Before Days -case of DGP-   作:瑠和

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謀略Ⅱ:誰かのために

「でやぁぁぁぁぁ!!」

 

『ニンジャ・グレート・ヴィクトリー』

 

歩夢の放った斬撃がアリナを襲う。アリナはそれを何とか回避した。

 

「危ない危ない。おっと!」

 

回避した先に璃奈が放った弾丸を打ち込まれるがそれも紙一重で躱す。

 

「避けられたっ!」

 

「まだまだ!」

 

歩夢はニンジャ・デュアラーを構えて再度アリナに切りかかる。アリナの腕から触手が伸び、絡み合い、剣が生成される。

 

蔓で作られた剣で歩夢の攻撃を受け止めた。

 

「よくも!よくも栞子ちゃんを!」

 

「なにをそこまで怒っているのですか?元々あなた方は蹴落とし合う間でしょう?」

 

「だからって!せっかく自分の夢に!自分の気持ちに気付けた人を!あんなに無残に!!!」

 

「……それが何ですか?自分の役割を全うせず、勝手な都合を押し付けられたのはこっちの方なんですよ!」

 

歩夢のニンジャデュアラーを弾き、歩夢に向かって蔓を伸ばす。

 

「歩夢さん!!」

 

アリナが伸ばした蔓を璃奈が正確な狙撃ですべて打ち切った。

 

「!」

 

「いまっ!」

 

歩夢はニンジャデュアラーをアリナの腹部に押し付け、そのまま切り抜く。

 

「ぐっ!」

 

「!」

 

アリナが怯んだすきに璃奈は腕のライフルを稼働し、マグナムシューターと合わせて弾丸の雨を浴びせる。アリナに弾丸が命中し、硝煙が上がる。硝煙の先に立っていたアリナは特にどうという感じはしていない。

 

「…………まぁ、その程度ですかね」

 

「だぁぁぁ!!!」

 

すぐさま歩夢が振り返り、ニンジャデュアラーで切りかかるが、アリナはそれを蔓の剣で受け止める。

 

「そもそもあなたの願いは、誰かの幸せを踏みにじって叶えるんです。わかっていますか?」

 

「私は………私の叶えたい願いなんて大したものじゃない」

 

歩夢の願い。それは、「大好きを伝えられる世界」。それが願いだった。幼いころからの親友だった侑。しかしいつまでも一緒にいられるものでもなく、それぞれ別の道へ行った。

 

歩夢も回りに流され、なんとなくでここまで来た。もしも、自分の大好きを、やりたいことを侑にまっすぐ、はっきり伝えられたら…。一緒になにかできたのだろうか。もっと近くにいられたのだろうか。

 

別に深い関係になりたいわけではない。ただ、そばにいて欲しかった。辛いとき、悲しいとき、支えてほしかった。

 

しかし、ここで侑と一緒に戦う中で、少なくとも一緒にいたいという願いは叶っていることに気付いたのだ。

 

だから、いまは自分の願いより、だれかの思いを大切にしたかった。

 

「私は誰かの願いが叶うように協力したい!!!だから、栞子ちゃんの夢を奪ったあなたを許さない!!」

 

「そんなことは不可能だ!!」

 

歩夢がつばぜり合いをしている隙に璃奈は移動し、アリナを狙おうとする。しかし、スコープを覗いた瞬間アリナは立ち位置を変え、射線上に歩夢が来るようにした。

 

再度移動するがアリナは再び同じことをする。

 

「これじゃ歩夢さんが…」

 

「璃奈ちゃん!撃って!」

 

歩夢はアリナの剣を弾き、一気に接近してアリナを羽交い締めにする。

 

「おっと…」

 

「それじゃ歩夢さんが…」

 

「早く!」

 

「…っ!」

 

『マグナム・グレート・ヴィクトリー』

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

マグナムシューターから巨大なエネルギー弾が発射され、璃奈はその反動に耐えきれず後方に吹っ飛んだ。そのエネルギー弾は歩夢ごとアリナを撃ち抜く。

 

「きゃぁぁぁぁ!」

 

