは使用者によって性能が変わるバックルです。デザグラ一回通して出るかでないかのレアバックルですよ」

 

「え、そんなレアなんだ…」

 

「使用者によって性能が変わるってのはどう言うことなんだ?」

 

「それは実際、試してみればよろしいかと」

 

 

 

ートレーニングルームー

 

 

 

「こんな部屋まであるとはな」

 

お茶会を終えた後、瑠和と侑は休憩所内にあるトレーニングルームに来ていた。

 

「ここでは自由にトレーニングができます。仮想ジャマトもご用意できますので心行くまでご利用ください」

 

スパイダーフォンを操作すると仮想ジャマトが出現する。

 

「あ、ああ。じゃあ…」

 

「うん。変身」

 

『アームド・ウォーター』

 

『アームド・チェーンアレイ』

 

侑が普段使うのは二つ一組のレイズバックルのため、今回は歩夢のチェーンアレイレイズバックルを借りてきた。

 

そして、二人はレアバックルを構え、デザイアドライバーに装填した。

 

『『SET』』

 

そしてスイッチを押し込む。

 

『『Great!』』

 

「………?」

 

ドライバーからは『Great』と音声はしたが、二人の姿に変化がない。

 

「あれ?」

 

「追加の装備はなし…か?まぁいい、試してるか!」

 

瑠和はレイズウォーターを構えて仮想ジャマトに向かって走り出す。瑠和の行動に反応し、仮想ジャマトも動き出す。

 

「オラァ!」

 

ジャマトの攻撃を躱し、カウンターでジャマトを殴り倒す。

 

「ジャ~!」

 

「………少しだけ身体が軽い気がする。そっちはどうだ?」

 

「うん、私も。でも、それだけかな」

 

性能を確認すると、瑠和と侑は変身を解除した。

 

「もしかしたら相性とかもあるのかもしれないな…」

 

「そうだね」

 

とりあえずその日の内にジャマトが再度出現することはなかった。ラウンジからは一人、また一人と帰宅していき、最後には嵐珠、歩夢、侑、瑠和、璃奈、せつ菜が残っていた。

 

「じゃあ私たちは帰りますけど…」

 

「ええ、遅くまでありがとう。嵐珠は今日ここに泊まるわ」

 

「…そうですか。無理しないでくださいね」

 

カーテンが閉められ、嵐珠は一人になる。嵐珠は皆が出ていったカーテンを見ながら少し表情を曇らせる。

 

「…………バイバイ」

 

 

 

―翌日―

 

 

 

「嵐珠さん!起きてください!!」

 

「な!何!?」

 

とても大きな声で嵐珠はたたき起こされた。嵐珠も声の大きさにびっくりしてベッドから飛び起きる。まだ寝ぼけている頭で必死に周りの状況を確認する。

 

「せつ菜?それに、歩夢も……」

 

「朝ごはん作ったの。よかったら食べない?」

 

「え………?」

 

困惑しながらカーテンを開けると、ラウンジには全員が集まって朝食の準備をしていた。

 

「あ、嵐珠さんおはよう!」

 

「顔、洗ってきたらどうですか?大人気スターの顔が台無しですよ」

 

「………え、ええ」

 

瑠和に促され、嵐珠は洗面所に向かう。洗面所にはすでにミアがおり、顔を洗っていた。

 

「…………ミア、あなたも来てたのね」

 

ミアに対して、どこか自分と同じ孤高である雰囲気を感じていた嵐珠は彼女もいっしょにいることに驚く。

 

「仕方ないだろ。あいつらしつこいんだ。デザグラの転送機能使ってステイツの僕の家まで来たんだから」

 

「………そう」

 

嵐珠が顔を洗って戻ってくる頃には朝食の準備が済まされ、全員が席についていた。嵐珠が来たことに気づいた侑が手招きしてソファの空いてる席を指さす。

 

「あ、嵐珠さん。こちらに座ってください!」

 

「…………ねぇ。どういうつもり?」

 

とても最後の一人になるまで争うデザグラの最中とは思えないほどにワイワイとした空間。その違和感に嵐珠は険しい顔をして尋ねた。

 

