Before Days -case of DGP-   作:瑠和

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あけましておめでとうございます。
新年早々いろいろ大変ですがそんな時こそ明るい話、トキメキや仮面ライダーが必要なんだと思います。

ライダーはいつも君たちのそばにいる。
何があっても君たちと一緒だ。
生きて生きて生きぬけ。
ライダーは、君たちとともにいる。


信条Ⅱ:自分の願い

エンドレスジャマーボールゲームが始まるまであと数分となっていた。フォアードに選ばれた瑠和、彼方、栞子はなるべく前の方で待機していた。

 

「ねぇ、瑠和君」

 

「は、はい」

 

彼方が瑠和に話しかけた。

 

「さっきからな~んか暗い顔してるけど、大丈夫~?」

 

「…………はは、彼方さんにはお見通しですね」

 

「わたし結構みんなのこと見てるからねぇ~」

 

「……………彼方さんが言っていた通り俺には、願いがありません。探しているけど、思いつかなくて…。そんな俺が生き残って、ほかの、ちゃんと願いを持ったみんなが退場していく…。本当に退場すべきなのは……」

 

この間から引っかかっている。退場してしまった嵐珠、せつ菜。そしていま自分の理想のために戦う仲間たち。その中で運よく生き残っているだけの自分がいていいものか。

 

先日遥の姿をみてそう思ってしまった。

 

「そんなこと言わないの~」

 

俯く瑠和の頭を彼方が撫でた。

 

「瑠和君のいまは瑠和君が勝ち取ったものだよ~。だから、ほかの人なんて関係ないんだよ。願いが見つからないなら、いまはみんなのために戦ったらどう?夢がないなら、誰かの夢を守ったらどうかな?」

 

「彼方さん……」

 

「そう思ったから、私はこの間これを渡したんだよ~」

 

彼方は瑠和のベルトにセットされているコマンドツインバックルを撫でた。瑠和はバックルを掴んで少し決意を固める。

 

「誰かのために…」

 

そんなこんなで、試合開始まで秒読みとなった。それぞれが緊張の面持ちで宙に浮いているカウントを見つめる。

 

『第一試合、開始まで、4、3、2、1…スタート!』

 

試合開始と同時に、ステージ中央にボールが出現し、落下していった。それを受け取ろうとポーンジャマトが集まってきた。

 

「ほいっ!」

 

しかし、そのボールはビルの窓から飛び出してきた愛によって回収された。今回愛がフィーバースロットレイズバックルで引いたのはブーストだった。

 

「ゆうゆ!パス!」

 

「うん!」

 

愛はそのまま別のビルの屋上にいた侑にボールをパスする。侑はギガントビルダーフォームの胸部についているアームを起動させて受け取った。

 

「よしっ!栞子ちゃん!」

 

侑は受け取ったボールをそのまま栞子までパスする。

 

「はいっ!」

 

栞子も上空に飛び上がってボールをキャッチしてビルの屋上に着地した。ボールを持っている栞子には当然のように敵が群がる。

 

「じゃ、行こうか。瑠和君」

 

「……はい」

 

栞子の前に瑠和と彼方が現れ、ジャマトに立ちふさがった。

 

「やぁぁぁ!」

 

「道を開けろぉぉぁ!」

 

瑠和はレイジングソードで、彼方はクナイで迫るジャマトを切り捨てていく。そうして開けた道を栞子はボールを持ちながら走り抜けていく。

 

そして目の前にあるビルの屋上まで一気に飛んだ。

 

「見えた!あれがゴール!」

 

もう少し進んだ先にゴールがあるのが見えた。栞子は一気に進もうとしたが、ビルの上にもジャマトが湧いてきた。

 

「くっ!」

 

栞子はニンジャデュアラーを構えてジャマトを切り裂く。だが、倒した先からジャマトが迫ってくる。

 

何とかボールを取られないように立ち回るが、どんどんビルの端へと追いやられてしまった。

 

「ダメです!数が多すぎます!」

 

その声で栞子が追い詰められていることに気づいた彼方はすぐに動いた。

 