歩夢は爆発の中から飛び出し、地面を転がった。地面を転がりながら歩夢の変身は解除される。

 

「はぁ………はぁ………璃奈ちゃん………大丈夫?」

 

「………」

 

璃奈の反応がない。

 

「璃奈ちゃん!?」

 

璃奈のマグナムバックルを外すと口から血を吐いた璃奈が歩夢の腕の中で力なく横たわる。

 

「どうし………っ!」

 

璃奈を抱く歩夢の手に、生ぬるくぬるっとした感触が伝わった。璃奈の腹部を見た。璃奈の腹部からは血が溢れ出ている。

 

それは、最初の不意打ちが原因だった。璃奈は直前にアリナの不意打ちに気づいたものの、腹部を貫かれていた。そして、そんな激痛の中なんとか歩夢と一緒に戦っていたのだ。

 

「璃奈ちゃん!こんなけがを……」

 

「………大丈夫……爆弾の解除……は…ほとんど……ごほっ!」

 

「璃奈ちゃん!!」

 

『ジャジャジャストライク!』

 

刹那、璃奈を心配する歩夢に蔓が迫った。しかしその蔓は、間に入った誰かに弾かれた。

 

「愛さん…」

 

「…歩夢、あいつなに?」

 

現れたのは愛だった。愛は状況を把握し、蔓が伸びてきた先を睨む。

 

「ふむ…また面倒なのが来ましたね…」

 

「あいつが…栞子ちゃんを殺した張本人!それに……っ!今度は璃奈ちゃんまで…」

 

「歩夢……りなりー、お願い」

 

愛はアリナを睨んだまま歩夢に言う。

 

「え?」

 

「愛さん、あいつをぶっ潰す!」

 

愛はゾンビブレイカーを構えてアリナに向かって飛ぶ。アリナは愛のゾンビブレイカーを蔓の剣で防いだ。

 

「また仇討ちですか?」

 

「うるさい!」

 

「面倒ですねぇ!」

 

アリナに軽く弾かれるが、愛は弾かれた先の壁を蹴って反撃に出る。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

『ジャジャジャ・ストライク!』

 

「っ!!」

 

しかし、アリナは再度突っ込んでくる愛に向けて必殺技を放つ。空中にいるため愛は回避しきれず、それをまともに食らう。アリナの腕から伸びた蔓に呑み込まれ、壁に叩きつけられた。

 

「がっ………」

 

「これで終わりです……」

 

愛にとどめを刺そうと近づく。

 

「愛さん!!」

 

「させません!!」

 

そこにさらにしずく、エマらが駆け付け、アリナにとびかかる。モンスターバックルを装備したしずくがアリナに殴りかかり、エマは愛を抱きかかえる。

 

「愛ちゃん大丈夫!?」

 

「大丈夫………まだいける……」

 

「きゃあ!!」

 

アリナに殴り飛ばされたしずくが二人の近くに倒れる。

 

それと同時にアリナが飛ばした攻撃の余波を受けてエマも吹っ飛ばされた。

 

「ぐっ!」

 

「シズク!エマっち!!」

 

二人の変身が解除される。

 

しかし、しずくとエマはすぐに立ち上がり、何とか立ち上がった愛と三人で並び立つ。その様子を見ていた璃奈は歩夢の肩を掴む。

 

「………私は……大丈夫。歩夢さん……どうか………戦って!」

 

「…………ごめんね。璃奈ちゃん」

 

歩夢は璃奈を壁によりかからせ、三人の隣に並び立つ。

 

「………勢ぞろいですか……まぁ、仕方ありません。この塔の皆さんには死んでいただきましょう」

 

「愛さん!しずくちゃん!」

 

歩夢は愛としずくにレアバックルを投げた。歩夢が侑から預かったものと璃奈が瑠和から預かってさっきまで使っていたものだ。

 

「歩夢さんは!?」

 

「璃奈ちゃんから………これ……預かったから」

 

歩夢はマグナムバックルを取り出す。

 

「………じゃあ、行こうか」

 

「「「「変身!!!」」」」

 

