異世界卜部 〜異世界でもコードギアスの世界でも四聖剣は虚名にあらず!〜   作:シャール

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卜部 式根島 の 戦い

「はあ!?アンタあの一本でどんだけコストかかっていると思うの!?」

 

 ラクシャータのキセルが頭に直撃する。

 

 一応鉄製だから痛い。

 

「すまん。」

 

「当分は別の兵器で我慢だね。まあ、あの状況で不安定さを逆手に取るとは思わなかってけどね。案外機転が利くのかねえ?」

 

 彼女はキセルを一吸いする。

 

「今回も貴重なデータ頂いたよ。アンタの動きを参考にこれからも改造していくからね。」

 

「そういえばナイトメアを飛ばすことはできるか?」

 

「ッ!?アンタどこでそれを?」

 

「いや、その。なんとなくだが・・・。」

 

 彼女はため息をつく。

 

「さらっと恐ろしいこと言ってくれるじゃないの。いい?そんなこと理論上。」

 

「だがブリタニアには航空艦があって。」

 

「ちょい待ち!アンタ見たの!?」

 

 まあ一応この目で見はしたが・・・。

 

 そうか!この時点ではまだその存在は知られていない!

 

「という冗談で。」

 

「ありえなくはない。あのプリン伯爵なら・・・それに理論上のフロートシステムが・・・。確か電気熱ジェット推進装置と・・・。」

 

 まさかあんな一言でこれ程のインスピレーションが得られるとは・・・。やはり天才という他ないだろう。

 

 彼女は急いでパソコンに向かい合う。この状態になるとしばらくは話しても無駄だろう。

 

 しかし暇をつぶすにも他の四聖剣たちは自分の部隊を訓練しているし・・・。

 

「参ったな。」

 

 そういえばカルメンにしばらく会っていないな。

 探すことにするか。

 

 となると誰が知っているだろうか。やはりディートハルトか。正直苦手だが・・・。

 

 まあ聞かないことには始まらない。それともゼロに直接聞いてしまうか。いや。彼が次にこの潜水艦に現れるのは2日後だ。

 

 扇要。凡庸な男だが副指令だ。流石に知っている筈。

 

 よし。そうしよう。

 

 俺は椅子から立ち上がると格納庫から出る。

 

 確か扇は。

 

「おうッ。卜部のおっさんじゃねえか!!」

 

「何だ玉城。」

 

「聞いたぜ!一人であの白兜を撃退したんだろ!すげえじゃねえか!」

 

 まあ、褒められると正直悪い気分ではない。

 

「そういやよ、噂なんだがあのカレン似の女いただろ。」

 

「カルメンの事か?」

 

「そうそう。その女の事だけどよ。どうやらカレンの代わりに学校に行くって話しみたいだぜ。」

 

 あいつが?

 

「そのお陰でウチのエースパイロットは常駐!怖いもん無しだぜ!卜部のおっさんもいざってときは頼むぜ!まあ俺ほどじゃないにしてもな。」

 

 言ってろ。

 しかし驚いた。まさかそんな仕事を請け負うとはな。ではこの艦内にはいないという訳か。

 

「おう!影崎!噂なんだけどよ!」

 

 いつの間にか玉城は別の男に話しかけていた。

 

 まったく。一番の敵は味方とはよく言ったものだ。

 大々的に影武者の正体を言ってどうする。

 

 しかし彼女の行方は知れた。このままあの学園にいれば多少はマシだろう。それにこの世界の常識を知ることができるかもしれない。いい機会だ。

 

「あ、卜部さん。」

 

「む、紅月か。」

 

 たまたま紅月と出くわす。

 

「その。カルメンさんの事だけど。」

 

「知っている。まあ彼女にとってもそれが良いだろう。」

 

 学生が日本を背負って戦う。並大抵の覚悟ではないはずだ。

 せめてできるのはそれを俺も背負うことだ。

 

「そう言えば話を聞きました。あの白兜とヨコハマで戦ったって。」

 

「ああ。勝負はつかんかったけどな。」

 