「瑠和君!」

 

「……はい!」

 

彼方は近くのジャマトを斬り倒すと両手を組んで足場を作る。そして瑠和はその足場に飛び込み、脚が彼方の腕に乗ったタイミングで彼方は瑠和を思いっきり上へ飛ばした。

 

かなり高くまで飛び上がったが、まだ屋上には若干足りない。

 

しかし、瑠和が落ちる前に彼方が分身を瑠和の真下に出現させた。瑠和はその分身の肩を蹴って一気に屋上まで飛んだ。

 

「栞子ちゃん!」

 

「!。はい!」

 

瑠和の声に気づいた栞子はボールを瑠和にパスする。瑠和はボールを受け取り、ビルの壁にレイジングソードを突き刺してブレーキ代わりにしながらビルの降りていく。

 

ちょうどビルの中腹くらいで落下が止まり、それと同時にレイジングソードが光る。

 

「さてさて、こっからが本番だ」

 

瑠和はレイジングソードについているコマンドキャノンバックルのレバーを引く。

 

『full charge』

 

『TWIN SET TAKE OFF COMPLETE JET AND CANNON』

 

身体に一気に二つのアーマーが装着され、瑠和はコマンドフォームに変身した。そしてボールを抱えてゴール目掛けて一気に飛んでいった。

 

「まずは一点!」

 

そのままゴールにボールを投げ入れようとした瞬間、巨大な茨の蔓が瑠和を攻撃した。

 

「うぉあ!?」

 

威力こそ大したことはなかったが、瑠和はバランスを崩されてボールを手放してしまう。

 

(しまっ…)

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

瑠和が手放したボールをとっさに走ってきた彼方がキャッチしてゴールへ投げ入れた。

 

『ゴール!』

 

彼方が投げ入れたことにより、宙に浮いている得点板のライダーチームに3点追加された。

 

「すいません。彼方さん。ありがとうございます」

 

「お気になさらず~」

 

彼方はビルの屋上に着地し、手をふる。

 

彼方に礼を言い終わると、瑠和は茨の蔓が伸びてきた方向を見た。しかしそこにジャマトはいなかった。

 

(さっきの攻撃……ポーンジャマトじゃない………だが、ボスでもないような…?)

 

瑠和が疑問に思っているうちにジャマト側がゴールに入れられたボールを拾い、再度試合が開始する。

 

ゴール付近から長距離パスが行われ、ミッドフィルダー付近のジャマトがボールを受け取る。

 

「ジャ!」

 

「通さないよ!」

 

ボールを持ったジャマトがそのまま進もうとしたが、その前にミアが立ちふさがる。そしてゾンビブレイカーを構えた。ジャマトはすぐに持っていたボールを近くのジャマトにパスして自身はミアに突貫した。

 

「この!」

 

すぐに突貫してきたジャマトを切り倒し、ボールをパスされたジャマトも倒そうとしたがジャマトは壁を蹴ってミアをスルーした。

 

「嘘ぉ!?」

 

ミアは追おうとしたが別のジャマトが道をふさぐ。

 

「すまない!突破された!」

 

スパイダーフォンを使ってほかのミッドフィルダーに連絡する。

 

「ごめん!こっちもいっぱいいっぱい!」

 

「敵が!多すぎる!」

 

侑も愛もジャマトの処理に追われている。ディフェンダーに任せるしかないかと思った時、ボールを持ったジャマトの頭部に刺付き鉄球が激突した。

 

「ジャ~!」

 

「……あ、当たった…」

 

たまたまそこに居合わせた歩夢がチェーンアレイを当ててジャマトをノックアウトする。

 

「歩夢!ボールをフォワードに!!」

 

「う、うん!」

 

「ジャジャジャ!」

 

歩夢はボールを拾い、フォワードに届けようとしたが当然ボールを持った歩夢のところにジャマトが集まってくる。

 

「ええ!?ど、どうしよう!」

 

急に大役を任された歩夢は混乱しながら逃げ出す。しかし、逃げようとした先にもジャマトが現れる。

 