『マグナム・ニンジャ』

 

『モンスター!・グレート』

 

『フィーバー・ゾンビィ!・グレート』

 

『ビート』

 

『『『『Ready・Fight』』』』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

エマ、しずく、愛の三人が同時にとびかかり、同時に歩夢はマグナムシューターでアリナを射撃する。

 

アリナは地面に手を叩きつけ、蔓の壁を作った。その壁で歩夢の放った弾丸を全て防ぐ。

 

「!」

 

さらに飛びかかってきたエマの攻撃を蔓で作った剣で受け流し、愛の攻撃を紙一重で躱し、しずくの攻撃を剣で防ぐ。

 

攻撃を躱されるも振り返り様にゾンビブレイカーを振るう愛としずくの追撃がアリナを襲う。

 

アリナは地面に潜り込んで二人の攻撃を避け、しずくの背後に巨大な花の蕾のようなものを生やした。巨大な蕾からアリナは飛び出し、しずくに襲いかかる。

 

しかし、エマはとっさにアリナに向けてビートアックスを投げた。

 

「おっと」

 

アリナはそれをなんとか躱し、ビートアックスは天井付近に突き刺さる。だが、休む間もなくアリナに歩夢が切りかかった。

 

「やぁぁぁ!」

 

「くっ!」

 

さすがにその攻撃は蔓の剣で防ぎ、歩夢を弾き返す。しかし、歩夢は弾かれたと同時に腰にマウントしていたマグナムシューターの銃口をアリナに向けて射撃する。

 

アリナは弾丸を蔓の剣で防ぐも、その隙に接近してきていたしずくに気づかなかった。

 

「そこぉ!」

 

「ぐおっ!」

 

しずくが一撃をいれると同時に歩夢は弾かれた勢いのまま天井のパイプに捕まり、突き刺さっていたビートアックスを引き抜き、エマに投げる。

 

「エマさん!」

 

「うん!愛ちゃん!」

 

「おっけぃ!」

 

しずくの攻撃が決まり、中に浮いたアリナに対し、エマと愛は同時に飛び、ビートアックスとゾンビブレイカーで切り裂いた。

 

「ぐぁぁ!」

 

三人が戦う姿を、璃奈は朦朧とする意識の中で見ていた。

 

「…」

 

腹部の傷は深い。もう助からないことはなんとなく璃奈はわかっていた。だけど、このまま終わりたくない。

 

(私の……願い…)

 

璃奈が命をかけてまで叶えたかった世界は「誰とでも心を繋げられる世界」。感情が表に出ず、友人がいない。そんな自分を瑠和はずっと心配していた。

 

瑠和に心配をかけたくない。もっと色々な人と友達になりたい。そう思ったのだ。

 

(……もう、叶いそうにないけど…。あの人がいたら、もっと誰の願いも叶わなくなる…)

 

璃奈はちらりと、先ほど全て解除を終えた爆弾の山を見る。

 

「やぁぁぁ!」

 

「ぐぁ!」

 

アリナはエマに切られ、地面に転がる。

 

それを見た歩夢はこれまでにないチャンスだと思った。さっき璃奈と共闘した時はまるで歯が立たなかったが今ならやれる。

 

歩夢はすぐにニンジャデュアラーの手裏剣ディスクを起動させ、エネルギーを貯める。そして、地面に倒れるアリナに向かって飛んだ。

 

『ラウンド1・タクティカルスラッシュ』

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

あと僅かで、その切っ先がアリナに届くというところで、歩夢の腹部に激痛が走る。

 

「――――っ!」

 

地面から伸びた蔓が、歩夢の腹部を貫いていた。アリナはさっきまでのダメージがなかったかのように立ち上がり、汚れをはたく。

 

「やっと一人………」

 

「あ………歩夢!!!」

 

「歩夢さん!!!!」

 

愛としずくがすぐに動くが、蔓に邪魔をされる。

 

「さて、この調子で潰させていただきますか」

 

アリナが三人に向かって歩きはじめる。歩夢は蔓にもたれかかるようにしながらアリナの後ろ姿を見る。

 