「………え?」

 

「昨日のお茶会は楽しかったし、やってもらったことには感謝してる。だけど、食事までなんて……私たちは本来蹴落としあう存在でしょう?」

 

「………そうかもしれません。でも、それはデザグラがやってる間だけじゃないですか?」

 

「せっかく会えたんですから、私たちとしてはみんなと仲良くなりたいなぁって思ったんですけど………」

 

「………」

 

歩夢も立ち上がって他意はないこと、そしてせめて争っていない間だけは仲良くしたいことを伝えたが、嵐珠はまだ腑に落ちていない様子だった。

 

「あ、じゃあお近づきの印にこれどうぞ!」

 

侑は嵐珠に昨日見せたレアバックルを渡した。

 

「これって……」

 

「とは言っても、私が持ってるバックル二つ一組だから持て余してるだけなんだけど………」

 

レアバックルを持ったまま固まる嵐珠に、瑠和が口を開く。

 

「嵐珠さん。世界を駆け巡る大スターにとっては粗末な朝ごはんかもしれませんけど、是非食べてみてください。それに昨日わかったでしょう?ごはんってみんなで食べるとおいしいんですよ」

 

瑠和は箸を差し出しながら笑う。

 

「…………はぁ、あなたたちって本当…」

 

「?」

 

「いいえ、何でもない。いいわ。食べましょ?」

 

嵐珠はどこか観念した様子で席に着いた。

 

「じゃあ、いただきます!」

 

「あ、かすみんが作ってきたコッペパンもありますよぉ!」

 

「………」

 

(子供の時以来ね………こんな風に、誰かと、気兼ねなく食事するのなんて。ずっと諦めてた…普通…)

 

「そういえばせつ菜ちゃん!昨日せつ菜ちゃんがやってる動画配信みたよ!」

 

「え?は、恥ずかしいです…」

 

「なに?あなた動画配信やってたの?」

 

「え、ええ。言っても底辺配信者ですけどね……昔やってたスクールアイドルの延長みたいな感じです」

 

「スクールアイドル…」

 

その単語を聞いたとき瑠和はちらりと彼方を見たが別に表情に変化はない。

 

「へぇ、スクールアイドルまで。部活?」

 

「いえ、非公式というか、私が勝手にやってただけです。部員が集まらずに部が作れなかったので学校でゲリラライブとか。やる度に先生に怒られ、親にこっぴどく叱られ……あまりいい思い出はないですねぇ」

 

せつ菜は苦笑いを浮かべながら昔話をした。

 

「優木はなんでスクールアイドル始めたんだ?」

 

「スクールアイドルって、気兼ねなく自分の大好きを表現できるんです。もしまた高校生活が送れるなら…今度は一人じゃなくて…だれかと一緒にやってみたいですね」

 

「それは願わなかったの?」

 

「はい。好き勝手やって思いしりました。私はもっとちゃんとした人間になることの方が先決だって。くだらない願いかもしれませんが、絶対に叶えてみせます」

 

くだらないという言葉に嵐珠は一瞬ピクリと反応した。嵐珠の願いも、理想の世界が叶うというのに規模が小さく見える場合もある。しかし、嵐珠より先にミアが口を開いた。

 

「くだらないなんてことないさ。勝った人間が正義なんだから」

 

「そういうお前はどうなんだ?この間は黙りこくっちまって」

 

「……まだ秘密。知りたければ僕の恋人にでもなるんだね」

 

「そりゃ残念」

 

そんな他愛ない話をしながら、一通り全員が朝食を食べ終えたところでラウンジに電話がかかってきた。イマシが電話に出て少し話すと全員の方を見る。

 

「皆さま。緊急事態です」

 

 

 

―神殿―

 

 

 

「再びジャマーエリアが展開され、青い木が生えています。皆様は再び果実を集め、アイテムゲットを目指しましょう!」

 

Uの説明が終わり、転送が始まると歩夢と侑が嵐珠の方へ来た。

 

「嵐珠ちゃんはまだ怪我してるから、ここにいて!」

 

「え…でも」

 