「その、良かったら特訓に付き合ってもらいたくて。」

 

「俺は構わんが、時間は大丈夫なのか?」

 

「ええ。零番隊って正直ゼロの命令が来るまでは暇ですし。」

 

「そうか。俺と同じだな。こっちも科学者連中が忙しくしているとやることが無くてな。どうする。シミュレーターは今メンテナンス中でな。」

 

「じゃあ格闘訓練はどうですか?」

 

 悪くないな。現実の格闘知識は対ナイトメアでも役に立つ。

 

「良いだろう。そうだな。では訓練室に行くとしようか。」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「そう気負わなくていい。楽しくやろう。」

 

「分かりました。」

 

 

 

 

「はぁッ!!」

 

「中々やるなっ!」

 

 生身の紅月は足技が得意なようだ。だが!

 

 蹴ってきた足を掴む。

 

「なっ!」

 

 そして軸足を蹴る。これで転ぶだろう。

 

「ほう。」

 

 どうやらその勢いを利用してそのままバク転。体勢の立て直しに成功したようだ。

 

「少し休憩を入れよう。」

 

「はいっ。」

 

 20分ほど手合わせをしていたらさすがに疲れる。

 

 あの逃亡生活を思い出す。あの時は大分彼女に助けられた。

 

「あの、何か顔についてます?」

 

「いや。何でもない。」

 

 いかんいかん。つい感傷に浸って彼女の顔を見つめてしまった。

 

「しかしやるな。それほどの身体能力はどこで?」

 

「一応お兄ちゃんとじゃれあう感じで。あと筋トレは独学で。」

 

 やはり生まれ持ってのセンスだろう。素晴らしい。

 

「これでは俺もすぐに追い抜かれてしまうな。」

 

「そんな。卜部さんは十分強いです。」

 

 俺なんてこの力が無ければ・・・。それに密かに身体強化を使っていた。それにもついてこれるとは。

 

 もし紅月がこの力を使うことができるのならな。

 いや。可能か?俺でさえ習得できたんだ。

 

 試してみる価値は、ある!

 取り敢えず彼女の力の源を確かめてみよう。

 

「紅月。力を入れるときどんな事を意識している?」

 

「え?そうですね・・・。怒り・・・かな?」

 

「怒りか。それはブリタニアに対する?」

 

「はい。私からお兄ちゃんを。日本人から権利を奪ったブリタニアが憎いです。」

 

 怒り。あの時俺たちが戦争に勝っていれば。

 彼女も戦争の犠牲者という訳だ。

 

 しかしそんな話を聞いては、ちょっと『身体強化』の特訓はやり辛いな。

 

 なにか場を和ませるものは・・・。

 

「そうだ。」

 

 俺はトレーニング用の鞄からタッパーを取り出す。

 それを紅月に手渡す。

 

「何ですか?これ。」

 

「とにかく開けてみてくれ。」

 

「ハチの巣・・・?」

 

 鍛錬には欠かせない。

 

 疲労回復に効くし、何よりカロリーが低い。それに腐らんから沢山ストックできる。

 

「それは巣蜜といってな。甘くてうまいぞ。たぶんまだ冷えていると思うが。ほら。」

 

 使い捨てのスプーンを手渡す。

 

「でも申し訳な・・・。」

 

 紅月の腹がグウーーーっと鳴る。

 

「おっさんの好意は素直に受け取るものだ。」

 

 俺はそう言うと缶のスポーツドリンクを開け、一口飲む。

 

「じゃ、じゃあ遠慮なく。」

 

 そう言うと紅月はスプーンで一口分の巣を掬い取り、恐る恐る口へと運ぶ。

 

「!」

 

「どうだ。」

 

「おいしいです!しつこくない甘さで癖になりそうです!」

 

「そうだろう。」

 

「私。初めて蜂の巣を食べました。ブリタニアでは蜜だけのイメージが強くて。ホント、紅茶や茶菓子に入れるものだと。」

 

 そう言うと彼女はパクパクと巣蜜を食べていく。

 