「…………」

 

腹部から垂れる血が蔓を伝って地面に溜まる。その量を見れば、ああ、おそらく自分は死ぬのであろう。そんな考えが脳裏をよぎる。

 

(怖いな………死ぬってどんな感じなんだろう…………でも…)

 

いつかの栞子の、嵐珠の、せつ菜の姿を思い浮かべる。

 

あの三人だって、怖かったはずだ。

 

(せつ菜ちゃんは私たちに心配かけないために、怖いの、痛いの、全部我慢して死んでいった………嵐珠ちゃんはせっかく見つけた幸せを私たちのために投げうった……栞子ちゃんだって、やっと自分の願いを見つけたのに、確実に死ぬってわかって、私を最後まで………)

 

「う…………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

歩夢は叫びながら蔓を引き抜き、アリナを後ろから捕まえる。

 

「みんな!!今のうちに!!!」

 

「歩夢ちゃん!?」

 

「私はどうせ助からない!!だから、私ごと!!」

 

「ほう、中々いい度胸ですね。人間にしては興味深い性格をしています………そんなあなたをここで失うのは惜しい………」

 

アリナは歩夢のホールドを軽々と外し、首を掴んだ。

 

「とてもいい眼をしている。その心意気も素晴らしい」

 

アリナは歩夢のベルトにセットされていたニンジャバックルを外し、ジャマトバックルを装填した。刹那、歩夢の全身におぞましいほどの激痛が走る。

 

『ジャマト!』

 

「あっ…………ぐぅぅ…あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」

 

歩夢の悲痛な叫びが塔中に響き渡る。

 

「これに耐えきれれば、あなたの肉体はジャマトになります。見事ジャマトになれば、僕の妃として迎えましょう。僕と、素敵なジャマトの世界を作りましょう」

 

「歩夢ぅぅぅぅ!!!!」

 

『フィーバーゾンビィ・グレート・ヴィクトリー』

 

愛はフィーバースロットバックルを起動させ、エネルギーを溜めたゾンビブレイカーで行く手を阻む蔓をぶった切る。そして一気にアリナに接近していく。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

『ポイズン・チャージ!!』

 

「邪魔をするなぁ!!」

 

アリナは片手で愛の攻撃を防ぐ。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

さらにエマとしずくが蔓よりも高く飛び上がり、足にエネルギーを溜めたダブルキックでアリナに仕掛ける。アリナは足を地面に叩きつけ、巨大な蔓の壁を出現させ、二人のキックを防ぐ。

 

しかし、三人の必殺技を同時に受け止めているため、さすがにアリナも辛そうに防ぐ。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!ゆうゆ!力を貸してぇぇぇ!!!」

 

愛はさらにレアバックルを起動させる。

 

『グレート・ヴィクトリー』

 

さらに威力が上がったゾンビブレイカーがアリナの剣を叩き切った。

 

「なっ…………」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

そのままの勢いで愛はアリナの腹部にゾンビブレイカーを突き刺す。アリナはとっさに蔓の鎧をまとい防ごうとしたがわずかに間に合わず、ゾンビブレイカーの切っ先がアリナの肉をえぐる。

 

「ぐぅぅ!!」

 

その痛みでエマとしずくの攻撃を防いでいた蔓が緩む。二人は一気に足に力を込めて蔓の壁を突破し、アリナにキックを食らわせようとする。

 

「まだまだぁぁ!!」

 

アリナは蔓の鎧を腕まで伸ばし、二人のキックを受け止める。

 

「わぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「この…………劣等種共がぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

刹那、アリナの身体から無数の鋭い棘が四方八方に伸びた。その棘は愛、エマ、しずくの全身を貫く。無数に伸びた棘に三人は串刺しの状態で動けなくなる。

 

「ぐっ………」

 

「がはっ……」

 

三人は一気に生死の淵に立たされる。何とか動けはするものの、足、肩、腹部、心臓付近。それぞれいろいろな場所に棘が突き刺さっていた。

 

もう助かるかどうかわからない。

 

「僕にここまでさせるとは………そう簡単には…」

 

その時だった。アリナの背後で大きな音がした。ちらりとその音の方向を見ると、そこには璃奈が倒れていた。

 

「…………?」

 

なぜ今更璃奈がここに?