「きゃっ!」

 

「はっ!」

 

歩夢にジャマトが迫ったとき、それを誰かが助けた。歩夢が目を開けると、そこには後方でディフェンダーを務めているはずの果林が立っていた。

 

「果林さん!どうして…」

 

「ゴール付近に敵があまり湧かなくて暇になってね。間に合ってよかったわ」

 

「でも……」

 

ジャマトは次々に発生する。

 

「さすがに数が多いわね。なら、これ試してみようかしら」

 

そういって果林は先日薫子から口止め料としてもらっていたバックルを取り出す。鍵盤とスクラッチディスクのついたカラフルなバックルだ。

 

「変身」

 

バックルを装填し、鍵盤を弾くと軽快な音楽が鳴り響く。

 

「あら、いいじゃない」

 

果林は音楽にあわせて軽く体を揺らしながらスクラッチディスクを回す。

 

『ビート!Ready fight』

 

スピーカーがついた装備が上半身に装着され、手にはギター型の武器「ビートアックス」がもたれていた。

 

「これは……こうかしら?」

 

迫ってくるジャマトに果林はビートアックスの刃を叩きつける。クローでは一撃で倒せなかったポーンジャマトもこれなら楽に倒せた。

 

「さらに?」

 

果林はビートアックスをギターと同じ持ち方をして軽快な音色を弾き始める。

 

『タクティカル・ファイアー!』

 

「いっくわよ!」

 

ビートアックスのヘッドの先端をジャマトに向けるとヘッドから炎が噴き出た。

 

「ジャジャ!」

 

「ジャァァ!!!」

 

「歩夢ちゃん、行きなさい!私がエスコートしてあげる!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「果林さん……いつの間にあんなバックル……」

 

侑は果林がいつあんなバックルを手に入れたのかという疑問を持ったが、迫ってくるジャマトの対処でそれどころではなかった。

 

ジャマトを蹴散らしながらフォアードの陣地にたどり着いた歩夢はボールを高くなげた。

 

「栞子ちゃーーん!!」

 

かなり遠くの方から歩夢に名前を呼ばれ、栞子は振り返った。

 

「パーーーーーーース!!!!!」

 

『チェーンアレイ・ストライク』

 

歩夢はチェーンアレイバックルを稼働させる。そしてエネルギーを貯めた鉄球を落ちてきたボールにジャストヒットさせてボールを栞子のところへぶっ飛ばした。

 

「えぇぇ!!!」

 

栞子はとっさにボールを受ける姿勢になり、すさまじい勢いで飛んできたボールを何とかキャッチした。

 

「はぁ、はぁ……」

 

「栞子ちゃん!そのままゴールに!!」

 

今栞子の周りにはジャマトがあまり沸いておらず、得点を奪うには絶好のチャンス。

 

なので彼方も瑠和も得点は栞子に任せて目の前の敵に集中していた。

 

しかしそれから1分もたたないうちにジャマト側のゴールからすさまじい勢いでボールがライダーチームのゴールに入っていく。

 

「え!?」

 

ディフェンダーメンバーも突然のこと過ぎて誰も反応できていなかった。得点板のジャマトチームの点数に5点が入る。

 

「どうして…」

 

瑠和があわててゴール付近に行くとゴールの目の前には倒れている栞子と、異形のジャマトが立っていた。

 

「栞子ちゃん!」

 

「も………申し訳ありません…このジャマトに邪魔されて…。さっきのゴールもこのジャマトが…」

 

栞子が指さしたのは異形のジャマト。見るにこのジャマトが今回のボス扱いらしい。

 

「ラサラルクテオ?」

 

「なるほど、こいつがボスが……。さっきのデケェ蔦もお前の仕業か!!」

 

瑠和はレイジングソードを構えてボスジャマトに突貫していった。栞子も立ち上がってニンジャデュアラーを構えて走り出す。

 

「ディフェンダー!よろしく頼むぞ!」

 

 

 

ーゴール付近ー

 

 

 