「戻ったらまた一緒にお茶会しよう?だから、ね?」

 

「………わかったわ。みんなも気をつけてね」

 

嵐珠を除く全員がジャマーエリア内に転送される。転送された瑠和たちの前にはすでにジャマトが湧いていた。

 

「残りの果実は16個…行くぞ!」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

「「「変身!!」」」

 

『Ready fight』

 

一方で愛はミア、栞子、彼方と一緒にエリアの中心を目指して走っていた。

 

「前回と同じなら、また中心に果実が……」

 

「でも、敵が多いし、ボスはそこに来る。だからみんな、力を貸して!!」

 

「ああ、こんなこと、さっさと終わらせよう」

 

四人はエリアの中心に到着する。そこには前回と同じく大きめの木が生えていた。そしてその周りには多くのジャマトが湧いていた。

 

「じゃあ行くよ、みんな」

 

「はい」

 

「ああ」

 

「うん」

 

「「「「変身!!」」」」

 

『フィーバーモンスター!!』

 

『ニンジャ!』

 

『ゾンビィ!』

 

『シノビ!』

 

『Ready fight』

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

ミアがゾンビブレイカーを構えてジャマトの群れに突貫していく。殲滅力のあるミアが道を切り開き、愛が木をたたいて果実を落とし、機動力のある栞子と彼方が回収する流れだ。

 

『ポイズンチャージ!』

 

「beat it!!」

 

ミアが振ったゾンビブレイカーから毒をまとった波動が放たれ、前方にいたジャマトを消し飛ばす。

 

「Hully UP!!!」

 

「行こう!!」

 

愛と彼方、栞子はミアが切り開いた道を突き進み、一気に青い木に接近した。迫ってくるジャマトを適当に倒しながら木のふもとにたどり着く。しんがりをミアが勤め、近づいてくるジャマトを切り倒す。

 

「そう長くはもたないぞ!!」

 

「一気に決める!」

 

『ゴールデンフィーバー、ヴィクトリー!』

 

「おりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

拳に溜まったエネルギーを木にぶつけると、なっていた果実が落ちてくる。

 

「二人とも!」

 

「はい!」

 

「任せて!」

 

『ニンジャ・ストライク』

 

『シノビ・ストライク!』

 

二人は分身を生み出し、落ちてくる果実がジャマトの手に渡る前に次々とキャッチしていく。栞子が最後の一つを掴もうと手を伸ばしたが、視界の端に何かが移る。

 

「え………」

 

栞子に接近してきたのは、羽の生えた小さなジャマトだった。それを見た瞬間、栞子は朝食の時に聞いた嵐珠の話を思い出す。

 

 

 

―今朝―

 

 

 

「今回のボスは少し厄介よ」

 

「そうなの?」

 

「ええ、あいつはあの果実を食べることで一時的に肉体が強化される。このモンスターバックルですら、かすり傷一つ負わせられなかった」

 

嵐珠はモンスターバックルを見ながらため息をつく。

 

「そんなのどうやって倒せば……」

 

「でも、弱点はあるわ。ねぇ、ミア・テイラー?」

 

嵐珠はミアを見る。

 

「ああ。強くなるのは一時的だ。僕らが駆け付けたとき、ちょうどジャマトが苦しみだして小さくなって飛んで逃げた」

 

ミアとせつ菜は一般人を救助した後、たまたま嵐珠が戦っていた中心部に来たのだ。その際、嵐珠はとどめを刺される寸前だったが、突如ボスジャマトは攻撃を中断し、元の大きさに戻って逃げていったのだ。

 

「ですが、小さくなった状態は俊敏さが高いのです。璃奈さんのような射撃系の武器でも、そう簡単に打ち落とせるとは思いません」

 

「じゃあやっぱり、果実を集めてアイテムを手に入れないとなんだねぇ……」

 

 

 

―現在―

 

 

 

(このジャマト………皆さんがおっしゃっていた…)

 

「ジャ!」

 

ボスジャマトは栞子よりも速く飛び、果実を奪った。

 

「しまっ…」

 