 

その答えはすぐに判明する。アリナの足元に爆弾が転がったからだ。

 

「まさかっ!!!」

 

すぐに動こうとしたがもう遅い。璃奈は解除した爆弾を再度起動させ、ここまで持ってきたのだ。朦朧とする意識の中で璃奈は愛たちを見る。

 

(ごめんね………三人とも)

 

爆弾が輝き、巨大な爆発を起こす。

 

 

 

―青の塔―

 

 

 

「…………え?」

 

こちらはもう片方の塔。最上階で最後の爆弾解除に成功した瞬間だった。窓から見えるもう片方の塔の中腹部が爆発したのだ。

 

「…………璃奈!!!!」

 

コマンドフォームに変身していた瑠和はキャノンで塔の窓をふきとばした。そのことに一緒にいたかすみが驚く。

 

「ひゃあ!」

 

『リボルブ・オン』

 

「璃奈ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

さらにジェッドモードになり、もう一つの塔に向かって飛んだ。

 

もともと大した距離もなく、瑠和もジェッドモードを全力で飛ばしたため、すぐに塔の爆発した場所にたどり着く。

 

「璃奈!璃奈!!璃奈ぁぁぁぁぁ!!!」

 

たどり着いた塔の中で瑠和は必死に妹の名前を叫ぶ。しばらくあたり見回していると、見慣れたピンク色の頭が見えた。

 

「璃奈!!!」

 

すぐに駆け寄るが、瑠和の足は途中で止まる。

 

「…………璃奈?」

 

瓦礫に隠れて見えなかった璃奈の身体は、片腕が飛び、血まみれの状態だった。

 

直前に二人で買い物をして、買ってあげた白いスカーフは血にまみれ、真っ赤に染まっている。

 

「…………璃…………奈」

 

瑠和は自然と変身解除し、ふらふらとおぼつかない足で璃奈に近づき、跪く。震える手で璃奈の頭に触れると、瞼がわずかに動いた。

 

「璃奈………?」

 

「お…………兄………ちゃ…ん?」

 

「璃奈!璃奈!!」

 

瑠和は我に返り、すぐに璃奈を抱きかかえる。

 

「しっかりしろ!!璃奈!!」

 

「…………ごめん……なさい」

 

「なんで謝る!大丈夫だ!!こんな怪我、大したことない!!すぐ治る!だから大丈夫だ!!」

 

「…………お兄ちゃんを…一人にしちゃう」

 

「大丈夫だ!大丈夫だから………」

 

涙ながらに瑠和は璃奈を必死に抱きしめる。その心情は愛おしさか、不安からか、その温もりを忘れぬためか。

 

「…………お兄ちゃん………お願いがある……んだ」

 

「聞かねぇ!!お前のお願いなんて聞かねぇ!!やりたいことがあるなら自分でやりやがれ!!お兄ちゃんに甘えんな!!」

 

涙を流しながら叫ぶ言葉に、璃奈は小さく笑う。

 

「………最後……だから。お兄ちゃん」

 

その瞬間、璃奈のIDコアにヒビが入る。

 

「あ………あぁ」

 

「どうか、願いを叶えて……?お兄ちゃんの幸せのために」

 

『mission failed』

 

初めて見る笑顔と共に、璃奈は塵かなにかわからないものになり、瑠和の手から消え去った。

 

「…あ…ああ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

半壊した塔の中で瑠和の叫びが木霊する。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「が…………ごぽ……」

 

瑠和が塔へ到着し、璃奈のもとへ駆けつけたとき、その背後でうごめく影があった。それは、ボロボロになったしずくであった。

 

(あ…ああ………喉を貫かれて声が………出せない………)

 

アリナの放った棘に串刺しにされ、爆発に巻き込まれ、完全に満身創痍であったしずくは地面に伏せたまま動けなかった。

 

「ごぼ……」

 

動けない身体で必死に瑠和に手を伸ばす。

 

(お願い……気付いて…………瑠和さん…………私を…………見てっ!)