ゴール付近でディフェンダーはボールを拾って巻き返しを狙う。ボールがゴール付近へいったことでジャマトもそちらへ集まってきた。

 

「ひぇぇ!来ましたよぉぉ!」

 

「任せて!」

 

ボールを持ったかすみのところにジャマトが集まってきた。しかし迫ってくるジャマトの前にモンスターフォームになったしずくが立ち塞がる。

 

「もう!守られるだけの私じゃない!」

 

しずくはジャマトを殴り飛ばしながらかすみの方を向く。

 

「行って!かすみさん!」

 

「ありがとしず子!」

 

しずくが戦う横を通り抜けてフォワードがいるエリアまで行きたいが、またジャマトが出てくる。

 

「ああもう!」

 

「かすみちゃん!こっち!」

 

かすみよりも先の場所で待機していたエマが手を挙げる。かすみはエマにボールをパスした。

 

「ありがとう!」

 

ボールを受け取ったエマはビルからビルへ飛び移り、フォワードが待つエリアまで駆け抜ける。山育ちのエマにとってどうということではない。しかし、あと少しのところで行き先をジャマトに阻まれた。

 

「邪魔しないで!」

 

だがエマはこんなことではへこたれない。ドリルを構えて一直線に走り出す。真正面にいたジャマトたちはドリルで蹴散らされていくが、横からしがみついて来たジャマトまでは対応が追い付かなかった。

 

「くっ……。うぅ…」

 

しがみつかれて動けなくなりそうだったが、エマにしがみついていたジャマトがどこからか飛んできた弾丸に撃ち抜かれる。

 

「!」

 

そして次々とジャマトが撃たれていった。エマは弾丸が飛んできている方向を見ると、だいぶ離れたビルの屋上から狙撃をしている璃奈が見えた。

 

「エマさん。行って」

 

「璃奈ちゃんありがとう!」

 

エマはジャマトを璃奈に任せて一気にフォワードがいるエリアまで走り、ようやく見えたミアに思いっきりボールを投げた。

 

「お願い!」

 

「任せな」

 

ミアはゾンビストライカーのスライド部分を起動させる。

 

『ポイズンチャージ』

 

「せーのっ!」

 

『タクティカルブレイク』

 

エネルギーが貯まったゾンビブレイカーを野球のバットのように振りかぶり、エマからパスされたボールを力の限り撃ち飛ばした。

 

「just meat!」

 

ボールはまっすぐゴールまで飛び、得点は確実かと思われた瞬間、ボールの軌道上に栞子が現れた。

 

「え…」

 

ボスジャマトとの戦闘中、空中へ飛んだところ「たまたま」ボールの軌道上に来てしまったのだ。

 

「きゃっ!」

 

栞子に凄まじい勢いで飛んできたボールが当たる。空中でバランスを崩した栞子はそのまま落ち、ボールは跳ね返って宙を舞う。

 

「栞子!」

 

瑠和はボスジャマトを一旦無視し、ボールを取るためにジェットで飛んだ。

 

「!」

 

しかし、ボスジャマトは蔦を伸ばして瑠和を攻撃して怯ませる。さらに攻撃に使った蔦をさらに伸ばし、宙を舞ったボールを掴んだ。

 

「くそっ!」

 

ボスジャマトはボールを引き寄せ、ウツボカズラのような形をした腕にはめる。

 

そして、エネルギーを貯めてゴールめがけてボールを発射した。先ほどジャマト側のゴール手前から人間側のゴールに入れたのはこのボスジャマトの砲撃だった。

 

「ボール行ったぞ!誰か!」

 

瑠和はすぐにスパイダーフォンで呼び掛けた。しかし、

 

「ミッドフィルダーは無理だ!敵の数が多すぎる!」

 

ミッドフィルダー陣のいる区域はジャマトがより多く発生し、それどころではない。

 

ミッドフィルダーのいるエリアの上空を通り、ボールはゴールまで一直線に向かっていく。

 

それをゴール付近から視認したしずくは目の前のジャマトを無視し、シールドバックルで必死に戦っているかすみのところへ走った。

 

「かすみさん!」

 