とっさに機転を利かせた彼方が分身を栞子の方に寄こしたが攻撃は素早い動きで交わされた。やむなく彼方たちは持てるだけの果実を持った状態で愛のところに戻ってくる。

 

ボスジャマトは果実を食し、巨大化して人間台の大きさになって四人の前に降り立つ。

 

「まずいな………」

 

全員この場でボスジャマトと戦うことを覚悟するが、ボスジャマトはあたりを見回してから別の方向に歩いて行ってしまった。

 

「どういうこと……?」

 

「まさか!」

 

栞子が何かに気づく。

 

「なにかわかったの!?」

 

「あの姿が一時的な力だとすれば、それを維持するためにより多くの果実を探すはずです!前回愛さんに持ち逃げされた経験から、ここで私たちの相手はしないと踏んだのかもしれません!!」

 

「!!」

 

「次に狙う可能性が高いのは………」

 

「回収所……急ごう!」

 

「ジャジャ」

 

「ジャ」

 

回収所に向かおうとしたが、ジャマトの群れが立ちはだかる。

 

「………そう簡単にはいかせてくれないか…」

 

 

 

ー別地点ー

 

 

 

そしてまた別地点ではかすみ、果林、エマが木を探しに来ていた。

 

「さて、いきますか」

 

三人の前にはジャマトがまぁまぁの数湧いていた。エマと果林が変身しようとしたとき、かすみが前に出た。

 

「ふふん、ここはかすみんに任せてください。このブーストバックルの力、見せてあげます」

 

「あら、それは楽しみね。なら私は下がってようかしら」

 

「だ、大丈夫かなぁ…」

 

「ふっふっふっ~。さぁ!覚悟してください!かつて受けた恐怖、今こそ百億倍にして返してあげます!」

 

『SET』

 

「変身!」

 

『ブースト、アームドシールド!Ready fight』

 

「でぇぇぇぇ!」

 

ブーストの加速で飛び上がりながらかすみは盾を使い、ジャマトを殴り飛ばしていく。

 

「すごいのねぇ、あれ」

 

「うん。かすみちゃんカッコいいよ!」

 

「可愛いって言ってください!」

 

かすみはジャマトを倒しながら言った。とはいえ、ブーストの力は強大で喋りながらでも余裕でジャマトを蹴散らせた。

 

しかし、いかんせん数が多い。かすみはブーストバックルのハンドルを回した。

 

『ブーストタイム』

 

「さぁ、クライマックスです」

 

待機音が鳴り、かすみはシールドを上空に投げて再度ブーストバックルのハンドルを捻った。

 

『ブースト、シールド、ラウンド、ヴィクトリー』

 

「とぅ!」

 

かすみが放り投げたシールドは空中で巨大化した。そしてかすみは飛び上がってそれをブーストのバーニアを吹かせながら蹴り、ジャマトの群れのなかに突っ込んだ。

 

「ジャ~!」

 

巨大なシールドに潰され、ジャマトの群れは爆発四散した。

 

「いぇ~い!かすみんビクトリー!」

 

「すごいよかすみちゃん!」

 

「ええ、侑に泣きついてたとは信じられないわね」

 

「えっへへ~もっと誉めてもいいんですよ~」

 

かすみが天狗になっていたのも束の間、突然ブーストバックルが煙を吹く。

 

「…あれ?」

 

ブーストバックルはさらに大きな煙を吹いたかと思うと、かすみのベルトからぶっ飛んで行った。

 

「ひゃっ!ええ!?ちょっと!どこ行くんですかぁ~!」

 

飛んでいくブーストを必死に追いかけるが、妙な軌道を描くブーストにかすみは殴り飛ばされた。

 

「ぐぇ!」

 

「なるほど、ブーストバックル……。強力な代わりに使い捨てなのね」

 

「…そんなぁ~!せっかくかすみん勝てると思ったのにぃ~!!」

 

かすみは地べたに寝転がりながら、ジタバタと暴れ、癇癪を起こしている。それをエマがなだめていた。

 

 

 

―回収所付近―

 

 

 

回収所付近では、ほかの木から果実を持ってきた侑、歩夢、せつ菜の三人がいた。

 

