にじさんじヤンデレ物語   作:にじさんじヤンデレ委員会非常勤員

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この度、戌亥さんのボイスを買いました!(戌亥とこという人物の話し方とか、三人称とか、大阪弁の使い方とか、参考になりもうした)
……小説って、ただで書けると思ってたのですが
どうやら有料みたいでした
アンジュさんやリゼさん、そのほかライバーさんを書くたびに料金が発生するんです……(社さんのヤンデレも書いてみたい、多分えぐい)
ちなみに、人生で初めてボイス系を買いました。

いやぁーボイスかって良かったですわ(真顔でリピート中)


戌亥09

 どうやら俺の腕を噛んだことを戌亥さんは覚えていなかった。

 

「その腕どうしたん?」

 

 包帯に巻かれた俺の右腕を見て放った戌亥さんの一言。

 

 忘れていたとかとぼけているわけではないことは彼女の反応を見れば明らかだった。

 嘘が嫌いだと言っていた本人が嘘を吐くとも思えない。

 

 三船さん達と話し合った結果、あの時の戌亥さんは寝ぼけていたのだと無理矢理に納得することにした。

 

 そんな事件と呼べる出来事から一週間が経ち、寝ているときは絶対に近づかないと心に誓ったケルベロスさんは。

 

「まいど、おおきに!」

 

 ケルベロスがケルベロスを名乗って、元気に配信活動してます。

 

 

 

「おつとこ~」

 

 デスクに座りモニターに向かって締めの挨拶をした戌亥さん、ヘッドセットを外しながらと小さく深呼吸をする。

 

「戌亥さん凄いですね、たった数日で数万の登録もされてるじゃないですか」

 

 ユーチューブで戌亥さんの配信を見ていた俺は、しっかりと配信が終了していることを確認してから元俺の部屋、現戌亥さんの部屋に入った。

 戌亥さんは結局にじさんじに所属することになった、戌亥さんは自身と同時にデビューした他の女性配信者二人とグループを作り、「さんばか」と呼称して既にアイドルグループのような活動をしていた。

 

 他二人の配信も試しに見たりしたが、戌亥さんに負けず劣らず個性のある人達だった。

 

「奈田くんおつかれさまー。配信って結構たのしいなあ」

 

 最近見るようになった微笑みを見せる戌亥さん。

 自分の分身を使って活動するのがVチューバ―であり、戌亥さんの分身はできる限り彼女に似せて作られていた。

 だけど戌亥さんの場合は分身よりも本体を出した方が人気が出るだろう。そしてそれを自分だけが知っているというのは浅ましい小さな優越感を生んだ。

 

「にじさんじに入ってよかったですね」

「なぁ奈田くん」

「はい?」

「どないして、私に優しくしてくれるん?」

 

 それは思ってもみなかった質問だった。

 唐突過ぎる質問もそうだったが、別に俺は戌亥さんに優しくしているつもりなんてなかったからだ。

 むしろ最初の頃は全く正反対の言動だったはずだ。

 

「俺、優しいですか?」

「……多分?」

「どうして戌亥さんも疑問形?」

「わからへん……」

 

 いやぁ、質問者ご本人が分からなかったらダメでしょ。

 ゴールテープが地面に埋まってるようなもんだぞ、俺はどこに向けて走ったらいいんだ。

 

「えぇ……どこを見て優しいって思ったんですか」

「んー、なんとなく」

 

 おう、久しぶりに来たな。抽象的すぎて何の話か全く分からないトーク。

 どことなくフィーリングで生きているであろう戌亥さんらしいとは言え、今みたいなタイミングだとこちらとしても返す言葉が見つからなくなってしまう。

 とりあえず逃げるか。

 

「理由とかわかったら教えてください。それじゃあ俺は寝ますから、戌亥さんもあまり夜更かししないでくださいね」

「おおきにー。おやすみ~」

 

 デビュー直後からファンが付いている戌亥さんの元には、毎日のようにファンからのメッセージが届く。

 彼女はそれを全て読むようにしているのだとか、流石にこれ以上数が増えると現実的じゃないみたいだが、彼女なりの誠意なのかもしれない。

 

「あ、明日アンジュとリゼが来るから」

「ぇ……」

 

 戌亥さんの言葉に反応する間もなく部屋の扉が閉まった。

 

 

 

「あ、君が戌亥が言ってた人だな! こんにちわー!」

「お、おじゃましま~すぅ」

 

 次の日、戌亥さんのあれを冗談と思い込んでいた俺に叩きつけるように、無慈悲なインターホンの音と共に二人の女性が訪ねて来た。

 

「初めまして、奈田といいます」

「おまたせ、まった?」

「待ってないです、お帰りください」

「んなぁ⁉」

 

 初対面で失礼かと思ったが、なんでだろう……アンジュと名乗る赤髪の女性にはこう返すべきだと、俺のシャドーが言っていた。

 