振り向いたかすみにしずくは侑から受け取っていたハンマーバックルを投げる。

 

ハンマーバックルを受け取ったかすみは今の状況を見て何をすべきか理解した。

 

「…うん!」

 

『リボルブ・オン』

 

かすみは近くのジャマトを蹴り飛ばし、リボルブオンで上下反転した。そしてハンマーバックルを装備する。

 

『アームド・ハンマー、アームド・シールド』

 

「行くよしず子!」

 

「うん!」

 

「「せーのっ!」」

 

息を会わせると同時にかすみはハンマーバックルを稼働させた。

 

『ハンマー・シールド・ヴィクトリー』

 

かすみが構えたハンマーにしずくが足をかけ、かすみはハンマーの力でしずくを直上へはね飛ばした。さらにはね飛ばした勢いのままかすみは大きく弧を描くようにハンマーを振り、地面を叩いた。

 

その衝撃で前方のジャマトが浮き上がり、その隙にかすみは構える。

 

「かすみん~キューティ~……」

 

そこまで言ったところでシールドを身体の前面で構え、ぐっと前傾姿勢になり、足に力を籠める。

 

「タックルゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

ジャマトが浮かび上がって無防備になっているところへシールドを構えたかすみは突進し、大量のジャマトを蹴散らして行った。

 

一方かすみに打ち上げられたしずくはちょうどボールの軌道上まで上がる。

 

(私は球技が苦手だけど……そうっ!バレー選手になりきれば!)

 

しずくはモンスターバックルを起動させる。

 

『モンスター・ストライク!』

 

「やぁぁぁぁ!」

 

思いっきり拳を振ったが、しずくの拳は空を切る。そしてボールはしずくの顔面にぶち当たった。

 

「きゃう!」

 

ボールを跳ね返すことは叶わなかったが、しずくに命中したことによりゴールは免れた。ボールは再び宙へ舞う。

 

その様子を見ていた璃奈は慌てて璃奈に連絡を取る。

 

「エマさん!あっちの茶色のビルの屋上まで行ける!?」

 

「え、う、うん!」

 

璃奈に言われ、エマは急いで指示されたビルの屋上を目指した。その間璃奈はライフルモードのマグナムシューターのスコープからボールを覗いていた。

 

(………ここ!)

 

慎重に狙いを定め、ボールに向けて弾丸を放つ。璃奈の放った弾はボールの端に当たり、別方向に弾かれた。

 

そして弾いた先でも再度端に弾を当て、少しずつエマに指示したビルの方へ持っていく。

 

「璃奈ちゃんスゴい!」

 

「あと少し…っ!」

 

空中にある間はジャマトに触れられることはない。このままエマにボールが渡ると思われたその時、地面から巨大な蔦が伸び、ボールを止めた。

 

「!?」

 

蔦はボールを近場のジャマトの方へ飛ばし、それを受け取ったジャマトはゴールへボールを投げた。

 

ディフェンダーは全員ゴールから離れていたため、防ぐ間もなくボールはゴールに入ってしまう。

 

さらに追加で3点奪われてしまった。

 

「…あの蔦…」

 

作戦が失敗し、璃奈が呆然としていると背後に気配を感じた。慌ててマグナムシューターを背後に向けたが撃つより先にマグナムシューターを弾かれてしまった。

 

「!」

 

背後に立っていたのは、さっきまで瑠和と栞子と戦っていたはずのボスジャマトだった。

 

璃奈は抵抗する間もなく、首を掴まれ、持ち上げられる。

 

「く…」

 

璃奈がボスジャマトに襲われているのをみたエマは慌てて瑠和に連絡を取る。

 

 

 

ーフォワードエリアー

 

 

 

「なんだって!?」

 

こちらは瑠和と栞子がいるゴール付近。目の前にいたボスジャマトが突如地面に潜り、姿を消したことに驚いていた中、エマから連絡が来た。

 

「璃奈がやられる!俺は行くぞ!」

 

「いえ、大丈夫です」

 