 そんなに美味しそうに食べてくれると、くれてやった甲斐があるというものだ。

 

「卜部~。今すぐ私の所に来な~。」

 

 館内放送でラクシャータの声が聞こえる。

 

「では俺はこれで。訓練も良いが本業は学生だろう。しっかりと勉学も励めよ。」

 

「・・・は~い。」

 

 大分打ち解けたようだな。まあ『身体強化』は次の機会にするとしよう。

 

 

 

 

「で、卜部。さっきの話なんだけどさぁ~。さっきブリタニアの本国の協力員に確認したところデータがとれてさ。やっぱ可能みたいよ。癪なことにあのプリン伯爵が主導してるみたいだけどさ。」

 

 そう。確か奴。枢木はキュウシュウ戦役時点で空を飛んでいた。

 この後の式根島での戦いの後と考えるといささか時間がない。

 

 いくら『身体強化』があっても空を飛ばれると敵わないからな。

 

「おお!どれぐらいかかる?」

 

「うーん。データの解析からだからやっぱ最短でも半年ぐらいかな。まあ現物があればもっと早いだろうけどね。」

 

「それでは間に合わない!」

 

「ふーん。訳を聞こうじゃないか。」

 

 しまったつい口が。

 

「そ、それは。」

 

「あ、嘘つこうたって無駄よ。私こう見えても嘘を見抜くのは得意だから。それにアンタは嘘をつくのがヘタそうだしね。」

 

 そうだ。彼女は人の本質を見抜くのが上手い。だから技術者とはいえゼロに意見することができたのだ。

 

 しかしどうする。本当のことを言おうにも、滅茶苦茶すぎる!

 

 別の世界に行っていて帰ってきたら時間が戻っていました。なんて信じてもらえるわけがない。

 

 ・・・まあ全部聞こうってワケではないよ。ただアンタが言える範囲でね。」

 

 それならば・・・。

 

「あと数週間で奴らはあの白兜を飛行させる。」

 

「何だって!!」

 

 ラクシャータはキセルを落とす。

 

「なんでアンタがそんな事を知っているかは置いておいて。やっぱり噂が現実味を帯びてきたね。フロートシステムは配備寸前ってね。」

 

 彼女は震える手でキセルを拾う。

 

「ふうーっ。」

 

 その口から煙が出る。

 

「でも数週間じゃ間に合わないね。何かそれに対する対抗策が必要だね。」

 

「ああ。」

 

「ちょっと時間を頂戴。あ、あとシミュレーターの調整終わったからいつでも訓練できるからね。しかしゲフィオンディスターバーとの同時進行なんてね・・・。」

 

 彼女は再びパソコンに向き合う。

 

 しかし、2日後には式根島での戦いが起こる。そこでユーフェミアの騎士枢木スザクを!

 

 

 

 

「ユーフェミアが本国からの貴族を出迎えに、あの島にやってくる。騎士である枢木スザクも共にいるはずだ。戦略拠点ではないため敵戦力も限られている。これはチャンスだ!」

 

 遂にこの日が来た。

 

「作戦の目的は、枢木スザク。およびランスロットの捕獲。戦場で勝って堂々と捕虜にする。」

 

「うん。」

 

 中佐が静かに頷く。やはり裏では何かしらの駆け引きがあったのだろう。

 

「ふう。」

 

 紅月も安心したように息を吐く。

 

「ここから先は私に任せてもらおう。では各員作戦を確認しておいてくれ。それと卜部。」

 

「はい。」

 

 この時点ではまだ話したことは無かったはずだが・・・。

 

「ラクシャータが呼んでいる。お前が作戦の要だ。頼むぞ。」

 

「承知。」

 

「では各員。かかれ!」

 

「「「はい!」」」

 

 その一声で皆が動き始める。

 

「おいお前。」

 

 C.C.?