 

必死に手を伸ばし、瑠和を求めるが無情にもしずくのIDコアにヒビが入る。

 

「か………」

 

(ああ………あぁぁぁぁぁ…………どうして……私は…………ただ………幸せになりたかっただけなのに…。瑠和さん…瑠和さん…瑠和さん…っ!)

 

瑠和を見ながら、求めながら、しずくの身体は徐々に消えていく。

 

(ああ……私の夢………幸せな世界……白馬の…王子様……)

 

『mission failed』

 

しずくは誰にも気づかれることなく消えていった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「…………いてて…あーこれ………ダメな奴かなぁ」

 

一方、愛は瓦礫に潰され、倒れていた。下半身の感覚がほぼないのを感じながら自身の命が尽きようとしているのを感じていた。

 

「…………願い………叶えたかったなぁ」

 

朦朧とする意識の中で、瑠和の叫びが聞こえてきた。

 

「璃奈!璃奈ぁ!!」

 

「……………るなりん………来たんだ。りなりーほんっと愛されてるねぇ……………お姉ちゃん、私少しはお姉ちゃんに近づけたかなぁ?優しい……みんなに頼られる立派な……お姉ちゃんに…」

 

愛の願い。それは彼女が「お姉ちゃん」と呼ぶ川本美里と言う女性が蘇った世界だった。近所に住む年上の友人であった美里は病気で亡くなった。愛はそのお姉ちゃんが元気に暮らす世界を望んでいた。

 

だが、もうそれは叶いそうにない。

 

「……せめて…もうすこし…お姉ちゃんみたいに誰かの役に…」

 

ふと、近くを見る。するとそこには倒れているエマが見えた。愛やしずくと比べると軽傷に見える。すぐに治療すればまだ助かるかも知れない。

 

「…ぐっ」

 

愛は痛む身体を動かし、最後の力でフィーバースロットレイズバックルをベルトに装填した。

 

「変身…」

 

『フィーバーマグナム!』

 

マグナムが当たったことに愛は小さく笑みを浮かべる。

 

「………これで…少しは」

 

『フィーバー・マグナム・ストライク』

 

愛はマグナムシューターを空に向け、エネルギー弾を放った。

 

「どうか…誰かに…」

 

次の瞬間、IDコアにヒビが入り愛は消滅し始める。薄れ行く意識と消え行く身体で、最後に小さな声を聞く。

 

「こっち!いま確かに空になにか…っ!」

 

声がした。愛の放った輝きを、誰かが見つけたのだ。その声を聞いた愛は満足そうな顔をして消えていった。

 

『mission failed』

 

 

続く




現在の仮面ライダー

天王寺瑠和 職業:公務員
モチーフ・猫/仮面ライダーギャーゴ
願い・未定
所持バックル・ウォーター・コマンド

天王寺璃奈 退場

朝香果林 退場

近江彼方 職業:弁当屋
モチーフ・羊/仮面ライダーランビー
願い・遥ちゃんがスクールアイドルができている世界
所持バックル・シノビ

宮下愛 退場

中須かすみ 職業:高校生
モチーフ・狸/仮面ライダーラグーン
願い・???
所持バックル・シールド・ハンマー・ブースト

桜坂しずく 退場

鐘嵐珠 退場

ミア・テイラー 職業:作曲家
モチーフ・ウサギ/仮面ライダーリープ
願い・???
所持バックル・ゾンビ

エマ・ヴェルデ 職業:農家
モチーフ・山羊/仮面ライダーライズ
願い・???
所持バックル・ドリル・ビート

優木せつ菜 退場

高咲侑 職業:大学生
モチーフ・鹿/仮面ライダーシーカー
願い・???
所持バックル・パワードビルダー・ギガントコンテナ

上原歩夢 職業:大学生
モチーフ・蛇/仮面ライダーサスケ
願い・大好きを伝えられる世界
所持バックル・チェーンアレイ・ニンジャ・レアバックル

三船栞子 退場
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