瑠和はすぐにジェットで飛んでいこうとしたが、栞子の言葉がそれを止めた。

 

「どういうことだ?」

 

 

ーディフェンダーエリアー

 

 

 

璃奈がやられるかと思った瞬間、ボスジャマトの背後から栞子が現れた。そしてニンジャデュアラーでボスジャマトを切りつける。

 

「ジャ!」

 

「はぁぁぁ!」

 

さらに、ビルの下からしずくが屋上まで飛び上がり、ボスジャマトに追い討ちをかけた。驚いている璃奈のところに栞子が駆け寄る。

 

「無事ですか?」

 

「…どうして」

 

「ボスジャマトが消えたとき、こちらに分身を寄越しておきました。しずくさんをここまで運んだのも分身を足場にしたんです。それではこれにて」

 

そういうと栞子の分身は煙と共に消えてしまった。

 

「…」

 

それから試合は拮抗したが、結局第一試合は20対25点で人間サイドが押された形で終わった。

 

 

 

ー休憩所ー

 

 

 

「皆様、お疲れさまでした。本日の試合はこれで終わりです。再開は追って御連絡させていただきます」

 

休憩所には疲弊しきった12人が集まっていた。全員結構がんばったのだが結果はこれだ。

 

「……みなさん!申し訳ありませんでした!フォワードである私が不甲斐ないばかりに!」

 

しばらく誰も話さなかったが、栞子が突然立ち上がり頭を下げた。

 

「そんな、栞子ちゃんだけのせいじゃないよ」

 

「はい。私たちも少し分散しすぎていた気がします」

 

「新しいフォーメーションとか考えてみようか!」

 

わいわいと賑やかに話し合いが始まる。そんな空気の中に馴染めず、栞子は気づかれないようにラウンジから出ていった。

 

廊下を歩いている途中、足を止めて大きく深呼吸をした。

 

「この結果はあなたの狙いどおりなのかしら」

 

「……さぁ、どうでしょうね」

 

「…………あなた、わざとボールを取られていなかった?」

 

「…」

 

二度目のシュートチャンスにボスが相手とはいえ、簡単にボールを奪われてシュートされてしまった。さらにミアの長距離ショット際、栞子はボールの軌道上に現れ、ゴールをカットしてしまった。

 

「それってやっぱり調整役………だから?」

 

「…調整役?」

 

「!」

 

いつの間にか二人の後ろに瑠和がいた。栞子と果林がいなくなったので探しに来たのだ。

 

「わざとってどういうこと?栞子ちゃん」

 

「…」

 

果林は少し考えてから小さく笑う。

 

「そのままの意味よ。この子は、ゲームを円滑に進めるための調整役。端的に言えば運営の手先ね。うまくやったら運営に願いを叶えてもらえるらしいわ」

 

「朝香さん!?」

 

何を思ったか、果林は秘密にするといったことを瑠和に伝えた。

 

「この間の試合、果実が一つ足りなかったでしょう?そして、その足りなかった分の果実を食べたボスも強化され、そのボスの手によって嵐珠とせつ菜は殺された………それもこの子の目論見通り……らしいわよ?」

 

その話を聞き、さっきまで驚いていた瑠和の表情が険しくなったのが分かった。普段温厚そうな瑠和の態度が豹変したことに栞子は少し怖気づく。

 

「本当に………君が…」

 

「……私は」

 

瑠和はゆっくり栞子に近づき、彼女の肩に触れた。何をされるかわからなかった栞子は目を瞑る。

 

「なぁ、君の願いはなんだ?」

 

「え……?」

 

栞子は瑠和の言葉に眉をひそめた。

 

「どうしてそんなことを?」

 

「…………仮に君が、運営の手先だったとして……それでも璃奈を守ってくれたことは事実だ。だから君が本当の敵だって…思えない。それに俺は、誰かの願いのために戦うって決めた。でも、朝香さんの言う通りだとして、君の願いがないなら…………君の願いで判断させてくれ」

 

調整役としてここにいるなら、瑠和が栞子のために戦う理由はない。しかし、栞子にちゃんとした願いがあり、調整役としても選手としてもここにいるならそれを無下にすることはできないと考えて聞いた。