「よし、これだけあれば……」

 

「うん、きっと届くね」

 

「ジャ……」

 

そんな三人の行く先に、ボスジャマトが立ちはだかる。その容姿を見た瞬間ポーンジャマトでないことを理解した三人は一気に臨戦態勢に入る。しかし、少ししてから侑が前に出た。

 

「二人は果実を持って先に行って。私が囮になる」

 

「そんな、侑ちゃん!」

 

「大丈夫。私のバックルけっこう強いみたいだし、時間稼ぎには持ってこいな性能だから!」

 

『ギガント・ハンマー』

 

侑はギガントビルダーバックルにハンマーバックルを装填してギガントハンマーを出現させた。

 

「はぁぁ!」

 

ギガントハンマーで地面を思いっきり叩くと、地面から壁が生成される。

 

「こんな感じで時間を稼ぐから!急いで!」

 

「……わかった!せつ菜さん!!」

 

「はい!」

 

せつ菜と歩夢は別ルートから回収所に向かおうとした。ボスジャマトは果実を持った二人を追おうとした。

 

「行かせない!」

 

「ギガント・バスター」

 

侑は武器をギガントバスターに換装し、生成した壁の一部を開いてボスジャマトの背後から射撃した。しかし、ボスジャマトはそんなことは気にせず歩夢たちの方へ向かっていく。

 

「なっ!だから………」

 

『ギガント・ソード』

 

「行かせないってばぁ!」

 

侑はギガントソードに切り替え、ボスジャマトへ直接切りかかりに行く。大剣で勢いよく切りかかられたのにも関わらず、ジャマトは侑の方など見向きもしない。それどころかダメージすら負っていないようだ。

 

「……っ!」

 

侑はギガントハンマーに再度切り替え、地面を叩いてボスジャマトの前に壁を出現させた。さすがにそれでボスジャマトも侑の方を見た。

 

「これ以上、誰も傷つけさせない!」

 

 

 

続く




現在の仮面ライダー

天王寺瑠和 職業:公務員
モチーフ・猫/仮面ライダーギャーゴ
願い・未定
所持バックル・ウォーター・レアバックル

天王寺璃奈 職業:高校生
モチーフ・猫/仮面ライダーリーニャ
願い・???
所持バックル・マグナム

朝香果林 職業:モデル
モチーフ・狐/仮面ライダーキュービー
願い・???
所持バックル・クロー

近江彼方 職業:弁当屋
モチーフ・羊/仮面ライダーランビー
願い・遥ちゃんがスクールアイドルができている世界
所持バックル・シノビ

宮下愛 職業:デザイナー
モチーフ・豹/仮面ライダークーガー
願い・???
所持バックル・フィーバースロット

中須かすみ 職業:高校生
モチーフ・狸/仮面ライダーラグーン
願い・???
所持バックル・シールド

桜坂しずく 職業:高校生
モチーフ・くま/仮面ライダーマック
願い・???
所持バックル・アロー

鐘嵐珠 職業:スター(女優、タレント)
モチーフ・犬/仮面ライダーレートリバー    
願い・友達がたくさんできている世界
所持バックル・モンスター

ミア・テイラー 職業:作曲家
モチーフ・ウサギ/仮面ライダーリープ
願い・???
所持バックル・ゾンビ

エマ・ヴェルデ 職業:農家
モチーフ・山羊/仮面ライダーライズ
願い・???
所持バックル・ドリル

優木せつ菜 職業:浪人生
モチーフ・パンダ/仮面ライダーダパーン
願い・しっかりした自分
所持バックル・ハンマー

高咲侑 職業:大学生
モチーフ・鹿/仮面ライダーシーカー
願い・???
所持バックル・パワードビルダー・ギガントコンテナ・レアバックル

上原歩夢 職業:大学生
モチーフ・蛇/仮面ライダーサスケ
願い・???
所持バックル・チェーンアレイ

三船栞子 職業:高校生
モチーフ・サーベルタイガー/仮面ライダースミロ
願い・誰もが適正に応じた人生をおくれる世界
所持バックル・ニンジャ
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