「アンジュがすみません。とこちゃんと同じ事務所に所属しているリゼヘルエスタです、今日はいきなり来てしまってすみません。これお菓子です、食べてください」

「わざわざご丁寧に、ありがとうございます」

 

 そう言って綺麗にラッピングされた菓子折りを渡してくれたのは、アンジュとは正反対と言うべき女性だった。

 かなり丁寧、というか大人すぎる対応を見せたのは空のように綺麗な長髪の美女だった。

 

「リゼさんですね、戌亥さんと仲良くしていただいているみたいでありがとうございます。しっかりしていますね」

「こ、これでも皇女ですから!」

 

 皇女……? 配信でも確か言ってたな。でもそっか、皇女だったかぁ……。

 

「これは皇女様の前で飛んだご無礼を」

 

 戌亥さんで鍛えた(鍛えさせられた)適応能力をフルに発揮した俺は、否定もすることなく即座に膝を付く。

 相手が皇女って言ったら皇女として扱わねば……作法は知らないけど。

 

「ふ、ふふん! しょ、庶民でも礼儀を知っているのだな!」

「リゼもう止めたら? 顔真っ赤じゃん」

 

 プルプルと顔を赤くして震える皇女殿下。凄く弄りたくなる可愛さがあるな。

 

「あ、アンジュにリゼやん。入って入ってー」

「「わーい」」

 

 切り替えはえぇ……。これがデビュー初日から青鳥のトレンド上位になった者の実力なのか……。

 

「へぇ、とこちゃんが犬カフェで働いてるって聞いてたけどホントだったんだ」

 

「あんらぁかわええなぁ! おぅらこっちゃおいでぇ!」

 

「アンジュ逃げられとるが?」

 

「っふ、私の美貌は犬をも照れさせてしまったか」

 

「アンジュ、私のところにはいっぱい来たよー」

 

「んなあ! リゼばっかずるいぞ! 私にも触らせろ―!」

 

「アンジュが来たら逃げちゃうでしょ! こっち来ないで!」

 

「なんやと⁉ この間なんかおてて繋いだ仲じゃないか! 私を捨てるんか、ゆるさへんで⁉」

 

「キモイわ! あぁあああっ! 触んないでよ! 触り方が変態なんだよぉお!」

 

「アハァー!」

 

 カオスだ。

 配信でも見ていた以上にこれで平常運転なのか? 恐ろしい、これがホープと呼ばれる存在か。

 とりあえず……お茶とお菓子でも用意するか。

 

「いやああああ! どこ触ってんのよ!」

 

「げっへっへっへ! リゼちゃんまたちょっと大きくなったんとちゃいます? おじさんリゼちゃんの成長が楽しゅうてたまんないんや」

 

「と、とこちゃーん! 助けてぇええ!」

 

「アハァー!」

 

「アハァー! じゃないんだよ! 笑ってないで助けて!」

 

「嫌」

 

「げっへっへっへ! 諦めるんだなリィゼェ! 戌亥は私が既に買収済みなんだよ! ジャガイモでな!」

 

「じゃ、ジャガイモなんて卑怯だぞ! くそぉ! これなら私も持ってくれば!」

 

 戻ってきたらさらにカオス、というかR指定されてしまいそうな光景が広がっていた。

 皇女殿下の名誉のためできる限り視界から外してテーブルの上にお菓子を置いていく。

 

「皆さんでどうそ、それと戌亥さん」

 

「ん?」

 

「ジャガイモチップス上げるので、あそこの二人のR指定を全年齢版に戻して貰えません?」

 

「おっけー」

 

「神様仏様!」

 

「い、いにゅい? う、うせやろ? 私信じてるで、いにゅいはやればできる子やって……な?」

 

「アハァー!」

 

「い、いにゅ……いにゅぃいいいいい!」

 

 はい、R指定が解除されました。

 

「ありがとうございます! ありがとうございます! ありがとうございます!」

 

「助けてくれたのは戌亥さんですから、俺じゃなくて戌亥さんに感謝してください」

 

「とこちゃんすきー!」

 

「……いにゅい、なんでや……ウチら約束したやん…………」

 

 

 カオスなのは変わらないけど、どうにか落ち着いたな。

 それにしてもどうしてこの三人が人気なのかその一端が垣間見えた気がする、この三人の絡みは見ていて飽きないのだ。

 

 それぞれが被らず殺さずの個性を持って調和するのではなく昇華させている、とでもいうのだろうか。

 もっと見ていたい、と思ってしまう。

 

 黒い沼にズブズブと嵌っていく音が聞こえた気がする。

 えーっと、次のさんばか配信はいつだろう。

 

「よっしゃ! じゃあ配信まで時間あるしゲームしようぜ!」

 

「さっきの恨みはらさでおくべきか! マ〇カーで勝負だ!」

 

「じゃあ俺は自室に戻るんで、何かあったら呼んでください」

 

 流石にこれ以上いるのは彼女たちに申し訳ないな。一人変態だし、一人皇女だし、一人ケルベロスだし。

 あれ? 変態って言葉はこんなにパンチ弱かったっけ?