 

もし、そうでなかったら。瑠和はどうするのが正解なんだろう。

 

そう思いながら栞子の返答を待った。

 

「………私が望む世界は……「姉の願いが叶う世界」です」

 

「………姉?」

 

栞子は自身の望みを話した。「誰もが適正に合わせた生活ができる世界」、それはあくまでほかの参加者と話す時のフェイクだった。挫折してしまった姉が挫折しなかった世界のために栞子は調整役を引き受けたのだ。

 

「そっか、イマシさんがお姉さん………か」

 

「………」

 

「わかった。なら、君のために戦えばいい」

 

「………何も…しないのですか?果林さんの言う通り、ボスが有利になるようにして…結果的にお二人を……嵐珠さんとせつ菜さんを殺したのかもしれないんですよ!?」

 

「ゴールのカットはわざとだろうけど、それ以外が故意にやったようには見えなかった。それに、それが仕事だったなら………仕方ないだろ?」

 

「………あなたの邪魔を……するかもしれないんですよ?」

 

「そん時は受けて立つさ………。って言っても俺は理想の世界なんてないから、璃奈や、みんなのために戦うだけだ」

 

瑠和はそう言い残し、去っていった。

 

残された果林は小さく笑った。

 

「思った通り、お人好しだったわね。あの子」

 

「え?」

 

「あの子だったら、あなたの本心聞き出せそうな気がして、だから話してみたのよ」

 

「そうだったのですか…」

 

「………調整役……ね。それってそんなに気にすることかしら」

 

「……どういう意味ですか?」

 

「あなたにもちゃんとした願いがあるなら、その願いのために戦ってみたらいいじゃない」

 

「ですが……」

 

「私は他人にかなえてもらう願いなんて願い下げ。自分の願いは自分で叶えるのよ。ま、そういうことだから。あの子も言ってたけどあとは勝手になさい。調整役を続けるなら、私も受けて立つから」

 

果林は戻っていった。

 

一人になった栞子は自身の胸に手を当てて考える。

 

「………自分の願いは…」

 

 

続く




現在の仮面ライダー

天王寺瑠和 職業:公務員
モチーフ・猫/仮面ライダーギャーゴ
願い・未定
所持バックル・ウォーター・レアバックル・コマンド

天王寺璃奈 職業:高校生
モチーフ・猫/仮面ライダーリーニャ
願い・???
所持バックル・マグナム

朝香果林 職業:モデル
モチーフ・狐/仮面ライダーキュービー
願い・???
所持バックル・クロー・ビート

近江彼方 職業:弁当屋
モチーフ・羊/仮面ライダーランビー
願い・遥ちゃんがスクールアイドルができている世界
所持バックル・シノビ

宮下愛 職業:デザイナー
モチーフ・豹/仮面ライダークーガー
願い・???
所持バックル・フィーバースロット

中須かすみ 職業:高校生
モチーフ・狸/仮面ライダーラグーン
願い・???
所持バックル・シールド・ハンマー

桜坂しずく 職業:高校生
モチーフ・くま/仮面ライダーマック
願い・???
所持バックル・アロー・モンスター

鐘嵐珠 退場

ミア・テイラー 職業:作曲家
モチーフ・ウサギ/仮面ライダーリープ
願い・???
所持バックル・ゾンビ

エマ・ヴェルデ 職業:農家
モチーフ・山羊/仮面ライダーライズ
願い・???
所持バックル・ドリル

優木せつ菜 退場

高咲侑 職業:大学生
モチーフ・鹿/仮面ライダーシーカー
願い・???
所持バックル・パワードビルダー・ギガントコンテナ・レアバックル

上原歩夢 職業:大学生
モチーフ・蛇/仮面ライダーサスケ
願い・???
所持バックル・チェーンアレイ

三船栞子 職業:高校生
モチーフ・サーベルタイガー/仮面ライダースミロ
願い・姉の願いが叶う世界
所持バックル・ニンジャ
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