 俺に何の用だ。

 

「お前から何かを感じたが・・・杞憂だろうか。」

 

「一体何だ?」

 

「いや、いい。それよりラクシャータが呼んでいるぞ。」

 

 相変わらず不思議なやつだ。

 

 俺は不思議に思いながら、部屋を出ようとする。

 

「卜部。」

 

「千葉か。どうした?」

 

「あの時以来話せてなかっただろう。」

 

 確かに。最後に姿を見たのはあのヨコハマ以来だな。

 

「その、ありがとう。お前がいなければ私は・・・。」

 

「気にするな。仲間が危険な目に遭っているのに助けないなんてそんな真似俺にはできない。」

 

「なあ。卜部。お前は・・・。」

 

「ここにいたの!卜部ちゃん。」

 

「ラクシャータ。お前が出てくるとはな。すまない千葉。話は作戦の後で。」

 

「あ、ああ。」

 

 一体何を話そうとしていたのかは分からないが。まあそれは後回しだ。

 

 俺たちは部屋から出る。

 

「でさ、アンタの仕事だけどちょっと特殊なのよね。」

 

「特殊?」

 

「まあ、ある装置をこのポイントに置いてほしいワケよ。」

 

 手渡された端末を見る。

 そこには式根島の地図が表示されており、砂浜に赤い点でポイントが示されている。

 

「ゲフィオンディスターバー・・・。」

 

「全く。アンタはどこまで知っているんだか。まあその場所に設置するんだけど、いざってときに守って欲しいのよね。副産物のステルスは作動しているんだと思うけど絶対って無いでしょ?」

 

「ああ。構わんが。」

 

「決まりっ!それと急ごしらえだけど榴散弾砲の砲弾の小型化。しておいたわよ。これで装弾数が倍になったからね~。」

 

「助かる。」

 

 この作戦。空からの航空艦によって失敗した。一時的に俺たちはゼロを失った。

 

 次こそは。

 

 

 

 

「シュナイゼル様。もうそろそろ。」

 

 美青年が椅子に座った優男に話しかける。

 

「そうだな。始めるとしようか。」

 

「アヴァロン発艦します!!」

 

 

 

 

「砲撃しろ!!」

 

 オープンチャットで指示が聞こえる。遠くで煙が上がった。

 

「オーライ!オーライ!」

 

「そこ、もたもたしない。」

 

「急げ!」

 

「なんかねじ吹っ飛んだんだけど!?」

 

「はあ?アンタねえ。」

 

 こちらもこちらで、まるで戦場だな。

 

 しかし敵に悟られないようにする為にこんなギリギリの時間にに設置していたとは。

 

 頼む。間に合ってくれよ。

 

「対象を確認!各機、第3陣形を取りつつ後退せよ。対象には手を出すな!繰り返す。対象には手を出すな!」

 

 通信で中佐の声が聞こえる。

 

「アンタら聞こえたね。急ぎな!」

 

「後1機で完成です!」

 

「分かってるから早く!」

 

 最悪俺が時間を稼ぐ!

 

 コックピットを閉じて月下乙式を起動する。

 

「はい完成よ!みんな撤収!」

 

 急いで近くの森の中へと移動する。

 

 これで枢木を捕まえられる筈だ。

 

 ランドスピナーの音だ。2機。

 恐らくゼロの無頼とあの白兜『ランスロット』!

 

 そして地図の位置にゼロの機体が表示される。

 

「フフフ。遂に。」

 

 ランスロットがゼロの無頼に追いつき、その喉元に剣を構える。

 

「ラクシャータ!!」

 

「捕まえた♪」

 

 緑色の鈍い光。それが枢木とゼロの両機を包み込む。

 

 そして無頼とランスロットは沈黙した。

 

 俺は月下乙式を動かし、ランスロットの近くへと向かうそして榴散弾砲を構えた。

 

「話がある。枢木スザク。出てきてくれないか?第一駆動系以外は動かせる筈だ。捕虜の扱いについては国際法にのっとる。話し合いに乗らない場合、君は四方から銃撃を受けることになるが?」

 

「効果範囲も持続時間もまだまだかぁ。」

 

 すると枢木はランスロットから地上に降りる。それに合わせてゼロも無頼から地上に。

 

「枢木スザク。単刀直入に言おう。」

 