 そう言って立ち上がろうとした俺の袖が掴まれる。掴んでいる手の先を見れば皇女殿下のご尊顔があった。

 

「あ、あの……その、奈田さんも一緒に……」

 

 言いづらそうに顔を赤くするリゼさんに、変な勘違いをしてしまいそうになるが踏ん張る。

 がんばれ、此処でちょっとでもトゥンクしたら戻ってこれなくなる!

 

「なんやリゼ~、奈田君にほの字か~? 私というものがありながら浮気か~?」

 

「ちゃちゃちゃちゃちゃうわ! アンジュ対策だよ!」

 

「アンジュさん、ほの字って結構古い表現しますね」

 

「……ちゃう、ちゃうんよ。おじちゃんだって最近の言葉とかしってんで? 卍とか」

 

「微妙に古いよアンジュ」

 

「ちゃんや! うち悪くないんよ! 私を置いてくこの世界が悪いんよ!」

 

「そんな責任転嫁するのは魔王だけだから止めなよ、あと一人称も統一して」

 

「急に大人になるやん、冷静過ぎておじちゃんひゅってなったよ?」

 

「んぐんぐんぐ……」

 

「いにゅぃ? ジャガイモチップス美味しいのは分かんねんけど、できればもうちょっと参加しない?」

 

「んー……? ……っ! んぐんぐんぐ」

 

「いにゅい⁉ 諦めないで! 多分あともうちょっとだったから! 一緒に世界を征服しよう、そうすればずっとジャガイモ食えんで!」

 

「!」

 

 や、止めろー! ケルベロス相手に何持ちかけてんだ!

 

「アンジュ止めなよそういうこと言うの、とこちゃんも騙されないで」

 

「なんやリゼ止めるなよ! 私は戌亥と世界を手にしてハーレム帝国を! 戌亥は一生ジャガイモ生活を手にするんや!」

 

「そのとおりや! 待ってろジャガイモォ!」

 

「だから世界征服したら私の国と戦争だよ? 危ないよ!」

 

「た、確かに……」

 

「てかアンジュは私の国の錬金術師でしょ、とこちゃんと戦うことになるんだよ?」

 

「そ、それはまずい……愛する戌亥と戦うなんて、私……できない‼」

 

「私はかまへんで」

 

「いにゅぃ? もうちょっと情とかあってもえんでない?」

 

「ない、ジャガイモ」

 

「そっか……私、ジャガイモに負けたのか」

 

 こ、皇女殿下ああああ! 最悪の事態を防いでくれるなんて流石です!

 

「それに、征服するなら北海道で十分だよ。この国のジャガイモの七割以上が北海道で作られてるから」

 

「さすリゼ! 博識! いったれ戌亥!」

 

「よっしゃ! まってろ北海道!」

 

 こ、皇女殿下ああああ! この美少女皇女殿下なに計画に具体性持たせてんだよ!

 戌亥さんがかつてないほどやる気に満ちてるじゃねぇか!

 現状この世界の危機を救えるのは俺しかいない、なら俺が止めるしかないじゃないか!

 

「は、反対!」

 

「む、貴様。童の前に立ちはだかるというのか? 我、皇女ぞ」

 

「我、錬金術師ぞ」

 

「ケルベロスぞ」

 

 い、一般人がいない……だと?

 どうしよう、説得できる気がしない。そもそも話が通じる気がしない。

 かくなる上は……!

 

「戌亥さん、今度新しいジャガイモレシピの料理作るので考え直してください」

 

「おっけ、考え直した!」

 

「い、いにゅい⁉」

 

「リゼ皇女殿下。民草は戦争を望んでおりません。敵国ならいざ知らず、敵ですらない土地を侵し、異国の民を支配下においては蛮族の罵りを受けますぞ」

 

「蛮族……」

 

「が、頑張れリゼ! 負けちゃダメ!」

 

「よいのですか⁉ これから作られる歴史は世界が見た椿事! 無為な戦争を起こした暴君として黒歴史に名を刻むことになりましょう」

 

「黒歴史……」

 

「フレーッ! フレーッ! リ・ゼ・ちゃん!」

 

「なんと清廉潔白を訴えればよいのですか! ジャガイモが欲しいからと言うのですか⁉ 歴史にジャガイモが欲しいから戦争を起こしたと、ジャガイモ皇女と子々孫々に伝えていきたいのですか?」

 

「じゃ、ジャガイモじゃないもん……童、ジャガイモじゃないもん……」

 

「リ、リゼまでやられた⁉」

 

「そしてアンジュさん!」

 

「はうぅ⁉ わ、私は騙されへんで! 一人でもやってやらぁあ!」

 

「頑張ってください」

 

「いや違うじゃん。そこは止めるところじゃん、私すっごい説得されムーブしてたじゃん」

 

「アンジュがんばー」

 

「応援してるでー」

 

「う、裏切り者ぉお!」

 

 

 

 こうして、世界の平和は守られた。




……さんばかの掛け合いに主人公は要らないな
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