 俺は月下乙式から降りて、砂地を滑り降りる。

 

「なっ。卜部!作戦は!」

 

「あらあら。」

 

 気にするものか。この後は逆にゼロを人質に取られるのを知っている。黙って見ていられるか。

 

 俺は軍刀を鞘から抜く。

 

「卜部!何をしている!命令違反だぞ!」

 

 中佐が叫ぶ。

 

「構わん!藤堂!」

 

 ゼロが叫ぶ。

 

「さあ、話の続きをしようじゃないか。枢木スザク。私の仲間になって欲しい。」

 

「それは脅しかい?それにそこの人は。」

 

「俺に構わず続けてくれ。ただしゼロに手を出したら・・・。」

 

 俺は刀を構える。

 

「くっ。だとしても断る。前にも行った筈だ!間違った方法で手に入れた結果に意味はないって!」

 

「では聞こう。今の平和にも意味は無いのか?」

 

 さあ、どう答える。枢木スザク。

 

「7年前、日本が徹底抗戦を選んでいたらどうなっていたと思う?」

 

 その言葉に彼は顔を歪ませる。

 

「中華連邦とEUが介入し、日本は3つに分断され未だに戦い続けていただろう。」

 

 それは起こらなかったもしもの歴史だ。だが確かにゼロが言っていることは正しい。

 俺たち日本軍が徹底抗戦していたら、それは中華連邦とEUに介入する隙を与えたということになる。そこにつけ込まれて日本は修羅の国になっていただろう。

 

 ただ、今の平和は腐っているが。平和には違いない。

 

「つまり、今の平和はいち早く決まった無条件降伏によるものだ。」

 

 枢木ゲンブ首相の自害。それで日本は統率を失い、降伏した・・・。

 

「そうだ・・・父さんの築いた平和を壊さない為に自分は戦っている。」

 

「違うな。間違っているぞ。」

 

 なんだと?

 

「降伏は選挙で選ばれた枢木首相ではなく、彼を殺した何者かが勝手に決めたことだ!」

 

 枢木の顔が驚きの表情へと変わる。

 

「政府の指揮系統に乱れが起こり、降伏を選ぶしかなくなった・・・。分かるな?人々の意思は奪われたのだ。ルールを破った1人の犯罪者によって、勝手に!」

 

「あ・・・どうしてそれを・・・。」

 

 ゼロは枢木に歩み寄る。

 

「1つだけ、贖罪する方法がある。」

 

「?」

 

「あの時の日本人が選べなかった選択肢を身を持って提示する事だ。」

 

 そう来たか。

 

「7年前に盗まれた、ブリタニアと戦うという道を。」

 

 だが枢木の反応は。

 

「戦う・・・。またそれか!」

 

「これも一つの道だ。君は自分のエゴを、多くの人々に未来永劫に渡って押し付けるつもりか?それが平和だというのか?」

 

 その時、枢木のヘッドセットから微かな声が聞こえる。

 

「ーー応答しろ。聞こえるか?枢木少佐。応答しろ。」

 

「いいかな。」

 

「好きにしたまえ。」

 

「こちらはブリタニア軍式根島基地司令パイエル中佐だ。これよりテロリストに対し地対空ミサイルを撃ち込む。枢木少佐はその場にゼロを足止めせよ!」

 

「なっ!部下に死を命じるのか!」

 

 やはりブリタニアは枢木を使い捨ての駒としか!許せん!

 

 だがここでゼロを失う訳には!

 

 枢木がゼロの銃を掴もうとするが、俺はその手を蹴り上げる。

 

「ゼロ!ここは俺に任せて退け!」

 

「卜部!まさかこの為に!」

 

 俺は枢木に刀を向ける。

 

「枢木前首相の息子といえどもゼロに手を出すなら。」

 

「容赦はしない。ですか。ならば俺もッ!!」

 

 この踏み込みは!!

 

 俺は刀を振り下ろすが命中しない。やはり速い!人間離れしている。

 

 だが時は稼げた!

 

「構わん!俺ごと撃て!!」

 

 俺は叫ぶ。そう。今回はゼロが人質に取られていない。ならば俺の命など。

 

「捕虜にできないのなら・・・撃て!」

 

 ゼロが叫ぶ。

 

 そうだ。それでいい。

 

 マシンガンの一斉掃射の音がする。

 

「止せ!!」

 

「中佐!?」

 

 中佐の月下が射線に割って入ってくる。それに続いて千葉、朝比奈、仙波さんまでも。

 

「水臭いじゃないか。卜部さん。自分一人だけカッコつけるなんてさ。」

 

「卜部。お前は・・・バカだッ・・・!!」

 

「ふ。まだ死ぬには早いぞ。」

 

「みんな・・・。」

 

 俺の為に・・・。

 

 しかし他のメンバー達のナイトメアはゲファオン・ディスターバーの力場の影響を受けてか、動かなくなってしまった。

 

 そして全員がナイトメアから降りる。

 

「卜部。一人で背負うな。それに我々ならスザク君を!」

 

 中佐・・・!そうだ。この人数ならば勝てる!

 

「覚悟しな。ってね。君には勝ち目は無いよ。枢木クン。」

 

「油断するな!朝比奈!」

 

「ゴメンゴメン。でもさっ!!」

 

 朝比奈がコックピットから飛び降りる勢いで枢木に飛び蹴りをする。

 

「これならどうかなっ!!」

 

 枢木は腕を交差させてそれを防ぐが流石に大人一人の体重の衝撃。尻餅をついてしまう。

 

「くっ。卑怯だとは思わないのか!?5人掛かりで!」

 

「スザク君。全てを出し尽くさねば結果は得られない。これは必要と判断してのこと。」

 

「藤堂さん!あなたはスジを曲げてまでも!」

 

「ああ。私はみっともなく最後まで足掻くと誓ったのだ。散って行った同士の為。日本の為に。」

 

 未だ尻餅をついている枢木をみんなで取り囲む。これで逃げ道はない。

 

「僕は!俺は!」

 

 遠くの空にはミサイルが見える。もう時間はそれほど無い。

 

「空に向かって一斉射撃しろ!ミサイルをできるだけ撃ち落とすんだ!紅月カレンは輻射波動でさらに防護壁を!」

 

 紅月の紅蓮弐式が空に向かって右手を伸ばす。

 

「朝比奈と仙波は早く枢木スザクを!ラクシャータ!ゲファオン・ディスターバーを切れ!それ以外はナイトメアに乗るんだ!」

 

「分かった!」

 

 ここは朝比奈と仙波に任せて、俺は月下乙式に乗り込む。

 

 ミサイルはもう近い!

 

「榴散弾砲発射!!」

 

 空に向かって榴散弾を発射する。

 分離して炸裂したそれは見事にミサイル群を迎撃する。

 

 これなら時が稼げる!

 

「おどきなさい!」

 

 皆が空に夢中になっているとどこからか現れたポートマンが俺の機体にぶつかった。

 

「がっ!?」

 

 もちろん機体バランスが崩れる。なんとか体勢を立て直すが。

 

「ユフィ!!」

 

「スザク!乗るのです!」

 

「仙波さん!!!」

 

 その横には仙波さんが倒れていた。そして朝比奈が頭を抑えている。

 

 枢木スザク。奴は!!

 

 ポートマンは枢木スザクを手に乗せてそのまま森の中へと消える。

 

「くっ!!作戦は失敗だ!我々も退却する。紅月はそのまま輻射波動を展開!技術部隊を回収した後・・・!」

 

「やっぱりフロートシステムが・・・。やられたな。」

 

 時間切れだ・・・!!

 

 空から赤黒いエネルギーが降り注ぐ・・・。

 




卜部が余計な手出しをしたせいで・・・。

もちろんゲファオン・ディスターバーが切られたのでユーフェミアのポートマンがスザクを救うことに成功しました。

しかし神根島での一幕はどうなってしまうのか・・・。

無事ガウェインは鹵獲できるのか!?
乞うご期待。
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